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【新制度の積み残し課題】 制度拡大へ風向き変わる

 1-1.jpg機能性表示食品制度の「対象にする食品(成分)の範囲」を議論する積み残し課題検討会の風向きが変わりつつある。これまで終始一貫して反対派のペースに押し切られてきた。事業者サイドにとって格好のアピールタイムになるはずだった3月15日の第3回会合も多くの団体はメリハリのない主張を逆手に取られつけ込まれる始末。前半戦にして早くも対象範囲拡大が雲散霧消するかに思われた。だが、その空気を一変させたのが、日本通信販売協会(JADMA)。消費者サイドが悲願である「健康食品規制」を巧みに制度拡大の意義につなげた。
1-2.jpg米国は米国、薬は薬

 ヒアリングを行ったのは、検討委員として参加する業界4団体。各団体持ち時間は20分。それぞれ異なる戦略で消費者、学術サイドへのアプローチを図った(=㊨表)。

 日本チェーンドラッグストア協会は、「米国制度との整合性(国際潮流)」、日本OTC医薬品協会は「医薬品レベルの品質保証」、健康食品産業協議会(協議会)は「食品安全委員会への対論(国の健康・栄養政策批判)」を軸にした。

 だが、海を超えた米国の事例は、根拠として提示した資料の信憑性を委員に疑われ、医薬品を参考にすることは、反対に品質保証のハードルを一段高める結果に終わっただけ。米国の事例紹介は、利用実態や監視動向を踏まえた総合的な業界の構図を捉えがたく、"米国は米国、日本は日本"で片づけられてしまう。また、根本的に背景が異なる医薬品のハードルを食品に持ち込むべきでもない。


時間超過も空気読まず

 ひどいのは協議会。戦略は昨年末、ビタミン等の安全性に懸念を示した食安委の「いわゆる『健康食品』に関するメッセージ」について、真っ向から否定に挑むものだ。検討会以前から、同メッセージは反対派の主張のベースになることが予想され、メッセージ策定に関わった学識経験者も検討会に参加していたためだ。

 協議会は、対抗馬として日本ビタミン学会所属の学識経験者ら3人を論客として招へい。「ビタミンの過剰摂取の恐れは間違い」などとまくし立てた。だが、学者同士の議論をこの場に持ち込んでも水掛け論になるのがオチ。一人の学者が反対を表明したところでメッセージが覆るわけでもない。覆す場でもない。

 挙句の果てに持ち時間を大幅に超過したアピールに消費者庁の川口康裕次長が不快感を露わにする始末。その後も空気を読まず話し続け、「もうだいぶ超過している」(寺本民生座長)と打ち切られた。これら団体のヒアリングは対象範囲の拡大議論を後退させるのに十分だった。


巧みな切り返しニュースター誕生

 だが、JADMAが惨敗に終わるかに見えた検討会の空気を一変させた。説明者に招いたのは研究職にあるものの、対外的な業界活動の経験も浅いと思われるファンケルの一社員。今回、検討会の主役は第2回会合で孤軍奮闘した宗像守氏や、「ヤブヘビの好例」と揶揄された関口洋一氏でも、JADMAを代表して参加する宮島和美氏でもない。ファンケル総合研究所の寺本祐之氏だった。

 戦略は、「いわゆる健康食品」の新制度への切り替えを範囲拡大の目的とすること。機能性表示食品を含む健康食品の消費者意向調査(別項に関連記事)を受け、消費者サイドの河野康子委員が「摂取目安量への理解が進んでいない」と指摘すれば「健食は機能性表示食品と異なり目安量を示すルールがない。(だから目安量の設定が必要になる機能性表示食品になるべく多くの成分を取り込むべき)」と応じ、「"長年摂取しても効果がない"と言う顧客にどう企業として応えるのか」(河野委員)と指摘されれば、「それは企業側にとってもジレンマ。機能を表示できないために、顧客が目的とする商品を手にできず、従って特定の機能に対する効果実感が得にくい。(だから機能性表示が必要になる制度に取り込むべき)」と切り返した。

