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千趣会、衣料品の新媒体に手応え、「デイズ」軸に〝ブランド〟化

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千趣会は、前期(2014年12月期)からスタートした5カ年の中長期経営計画の中で、これまで手薄だった層の開拓に本腰を入れている。ファッションカテゴリーでは、30代キャリア向けのカタログ「リルネ」や50代向けの「ヴィアラモ」を今上期に創刊して新規顧客の獲得につなげているようだ。10月には大型の新基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」を投入。同ブランドを軸にしたMD構築とカタログの"ブランド化"を進めることになった同社ファッション事業の成長戦略を見ていく。

千趣会は5カ年計画の最終年に当たる18年12月期に主力の通信販売事業(ベルメゾン)の売上高を13年度比で約321億円増となる1585億円、営業利益で同約46億円増の74億円を目指しており、通販事業で約56%の売り上げシェア(13年度実績)を占めるファッションカテゴリーの取り組みは5カ年計画の目標達成を左右すると言っても過言ではない。

 "ウーマンスマイルカンパニー"を掲げる同社では、ファッションカテゴリーの顧客戦略として、子どもがいて家庭中心の30代と40代、子どもがいなかったり、手を離れてバリバリ働く30代と40代、ファッション好きで裕福な50代と、服にそこまでお金をかけないリアル50代の6つのセグメントをターゲット層として分類。各ゾーンにプライベートブランド(PB)を投入するとともに、提案の幅を広げる目的からナショナルブランド(NB)も品ぞろえする。

 とくに、これまで手薄だった可処分所得の高い30代と、10年後に現在のボリュームゾーンが移っていく50代の開拓は事業の安定成長には不可欠で、今上期はまず当該層に照準を当てたカタログを創刊している。

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「リルネ」など新媒体が好調

 2月に創刊した30代キャリア向けの「リルネ」は短サイクルのカタログ制作を実践。基幹媒体はほぼ1年がかりで作り上げるのに対し、「リルネ」はページ数が少ないこともあって約3カ月で制作しているため、リスクを抑えてトレンドのファッションアイテムを提案できるのが強みで、足もとの売り上げは計画の倍近いという。

 ターゲットがコア層よりも若いため、スマホを中心としたECに軸足を置き、通販サイト「リルネショップ」には常に新作を投入できる体制を目指していることもあり、千趣会ではウェブ限定商品の調達メンバーが中心となって「リルネ」を展開。商品の仕入先も従来のカタログとは様変わりしているようだ。

 5月にはファッション好きで裕福な50代をターゲットに、上質と感度を重視した「ヴィアラモ」を創刊した。同誌の目玉でもある50代モデルの黒田知永子さんがプロデュースするオリジナルブランド「ケイカラット」が売り上げをけん引しており、来春には「ケイカラット」単独のカタログを発刊する計画だ。また、今年4月に千趣会が資本業務提携を結んだJフロントリテイリングとの相互販売の取り組みの一環として、9~10月に「ケイカラット」を大丸と松坂屋の主力店に期間限定出店したところ一定の成果を得たことから、店舗展開を含めたオムニチャネル戦略の推進役としても同ブランドを強化する考えだ。

「デイズ」始動でMDを再構築へ

 一方で今年1月には、従来の基幹カタログ「わたしの着たい服」を「ベルメゾンファッション」として刷新。普段着に照準を当てた商品機軸のカタログとして、これまで以上に作り込んだオリジナル品を提案してきたが、10月にカテゴリー横断型の新基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」がスタートした。

 「デイズ」は18年12月期に400億円の売り上げを掲げるブランドに強化・育成する方針で、従来のOEMよりも素材開発や生産工程に大きく入り込むSPA型の商品開発を志向。製造原価を下げるために在庫を確保し、何年も継続して販売する必要があることから、飽きのこないベーシックなアイテムを中心に展開する。

 そのため、媒体の垣根を越えて売れ筋のアイテムを「デイズ」に集約し、素材から磨き上げるなどして商材の価値を高める方針で、「『デイズ』に近いブランドはやめるものも出てくる」(梶原健司取締役執行役員ファッション事業本部本部長)とし、「ベルメゾンファッション」は基幹としての役割ではなく、媒体内の個別ブランドを打ち出していくことになりそう。

PBは他社の売り場活用も

 「デイズ」は幅広い層の生活に根差したベーシックな商品を扱うブランドとして展開するが、6つのターゲット層にはより細分化したブランドを立てていく。そのため、カタログの中でさまざまなブランドを扱うよりも、カタログ名と展開ブランド名を統一するなど、カタログの"ブランド化"を図りたい考え。

 併せて、従来はカタログごとにチームを作ってきたが、今後はブランド単位でチームを編成。カタログ全体で売り上げを作るのではなく、ブランド単位で各市場における存在感を高める。

 また、ブランド化に当たっては、シューズやバッグなど服以外のファッション雑貨で100億円規模の売り上げを持ち、肌着なども含めてフルライン展開する強みも生かせるとしている。

