Home > 特集企画 > JFRと千趣会が資本提携、互いのノウハウ活用し競争力強化

JFRと千趣会が資本提携、互いのノウハウ活用し競争力強化

1-1.jpg
Jフロントリテイリング(JFR)と千趣会は4月17日、資本業務提携を締結したと発表した。JFRが千趣会の発行済み株式の22%超を取得し持分法適用関連会社化、JFRが持つ百貨店などの店舗開発・運営ノウハウと千趣会が持つ商品開発力やカタログおよびネット販売のノウハウを相互活用した商品展開などを進める。今回の資本業務提携を通じ、JFRでは課題となっていたグループの通販事業の強化、千趣会ではリアル店舗と連携したオムニチャネル戦略や商品を機軸としたブランドの確立を加速させたい考えだ。

JFRが千趣会の株式22%超を取得

 JFRと千趣会は、昨年10月中旬頃から提携に関する協議を開始。今回の資本業務提携では、両社の事業領域と顧客基盤の相互補完性が高く、業務提携をすることで効率的なシェアの拡大ができると判断したもので、約半年間、協議をする中で「これならできる」(JFRの山本社長)という感触を得て資本業務提携を締結することにしたという。

 資本提携は、両社の経営体制の連携強化を図り提携の実効性を高めるためのもので、JFRが千趣会の創業者家など既存株主からの取得(291万5000株)、千趣会が実施する第三者割当による自己株式処分(430万株)および第三者割当による新株発行(460万株)の引き受けを通じ、千趣会の株式1181万5000株を約100億円で取得。持株比率22・62%(議決権比率22・65%)の筆頭株主となり、千趣会を持分法適用関連会社化する。

 一方、千趣会は、手取り概算の約73億円をJFRとの提携に伴う物流インフラの整備や新規PB商品の共同開発・仕入、今後、立ち上げる自社新ブランドの旗艦店舗開発の資金などに充当する予定だ。

1-2.jpg
PB商品共同開発や相互販売などを計画

 業務提携の内容は6点あり、1点目は両社の既存PB商品の共同展開による販路拡大と商品原価低減で、例えばJFRの婦人服のPB「ソフール」と千趣会の婦人靴のPB「ベネビス」をJFRの大丸や松坂屋などの店舗、千趣会の通販チャネルで販売することによる販売量の確保と生産原価の低減などを構想する。

 2点目は、双方の顧客の要望に対応しきれていない商品群の相互販売で、JFRが品ぞろえを絞り込んでいる家具について、千趣会で展開する商品をJFR顧客に提案しニーズに対応するほか、百貨店が強みを持つ化粧品を千趣会の顧客にアピールするといったイメージだ。

 3点目は、千趣会の商品開発力とJFRの店舗開発・運営、販売サービスを活かした新規PB商品を開発と店舗およびカタログ、ネットで共同展開する構想で、「将来的には国内だけでなく海外でも通用するブランドの育成、拡大を視野に入れていく」(JFRの山本社長)考えだ。

 4点目は、千趣会のEC事業ノウハウとJFRグループの顧客資産やブランド力の活用によるEC事業の売上高・収益の拡大で、例えば、千趣会のフラワーギフトEC子会社イイハナドットコムの受注翌日配送サービスなどを参考にしながら、百貨店ギフトの顧客満足度向上と受注拡大の方向性を探る。

 5点目は、千趣会の通販ノウハウやフルフィルメントを活用したJFRオンラインの通販事業の業務効率化およびプラットフォーム再構築の検討。千趣会が持つノウハウやプラットフォームを活用しカタログ制作や物流コストの削減を図るとともに、新規顧客開拓、データ分析の手法などを見直して業績改善を図る考え。

 また、6点目のその他、相互のグループ資産、ノウハウの活用による利益創出では、千趣会が得意とする妊婦・出産・育児世代の顧客から得られる情報をもとに、子どもの成長に応じた継続的な購買ニーズが捕捉できるメリットを活かし、ビジネスチャンスの創出を狙う。

 各施策については、近く業務提携推進委員会を設置し、同委員会内の商品の販売・開発、ECビジネスの拡大など3分科会で方向性などを協議。検討結果をもとに、既存PB商品の相互販売など実現性の高い施策から着手する考えのようだ。
事業領域や顧客基盤で相互補完性が高く

