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千趣会  SPA型商品開発に挑む、新基幹ブランドが試金石に

 1-1.jpg千趣会は新基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」が本格デビューする2016年春に合わせて、これまで以上に素材からこだわったSPA(製造小売)型の商品を投入する。従来のOEMよりも素材開発や生産工程に大きく入り込むビジネスモデルは同社でも初めてとなるが、5カ年の2年目が進行中の中長期経営計画ではSPA型商品開発の推進を掲げているだけに、「デイズ」のSPA展開は千趣会の次の成長を占う試金石となりそうだ。

 1-2.jpg「昨今の物作りは、良いモノを安くではなく、安く売るためにどう作るかという本末転倒な状態に陥っている」。

 千趣会が9月29日に開催した新基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」の発表会の壇上で田邉道夫社長はこう切り出した。

 長く続いたデフレの影響もあって日本の物作りは苦境に立たされており、多くの企業が抜本的な変革を求められている。千趣会もまた例外ではなく、「改めてビジネスの原点に立ち返る」(田邉社長)ことを強調した。

 同社は14年度からスタートした5カ年の経営計画でSPA型商品開発を推進する方針を打ち出しており、抜本改革の一環として新基幹ブランド「デイズ」でSPAのビジネスモデルに着手する。これまでも直接、海外で製造する商品は多いが、SPAは初めてだ。
 
 SPAモデルでは製造原価を下げるためにも在庫を十分に確保し、2~3年は品番を変えずに継続して販売する必要があることから、シンプルで飽きのこないアイテムを中心に展開する。「従来は、1シーズンで品番をリセットすることも多かった」(同)が、SPAではシーズンをまたいで在庫を持つことになる。
 
 そのため、同社では媒体の垣根を越えて売れ筋アイテムを「デイズ」に集約し、素材からさらに磨き上げるなどして商品の価値を高める。
 
 プレデビューとなる今冬シーズンにSPA商品はないが、例えば、もともとはインテリア雑貨カタログ「ベルメゾンすむとこ」で寝具などに展開していた、とろけるような質感と暖かさが人気の「とろけるシリーズ」はさらに滑らかな肌触りを追求して従来比3分の2の細さのマイクロファイバーを採用するなど、素材を改良して「デイズ」のラインアップに加えている。
 
 来春から「デイズ」に投入するSPAモデルの商品は全ジャンルを対象にするが、とくにアウターやインナー、ファブリックなど素材で独自性と継続性を出せるカテゴリーに重点を置いており、その分、これまでより早く商品開発に着手しているという。
 
 新素材の開発に当たっては今年4月、SPAブランド推進室から格上げしたSPAブランド事業本部に、素材開発などに取り組む専門部署のSPA生産品質部を設置。素材メーカーにアプローチしたり、産学連携にも取り組む。
 
 これまで、ベルメゾンブランドではたくさんの種類のカタログを発刊し、カタログごとに商品開発を行ってきたが、生産工程や販促面で重複や無駄が生じていた。そこで、「デイズ」ではネット時代に合わせた"商品起点"の発想に切り替え、新素材開発や生産管理の徹底、製造工程の見直しを図ることで、ここでしか買えない付加価値のある商品を納得してもらえる品質と価格で届ける。
 
 在庫のリスクヘッジについてはだいぶ前から取り組んでいる。従来は中国やインドネシア、タイなどの製造拠点からそれぞれ日本に運んできていたが、約1年半前からは韓国の釜山に在庫を集約する体制とした。各国から一度、釜山に商品を置き、必要な量だけ日本に輸入するようにしている。売れ残った在庫は日本に持ち込むことなく、中国の「タオバオ」など仮想モールで販売することもあるようだ。
 
 新ブランドの投入を機に、千趣会は商社や問屋といった既存の調達ルートだけでなく、メーカーとの直接取り引きを強化することになったが、「デイズ」でSPAの道筋がつけられれば他のブランドにも展開が可能で、また、収益力の強化も見込まれることから、5カ年計画の成否を占う意味でも「デイズ」の動向からは目が離せない。


普段使いの商品丁寧な物作りで

 1-3.jpg新基幹ブランドの発表会の場で改めて原点回帰を掲げた千趣会。同社では、「ビジネスに大切なのは消費者が本当に求めているものを感じとる能力と、それを形にする技術を磨くこと」(田邉社長)とし、これまでに培ってきた丁寧な物作りに基づく商品とサービスを重視してきた姿勢が「デイズ」には表れているという。

 新ブランドでは普段使いの商品を展開し、「消費者の暮らしの"まんなか"で毎日使ってもらえる、新しい暮らしのスタンダードに育てたい」(同)とする。また、各媒体から売れ筋を集約していることもあり、千趣会が展開する多彩なブランド群の中核(まんなか)と位置付ける。ブランドロゴも、この"まんなか"をイメージした。

 「デイズ」の品ぞろえは幅広いが、主に家具やファブリック、キッチン用品、生活雑貨などを集めた「デイズ・ホーム」と、アウターやインナー、服飾雑貨などのアパレル全般を扱う「デイズ・ウエア」の2つのカテゴリーで展開する。

 商品点数はプレデビューの15年冬シーズンが400アイテム、本格デビューとなる16年春に800アイテムを計画。足もとの冬号では新ブランドのコンセプトが伝わりやすいアイテム、象徴的な商品を扱う。

 メーンのターゲット層は30代~40代後半の女性で、キッズ向けは今後の検討課題とする。

 価格戦略は1980円や2980円など通販で買いやすい価格帯を豊富にそろえるが、それ以下のゾーンには手を出さない。買いやすい価格帯ではあるものの、縫製や試験、検品などの品質管理を徹底。素材からこだわった"クオリティファースト"を大事にする。