 ブランド化しているPBの直近の取り組みでは、靴とファッションの通販サイト「ロコンド」にシューズブランド「ベネビス」を出店している。同社では「オリジナリティーのあるブランドや商品は他社の売り場でも展開できる」(梶原取締役)としており、今後もオリジナルブランドを他社運営のファッション通販サイトに出店したり、専門店に卸す可能性はあるようで、新たな販路を介して消費者との接点を増やしたい意向だ。

在庫連携しNBの品ぞろえ拡充

 一方、自社の売り場ではNBの品ぞろえも強化している。10月からはアパレル大手のワールドと在庫連携をした上で、同社が展開する「アンタイトル」や「インディヴィ」などキャリア女性向けの主力5ブランドの取り扱いを始めており、今後はワールドの全ブランドに拡大したい意向のほか、他のアパレルとも在庫連携し、ブランドの取り扱いを増やしていく。

 ワールドとの取り組みは、千趣会の倉庫に在庫を積むことなく、消化仕入れの事業モデルで品ぞろえを増やせるのに加え、商品画像もブランド側が用意している。自社の商品を販売する方が利益は出るものの、サイト訪問者を増やす観点からも品ぞろえの幅は必要で、NBもバランスを見ながら充実させる。現状、単価が高いNBの商品も売れており、顧客の買い上げ単価上昇にも寄与してきているという。

 大手アパレルの商品であっても、千趣会のバイヤーが自社の顧客層にマッチした商品をセレクトしており、こうした取り組みを続けることで、ブランド側がベルメゾンでしか買えないオリジナル商品を提供することも期待できるとする。


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梶原健司取締役執行役員に聞く
ファッション事業の成長戦略は?

顧客タイプ別にPB投入強化
ブランド単位でチーム編成

千趣会の梶原健司取締役執行役員ファッション事業本部本部長に衣料品や服飾雑貨などファッションカテゴリーの現状と成長戦略を聞いた。

 ファッションカテゴリーの基本戦略は。

 「ベルメゾンは30~50代女性のターゲット層に寄り添って商品開発を行うことが大前提で、当該層に支持されるモノづくりを徹底する。MDの方向性はプライベートブランド(PB)化を進めることと、品ぞろえを補完するためにナショナルブランド(NB)もしっかりと扱い、商品群を上手に配置していく」

 具体的な顧客ターゲットは。

 「通販の中長期計画では、これまで主要顧客層だった子どものいる30代と40代女性に加え、30代と40代で子どもがいないキャリア女性と、時間的にも経済的にも余裕のあるアクティブ50代という5つのターゲットゾーンを設定したが、ファッションの場合は50代をファッション好きで裕福な層と、子育てを卒業したリアル50代という2つのタイプに分けた6つのセグメントに分類した上で、各層にPBとNBを提案する」

 PBについては。

 「中長期計画発表時との変化で言うと、今年10月に新基幹ブランドの『ベルメゾンデイズ』がスタートした。これまでファッション分野ではベーシックなブランドと、ひっぱっていくようなブランドがあったが、消費者の生活に根差した普段使いの商材は『デイズ』で扱うため、ほかのブランドは『デイズ』と重ならないゾーンで展開するか、やめるものも出てくる。来年に向けてブランド群を組み立て直す」

 SPAを目指す。

 「モノづくりについては中長期計画でSPA型を打ち出しており、自前で企画から生産までを行っていく。『デイズ』は中計最終年の18年12月期に400億円の売り上げを掲げており、『デイズ』がSPAの中心となる。ほかのPBも『デイズ』の生産ラインを活用したり、素材の共通化も含めてモノ作りに取り組む。残りはOEM型やODM型でいかに利益を出すかということになる」

 価格政策は。

 「前期までに4000円以下の商品を絞り込んだことで買い回りが減ったが、その原因はファッションにもあった。儲からない商材を扱うことはよくないが、最低限の品ぞろえは必要だ。ただ、すべてをカタログに載せるのではなく、ウェブ限定品として扱うなど、収益性とニーズのバランスをとりながら、インナー系の商材やパンツ、カットソーなど強いゾーンの商品を戻している」

 今年1月にファッションの基幹カタログを「ベルメゾンファッション」として刷新した。

 「『ベルメゾンファッション』では商品軸でモノにこだわってオリジナルブランドを発信したが、春号と夏号の立ち上がりは少し苦戦した。商品にこだわったことに問題はなかった。ただ、これまで当社がカタログで発信してきたコーディネートの提案力が、商品を前面に押し出し過ぎたことで薄れてしまった。アンケートでも、『いいシャツなのは分かるが、どう着こなせばいいか』といった声が上がった。そこで、商品へのこだわりは維持しながらコーディネート提案や旬の着こなしも打ち出したことで盛夏号からは戻してきている」

