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ベルーナ 多角化で存在感、減収傾向の通販復調カギ

011.jpg ベルーナは5月29日、2017年3月期から19年3月期まで3カ年の経営計画を発表した。通販事業と店舗事業のほか、消費者金融のファイナンス事業と不動産関連のプロパティ事業にも注力。最終年度の売上高は1600億円(15年3月期は1206億円)、営業利益は160億円(同63億円)を見込む。「カタログ通販冬の時代」と言われて久しいが、同社は頒布会や消費者金融事業などで独自の存在感を発揮している。今後の成長戦略を探った。
 同社が5月に公表した3カ年の「第三次経営計画」によれば、最終年度の売上高1600億円のうち、総合通販事業と専門通販事業を合算した「通販事業」が1235億円で大半を占める。一方、営業利益160億円の中で通販事業が稼ぐのは約半分の84億円。以下、不動産関連のプロパティ事業が30億円、通販代行や同送同梱のソリューション事業が22億円、消費者金融のファイナンス事業が15億円と続く。同社が以前から進めてきた、通販事業以外にも柱を作る「ポートフォリオ経営」が実を結ぶ格好だ。

012.jpg とはいえ、計画達成には、主力となる総合通販事業の強化は欠かせない。2015年3月の総合通販事業は、不採算広告媒体の廃止・縮小に加え、消費増税の影響を受けて前期比8・2%減の692億700万円にとどまった。一方、営業利益は原価率や物流コスト比率の改善などにより、同53・1%増の24億2100万円となった。埼玉県比企郡吉見町に、新しい物流センターを昨年8月に開業したことで効率化が進み、物流費に占める人件費率が低下。金額にして約2億~2億5000万円の効果があったという。

 ここ2年、同事業の売上高は減収で推移している(表参照)。目標としてきた総合通販事業での売上高1000億円達成には遠い状況だ。ただ、同社の安野清社長は「カタログ通販のマーケット縮小も落ち着いてきたのではないか」と話す。
 近年はカタログからネットへの移行が進む中、大手カタログ通販企業の発行するカタログの部数が大きく減少している。一方、同社では主力とする中高年層を中心に、カタログ通販に対する需要はある程度残るとみており、他社の撤退で「空いたマーケット」を獲得する狙いだ。

 また、頒布会など他の総合通販にはない強みを活かす。「顧客が減っているのは確かだが、頒布会が好きな消費者は一定数存在するので、減少傾向に歯止めがかけられるのではないか」(安野社長)。

 近年、業績悪化を受けて「スクラップ&ビルド」を進める総合通販は多い。安野社長は「単に悪いから事業をやめるというのではジリ貧になってしまう。何とか事業を継続維持しないと下落傾向が加速するのではないか」と話す。同社では昨年、30代女性を対象としたカタログ「ルアール」を廃刊した。ただ、売り上げのボリュームを落とさないためにも、3年前に創刊した40代女性対象の「ラナン」を強化し、20代女性向け「リュリュ」と、ミセス層をターゲットとした「ベルーナ」もあわせて、よりバランスの取れたカタログの構成としている。

 総合通販事業の売上構成をみると、堅調なミセス層向けとは対照的に、若年女性向け事業は売り上げを落としている。これに伴い、ネット販売の売上高も減少。2010年頃は、低価格商品のラインアップを拡充することで若年女性向け事業の売り上げを伸ばしてきた同社。しかし、近年は採算重視に転換。「以前は新規獲得人数にこだわり事業拡張を優先してきたが、今はP/Lをしっかり意識している」(同)。

 ただ、今後総合通販事業の売り上げを伸ばしていくためには、新規獲得が重要になってくる。同事業の前期末のアクティブ会員数は前期比10・7%減の400万人、新規顧客獲得数は同32・5%減の48万人。安野清社長は「値上げもありリスト収集が遅れた。ここに力を入れることで増収ペースを回復したい」と説明。採算を取りながらどれだけ新規が獲得できるかがカギとなる。

 近年は売り上げが減っているネット販売に関しても、広告出稿を増やすほか、ネット専用商品の開発を進める。また、今年6月に買収した、輸入食品や雑貨の通販・卸事業を手掛ける丸長は、「daily―3(デイリースリー)」のサイト名でネット販売を展開しており、特に出店する「楽天市場」では知名度が高く、同モールの優秀店舗を表彰する「ショップ・オブ・ザ・イヤー」では、「キッチン用品・食器・調理器具部門」において7年連続で受賞している。ベルーナにとって、ネット販売のみを手掛ける通販子会社は初となるため、ネット販売関連のノウハウ活用など、本体とのシナジーも期待できそうだ。

 安野社長は「(計画達成に必要なのは)根性。もちろん、数字の裏付けは必要になる。売り上げ拡大に向けてテレビCM活用も検討したい」と話す。

013.jpg 近年注力しているアパレル店舗に関しては、既存店が堅調に推移している。黒字を出している既存店に限ると平均7・2%の営業利益率を確保しており、今後はオペレーションの改善で10%に引き上げる。出店も引き続き進める方針で、前期末の店舗数は33店舗だが、19年3月期までに160店舗以上の体制とする。

 今後は店舗専用商品をさらに強化。現在は30%程度が店舗専用商品だが、比率を50%程度にまで高める。カタログ通販の場合、商品開発とカタログ発行時期にずれがあるため、トレンドにあった服を投入しにくいのが弱点となるが、店舗専用商品の強化でこれをカバーする。また、今後は中国やインドネシア、タイなど、海外への出店も視野に入れる。

