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顧客に響くカタログとは? 好調な「シニア」「上位客」向けの専門媒体の取り組み

 1-1.jpgインターネット通販の躍進の一方で、カタログ通販はかつての勢いを失いつつある。実際に以前ほどの成果が上がらず、売り上げが伸び悩んでいる通販企業も少なくないようだ。しかし、そうした中でも、堅調に売り上げを伸ばしている通販カタログもある。そうしたカタログの共通点はターゲット層に合わせて、紙面作りを様々に工夫したり、こだわった商品を掲載したりといくつかのポイントがあるようだ。今回は好調なディノス・セシールの「ずっと、ときめくカタログ。」と世界文化社の「家庭画報クラスL」のポイントを見つつ、顧客に響く通販カタログの条件を探っていく。
「ディノス」の「ずっと、ときめくカタログ。」
──シニアがわかりやすい工夫満載


 ディノス・セシールがディノス事業で1月4日に創刊した60、70代のアクティブシニア層をターゲットとしたカタログが「出足の受注状況は想定を大幅に上回る勢い」(ディノス事業ディビジョンの池内美香リビング本部インテリア・家庭用品部 ハウスキーピングユニット スペシャリスト)と順調な滑り出しを見せているようだ。

 同社によればシニア層からの受注が年々、増加傾向にあり、2014年度の60代以上の購入者数は2010年度と比較して8万人以上の増加となっていることから専用媒体が必要だと判断。創刊したのがこの「ずっと、ときめくカタログ。」(体裁・A4判、68ページ、170点掲載。70万部発行)だ。

1-2.jpg 同カタログはシニア層に配慮して「見やすさ、読みやすさ、分かりやすさ」にこだわった。「一般的なシニア向けカタログは詳しく商品の特徴を説明するタイプと商品写真を主体にしたタイプに分かれるが、『ずっと、ときめくカタログ。』はその中間。この年代の方々はある程度、商品に関する情報は欲しい。ただし、多すぎると読むのがつらくなる。お客様目線で必要な情報は入れつつ、見やすい紙面作りを心がけた」(同)という。

 具体的には商品説明の文章量や内容、レイアウトのバランスを考慮。1ページには極力、1商品を紹介、複数商品を掲載する場合でも関連商品とし、商品説明の文字の量は最低限にとどめて、読みやすさを重視した。なお、文字は見やすい「ユニバーサルデザインフォント」を採用した。

 また、文章の内容は「顧客視点」を意識。「こちらが伝えたいこととお客様が知りたいことは違うことがある。売らんがための機能の説明ではなく、その商品がどのように生活を向上させたり、悩みを解消できるかを意識した内容に絞った」(同)。例えば、4ページ掲載のキャリーバッグ「〈SWANY〉ウォーキングバッグ近沢レース店モデル」の説明文にある「街歩き&ランチ、プチ旅行、衣装を入れてダンスパーティーへ、優雅に出かけましょう!」などの表現だ。

 「わかりやすさ」という観点から、商品説明文だけでなく、商品の特徴を一目で把握でき、かつ思わず笑ってしまう読者の共感を誘うコミカルなイラストやコピーを用いた。また、目立つオレンジ枠内で最大の特徴に絞って訴求する「これイイPOINT」も特徴的だ。

 例えば6ページに掲載するメガネの中央が磁石で離れ、着脱が簡単な「クリックリーダー リーディンググラス」では、男女のダンサーのイラストとともに「離れてはくっついて、ずっと一緒」とのコピー。「これイイPOINT」ではメガネ中央の磁石部分の接写画像とともに「フロント部分を強力マグネットで接続。ワンタッチでスマートに開閉できます。」と説明している。7ページ掲載の「遠中近対応シニアグラス」では女性が山と男性を見ているイラストとともに「かけたままで地図も、イケメンも、景勝も。」とのコピー。「これイイPOINT」ではレンズの上部が遠用、中央が中間、下部が近用とすべてに対応するレンズの特徴を図解入りで説明している。

 1-3.jpg掲載商品にもこだわった。当該世代の「悩みを解消したり、生活を向上させるような商品」(同)を品ぞろえしており、例えばちょっと座れる「ショッピングカートCOCOROイス付き」や手作りヨーグルトができる「〈ビタントニオ〉ヨーグルトメーカー」、玄米を発芽玄米に変えて炊飯する「全自動発芽玄米炊飯器なでしこ健康生活」、立ち座りをアシストする「電動昇降チェアMOVO」など。定番商品でも「シニア層は目的に応じて1本ではなく、何本も持っている」(同)というリーディンググラス(老眼鏡)などは1商品だけでなく、様々な仕様やデザインのものを掲載。また、他のカタログでは「3」までの"度数"も「4・5」まで用意。外反母趾対応靴のサイズも大きめの「5E」まで用意するなどしている。

