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ガシー・レンカー・ジャパン ブランド再構築に新たな一手、「ニキビ」市場ウェブマーケでリーチ

013.jpg ガシー・レンカー・ジャパン(GRJ)がブランド再構築に乗り出している。これまでテレビCMを軸に展開。著名なタレントや歌手、女優を使ったプロモーションは、「プロアクティブ」の名を一気に世に知らしめた。だが、性別や世代の別なく"オールターゲット"に訴求するこれまでのやり方は、一方で「ブランド価値の希薄化」を招く要因に。ニキビケア化粧品市場の縮小という向い風も吹く。売上高が200億円弱(本紙推計)で踊り場を迎える中、新たに立ち上げたウェブコンテンツ「ニキペディア」で再浮上を図れるか。

崩れた「ニキビ=GRJ」の図式

 「ニキペディア」立ち上げの背景には、ブランド価値の希薄化がある。

 かつては、眞鍋かをりさんをはじめ著名人をイメージキャラクターに起用。「60日間返金保証」「日米売上実績№1」といったコピーで訴求するシンプルなコミュニケーションが成立していた。

 だが、2011年以降、市場の競争環境が変化。テレビの考査が厳しくなり、露出が減った。他社ブランドに加え、「ニキビ=治療」といった情報発信を行う皮膚科クリニックも台頭。ウェブにはニキビを巡るさまざまな情報溢れ、「ニキビ=プロアクティブ」の図式は崩れた。

 実際、顧客とのギャップはウェブにも表れている。グーグルトレンドで「プロアクティブ」と「ニキビ」を比較すると、「1対2~3」で推移していた検索ボリュームが11年を境に大きくかい離。今では15倍前後の開きが生まれている。

「誰でも対象」でぼやけた"価値"

 そもそも「プロアクティブ」の強みは、「思春期ニキビ」や「大人ニキビ」など肌悩み、世代、性別を問わず"オールターゲット"に訴求できること。ただ、その説明は難しい。「『何にでも効きます』となると、『本当?』と疑うのが、消費者の素直な反応。そんな商品より『敏感肌用』と言われる方が『自分向け』と認識できる」(藤原尚也デジタルマーケティング部シニアマネージャー)ためだ。だからこそ、"私も治りました"という著名人のシンプルなコミュニケーションが必要だった。

 11年当時は、スマホの普及でデジタルデバイスが大きく変化した時期と重なる。ところが、GRJのプロモーションは相変わらずテレビに依存。「ニキビにどう働きかけるか、丁寧に説明していくことが重要だが、15秒、30秒のCMでは伝えきれない」(藤原氏)。マーケティング構造の改革を迫られる中、その足がかりとして13年末に立ち上げたのが「ニキペディア」だった。

「ニキビ」の集合知でポジション獲得

012.jpg ニキビと生活習慣との関係やニキビケアの方法、巷で噂されるあらゆるニキビ関連の話題を取り上げ、検証する情報サイト「ニキペディア」は、企業発の情報コンテンツで消費者とコミュニケーションをとる「コンテンツマーケティング」と呼ばれる手法をとる。「ニキビ+背中」「プロアクティブ+くちコミ」など、ニキビケアに関連するウェブの検索ワードで常に上位を獲得できれば、ニキビに関心をもった層は「ニキペディア」に集まり、その結果「ニキビ=プロアクティブ」とのブランドイメージも獲得できる。新規客との接点にもなる。ただ、マーケティング色が強ければユーザーに嫌われる。

 慎重な舵取りが必要な中で定めた編集方針は3つ。「自社商品に限らず『ニキビケア商品』『生活習慣改善』『流行』を網羅した情報を"実体験"をもとに記事にすること」「検索するユーザー目線で作成すること」「商品を売り込まないこと」だ。

 記事は「1キーワード=1ペルソナ」を明確にして制作(=表)。「『ニキビ』+『○○』」を基本に、「『プロアクティブ』+『○○』」といったアプローチも使う。検索ボリュームを確認し、社内のスキンケアアドバイザーや提携クリニックへの取材、カスタマーサポートに寄せられる顧客の声、関連書籍を通じた確認を行い制作していく。

ウェブ広告原資、顧客に還元

 昨年2月に運営を本格化から現在、週間PV数は20万超にまで伸びている。広告収益を基盤とするコンテンツは、月間200万程度のPV数がボーダーとされるが、広告収益を目的としない自社コンテンツであればまずまずの数字だ。

 14年12月期の売上高は200億円弱の増収で着地(本紙推計)。リターゲティング広告を除く通常のウェブ広告のコンバージョン率(商品購入)が0・1%前後であるのに対し、「ニキペディア」経由は1・2%で推移しており、新規獲得に貢献したとみられる。

