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【機能性表示食品制度活用の方針は?】 通販大手、相次ぎ活用へ

1-1.jpg 機能性表示食品制度が始まって半年が経過した。受理商品は100を突破。届出件数も8月に300件、すでに400件を超えているとの報道もあり、トクホの許可数を、数年で凌ぐ勢いだ。一方、販売が始まった企業の間では、明暗が分かれ始めてもいる。安倍首相の成長戦略スピーチを受けて始まった規制改革の要諦は、企業が自ら"機能表示"できる新制度の導入が、産業の活性化に寄与するか否か。各社の制度活用の方針や販売の状況を追った。


山田、新日本など積極的に制度活用


 いまだ届出が受理されていない企業の中にも積極的な制度活用の方針を掲げる企業は多い。

 山田養蜂場は、来年をめどに10商品をラインアップ。新日本製薬は、6~7商品、世田谷自然食品は2~3商品など複数の通販大手が積極的に使う。八幡物産も6商品の受理を目指すなど中堅通販の中で際立つ存在になっている。

 製造事業者や原料メーカーの動きも活発化している。受理件数で群を抜くのは東洋新薬。今年度中に20の機能性表示で受理を目指すという。ほかに製造大手のアピやAFC―HDアムスライフサイエンスも届出。関節系で届出の準備を進めるほか、産官学連携でノコギリヤシ(頻尿等への作用)が持つ市場に対抗する機能性表示食品の新素材開発も進める。

 原料メーカーでは、カネカが2件の届出を行うほか、ほかの自社原料でも積極的な制度活用を表明。富士化学工業は、アスタキサンチンで「抗疲労」を目指す考え。システマティックレビュー(SR)で評価し、来年中の届出を行う。

 「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」の安全性の問題が収束したリコムも制度を引続き活用。体脂肪関連の表示を行うエノキタケ抽出物に続き、主力原料の「シャンピニオンエキス」で届出を行う。

 ただ、エノキタケ抽出物の原料販売は行わず、自社通販で展開する考え。「複数の販売者が扱うと消費者団体が騒ぐと思うし、お客様にも迷惑をかける」(同社)と、消極姿勢に転じており、問題はひとまず収束したはずだが、早くも制度活用の経済効果に影響が出始めている。


ファンケルの「えんきん」売上30億に

 6月に販売が始まった第一陣は、ファンケルの「えんきん」(アイケア)、森下仁丹の「ビフィーナ」(便通改善)、キユーピーの「ヒアロモイスチャー240」(肌の保湿)など。

 「えんきん」は8月単月で前年同期比5倍、計画比2・5倍の売り上げを記録。期初に70%増の売り上げを見込んでいたが、通期ではこれをはるかに上回る30億円の売り上げに達する見通しだ。好調な要因は広告強化の影響もあるが、「『機能が表示できる』ことに尽きる。具体的にどのような商品か、お客様に分かりやすく伝えられる」(同社)と分析する。

 森下仁丹は、機能表示できる新ブランド「ヘルスエイド」と立ち上げ、リテール戦略を強化。当初、数百店に留まっていたドラッグストアルートは1万店前後にまで拡大。コンビニもセブンイレブン(約1万8000店)の大半に「ローズヒップ」(ダイエット関連)など複数商品を導入する。キユーピーも広告投資は前年比1・5倍を計画。レスポンスは紙媒体でリニューアル前の1・3倍、ウェブは半額以下のモニター価格で訴求し同10倍に伸びており、各社、概ね好調に推移する。


抗疲労「何が『日本初』か分からない」

 一方で慎重な見方もある。7月から「めばえ」(アイケア)の販売を始めた八幡物産では、キャンペーン内容やクリエイティブ、媒体戦略のテストを行い、検証を進める。比較対象が同一でないため直接比較はできないがハウスリストの顧客向け販売、新規獲得効率は今のところ改善している。ただ、「新商品の発売に伴う販売・告知強化、キャンペーン施策の変更が影響している可能性もあり、『機能表示』など制度に影響によるものか、現時点で軽々に判断できない」(同社)とする。

 早くも課題にぶち当たったのは、8月に「イミダペプチド」(抗疲労)の販売を始めた日本予防医薬。当初、レスポンスの増加を見込んだが、「(レスは受理以前と)同等か、良くて1割増し」(同社)と話す。

 一因として推察するのが、「抗疲労」の難しさだ。トクホでも許可実績のない「抗疲労」は制度が始まる前から注目され、「肌の保湿」や「目の健康」同様、新たな表示として業界内で期待が高かった。

 だが、消費者から見れば"疲労回復"は、栄養ドリンクでお馴染みの表示。「『抗疲労』で日本初」と銘打ったところで「消費者からすれば、何が日本初なのか伝わらない」(同社)と分析する。

 日本予防医薬は、「抗疲労」でトクホ取得をめざし、"評価指標"から開発。産官学連携のプロジェクトに使った費用は15億円超。それだけに悔しさをにじませるが、現在はドリンクタイプの展開。錠剤、カプセルであれば、目新しさを打ち出せる可能性もあり、今後の戦略を模索する。