 カタログ発刊後の出足の受注状況など詳しい分析はこれからだが、「こだわった紙面作り」が奏功してか予想を大きく上回っており順調のよう。リーディンググラスや立ったまま雑巾がけができる「腰らくぞうきんがけモップの達人」の売れ行きが良いという。今後、年2回の発行を予定しており、次号は7月に発刊する。「シニア世代の方々に長く支持頂けるよう常にお客様目線のカタログ作りを行っていく」(池内氏)という。


1-4.jpg世界文化社の「家庭画報クラスL」
──"特別感"で上位顧客と接点拡大


 世界文化社は、ロイヤルカスタマーへのサービス向上と顧客生涯価値の最大化を図る目的で上位顧客専用カタログ「家庭画報クラスL」を昨年4月初旬に創刊し、成果が出てきている。

 同カタログの配布対象は一定の購買回数と購買金額に達しているセグメントに限定。創刊号は2000人に、9月下旬発行の2号目は創刊号対象者のほか、同条件に達した顧客を加えて3000人に配布した。

 カタログの体裁は両号ともA4判24ページで、通常の媒体とは別に"特別なあなたに"と記した専用封筒で届けた。

 商品政策については、"ラグジュアリー、レジャー、ライフステージ(優雅に愉しむ人生の舞台)"という媒体のコンセプトに沿って、衣食住各分野のエクスパートバイヤーが商品を選定。数量限定のため通常のカタログでは紹介できない特別なアイテムや先行販売商品など、「バイヤーが温めていた逸品も提案している」(榎本和男通販事業本部プロモーション部部長)という。同時に、そうした商品に関連するアイテムや組み合わせ商品を販売するクロスセルで顧客満足につなげるよう心がけている。

 同社では、14年秋に分析ツールを導入してCRMに着手しており、「家庭画報クラスL」ではセグメントした顧客の購買履歴から、例えば"アクティブで旅行好き"といったペルソナを設定することで従来型の商品軸ではなく、顧客軸でバイイングとクリエイティブを組み立てたという。

 事前のアンケートでも、「旅行」に関心の高い顧客が多いことが分かったため、同媒体では旅関連のファッションアイテムなども紹介している。

 クリエイティブについては商品特性を伝えるため、ファッションでは通常カタログにあるような"決めポーズ"ではなく、「モデルが本当に着心地のよさを感じてリラックスしている瞬間を撮った」(中村ゆかり通販事業本部家庭画報通販企画部「家庭画報ClassL」編集長)とする。

 食品は、美味しさやシズル感が伝わるように撮影したほか、キャビアは専用のスプーンをつけて撮るなど、クロスセルを意識した誌面展開に取り組んだ。

 また、商品や誌面以外でも特別感を演出した。快適に買い物を楽しんでもらうために、顧客との接点となるコールセンターでは、2号目から通常カタログの窓口とは別の専用回線を設置。コールセンターの成績上位者を専用ダイヤルに配置して、待ち時間もクラシック音楽を流すという。さらに、オペレーターが電話対応を上位管理者やスーパーバイザーなどに交代する際も、システムを改修して「家庭画報クラスL」の対象者と分かるようにし、迅速に対応できるようにしている。

 配送面でも、商品のパッケージや梱包資材をグレードアップしたり、メッセージカードを同封することで快適に受け取れるようにしており、バイイングから配送に至るまでを"クラスL水準"で臨んでいるという。

 創刊号と2号目の成果としては、ロイヤルユーザーは衣食住すべてのカテゴリーでまんべんなく購入しており、当該層にはどのような商品をどんなカタログ表現で提案すべきか、バイイングとクリエイティブの両面でヒントを得たという。

 売り上げについても、創刊号、2号目ともに計画を上回ったほか、2号目の方が1人当たりの購買点数が増えたことから、品ぞろえがより当該層にフィットしてきているようで、旅行関連のアイテムはとくに手応えがあったとする。

 一方、どんな情報に触れると掲載商品に興味を持ち、さらに買いたくなるのかという仮説を、データを基にさらに追求する必要があるという。

 次号の「家庭画報クラスL」は4月中旬の発刊を予定。手応えを得た旅行アイテムに加え、顧客の関心が高いガーデニング関連の商品提案も検討しているようだ。

 今後の方向性としては、出版社の強みである選択眼やクリエイティブ面にデータ分析の結果を反映させることで、上位顧客が買い物を楽しめる機会をより多く提供し、売り上げの拡大と収益性の向上を目指すとともに、顧客との信頼関係の基盤をより強固にしたい考え。また、「家庭画報クラスL」で得たノウハウをレギュラーカタログにも移植し、50周年を迎えた同社通販「家庭画報ショッピングサロン」の差別化につなげる。

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