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本紙調査・2014年のTV通販市場は? 5200億円超と横ばいに

1-2.jpg本紙が調査した2014年度(2014年6月~2015年5月)のテレビ通販実施企業の主要上位30社の売上高合計は前回調査比0・5%増の5239億円だった。市場をけん引する上位勢が増収を維持したため、市場規模も伸長をキープしたものの、消費増税や円高などテレビ通販市場全体に悪影響を与えるマイナス要因があったことに加え、長らく続くテレビ通販でのヒット商品の不在や通販枠の高止まりなど厳しい市場環境に大きな変化はなく、多くのテレビ通販実施企業にとっては厳しい局面が続いている模様だ。注目すべき事業者の動向を振り返りつつ、2014年度のテレビ通販市場の動きを見ていく。(右画像はジュピターショップチャンネルの番組収録の様子)

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通販専門放送局は明暗分かれる

 各社のTV通販売上ランキングでまずは上位グループの中で注目すべき、企業を見ていく。前回調査に続き、今回の調査でも1位・2位となったのは通販専門放送局のジュピターショップチャンネル(JSC)とQVCジャパンだ。

JSCの2015年3月期売上高は売上高が前年比2・8%増の1365億2500万円、当期純利益は同3・9%増の145億900万円となり、創業以来の連続増収をキープし、また、最終利益ベースで最高益を更新した。昨年4月の消費税増税直後は苦戦したものの、すぐに価格訴求を強めた商品を紹介する番組や「さぁ、買いま初夏!」と題した3日間の特番を5月に放映するなどの施策で落ち込み幅を最小限に抑えた。こうした施策や新商品の投入などで夏以降は持ち直し、さらに11月の同社最大規模の特番である開局記念特番や12月の家電に特化した特番「寝たら損する!24時間オールスター家電祭」などで売り上げを積み上げ増収増益を確保した。

 QVCジャパンの2014年12月期の売上高は前年比3・8%減の962億円だった。消費増税の影響で家電やジュエリーなど高単価商品などの売り上げが伸び悩んだことなど減収だった。前年度に初めて年商1000億円の大台を突破したが、2期続けての大台超えとはならなかった。米QVCの親会社であるリバティ・インタラクティブの開示情報によると営業利益(米国の財務基準ベース)は同10・1%減の約186億円(同年の平均為替レート1ドル=106円で円換算)と2桁減益となったようだ。

ジャパネットが引き続き堅調に推移

 3位のジャパネットたかたの2014年12月期の売上高は前年比8・0%増の1538億3000万円、経常利益は同12・9%増の174億円だった。売上高のうち、テレビ通販の売り上げシェア3割程度の約461億円で前年比では約8%増で着地した模様だ。従来のデジタル家電を中心とした商品戦略から、掃除機やエアコンなどの白物家電をはじめ、タブレット端末や雑貨など取扱商品の裾野を広げ、売れ筋商品を集中して販売する戦略などが奏功。消費増税の影響は受けたものの、大型販促キャンペーンの効果などもあり、大幅な伸長を見せた前年度に続き、順調に推移した。

 4位のオークローンマーケティングも順調に売上高を伸ばした。累計100万台以上を販売した腹筋運動器具「ワンダーコア」やフライパン「セラフィット」の売れ行きが好調で2015年3月期売上高は前年比7・0%増の611億1900万円となり、テレビ通販シェアはおよそ半分の299億円となった模様。

「ディノス」が100億円超え

 在京テレビ局が手がける通販事業が中心となっている中位グループでは筆頭の10位のディノス・セシールが主力の平日午前枠を軸に2桁増で売り上げを伸ばし、105億9400万円と8年ぶりに100億円の大台を突破した。また、17位のテレビ東京ダイレクトも刷新した主力の平日午前枠が好調で2桁増収と好調だった。一方、11位の日本テレビ放送網、18位のグランマルシェ、19位のロッピングライフは消費増税の影響や通販枠削減、番組改編などで苦戦した。

急成長の富山常備薬グループに注目

 下位グループでの注目は26位の富山常備薬グループ。同社はシミに効果があるという医薬品「キミエホワイト」を軸に急激に出稿量を増やした。2014年8月の総売上高は50億円弱(テレビ通販売上は7割程度と推定)だったと見られるが、その前の期は12億円程度だった模様のため、1年で急成長を遂げたようだ。効能効果を謳うことができる医薬品という商材と分かりやすい訴求が奏功したようだ。

 25位のドクターシーラボもダイエット食品「美禅食」や「アクアコラーゲンゲル」「BBパーフェクトクリーム」といった化粧品のインフォマーシャル展開が好調だった模様。加えて「白髪カバー」などヘアケア商品のインフォマーシャル展開も増やし、テレビ通販売り上げを順調に伸ばした模様だ。

 2014年は増税や円安などの影響を受けるなど厳しい年だったが、機能性表示食品制度のスタートなど今年はテレビ通販へのプラス効果も期待できそう。各社の奮戦に注目したい。

TV通販市場のこれからは?

