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ドゥクラッセ 3年後に300億円へ、実店舗の出店ペースを加速

011.jpg 婦人服通販のDoCLASSE(ドゥクラッセ)は、今期からスタートした3カ年計画の最終年(2018年7月期)にグループの売上高を前期比倍増となる300億円に引き上げる計画だ。とくに、実店舗は婦人服と婦人靴の両ブランドを合わせて175億円を目標に掲げており、リアル店舗を軸とした商品政策や生産サイクルを構築するのと同時に、両ブランドの出店ペースを加速する。14年7月期の赤字決算から1年で黒字転換を果たした同社。前期の取り組みと今後のチャレンジを中心に見ていく。

012.jpg 同社は、体型の変化が出やすい40~50代女性を主要ターゲットにした婦人服通販の「ドゥクラッセ」で成長し、11年からは外反母趾にも優しい婦人靴の「フィットフィット」や紳士服、実店舗事業へと業態を広げて規模を拡大してきた。

 異変が起きたのは前々期(14年7月期)のこと。それまでひとり勝ちだった新聞広告に競合の婦人服通販が出現して足もとをすくわれた。前年にグループ売り上げが100億円を超えたが、「事業として踊り場の時期だった」(林恵子社長)こともあり、競合の価格訴求に真っ向から対応できるほどSPAの仕組みなどが整っておらず、前々期は売り上げを大きく伸ばせず、07年の創業以来初の赤字となった(図表(上)を参照)。

ドゥクラッセ表.jpg ただ、「競合の存在は"覚悟"を決めるきっかけになった」(林社長)のに加え、次の成長フェーズに向けて取り組んできたSKU単位の在庫管理体制の強化や、紙媒体の効率的な投資手法などで成果が出てきたことも重なり、15年7月期にはすぐに黒字回復し、売上高も前年比13・3%増と再び成長軌道に乗った。

 前期はとくに、紙媒体のテストとロールアウト(本格展開)を徹底。新聞広告を打つ際は地方紙やウェブを使ったテストを繰り返し、消費者の好みを把握した上で効果的な広告を全国展開した結果、前期の新聞広告費に対するリターンは4倍になったという。

 また、顧客が販売チャネルをまたいで利用する動きも顕在化している。婦人服はカタログ発刊時の店舗送客効果が大きく、婦人靴は新聞広告を見た消費者の来店が多いといった特徴がある一方、店頭ではカタログを定期的に送れる顧客リストの獲得目標を設定し、前期は「ドゥクラッセ」で約4万人、店舗数の多い「フィットフィット」では5万人のカタログ新規ユーザーを店頭で獲得。店でもカタログでもリピートしてもらえる循環型モデルを磨いている。

 今期は、品番を絞り込んで1型当たりの販売枚数を上げていく計画で、広告展開後の需要予測の精度向上に努めるほか、生産管理体制の強化や工場との連携を密にすることで、カタログの初動に応じて3週間で追加生産できる体制を構築する。実店舗では「トップ品番を3倍売る」(林社長)ことで収益力強化につなげる。

 通販チャネルは引き続き強化するものの、今期を初年度とする3カ年計画ではマーケットの大きい実店舗を中心に成長戦略を描く。従来は主力チャネルの紙媒体に合わせて商品政策や生産サイクルを最適化してきたが、今後は実店舗を軸にしたオペレーションの確立を急ぐ。

 同社では、16年7月期の売上高はグループ全体で前年比16・2%増の158億円を計画しているが、3カ年の最終年(18年7月期)には倍増となる300億円に引き上げる。内訳は「ドゥクラッセ」の通販が110億円、店舗が115億円で、3年後には店頭が通販を上回る計画だ(図表(下)を参照)。また、店舗売り上げが7割を占める「フィットフィット」は3年後に通販が15億円で店舗が60億円を計画。「高い目標ではあるが達成できる」(林社長)とする。

婦人服既存店が売上回復傾向に

 3カ年計画の目標達成には、「ドゥクラッセ」店舗の成功が欠かせない。現在、20店舗の実店舗を3年後には50店舗程度とする考えで、まずは首都圏を中心に出店ペースを速めるとともに、新聞広告やカタログとの相乗効果を最大化することで、1店舗当たり1億5000万円程度の売り上げを3年後に2億5000万円まで高める。

 「ドゥクラッセ」店舗の足もとの状況はどうかというと、前期の上期は既存店の売上高は前年同期比10%減だったものの、下期は同20%増で、通期では約9%増と回復。型数を絞ってトップ品番の売り上げ拡大に力を注いだことに加え、成功事例を横展開したことが奏功した。また、店舗人件費と粗利率のコントロールに取り組んだ結果、店舗貢献利益は上期に比べて下期はほぼ倍になり、収益構造が改善した。ただ、店舗貢献利益の目標値は25~30%と高いため、改善活動を継続することが3年間の課題だ。

