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ヤマト 中小のネット販売支援強化、受注・配送・決済をトータルに提供

011.jpg ヤマトホールディングス(ヤマトHD)は中小規模のネット販売事業者支援の強化に乗り出した。この一環として6月1日から通販業務で必要となる受注管理、配送、決済などをトータルに提供するパッケージサービス「YES!(Yamato Ec Solutions!)」を発売。仮想モールへの出店に加え自社サイトも運営するなど複数の販売チャネルごとの受注管理や出荷対応など煩雑化する業務の負担を軽減することにより、ネット販売事業者が販売活動に専念できるようにする。さらにコンビニエンスストアでの通販商品受け取りなど大手事業者でしか行えなかったサービスも中小事業者にも提供する。拡大が見込めるネット販売市場で、ヤマトグループが総力を挙げて通販のバックヤード業務をフォローし、利便性の高い顧客サービスの展開を図る。

 これまでもヤマトグループ各社は、それぞれのクライアントを相互に紹介し、グループの多様なサービスの提案を行っていた。その際、各社が個々の業務の料金見積もりを出したり、問い合わせ窓口も複数になるなどクライアント側が煩雑に感じる場面があった。今回のパッケージ化によりクライアントへの提案を行う窓口は1人の営業担当者のみとなり購入しやすくなる。ヤマト側でも提案しやすいというメリットがある。

 「YES!」は、基本パッケージが「受注管理機能(複数チャネルの一括管理、納品書一体型の送り状の自動出力など)」、「配送機能」、「決済機能(代引き)」で構成したクラウド型システム。受注情報と配送情報が自動連携しているのが特徴で、顧客からの荷物の問い合わせが瞬時に行え、従来販売チャネルごとに行っていた受注管理を一元化できるほか、繁忙期でもスムーズな対応が可能になる。

012.jpg 受注や出荷などの業務負荷を軽減することで、売り上げ拡大に向けた販売活動への取り組みを十分に行える体制づくりを可能にするという。同時に基本パッケージにはRF分析(購入履歴分析)といった販促支援機能も搭載し、DMラベル出力もできる。

 基本パッケージは月間1000件を超える受注数に対応が可能。事業成長に伴い件数が増加した場合など、オプションサービスで業務拡張への対策が行える。

 オプションサービスでは、「コンビニエンスストア受け取り」や「在庫管理業業務」、「コールセンター業務」を用意。コンビニ受け取りはヤマト運輸が「宅急便受取場所選択サービス」で連携しているファミリーマートなど全国約2万1000店が利用でき、約4000店のヤマト運輸直営店でも受け取りができるようにしている。「YES!」導入により、商品の受け取りで顧客の利便性を高めることは顧客満足度向上による売り上げ拡大も期待できるとしている。また、一部地域における当日配達へも対応する。

013.jpg このほかのオプションでは多様な決済(クレジットカード、コンビニ支払い、電子マネー)、繁忙期など急な受注増に対応する在庫管理・出荷対応サービス、家具などの大型荷物の配送、WEBショップ開設などを用意している。

 「YES!」の利用料金は、システム利用のための初期費用やランニングコストが不要。出荷した荷物の数に応じた従量課金制を採用しており、基本パッケージのみを導入した場合、荷物1個当たりの料金は宅急便定価運賃が上限となる。代引きやクール便といったサービスを利用した場合は、それぞれ別途料金が必要になる。また導入は申し込みから最短3週間で可能という。

16年度までに1.5万社へ販売

 「YES!」はヤマト運輸のセールスドライバー(SD)はじめ、グループ各社の営業担当者など計約6万人が販売に携わっていく。6万人という販売力で同一商品を提案することにより、2016年度までに1万5000事業者の導入を見込んでいる。

 ヤマトホールディングスは2年前から、新たな大型物流拠点の展開を通じ高付加価値機能の提供や物流のスピード化などを可能にする次世代ネットワーク構想「バリュー・ネットワーキング」の実現化を進めている。「YES!」も同構想の一環として位置付けており、ヤマトHDおよびグループ各社が一丸となって拡販を進める。

 開発に当たっては、ヤマト運輸の法人営業部内に設置した「高付加価値モデル推進室」が中心となった。同推進室が舵取り役となってグループ各社の数多くの担当者との会合・議論を繰り返し、従来の事業会社単位ごとの縦割組織に捕らわれずに幅広く意見を交わしてヤマトグループとしての商品に作り上げたという。

 もともと、グループ各社はそれぞれの事業領域を定めて活動し、クライアントへの営業を行っている。そして各社が個々のクライアントのニーズを捉え、その解決策を提示することで、事業成長を導いてきた。

