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"ライオン・ショック" 初勧告の衝撃① 新聞15紙が広告掲載

特定保健用食品(トクホ)に対する健康増進法の初適用を受け"ライオン・ショック"が広がっている。問題は二つ。国が許可したトクホの広告が初めて健増法の勧告(行政指導)対象になったこと、もう一つはこれまで実績のなかった健増法が初適用されたことだ。「何人も」を対象にする法律だけに事業者だけでなく、媒体社にも大きな動揺が広がっている。
 「過剰規制でやりすぎ」「健康食品の方がやりやすい」。今回の適用を受け、事業者からは不満の声が噴出している。というのも、トクホは多大な費用と時間をかけてヒト臨床試験を行い、国の許可を得て販売するものだからだ。「血圧低下をヒト試験で実証したのに『著しく誤認』で社名公表ではトクホの意味がない」「口頭指導ベースでの注意を経ず、いきなりの勧告はあまりにひどい」など厳しい声ばかりが続く。

 こうした事態は誰も予想していなかった。国の許可を得るトクホであるだけでなく、勧告の「国民の健康に重大な影響を及ぼす」という要件の認定が難しいと考えられてきたためだ。実際、これまで実績はなかった。

 消費者庁は今回、健増法の運用指針にある「重篤な疾病を持つ患者が(略)診療機会を逸する」という解釈を踏まえ、勧告を行った。ライオンのトクホ「トマト酢生活トマト酢飲料」の広告にある「薬に頼らず食生活で血圧の対策をしたい」といった表示が許可表示の「血圧が高めの方に適した食品」という範疇を越え、高血圧患者の診療機会を逸すると判断した。新たな指針を持ちだしてきたわけではなく、法解釈を要件として具体化した。
 勧告で求められたのは、表示の是正と消費者や社内における違反行為の周知、再発防止策の実施。これを受けライオンでは、全国紙2紙に社告を掲載した。景表法で求められる要件を踏襲したものだが、こうした消費者庁の判断は今後の勧告の前例になる。

 一方、景表法の措置命令と異なるのが「媒体社名」の公表を避けたことだ。景表法の場合、不当表示を行っていた媒体名はことごとく公表される。だが今回行政指導では、新聞14紙(全国紙5紙、地方紙9紙)に掲載、発行部数の総数が5800万部になると明かすにとどめた。

 その理由について消費者庁表示対策課の「食品表示対策室」は「『行政処分』である景表法の措置命令と、『行政指導』である健増法の勧告には(措置の重みに)差がある。さまざまな角度から考え、今回は媒体社名の公表を控えることにした」(三上伸治室長)と話す。「何人も」と、媒体社も対象とする健増法の特徴を踏まえ、慎重な判断を行ったのかもしれない。
 一方、これまでの取材で対象となった広告が掲載された社は明らかになっている。全国紙は、朝日、毎日、読売、産経、日経の5紙。ブロック・地方紙は、北から北海道、河北、東京、北陸中日、信濃毎日、中日、京都、神戸、中国、西日本。同じグループの新聞社もあるが、計10紙で消費者庁発表と異なる理由は現段階で掴めていない。

 販売事業者と異なり、これら掲載紙の多くは勧告や健増法適用の影響について詳細の説明を避ける。だが、一部の新聞社は早くも広告審査の変更を口にし始めている。いかに今回の勧告が媒体社に与えた衝撃が大きいかを象徴する事態だ。

 おりしも、健増法を巡っては2月、監視指導に関するガイドライン改定案(※)が出されており、今回の勧告とタイミングが重なる。事態を重く受け止める日本新聞協会は3月10日、ガイドライン改定に伴う真意を聞くため、消費者庁と面談の場を設けた。ライオンへの勧告が招いた影響を含め、波紋が徐々に広がり始めている。
②につづく

 ※「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告適正化のための監視指導等に関する指針改正案」。「何人も」の解釈は同じであるとしつつ、表記はこれまでの「製造業者、販売業者に限定されない」から「新聞社、雑誌社、放送事業者等の広告媒体事業者等も対象になり得る」との表記に変更した。

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