デイズを3年後400億規模に

 「デイズ」で扱う商品の販売は通販サイト「ベルメゾンネット」や基幹カタログの「ベルメゾンファッション」と「ベルメゾンすむとこ」の冬号でスタート。両媒体では巻頭に新ブランドの特集を展開しているが、10月中旬発刊の厳冬号では「デイズ」の専用カタログを80万部発行する計画で、冬号の受注状況によっては増刷も行う。

 通販チャネル以外では、全国に20店舗ある実店舗の一部を活用し、成果が出れば「デイズ」の専門店を展開することも視野にあるという。

 また、今年4月に資本業務提携を結んだJフロントリテイリング傘下の大丸、松坂屋の両百貨店でも、本格デビューとなる来春をメドに展開したい意向だ。

 「デイズ」のプロモーションについては、10月末からクロスメディア展開を実施する。具体的には、今年前半には実施しなかったテレビCMを首都圏と大阪、名古屋の3エリアで集中的に放映するのに加え、交通広告ではトレインジャックを計画しているほか、雑誌広告やウェブ広告でも露出する。広告展開の際にはすべての媒体でブランドロゴを打ち出して認知につなげる。こうした取り組みにより、「デイズ」の初年度(15年12月期)売上高は26億円を、本格デビューする来期は250億円、5カ年計画最終年の18年12月期には400億円を売り上げるコアブランドに育てる。



【杉浦常務に聞く・SPAの肝と新ブランドの役割は?】

 
1-4.jpg千趣会が挑むSPA型商品開発の要となるSPAブランド事業本部で本部長を務める杉浦恒一常務(=㊨写真)に、生産背景の変化や新ブランド「ベルメゾンデイズ」の役割、販売計画などを聞いた。



──御社が考えるSPAの定義は。
 
 「SPAは人によってとらえ方が異なるが、当社の場合は『素材から』ということ。直輸入をSPAという場合もあるが、それは本来の形ではない。SPAの取り組みでは素材からオリジナリティーを求めるため、商品開発に着手するタイミングを早めている
 
──商品開発のあり方が大きく変わる。
 
 「従来、商品開発を行うときは問屋や商社に対して『こういう商品を作りたい』という提案をし、彼らが持つネットワークで物作りを行ってきた。SPAでは素材メーカーとの話し合いからスタートし、どこの編立や縫製で生産するかという部分までコントロールしていく必要があり、商品開発の入り口がまったく異なる
 
──組織面は。
 
 「SPAブランド事業本部にSPA生産品質部という専門部署を立ち上げ、素材開発に取り組んでいる。生産品質部は約40人の構成で、ほぼ半々でアパレルと雑貨を担当し、発注から納品交渉までを行う
 
──これまで素材メーカーとの取り引きは。
 
 「頒布会(マンスリークラブ事業)で取り引きのあるメーカーもあるが、繊維関係では商社に仁義を通した上で、その先のメーカーに入り込む。当社の事情や今後の為替の推移などを踏まえて、生産スキームを変える必要があることを理解してもらった。ただし、『ベルメゾンデイズ』で扱うすべての商品がSPAに置き換わるわけではなく、取り引きの形態を増やしたということ。プレデビュー時にSPAの商品はなく、今まさに取り組んでおり、正式デビューの来春から投入する
 
──従来のOEMとSPAでは原価率はどれくらい変わるのか。
 
 「まだイメージの段階だが、5~10%は抑えたい。SPAに取り組む以上は品番数を絞って1型当たりのボリュームを出さないといけない
 
──SPAモデルではどんなアイテムを開発しているのか。
 
 「全ジャンルだが、とくにアウターやインナー、ファブリックなど、素材でオリジナリティーと継続性を創出できる商品を重点的に取り組んでおり、市場競争力の高い商品開発を目指している
 
──付加価値を高めるためには機能性素材の開発も不可欠だ。
 
 「メーカーに対して当社から提案するのはもちろん、いち早く新素材の情報が得られる体制を作ったり、産学連携などにも取り組む。顧客の声を商品に反映させるために理想を追求することが新しいモノを生み出すことにつながる。商品レビューだけでなく対面で顧客の声を聞いたり、ベルメゾン生活スタイル研究所や創造研究開発室などからも情報を吸い上げて取り組んでいく
 
──新ブランドで展開する商品の基準は。
 
 「『ベルメゾン』ブランドで展開している各媒体の売れ筋はずっと決まっているが、これまでは各媒体で販売の責任があったため、媒体の垣根を越えて商品を集約するということができなかった。今回はその部分にメスを入れ、各媒体から売れ筋を集めている。そういう意味で『デイズ』が"まんなか"になる。『デイズ』でSPAのルートを確立できれば、そのルートにほかのブランドも乗せられる。『デイズ』が試金石となるわけで、失敗はできない
 
──「デイズ」の商品は買いやすい価格で販売する。
 
 「通販で購入してもらいやすい価格帯というのがある。買いやすい価格でも届いたときにがっかりされてはダメ。価格以上、期待以上の商品を販売しないといけない
 
──初年度は3カ月で26億円を売る計画だ。
 
 「約300万部を配布している『ベルメゾンファッション冬号』と『ベルメゾンすむとこ冬号』それぞれの巻頭企画で『デイズ』を打ち出しており、両媒体合わせて約130ページを使っている。厳冬号からは『デイズ』専用のカタログを展開する。80万部を計画しているが、冬号での反応次第では増部したい。まずは顧客に『デイズ』を知ってもらい"自分のお店"と思ってもらいたい。ベーシックな商品は『デイズ』で発信するため、ほかのブランドはもっとエッジを立たせないといけない。ほかにはない商品をそろえなければ『デイズ』が目立たない


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