 これに対し、今回の「YES!」は幅広い事業者が利用できるサービス。このようなサービスの場合は販売力、グループ力に重点を置き取り組むことが重要になるという。グループ各社の営業担当者がそれぞれ独自の事業領域の営業を行いつつ、自社のクライアントに対してもヤマトグループのサービスとして提案する体制にしている。

 なお「YES!」は、昨年10月からネット販売事業者など約40社にテスト的に販売し、実際の業務負担がどれほど軽減できるかを測定。従来から提供している納品書一体型の送り状の自動出力、繁忙期など非常に煩雑になる荷物の配送状況の確認など販売業者の作業軽減に大きく寄与するとして評価を受け、今回の基本パッケージに取り込んでいる。テスト導入した40社は引き続き同サービスの利用を継続していくという。

ヤマトHD・運輸の両社長、新サービスへの抱負語る

016.jpg 「YES!」発売に当たり、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長(写真㊧)とヤマト運輸の長尾裕社長に新サービスへの抱負を語ってもらった。両氏とも市場拡大が続くネット販売の事業者、購入者の双方の利便性向上をアピールしている。

山内ヤマトHD社長「市場拡大のインフラに」

これからのネット販売市場は生活スタイルや購入スタイルの変化に伴い間違いなく広がる。利用者がどんどん増えていく中で、ネット販売事業者もあらゆる面でレベルを上げていかなければいけない。

 多くのネット販売事業者が出現しているが、その中で小規模の事業者は大変苦労される。そこで今回、我々がそうした事業者に対し、受注の仕組みも含めていろいろな機能を提供することにした。市場が健全に発展していき、エンドユーザーが求める形で利便性が高まるようにお手伝いしたい。

 大規模事業者よりも小規模事業者が多様な商品を販売する状況を考えれば、小規模事業者のサービスの使い勝手がよくなることで市場全体が一層広がっていく。そのためのインフラづくりというところで、我々のメーンターゲットは小規模な事業者だ。

 もっともっと市場が拡大して生活に入り込んでくために、今回の「YES!」はお力になれるのではないかと考えている。多様な機能を付加できる点を有効活用していただきたい。

長尾ヤマト運輸社長「お客様目線で開発を」

 多くのネット販売事業者は複数の仮想モールに出店し、さらに自社サイトも運営している。既にいろいろな受注管理システムを導入している可能性はあるが、今回の「YES!」は複数サイトの管理の煩雑さを取り除くことにつながり、リプレースする価値があると思う。やはり物流と連結しているという点で、メリットが非常に高いと考えている。

 今回のサービスは、お客様目線で開発した。エンドユーザーがどういう注文の仕方、どういう受け取りの方法を望んでいるかという点を考慮し、一方でネット販売事業者側はどうサービスを提供していきたいのかということも配慮している。今後、使っていただく方々からの声をフィードバックしながらどんどん手直ししていくつもりだ。より使っていただくことで、より良くなっていくだろう。

 また、我々には小型の荷物に対応した「ネコポス」や「宅急便コンパクト」という新商品があり、通販、特にネット販売に取り組む方々にとって、商品ラインアップの網羅性が高くメリットを享受いただける。

ッケージサービスが新たな需要を創出、ネット市場さらに拡大へ

 今回、ヤマトホールディングスが「YES!」を発売したことでネット販売の裾野は一段と広がりそうだ。同社の宅急便にはじまる物流サービスはクール宅急便や時間指定、各種決済サービスなどその都度新たな需要を喚起し通販市場の拡大に寄与してきた。こうした需要創出は物流の同業他社、或いはコンビニなど小売業を含む物流サービス全般の競争を刺激し、さらに小売市場を活性化しつつある。宅配便で「ヤマト」追撃を試みる日本郵便(JP)も昨年11月、今回のヤマトHDと同様なパッケージサービス「ワンストップ通販ソリューション」を発売、「ゆうパック」の取り扱い個数の底上げを狙っているが、今回のヤマトの新サービスで中小ネット販売事業者の意識はますますビジネスの高効率化に向かうものと思われる。

 JPの「ワンストップ通販ソリューション」は、ECサイト構築やセグメントDM発送の「ターゲットアプローチ支援」、受注や入出庫管理、決済などの「物流サービス」、「ゆうパック」や「ゆうパケット」「ゆうメール」などを活用した「配送サービス」のほか、「通販マーケティング支援」「コールセンター運営」の各ユニットで構成。料金体系は月額の基本パッケージ料金プラス従量課金を採用している。カスタマイズが全くない場合には初期導入費用は不要という。現状では各サービス個別の導入事例が多く、フル装備での採用はないようだ。

 ヤマトHD、JPとも総合的な提案力を発揮することで、ネット販売事業者、中でも中小事業者を取り込もうとする狙いは同じだ。ネット販売市場の拡大が見込まれる中で、サイト構築や受注、物流、決済といった宅配便以外の事業での収益拡大につなげる方向へ大きく動き出したと言える。






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