 今後は、店舗出店を加速することで在庫が増えるため、販売手法をSPAの百貨店ブランド型ではなく、「ザラ」や「ユニクロ」などと同様に、期中での売価変更にも着手するなど、新しい事業モデルを作ることが110億円を目指す上では重要になるという。

 「フィットフィット」は引き続きドミナント戦略で店舗を拡大する。既存店の前期売上高は旗艦店の大丸梅田店が13%増と好調なものの、既存店全体では微減だった。婦人靴はスタート当初から順調で売れ筋を販売し続けてきたが、定番化し過ぎて目新しさに欠けたことも既存店の苦戦につながった。そのため、16年春物からは新作を投入するが、商品数自体は広げない。靴は1アイテムに8つのサイズがあるため、商品数が増えると小規模スペースに出店できず、家賃や在庫管理の負荷も増すからだ。

 また、靴は服と違って生産に時間がかかり、売れてもすぐには追加できないため、最初の発注精度が問われる事業で、テストとロールアウトが大事だ。前期は新聞に掲載した商品の確保と売り切ることに注力した。

 新しい取り組みでは、今年3月に出店した札幌アピア店限定で裏底を雪道仕様にしたブーツなどをテスト販売するほか、現在は中国やベトナムなどで生産している靴についてメード・イン・ジャパンの靴も検討。実現すれば短納期対応も可能になり、追加生産による売り上げ拡大も見込める。

林恵子社長に聞く、グループの成長戦略は?

競合参入で〝覚悟〟決めた、グループで囲い込み促進

014.jpg今後3年でグループの売り上げ倍増を目指すドゥクラッセの林恵子社長に、事業環境や成長への課題、事業戦略などを聞いた。
                              ◇

――07年の創業時から事業環境に変化は。

 「当社は40~50代からの大人のファッションを提案しているが、ビジネスのやりやすさは創業当初からほとんど変わっていない。市場で競争が激化したかというとそんなこともない。会社の成長やスタッフの増員とともに組織化しないといけないとか、コミュニケーションが複雑になるなど違った種類のチャレンジは毎年出てくるが、市場環境に大きな変化はない。一方で規模が大きくなってきた分、『マックスマーラ』の品質を『ザラ』の価格で提供できる商品群が増えてきた」

――前々期は創業以来初の赤字だった。

 「婦人服通販だけでなく、『フィットフィット』や店舗運営も本格化し、見るべき範囲が広くなり過ぎたことで、すべてが薄っぺらになった。組織は充実しつつあったが不十分で、そのタイミングで新規獲得の主戦場としている新聞広告に競合が出てきて不意をつかれた。当社の事業規模の中途半端さもあった。ボリュームがなく価格も安くできないし、物作りやSPAの組み方もまだまだで、事業として踊り場の時期だった」

――1年で黒字回復した。

 「前期はいろいろな成果が出始めた年だった。また、事業を加速させたのも競合の存在で、覚悟を決めることができた。競合が出てこなければ、ぬるま湯につかっていたかもしれない。『3900円で上質なパンツを作らないと勝てない』というような発想に切り替わらなかった。数字の面では、黒字に戻したが不満は残る。商品には当たり外れがあるが、SKU単位の在庫管理が甘く、しっかりと"見える化"できていればもっと利益を出せたはずだ。ただ、期の後半からはだいぶ改善していて、今期はもっと利益を出せる」

――組織力の面ではどうか。

 「人材配置を含めたトライ&エラーを経て強くなってきている。会社を小さな組織に分けて独立採算性とするアメーバ経営のような仕組みをとり入れ、各自の責任範ちゅうを明確にしたことがスタッフの成長につながっている」

――前期は何に重点を置いたのか。

 「企画と物作りの部分はもちろん、テストと検証、ロールアウト(本格展開)を徹底した。これがうまく回り出して"勝てる商品"が出てきた。前々期は新聞広告で失敗したが、これを機にさまざまなテストメソッドを使って価格も含めたテストができ、前期は新聞広告への投資に対するリターンは4倍になった」


――通販で新聞広告のテスト、ロールアウトは常識では。

 「単品通販の健康食品などはしっかりテストしているが、アパレルの通販はほとんどやっていないのではないか。その点、当社はものすごく細かい部分までテストを繰り返している。生産管理体制の強化や工場とのコミュニケーションを深めることで、テストとロールアウトの仕組みができあがりつつある。今期は初動を見ながら3週間で追加生産をかけられるプログラムが整ってきて、より生産面の融通がきくようになる」


――多くの総合通販が増税の影響を受けたが御社はどうか。

 「増税の影響はまったくと言っていいくらい受けなかった。『ドゥクラッセ』は新聞広告をテストしてロールアウトする分、ハウスリストに対しては増部して臨んだくらいだ。今期は新聞広告で打ち出すようなヒット商品をうまく使って顧客開拓を徹底する。例えば、『ドゥクラッセ』の既存会員で『フィットフィット』を購入したことがない消費者には『フィットフィット』の目玉商品を使った仕掛けを行うなど、グループで顧客化を図る」