 10月には「デイズ」が加わった。

 「秋冬から『デイズ』を投入することが仕込みの段階で決まっていたため、『ベルメゾンファッション』ではガウチョパンツなどのトレンドアイテムを打ち出し、しっかり売ることができた。上期は『デイズ』がなかったため商品軸のベーシックなものを、下期は『デイズ』の投入と春の反省もあってスタイリングなどファッションの楽しさを訴求した」

 「デイズ」が中核となる。

 「来年からは『デイズ』をブランド群の中心に据える。そのため、『ベルメゾンファッション』はやめて、誌面で展開しているブランドを打ち出していく。ファッションカテゴリーで"ベルメゾン"の冠がつくのは『デイズ』だけにする」

 媒体のあり方も変わるのか。

 「今後はカタログ名とブランド名を同じにしたい。チーム編成も従来はカタログごとだったが、ブランド単位にしたい。カタログ全体を頑張って売っていくのではなく、ブランドマネージャーをつけ、ブランド単位でいかに売るかということになる」

2月に創刊した30代キャリア向けカタログの状況は。

 「『リルネ』の規模は小さいが、ボリュームゾーンよりも若い年代が対象のためトレンドに対する感度も高い。ウェブとの連動を進める戦略的なカタログでもある。そのため、従来の媒体は1年前ほど前から仕込みを始めていたが、『リルネ』は約3カ月で作っている。ページ数が少ない分、機動力を生かしてトレンドを反映した旬のアイテムを展開できている」

 数字の面は。

 「立ち上がりこそ少し苦労したが、いまは計画比で倍近い売り上げを計上している。というのも、『リルネ』はスタイリング提案を重視していたため、最初は誌面に最低限必要な商品情報しか載せず、巻頭ページにネットで商品の詳細やたくさんのコーディネートが見られることを伝えて通販サイト『リルネショップ』に誘導していた。

しかし、紙媒体で完結したい消費者もいるため、いまは誌面にも詳細情報を載せている。『リルネ』を単なるカタログ名ではなく、ブランドとして確立させるためにも、紙媒体とネットで情報を分割するのはよくないと判断した。その上で、ウェブ上に新鮮な商品をどんどん展開し、いつサイトに来ても商品が入れ替わっているようにすることでサイト利用者を獲得していく」

 「リルネ」は従来のカタログ制作部隊が作っているのか。

 「ウェブ限定品を仕入れているメンバーが中心となって取り組んでおり、当然、仕入れ先も変わった。時間をかけて準備して予測し、大量に作ってという従来型のビジネスモデルに対し、『リルネ』は短サイクルでコストを削減しながら仕組みで回している。とは言え、まだ規模は小さい。ベルメゾンとしては顧客の年齢層が徐々に上がってきているため、30代キャリアのマーケットを獲得するという役割を意識して取り組む」

 30代の育児ママに向けては。

 「当社としては"アフターマタニティー"の市場にも注目している。育児事業の顧客が妊娠出産して自分の服を探すときに、『ベルメゾンファッション』でリーズナブルな商品をという選択肢だけでなく、ファッション性のあるアイテムを扱うブランドも17年春くらいをメドに立ち上げたい。これまで、『ベルメゾンファッション』で30代から50代までを獲得しようとしてきたが、それぞれのゾーンに最適な商品を提案しないと難しいと感じる。6つのセグメントで欠けている部分にブランドを立てていく」

 5月には50代向けの「ヴィアラモ」を創刊した。

 「『ヴィアラモ』は、40代向けの『スタイルノート』と同様の上品なレンジで商品単価も少し高いが、会員数が増えているゾーンということもあって順調だ。ただ、『スタイルノート』と配布先が重なっている部分もあり、媒体の住み分けは必要だ。

同時に、『ヴィアラモ』は裕福でファッション好きな50代がターゲットのため、価格も抑え目で普段着としての服を求める6つ目の層、"リアル50代"のゾーンを構築していく必要がある。現状の『ベルメゾンファッション』にもリアル50代に向けたオリジナルブランドを取引先と組んで展開していて、よく売れている。これを軸に市場をとっていきたい」

 各セグメントでブランドを投入する。

 「来春には30代、40代、50代の主婦層に向けた3つの新ブランドを立ち上げる。すでにキャリアや裕福な層には『リルネ』と『スタイルノート』『ヴィアラモ』がある。また、『ヴィアラモ』の主力ブランドで黒田知永子さんがプロデュースする『ケイカラット』が好調で、来春には単独のカタログを出す。9月から10月に出店した大丸神戸店と松坂屋名古屋店での期間限定店も好評だったため、店舗展開も視野に入れながらオムニチャネル化の推進役として強化する」

 服以外のファッション商材については。

 「オリジナルブランドで展開するのは服だけではない。当社ではバッグやシューズといった服飾雑貨についても100億円規模の売上高があり、インナーなども含めてオリジナルブランドの中でフルライン展開できるのが強みだ。併せて、30億円規模の売り上げがあるオリジナルのシューズブランド『ベネビス』など服飾雑貨単独のブランドも作っていく。『ベネビス』は店舗展開もしていきたい」





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