 JFRおよび千趣会は、今回の資本業務提携のポイントとして、両社の事業領域と顧客基盤の相互補完性が高いことを強調。互いの経営資産やノウハウを相互利用することで、確実な販路拡大と課題の解消を狙う。

 JFRグループの中核となる百貨店では、大丸や松坂屋のブランド認知度が高く、全国の主要都市で店舗を展開し、店舗開発・運営ノウハウも保有。また、顧客基盤も百貨店とパルコだけで約600万人を擁し、特に外商を中心とした富裕層顧客、中高年層の顧客に強みを持つ。

 一方、千趣会は、通販事業を中核とし2000年からネット販売に参入するなど長年にわたり通販・ネット販売のノウハウを蓄積。オリジナルの商品開発力にも定評がある。

 顧客基盤についても、データベースに累計1500万人超の顧客情報を保有し、年間の購入客数は約400万人にのぼる。主要客層は30~40代の女性で、特に妊娠・出産・育児といったマタニティ層の女性に強い。メーンの売場や客層で重複が少ない分、双方のPB商品を相互販売することで、新たな需要の喚起、あるいは、従来対応しきれていなかった顧客ニーズへの対応などで効果が期待できるわけだ。

1-3.jpg
 一方、両社が抱える課題の解消でも、補完関係にある。オムニチャネルの展開を考えた場合、JFRでは、JFRオンラインが手掛ける通販事業の売り上げ規模拡大と収益性の改善が課題となっていたが、「千趣会が長年培ってきた通販のノウハウ、プラットフォームを全面的に活用してもらう」(千趣会の田邉社長)ことにより、JFAオンラインの業務効率化およびプラットフォームの再構築を推進。特に、現状156億円にとどまっているネット販売の売上高を中期経営計画で掲げる250億円にまで引き上げたい考えだ。

 また、千趣会では、2014~18年度までの5カ年中期経営計画の中で自社開発商品のブランド化のPB戦略と、PB商品を起点としたオムニチャネル戦略を重点施策に掲げているが、自社開発商品のブランドが確立しきれていないことや、オムニチャネル戦略を進める上で店舗開発力が課題となっていた。

 これに対し、店舗の開発・運営ノウハウを持ち、全国の主要都市で百貨店などを展開するJFRとの提携で、自社単独ではハードルの高かった店舗開発の課題を解消。千趣会の田邉社長は、大丸や松坂屋、パルコといったリアル店舗での商品展開が「ブランド価値の向上と、販売量の確保と商品原価の低減による競争力の強化につながる」と指摘し、さらに自社開発商品のブランド確立による売り上げの拡大も期待する。

 JFRと千趣会は、今回の資本業務提携でネット販売事業の強化と店舗開発体制の整備というそれぞれの課題を解消するとともに、商品の共同展開などを通じ、プラスオンの提携効果を追求する考え。

山本・田邉両社長に聞く 資本業務提携の狙い

4月17日に資本業務提携を発表したJフロントリテイリングと千趣会。提携の狙いや今後の展開などについて、Jフロントリテイリングの山本良一社長(=上写真㊨)と千趣会の田邉道夫社長の両氏に聞いた。(4月17日に開催した記者会見での報道陣との一問一答から一部を要約、抜粋して掲載する)
 提携の経緯は。
 
山本「仲介者の提案もあり、昨年10月中旬に初めて千趣会と会って以降、定期的に協議を重ね、いろいろなアイデアを出し合い、『やっていける』と確信した」

 資本業務提携の最大のメリットは。

 山本「両社が持つノウハウや顧客資産を活用することで、互いの企業価値を高めることが一番のポイントだ。百貨店とパルコが持つ600万人の顧客と、千趣会の400万人のアクティブ会員を互いに活用すれば、企業価値は絶対に上がる」

 田邉「両社は非常に補完性が高いと思っている。当社は昨年2月に策定した5カ年計画の中でオムニチャネル戦略を掲げているが、リアル店舗の展開はハードルが高い。スピードを加速するためにも、今回の提携は有効だと考えた。また、Jフロントリテイリングの社風に当社と近しいものを感じていて、これはタッグを組む上では重要な要素だと思う」