 通販事業と店舗事業に次ぐ柱として考えているのがファイナンス事業だ。国内消費者金融事業は過払い金返還で一時期低迷していたものの、2013年3月末は約108億円だった同事業の営業貸付金残高が、積極的な媒体展開もあり、今年3月末の残高は約150億円まで伸びている。

 同社の消費者金融は、主に通販事業の顧客に対して貸し付けを行っており、貸し倒れ率が低いのが特徴となる。販促はカタログ同送がメーンで、昨年子会社となった看護師向け通販のナースリーの顧客向けなど、グループ全体での需要が伸びている。

 総量規制の影響で、消費者金融の顧客のうち、50%以上が同社からのみ借りている状況。「ノウハウの蓄積が難しい」(安野社長)だけに、競争もあまりない。ネットや折込チラシ、新聞など、広告の積極展開で事業拡大を図る。現在の顧客は約4万5000人だが、10万人を目標とするほか、19年3月期には売上高35億円、融資残高260億円を目指す。

 プロパティ事業ではホテル事業を拡大しており、07年2月に同社関係会社が取得した、岩手県花巻市の「山の神温泉 優香苑」の売上高は、取得前から約2倍に拡大したという。ベルーナ本体でも、沖縄・福島・長野(軽井沢)・京都・大阪でホテル運営を手掛ける計画だ。また、3月にはスリランカに高級リゾートホテルを建設することを発表しており、今後はさらなる海外でのリゾートホテル展開を計画。具体的にはモルジブでの展開を予定している。

 他の総合通販では、大手小売企業との提携が相次いでいる。安野社長は「あくまで単独で事業を進めていきたい。まずは第3次経営計画の最終年度目標である売上高1600億円、営業利益160億円を前倒しで達成したい」と意欲的に語る。利益面ではファイナンス事業やプロパティ事業の拡大が貢献しそうだが、売上高は総合通販のほか、やはり近年は売り上げが横ばい傾向にある、化粧品子会社・オージオや、健康食品子会社・リフレといった専門通販をどこまで伸ばせるかがカギになりそうだ。

安野清社長に聞く「今後の成長戦略」①

「空いた市場に食い込む」、単価維持しながらリスト増へ

014.jpg――前期業績を振り返って。

 「全体としてはまずまずだが、営業利益が目標に届かなかった。まず、ソリューション事業の受託関連で実質3~4億円の赤字を作った。また、レモールのベビー事業とギフト事業を承継したベストサンクスが6億円の赤字だった。アパレル店舗やブランド品を優待価格で販売する通販サイト『ゴシップワールド』なども赤字となり、合計すると約20億円程度となる。赤字を生んだ要因は見えており、ベストサンクスや受託関連の赤字は解消する見込みだし、店舗関連の赤字も減る。今期の目標は達成できるのではないか」

――先日の決算説明会では「カタログのマーケット縮小が落ち着いてきた」という発言があった。この意図は。

 「需要と供給の問題だ。各社がカタログ配布部数を絞っており、供給力が減っている。その空いた分に食い込めるのではないかと期待している。当社では40代女性向けカタログ『ラナン』を創刊したが、各社とも競合する分野なので力を入れていきたい」

――市場全体でカタログの発行部数が落ちているので、進出できる余地が出てくる。

 「そう考えている。他社の傾向をみると、スクラップ&ビルドを進める会社は多いが、個人的にはなかなか難しいと考えている。なぜかというと、スクラップするとジリ貧傾向になるからだ。何とか我慢して継続することも必要なのではないか。当社では20代女性向け『リュリュ』と重なる部分があった30代女性向け『ルアール』をやめ、『ラナン』にシフトしたわけだ。バランスとしては良くなったのではないかと思っている」

――頒布会のようなセット販売にも強みがある。

 「他社との差別化ポイントだ。ニッチだが好きな人は確実にいるので、今後とも力を入れたい。競合に関してもあまりない状況だ。かつては新聞折り込みでセット販売商品を売る『頒布屋』が強かったのだが、現在はほぼなくなっている。当社はその流れを組んでいる」

――前期の総合通販事業を振り返って。

 「平均単価を上げるために低単価商品をやや減らした。ただ、単価は上ったものの、アクティブ顧客や新規顧客数は減ったので、きちんと検証しながら、単価を維持しつつ顧客リストを増やしていきたい。当社は新聞広告や折込チラシで新規開拓をしているわけだが、量を増やしたい。要は、媒体費を維持しながらリスト収集にコストを振るということだ」

――前期はやや媒体効率が悪化した。

 「全体的に商品単価が上ったり、SKUを絞り込んだりしたこともり、購入率が落ちたということだ。ここは微妙なさじ加減が重要になるだろう」

――同事業は減収減益となった。

 「P/L意識が各部門に浸透した結果だ。詳しく言うと、広告宣伝費のコントロール、在庫ロスも含めた原価率のコントロール、さらには物流費などコスト削減が実を結んだのではないか」

――原価率低減については、低単価商品を減らしたことが大きい。

 「それもあるし、価格見直しや直接貿易の構成比増もある。消費者のメリットは維持・向上しながら原価率を下げるのがポイント。品質が悪化しては意味がない」(つづく)
 
 























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