 「企業による(健食の)ステルスマーケティングが横行している」(同)と言われれば、「新制度が始まってから企業広告から消費者庁へのリンクがすごく増えた。(健食では)絶対リンクしなかったが、根拠を示すためにリンクする。制度によって消費者に情報を届ける良い環境が整い始めている」と、健食との対比をあえて鮮明にした。

 「健食との区別」は、制度の導入にあたり消費者サイドが求めている最大の要求。反論しにくい点でもある。目安量や機能性を「情報公開」することが企業にネガティブな報道を含め問題提起や議論の場が増える制度の最大のメリットであり、健食との違いであるとした。

 現在、市場には約10万品目の健食があると推計。一方で機能性表示食品はわずか250製品に留まる。「消費者のために健食を機能性表示食品にして透明性を高める。議論できる環境を整える。そのために大きなシェアを占める栄養成分等を制度に入れるべき」(寺本氏)とした。



 なぜ、これまで事業者サイドは消費者や学術サイドの攻略に失敗してきたか。一つは切り返しのまずさにある。検討テーマ以外の制度批判をする消費者サイドを抑えるため「検討会は制度の是非を検討する場でない」と指摘した宗像氏も、第2回会合で集中砲火を浴びた関口氏も、意見自体は間違っているわけではないと感じる。ただ、論点を絞らず反対派をただ煽る意見は、さらなる反論を招くだけだ。

 「市場に溢れる多くの"いわゆる健食"を制度に取り込むことで、"いわゆる健食"を排除する。そのためにシェアの大きい成分を対象にする」。

 これまで議論の争点が定まらなかったのは、「消費者目線」と「専門的見地」の意見が交錯し、混乱を招いていたためだ。だが、「消費者目線」から見た範囲拡大の意義は今回、JADMAによる提言で定まったといえる。企業と消費者双方にメリットのある範囲拡大の理由が定まったことを踏まえ、今後は「専門的見地」から、制度化に向けた具体的方法論の検討に入るべきだ。


【ガイドライン一部改正】
消費者庁で便乗改正が流行


 消費者庁で、消費税の便乗値上げならぬ"便乗改定"の手法が横行している。消費者庁は4月1日、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の一部を改正。第3回会合でこれに関する資料も配られた。届出のオンライン手続きの導入に関わる変更を主眼とするものだが、消費者団体の強い要望を受けて安全性評価に関わる部分も改正。同手続きとの関連性の薄さからこれを巡り、「事業者側と調整せず、勝手に変えるのはルール違反」(業界関係者)との声が寄せられていた。検討会の会場で赤﨑暢彦食品表示企画課長は本紙取材に「事業者団体は"そんな事は言ってない"と言うかもしれないが、事業者にとって受け入れ可能なものか(非公式には)聞いている」と応じた。

 コメントからは、事業者団体が明確に認識した中で聞いたのかよく分からない。法令と違い、ガイド改定はパブリックコメントを基本的に必要としない。ただ、関係者に配慮して行政が"任意"で意見募集の場を設けるケースはよくある。つい最近までパブコメを募集していた健康増進法に関する運用ガイドラインも「何人も」の解釈に関わる重要な変更を行っているため、行政側が業界に配慮して任意で募集したとみられる。

 ただ、健増法のガイド改定も、地方分権を推進する「第4次一括法」の施行に伴うもの。権限移譲に関わる部分の改定だけでなく、関係のない"何人規制"の解釈を変えてきたことに媒体関係者から怒りの声が上がっている。今回のガイド改定も同じ構図に見えなくもない。事業者の関心が高い部分であるだけに、行政は丁寧なやり取りが必要だろう。

 主な変更点は安全性に関する部分。トクホにおける安全性審査の有無や、食品衛生法に基づく販売禁止措置の対象かどうか、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれる成分でないかの3点を確認することを加えた。特にトクホ審査に関する記載は、消費者団体が強く求めていただけに、事業者側に調整の要望が強かった。





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