 Jフロントリテイリングを提携先に選んだ決め手は。

 田邉「提携を結ぶまでの約半年、何度も話し合いの場を持ったが、『この会社となら本気で組めそう』という経営者の直感もあった。"マルチリテイラー"として先進的な事業モデルの構築を目指しているJフロントリテイリングとの提携は最良の選択だと思う。当社ブランドの価値向上や販売量の拡大、商品原価低減に伴う収益力の強化、オムニチャネル戦略の推進など、当社単独で超えるには高いハードルをクリアできる」

 千趣会のチャネルで販売していく商品は。

 山本「大丸松坂屋のオリジナル商材は、例えば婦人服では30~40代のOL向け通勤着をコンセプトにしたブランド『ソフール』を展開していて、千趣会の主要顧客層のニーズがあると思う。千趣会顧客に合わせた商品の作り込みを迅速に進めたい。婦人靴でも30~40代女性をターゲットにしたパンプスなどがあるので、商品の手当てができれば早期に展開できる。当社の中期3カ年計画では独自商品の開発などを手がける自主事業を収益力向上の要と位置付けているが、百貨店店頭で販売できる数量は限られている。千趣会のカタログを通じた販路拡大が図れれば生産ロットの拡大が期待でき、商品原価の低減も図れる。千趣会との共同開発によるプライベートブランド(PB)商品については、アイデアはあるが、両社で立ち上げる『業務提携推進委員会』でコンセプトのすり合わせなどを行い、プロジェクトを進める」

Jフロントの販路への期待感は。

 田邉「当社は新しいPB商品の開発を進めていて、商品化したら百貨店などの店頭でも販売してもらいたいが、すべては業務提携推進委員会で一つひとつ具体化することになる。ただ、できることから素早く取り組もうと話していて、当社が展開するシューズブランド『ベネビス』などは議題に上ってくると思う」

 業務提携推進委員会のメンバー構成は。

 山本「両社の役員クラスをトップに据えて早急に立ち上げる」

 千趣会の22・62%の株式を取得した意味と業績への影響は。

 山本「持分法適用関連会社化するのを前提としたものだ。損益計算書にも入ってくるわけで、業務提携に対する本気度を示している。単に業務提携しただけで簡単に成果を得られるとは思っていない。現時点で業績への影響については、具体的な数字は言えない。業務提携推進委員会ではテーマごとに3つの分科会を設置する予定だ。商品開発に関する分科会では、既存のPB商品の中から何を売るのか、どう売っていくか、いくら売るか。どれくらい商品原価をコストダウンできるかなど、具体的な実行計画を立てる。2つ目の分科会はEC事業についてで、これはとくに百貨店の大きな課題だ。"オムニチャネルリテイラー"を目指す中期3カ年計画の中でも、ウェブ上で予約した商品を百貨店店頭で受け取れる『クリック&コレクト』などに挑戦しているが、まだまだレベルが低い。千趣会の持つノウハウを活用させてもらいながら、利益の出るEC事業を組み立てていきたい。3つ目はJFRオンラインの抜本的改革に向けた分科会だ。当社はオムニチャネルリテイラーと言いながら通販事業の規模が小さい。実店舗とカタログ、ウェブがしっかり機能してはじめてオムニチャネルが成り立つわけで、通販ビジネスの再構築は急務だ。通販はフルフィルメントが脆弱では大きな事業にならない。また、JFRオンラインの顧客は高齢層の比重が高く、保守的なカタログになっているが、こうした部分にメスを入れたい」

 千趣会への役員派遣は。

 山本「今後、千趣会との協議の中で検討していきたい」

 同じく傘下の通販会社、ライトアップショッピングクラブと千趣会との連携は。

 山本「ひとつのアイデアとしてはあるが、まずは3つの分科会を優先的に取り組む」

 千趣会のECノウハウに期待している。

 山本「現在、当社グループのネット経由売上高は約156億円で、これを中期計画で250億円に引き上げる目標を掲げているが、このままでは到達しないという危機感はある。そのためにも売上高の約75%がECという千趣会のノウハウを活用したい」

 今回の提携で千趣会のリアル店舗の戦略に変化は。

 田邉「現状、自前で20店舗弱の実店舗を展開していて、それを前提にオムニチャネル戦略を考えてきたが、今回の提携でその前提条件が変わった。戦略の幅が広がったととらえている」

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/2924
Listed below are links to weblogs that reference
JFRと千趣会が資本提携、互いのノウハウ活用し競争力強化 from 通販新聞

Home > 特集企画 > JFRと千趣会が資本提携、互いのノウハウ活用し競争力強化

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