「棚割り」できず「商品POP」

 表示制度の導入を機に店頭市場が活性化した米国同様、市場拡大が期待されるのがドラッグストアだ。

 店頭で知名度を築くアサヒフードアンドヘルスケアの「ディアナチュラゴールド」と、大塚製薬の「ネイチャーメイド」は、制度活用の面でもしのぎを削る。「ディアナチュラ―」は6商品(同シリーズの受理数は6件)、「ネイチャーメイド」は3商品(同5件)をすでに販売。「好評いただいている」(アサヒ)、「好調なスタート」(大塚製薬)と話す。また、店頭卸を中心に展開するファインも年内に5商品の受理を目指す。
 
 ただ、現状は、商品数の少なさから医薬部外品やトクホ、健康食品とともに混在して売られている状況。「大きく棚割りされ、ずらっと商品が並んで店側も力を入れてサポートしてくれるのが理想。今は商品POPで『機能性表示食品』とあり、ちょっとチラシが置いているだけ」(複数の受理商品を持つリテール事業者)といった声もある。商品数の充実を待つ状況が続く。


「機能性表示食品と言わない方が」

 制度を巡り浮上した広告問題が市場活性化にブレーキをかけてもいる。制度が始まって間もなく、消費者庁はテレビ局など媒体社を集めて説明会を開催。「『何人も』を対象にする健康増進法の説明で言外に、誇大表示があった場合、媒体社も問題視される可能性を示した」(行政関係筋)という。このことが、慎重な考査を招いている。
 
 各局でばらつきがあるものの、多くの局で必掲を求められるお決まりのフレーズが、「食生活は(略)食事のバランスを」「消費者庁の認可を受けたものではない旨」「トクホではない」といった表示という。ただ、ラジオ通販を展開するある企業は、「80秒の枠でそんなことをやっていると何も説明できない。『機能性表示食品』と言わない方が、獲得件数が良いくらい」と不満を漏らす。

 "臨床試験済"といった表示も一時は「医薬品は基本、すべて臨床試験を行っていて強調する会社はない。OTC側からすると、機能性表示食品の立場でさも臨床していると書くのはどうか」(業界関係者)といった見方もあった。

 だが、今では「製品臨床」で届出を行う複数の企業が使用。「医薬品は処方薬、OTCともに医師と薬剤師が説明する。勧められた中から買わざるを得ず、価格調整力もある。けれど食品は自分で選ぶもの。むしろもっと情報を厚くする必要があり、同じ土俵で捉えることがおかしい」(別の関係者)といった見方が多勢を占めている。



 業界には広告の自主ルール策定を進める動きもある。ただ、新制度になって表示は180度変わった。新制度が市場の活性化に貢献するか、まずは"事後チェック制"を活かし、既成の概念に捉われ過ぎることなく各社の常識に委ねる必要がありそうだ。



【届出巡る状況は?】 事業者苛立ち
大幅な「受理」遅れ、戦略練れず


 「とにかく遅い」。新制度を巡り、活用に積極的な企業が苛立ちを募らせている。

 機能性表示制度は、企業の自己責任による「事前届出制」。4月の滑り出しこそ順調に受理されたものの、以降、届出件数は増える一方だ。

 届出を行う企業からは、「4月の届出から"再提出"を何度か繰り返し、受理が8月にずれ込んだ」、「4月に届出を行い、何度かやり取りを経て、最後の"再提出"が8月。以降は受理待ち。受理されても販売まではさらに2カ月。販売計画は当初よりだいぶ遅れる」といった声が上がる。

 届出制であれば、通常、これほどの時間を要することはない。"再提出日"が「届出日」となるため、見かけ上、受理までの時間はそれほどかかっていないように見える。だが、実際は当初2週間程度だった受理までの期間が3~4カ月まで延びているとみられ、1回の"再提出"に対し、回答が得られるまでの期間も「平均して約40日」という話がある。

 「タイミングが読めないので販売計画が練れず、流通サイトとの折衝も行えないなど戦略に大きな影響が出ている」、「これほど遅れるのは『届出制』の趣旨に反している」といった不満が聞こえてくる。

 事業者サイドの問題もある。そもそも書類がそろっていないケースや使ってはいけない「病者データ」を使っているケースなどだ。

 難しいのが研究論文と超えると思われる表示で届出を行うもの。ある原料メーカーからは「原料メーカーは原料販売、販売事業者の支援につなげるためできるだけインパクトのある表示を狙いたい。だから受理まで長期間かかる傾向があるのでは」といった声も聞かれる。明確な指摘ができない消費者庁として判断に迷う部分かもしれない。

 ただ、受理の遅れが制度活用の意欲を削いでもいる。
 今回、製薬系には動きの鈍い会社が少なくない。ある企業は、その理由を「同じ届出でも『システマティックレビュー(SR)』と『製品臨床』があるが、利用するなら差別化できる後者をやりたい。ただ、『製品臨床』をするなら、国の認可も得られ、知名度のあるトクホを狙いたい」とする。トクホよりスピード感があるのはメリットだが「現状は受理が滞り、そのメリットすらない」と話す。

 そもそも制度導入の目的の一つは、許可まで3~4年かかり、企業が販売戦略を立てにくいトクホの問題点を解消すること。消費者庁は、「一担当者の見解だが、形式的な確認に時間がかかっている。そのため、届出書作成に関する留意事項等を作成してお願いしているところ」(食品表示企画課)としているが、受理の遅れが市場活性化の勢いを削ぎかねないレベルにまで不満が蓄積しているといえる。

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