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特商法・消契法改正で本紙調査、規制強化に「反対」意見多数、「営業活動の阻害」で懸念広がる

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「特定商取引法」と「消費者契約法」の改正を巡る議論が進んでいる。アウトバウンドは再勧誘を禁止する現行法以上の規制の導入や、不当な広告への取消適用などが議論されており、法律が改正されれば通販事業者は大きな影響を受けそうだ。これに伴い、本紙が実施した緊急アンケートでは、通販事業者は消費者保護の強化に理解を示す一方で、「正当な営業活動を阻害する」、「大きなコスト負担が生じる」などとして反対する意見が多く挙がった。

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アウトバウンド規制に半数反対

 「特商法」では、電話を使った営業行為であるアウトバウンドについて「商品単位」で再勧誘を禁止する規定を設けている。法改正を巡って「現行法維持」や「事前に勧誘を拒否した消費者へのアウトバウンドを禁止」、「全面禁止」など規制強化に向けた検討を行っている。消費者委員会の専門調査会では、違法性の確定を迅速に行うことで消費者被害の救済につなげたい行政や消費者サイドと、一部の悪質事業者を排除するために健全な事業者の営業活動が阻害されかねないとする事業者サイドの意見が対立。法改正の必要性を巡って攻防を繰り返している。

 こうした現行法以上の規制強化を求める消費者庁の提案に対し、通販事業者はどう考えるか。本紙のアンケートによると「反対」が48%で、「どちらでもない」が43%、「賛成」が9%だった。

 「反対」の回答が多い理由は、事前に消費者の意思表示を必要とする規制強化案に「悪質事業者と優良事業者を一括りにして検討している」と見るためだ。悪質事業者の排除を目的とした検討の方針には一定の理解を示すが、法律を遵守している事業者の営業活動も含めて規制対象とすることには、「消費者の利益を損ねる」、「規制緩和に逆行する」、「公平ではない」、「ビジネスを継続できない」と反発する声が挙がっている。

 法改正の必要性についても、「規制強化ではなく、現行法をもとに取り締まりを強化すべき」、「現在の状況を分析し、もっと細分化して検討してほしい」とする声があった。

 委員として参加する日本通信販売協会では、1年以内に2回以上の購入がない顧客に対するアウトバウンドを「電話勧誘販売」とする現行法の規制緩和を求め、過去に1回でも購入実績がある顧客に対する電話を適用除外とすることを主張してきた。アンケートでこれについて聞いたところ、「賛成」する企業が54%と半数を超えた。

 高齢化社会においてアウトバウンドの重要性は増しているようで、「大半のアウトバウンドが禁止されれば顧客に有益な情報を提供する機会が少なくなる」、「DMの廃止など営業方法の変更で案内が届かなくなった顧客から、電話で告知を求められることが増えている」とする回答があった。
虚偽・誇大広告の返金には賛否

 「特商法」の改正を巡っては、「虚偽・誇大広告」への返金ルールの導入を検討している。導入されれば、消費者は行政処分を受けた広告を見て誤認したとして、返金を求めることが可能になる。消費者委の調査会の議論では消費者サイドから、消費者被害の救済を目的に導入を要望。一方で、事業者サイドからはクレームの増加や混乱を招くことを理由に反対する意見が出ていた。

 事業者に虚偽・誇大広告の返金ルールの導入の賛否について聞いたところ、「反対」が43%、「どちらでもない」が30%、「賛成」が27%だった。

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 回答が分かれたのは事業者の多くで「虚偽・誇大の判断基準の不明瞭さ」を懸念しているためだ。特商法では著しく優良・有利と誤認させる表示を誇大広告として禁止しているが、「『著しく』の判断基準は機能しない。相談現場で活用されれば、解釈に関する紛争が増える」、「個々の消費者の基準で"虚偽・誇大"が評価されればクレーム対応などのコスト増につながる」と強調。また景品表示法では課徴金の導入に伴い返金を推奨していることから、「他の法規制で契約の取消は担保されている」、「複数の法律で管理すべきでない」とした。

 一方で、「クレームやあっせんによる混乱以上に抑止効果が高く賛成」、「罰則強化で健全化するのは賛成」と返金ルールの導入が悪質な広告を排除することに理解する意見もある。そうした中にも懸念の声があり、「ルールが不明確なまま罰則だけ重くなれば市場が縮小する」、「認定基準があいまいで、取消可能期間が長い場合などは取引の安定性を損なう恐れがある」などする声が挙がった。

「広告」は「勧誘」に疑問の声も

 「広告」への返金ルールの適用については、「消契法」の改正の議論で行われてきた。8月7日には中間とりまとめが行われ、「勧誘」に広告を含む方向性で一定の結論が出ている。今秋以降に、適用範囲や事業に与える影響などを検討することになった。勧誘に「広告」が含まれれば、広告への表示が必要となる重要事項でウソなどがあった場合に、消費者は返金を求めることが可能になる。

 アンケートでは消契法の改正についての賛否を聞いたが「どちらでもない」が49%で約半数を占めた。「反対」が39%、「賛成」が12%だった。

 事業者からは、「広告」を勧誘に含めるとする考え方に対して疑問の声があった。「広告は消費を喚起する側面があり、『勧誘』に含めるという見解は、規制強化との兼ね合いを鑑みて賛否が難しい」、「『勧誘』とは『消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の進め方』とされているが、ほとんどの広告は消費者の意思形成にそれほど影響を与えていない」、「拡大解釈の傾向度合が強い。『勧誘』は対人の要素で顧客に心理的圧力が加わるが、『広告』は心理的圧力が皆無」とした。

 また、現実的に、限られた広告スペースの中で重要事項や不利益事実を記載することは困難として、「営業活動を委縮させる」、「消費者に伝えるべき情報が伝わりにくくなる」など事業への影響を指摘する声もあった。

 昨今検討されている法改正は通販事業への影響が大きく、事業者の懸念もある。今秋以降も法改正を巡る検討は続くが、今後、行政は業界の理解を得ていく必要がある。

 【調査概要】通販新聞社は7月2日~17日に、アンケート用紙を郵送して調査を実施。通販実施企業42社から有効回答を得た。

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