――カタログの効率化などは。

 「実店舗を訪れた消費者からのカタログ請求が増えているが、その際も店舗スタッフには購入経験を聞いてもらっている。未購入者にはシーズンの打ち出しが分かるルックブックを送り、購入実績のある顧客には販売につなげるカタログを送っている。後者の場合も、1回目から値段が高く購入する確率が低い商品よりも、ヒット商品をたくさん掲載した再編集カタログを活用したい。16年の春夏シーズンから徹底したい」

実店舗を軸に商品政策など

――カタログや新聞広告を見て実店舗に来店する消費者も多い。

 「紙媒体の実店舗への送客効果は大きい。ただ、新聞広告による過剰在庫がリアル店舗に生じているのも事実だし、足りないときもある。そうした部分もデータが蓄積されており、予測モデルはできつつある。婦人服の『ドゥクラッセ』の場合はカタログが届くと一気に来店者数が増えるが、婦人靴の『フィットフィット』では新聞広告の影響が大きい。『フィットフィット』は新聞広告に1商品しか載せないが、新聞で打ち出したアイテムの売り上げは掲載前に比べて5~10倍に増えるといった具合で、効果が出やすい」


―― 品番の絞り込みも進めている。

 「『ドゥクラッセ』では品番を絞り込み、1型当たりの販売枚数を上げていく計画だ。とくに、実店舗ではトップ品番を3倍売る仕組み作りを進めていて、成功店舗の事例を他店舗に横展開していく。また、極端な割引をしないようにし、ようやく儲かる構造が前期の後半にできてきた」

――実店舗の役割が大きくなりそうだ。

 「この2年間、店舗展開は複雑になったビジネスをさらに複雑にするため、『ドゥクラッセ』については出店ペースを落としてインフラ整備を強化してきた。リアル店舗を軸にした商品政策や生産スケジュールの確立に取り組んでいる。まだ道半ばだが、グループの成長に店舗戦略は欠かせない」

――婦人服の出店ペースを速める。

 「『ドゥクラッセ』では旗艦店の大丸梅田店の好調が他の出店オファーにもつながっていて、今期からは首都圏を中心に出店を加速する。店舗展開では人材が課題になるため、販売手法の横展開や、教育システムにも課題として取り組んでいる」

――婦人靴は出店を続けてきた。

 「『ドゥクラッセ』の売り場面積は平均115平方メートル程度なのに対し、『フィットフィット』は約50平方メートルで小さく出ていける。投資を抑えながらも1店当たりの売り上げを最大化したい。婦人靴も大丸梅田店の前期売上高は前年比13%増と好調だったが、商品が定番化し過ぎたこともあって既存店全体では前年比微減で、今期の課題だ」

――在庫の持ち方については。

 「店舗と通販の商品は一緒に仕入れるが、在庫は分けて"見える化"していく」

――そのほかに今期の取り組みは。

 「今期の肝は企画・生産と予測モデル、在庫のリスクヘッジをうまく回すこと。あとはブランディングだ。『ドゥクラッセ』だけでなく、『フィットフィット』についてもブランディングを根本から考える。商品の見た目や接客、カタログの印象などすべてが合わさってブランドは成り立っている。当社は"お客様第一主義"を掲げているが、本当に着ていて楽しいのか、もう一度来店したい店なのか、顧客視点でブランディングを考え直すつもりだ」

――3カ年計画では高い目標を掲げる。

 「3カ年の最終年に当たる18年7月期にグループ全体で300億円の売上高を目指す。16年7月期は158億円を計画しているが、ほぼその倍だ。300億円の内訳は『ドゥクラッセ』の通販が110億円、店舗が115億円で、3年後には店舗が通販を上回る計画だ。店舗売り上げが7割を占める『フィットフィット』については、3年後に通販が15億円で店舗が60億円を計画している。高い目標ではあるがいけると思っている」


――服を買う優先順位が下がっていることも指摘される。

 「創業当初から単価の下落傾向は続くと見ていたが、ここまでとは思わなかった。過去20年間で約2兆円程度、アパレル市場が縮小したと言われているが、服の販売枚数はほとんど変わっていないことを考えると、ものすごく単価が下がっていることになる。今後も市場全体の販売枚数が増えるかというと増えないだろう。さらにカジュアル化が進むと単価はもっと下がる。そうなると、企画と物作り、付加価値づくりの勝負となり、無駄を出さないリスク管理、在庫管理が不可欠になるが、これらは10年前と何も変わっていない。やることは一緒だ。当社が成長を急ぐ理由のひとつは、ボリュームがないと消費者に価値ある商品を安く届けられないからだ」


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