2014年度も成長を維持したテレビ通販市場だが、かつての勢いは影をひそめている。今後の市場はどうなっていくのだろうか。

 「ここ数年は特に閉塞感がある。非常に動きのない淀んだ市場だ」。某テレビ通販事業者の幹部はテレビ通販市場の現状をこう評する。

 その"淀み"の理由とは"マンネリ化"だ。確かにここ数年のテレビ通販の動きを見てみると、ほぼ同じ顔ぶれの事業者が同じような商品を同じような映像で訴求、販売していること多いことが分かる。

 そもそもテレビ通販への参入障壁は非常に高い。29分の長尺のインフォーシャルを放映するには制作費や放送枠など高額な費用が発生するため、もともと一定の体力がある企業しか参入できず、プレイヤーの顔ぶれは変わりにくいという側面がある。

 加えて、健食や化粧品、雑貨にしても「ワンダーコア」など一部をのぞき、ヒット商品の不在が続いており、また、インフォマーシャル映像も高額な制作費と媒体費から"失敗"を懸念し、これまでの映像を踏襲したり、競合他社に近いクリエイティブになりがちだ。

 こうしたことから視聴者はインフォマーシャル自体や商品に飽き、それゆえ徐々にレスポンスが下がる傾向にあるようだ。とは言え、放送枠、特にBS局の通販枠は視聴者数拡大を背景にいまだ高止まり傾向にあり、レスポンスは低下するが、一方で枠代はそのままという状況が生まれ、さらに費用対効果が悪化する。そのため、各社はテレビ通販への出稿量を抑制し、効率がよく、効果検証がしやすいネット広告などに広告予算をシフトする傾向が顕著で、ますますテレビ通販市場の勢いが失われていくという悪循環に陥っているようだ。

 このままの状態が続けばテレビ通販市場は長期の停滞期に突入すると見られるが、「変化の兆し」も出てきているようだ。

 まず、商品面では機能性表示食品制度を活用した商品がヒットの兆候を見せていることだ。同制度は事業者の責任で科学的根拠を基に「機能性」を表示できるものだ。6月から各社の商品が続々と販売され、テレビ通販でも展開しているが「びっくりするほどのレスポンスがある」(某メーカーの担当者)との声も出ている。

 また、手法の面ではテレビ通販で一般的な手法である29分枠の「長尺」から、60秒や90秒の「短尺枠」へのシフトが目立つこと。ここ2~3年の動きではあるが、近年では特に顕著となっている。高額な媒体費や競合の多さ、視聴者の飽きなどで長尺での費用対効果が悪化していることもあり、費用を抑えられ、また、商品購入よりもハードルが低い「サンプル」を訴求し、その後に本商品の購入へ引き上げる方が効率がよいと考える企業が多いようだ。「やり方次第だが、効果的な引き上げ方法を確立できれば、長尺より(費用対効果は)あう」(某通販企業の幹部)という声も多いようだ。

 短尺に加えて、近年では複数社集合型テレビ通販、いわゆるキャラバン型テレビ通販を活用する企業も増えているよう。インフォマーシャルに飽きた視聴者にも新鮮に映り、また、複数社で制作費や媒体費をシェアできるため、費用を安く抑えられる利点もあるためだ。「キャラバン番組」も従来からの番組に加え、新規も増えつつあるよう。非常に高いテレビ通販への参入障壁を引き下げるという効果もあり、新規のプレイヤーを引き込む"呼び水"として、市場の活性化にもつながりそうだ。

 放送枠の高止まり問題も今春に大手のテレビ通販実施企業の数社が費用対効果の悪化などを理由に、「保有していたBS枠を大量に手放した」(関係筋)ことなどもあり、進展が出てきそう。「視聴者数の増加を背景に特にBS各局は強気で枠が高騰しすぎた。もはや通販枠としては合わない。今年、来年というわけにはいかないだろうが、誰も買わなくなれば数年で適正価格に戻るのではないか」(某広告代理店の担当者)と期待感を表す。

変化の兆しが見え始めたテレビ通販市場。今後の行方を注視したい。

【表の見方】
 2014年度のテレビ通販市場調査は2014年6月~2015年5月までに決算期を迎えたテレビ通販実施企業主要上位30社のテレビ通販売上高を掲載した。テレビ通販をメーンとする通販実施企業であっても極力、カタログや新聞、チラシ、インターネット経由の通販売上高や店舗販売、卸売販売を除いた「テレビ経由の通販売上高」を掲載した。表中の「占有率」は総通販売上高または総売上高に占めるテレビ通販の売上高のシェア。表中の「◎」は以下の条件がある。【( )内の数字はランキングの順位】

(1)ジュピターショップチャンネルは催事販売、ネット販売を含む総売上高
(2)QVCジャパンは催事販売、ネット販売などを含む総売上高
(3)ジャパネットたかたは地上波、衛星波のテレビ通販売上高の推定値
(5)テレビショッピング研究所は卸、ネット販売なども含む総売上高
(9)トーカ堂は総売上高の推定値
(10)ディノス・セシールは「ディノス事業」におけるテレビ通販売上高。テレビ通販経由のネット販売の売上高を一部含む
(11)日本テレビ放送網はネット販売などを含む通販事業部門の総売上高
(17)テレビ東京ダイレクトは通販枠販売を含む通販関連総売上高
(18)グランマルシェはテレビ通販およびラジオ通販を含む系列局との共同通販事業を加えた推定値
(19)ロッピングライフはネット販売などを含む総通販売上高
(20)日本直販は総売上高の推定値
(21)アクセルクリエィションは総売上高の推定値
(23)ジェイシークリエイティヴはカタログ通販や広告代理店業を含む総売上高の推定値
(29)関西テレビハッズはテレビ通販以外のチャネルを含む総売上高の推定値
(30)センテンスはテレビ通販以外のチャネルを含む総売上高の推定値




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