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JCOMがショップチャンネル買収へ ファンドが"伸びしろなし"と判断?

 「有力投資ファンドがショップチャンネルに"投資価値"がないと判断した?」──。

 ケーブルテレビ事業大手のジュピターテレコム(JCOM)が3月31日にも通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)を連結子会社化する。同日付でJSCの株式の50%を保有する米投資ファンドのベインキャピタル・パートナーズの特別目的会社、「BCJ‐10」から全株を取得する。取得額は明らかにしていない。

 併せてKDDIがJSC株を50%保有する住友商事から5%を3月31日に取得する。両社はJCOMに折半出資している関係で「JCOMからJSCに資本参加する方針を聞き、(KDDIとも)相談している中でKDDIにもJSC株を保有してもらうことがJSCの業績をより拡大できると判断した」(住友商事)とする。

 3月の株式移動後のJSC株の持株比率はJCOMが50%、住商が45%、KDDIが5%となる。今後3社はJSCのさらなる成長と企業価値向上を目指して共同で運営していくとする。

 今回のJSCの株主変更の理由。「競争が激化する本業の放送通信事業とは別の収益源の確保を模索する中、既存事業との親和性が高いJSCへの出資を決断し、昨年6月にベイン側に打診、交渉を進めてきた」とJSCを買収するJCOMはこう説明する。もちろん、その通りなのだろうが、株式を売却する側であるベインの視点で考えると「 JSCには伸びシロが少なく、業績を大きく伸ばすのは難しいため、これ以上、株式を保有していても意味がないと判断したのでは」(業界筋)と、国際的な有力投資ファンドとして知られるベインがJSCのビジネスの今後の見通しについて、否定的な考えを示したとの見方もできる。JSCの株主構成の変更の"意味"とは。



 ベインは成長を続ける国内最大手のテレビ通販企業のJSCを優良な投資対象と判断し、2012年7月末に住友商事からJSC株式の50%を約1000億円で取得。当時は「(出資の目的は)特に海外。我々の力を活用して売り上げを伸ばしたい」(ベイン)とし、凄腕経営者として知られる矢原史朗氏を代表権を持つ副社長として送り込むなどJSCの業績をさらに拡大させ、出資に見合った"リターン"の最大化のために、意気込んでいるように見えた。

 ところがベインは出資から約1年後には矢原副社長を含めて常勤取締役の派遣をやめるなどトーンダウン。ベインが出資時にも謳っていた海外事業の強化についても、ベイン出資前から計画していたタイへの進出以外は現時点では目立った動きは見えない。そして、ファンドが出資する以上、当然、1つの目的だと思われた株式公開は昨年1月に一部報道で「今秋にもショップチャンネル上場へ」との観測記事が出たものの、結局、株式公開がされることはなかった。

 「企業価値を高めて、出資額を超える金額で売り抜ける」――。傍から見ればそうしたファンドの本分を成し遂げるためのいくつかのポイントをまだ何らクリアしていないように見える現状で、ベインはJSCへの投資をやめたことにしたわけだ。

 このタイミングでのJSC株の売却についてベインは「出資後、JSCの売上高も利益も大きく伸ばせた。海外事業も前進していた」と実績を強調した上で「我々はもっとやりたかった(=JSCへの出資を続けたかった)が住友商事、JCOM、KDDIがどうしてもというので売却することにした。JSCの今後の成長性に見切りをつけたわけでない」とする。

 確かにJSCの業績はベイン出資後も増収増益をキープしてきた。無論、年商1000億円を突破しても、なお、業績を伸ばし続けること自体は賞賛されることだ。ベインは出資に見合う配当金を手にすることができたことだろう。ただ、そのリターンが当初、描いていた額であるかどうかは話が別だ。12年7月に住商から約1000億円で購入したJSC株だが、果たして今回、JCOMにはいくらで売却できたのか。住商もJCOMもベインも「公表できない」としており、詳細は不明だが、一部報道では「1000億円超」とある。"超"の幅がどれほどかは知る由もないが、この3年のJSCの業績を見る限り、前述したように業績は伸ばし続けているものの、企業価値を大幅に押し上げるような劇的な変化はない以上、売買の差額はさほど大きなものだとは考えにくい。

 「"勝負"のすべてに勝てることなどない。ファンドで最も重要な点は、投資額を下回らないようにいかに損せずに売り抜けられるか。その点では今回(JSC株売却)はうまくやったということではないか。ただ、これが当初から計画していた通りのゴールでない可能性は高いのでは。憶測だが、実際に出資して中に入ってみたら、様々な事情で自分達主導でのハンドリングもできず、また、思うように売り上げも伸ばせず思惑通りにはいかなかったということではないか。恐らく出資前に設定していた"期間"で結果を出せず、これ以上、出資を続けてもビジネス拡大の将来像が描けないと考えて売却に動いたのでは」。某ファンドの関係者はこう話す。
 
 ともあれ、JSCは今後、JCOMおよび住商、KDDIの3社連合のもとで、事業拡大を図っていくという。JCOMは国内最大手のケーブルテレビ(CATV)事業者でJSCも同CATVと契約し、ショッピング番組の放送を行っている。JCOMでは今後、CATV事業での営業員やアフターサポート担当者など合計7000人の直接訪問員がJSCの視聴促進を図っていくとしている。「ショップチャンネルの視聴可能世帯は2800万世帯。そのうち、顧客は1割程度でまだまだ伸びシロはある。当社の訪問員が専用媒体やチラシなどでJSCの視聴や買い物を進めていく」(JCOM)。また、KDDIでは「スマートフォンでの通販を拡大していくための支援や、携帯電話料金の支払い時に商品代金を決済できる仕組みをJSC顧客が利用できるようにしたり、当社の物販事業や保険商品などをJSCで販売することなどを検討している」(KDDI広報)。海外事業については株主の変更で海外事業の優先順位が下がるわけでないとした上で、「(親会社の)JCOMが日本国内の事業に軸足を置いている以上、国内事業の拡大を強化していくことなる」(住商)としている。

 ベインという国際的に知名度の高いファンドからの"決別"。JSCにとってこれがプラスとなるかどうか。また、競争激化や視聴可能性世帯数がこれ以上は劇的に伸びていかない中で、ファンドの今回の判断を覆すように成長を続けられるか。同社の今後の行方を注視していきたい。

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