 今後、一部を除きウェブ広告を止めることを検討する。「ニキビに悩む方が絶対に訪れる入口さえ作れれば、広告ではなく、顧客サービスの向上にコストを使える」(藤原氏)からだ。浮いた広告原資は顧客に還元。最近では、「ニキペディア」上で露出する「薬用3ステップセップ30日サイズ+電動洗顔ブラシセット」(税込7900円)の広告で68%オフ(税込2450円)という高い割引率で訴求するテストも始めている。

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 コンテンツマーケティングを手掛ける企業は、増えているが、成功事例はまだ少ない。3月には資生堂が「Beauty&Co.(ビューティー&コー)」のモール機能を終了。今後、更新する記事本数も絞り込んでいくというが、資生堂が狙う"美の総合プラットフォーム"というポジションは、あまりに巨大だ。一方でGRJが狙うは「ニキビ」の一点。鋭い切り口で「ニキビケア」のマーケットリーダーとしてのポジショニングを確立する。

「ニキペディア」今後の展望は?「ウェブ広告やめる」

014.jpg ガシー・レンカー・ジャパンの藤原尚也デジタルマーケティング部シニアマネージャーに「ニキペディア」の現状と今後の展望を聞いた。
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――立ち上げの経緯は。

 「ウェブにはニキビに関する情報が溢れるが、多くはアフィリエイトなど"広告モデル"が下地。企業目線のサイトが多い。同じサイトを作る意味はなく、マーケットリーダーとして本気でニキビに悩む人のためのサイトを作ろうと考えた」

――編集方針は。

 「社員は売り上げを意識する。だが、必要以上にプロアクティブが良いとは書かせず、実体験に基づく記事を徹底した」

――編集チームの構成は。

 「デジタルスキルより、文章スキルの高い社員を『ブランドマーケティング』『カスタマーサポート』『クリエイティブチーム(紙媒体専任)』から選び5人で編集する」

――「ニキビ」というビッグキーワードをどう攻略する。

 「『ニキビ』を攻略するにはスキンケア全体に触れつつ、相当なボリューム感が必要になる。それにニキビに対する悩みもぼやけている。それより『ニキビ+○○』など中程度のキーワードで検索する人の方がニキビに悩む温度感が高い。関連キーワードを攻略すれば、結果として『ニキビ』でも検索上位に上がる」

――具体的な記事化の方法は。

 「『デコルテとニキビ』の関係で記事化する場合、まず読者のイメージを膨らませる。例えば『友人の結婚式を前にひさびさにワンピースを試着したところ、デコルテにニキビができていた女性』だ。式までに治せればよいが、直前に迫っているかもしれない。そうイメージしてタイトルではデコルテニキビの『治し方』と『隠し方』に触れた。実際の読者は分からないが、実在することがイメージできることが大事だ」

――更新ペースは。

 「月10~15本。月20本をまずは目指したい。昨年から1社に一部外部委託も始めた。質を担保しつつ増やしていく」

――「ニキペディア」を通じた新規獲得に道筋ができた。今後、広告投資はどう変わる。

 「ウェブ広告の一部はいずれ止める。『プロアクティブ』はニキビに悩んでいなければ購入に至らない。だから、リアルタイムにニキビに悩む人を見つける必要があるが、(リターゲティングを除く)ウェブ広告では"買いそうな人"は探せても、今、悩んでいる人を見つけるのは不可能に近い。多くの女性は日常的にニキビの悩みを抱え大半の女性が"買いそうな人"になってしまうためだ。そうなると、『クリエイティブが駄目だ』『ランディングページを変えよう』と、込み入った世界に入っていく」

「ウェブ広告の運用はテクノロジー的な発想から効率化を図ろうとするが、そこはPDCAを回す限り終わりがなく、コストも尽きない。それならば優良な自社メディアを作り、広告原資をお客様に還元した方が良いのではないかと思う」

――今後の展望は。

 「1月から社内のスキンケアアドバイザーが相談を受ける『ニキビ/吹き出物相談室』をフェイスブック上に設置した。『ニキペディア』を訪れた人の中には、その情報に納得しない人もいる。その人の温度(満足感や購入意向)を高くするために1to1のマーケティングを行う。無料会員制にしてフェイスブックIDなどを取得し、広告運用に活用することも考えている」

ニキビケア化粧品市場の動向は?「シュリンクする市場」

 「ニキビケア化粧品の市場自体がシュリンクしている」。ある化粧品通販の幹部はこう話す。

 ニキビは女性の8割以上が悩むもの。その都度"対症療法"のような形でニキビケア化粧品は使われることが多かった。その市場にあって「強力な殺菌作用のある成分を含む『プロアクティブ』は高い効果実感があり、支持が得られていた」と前出の関係者は話す。

 ただ、最近の化粧品市場は「アンチエイジング」や「保湿」に引っ張られているという。女性誌もかつては「大人ニキビ」の特集を組んだが、最近は少なくなっている。

 今年3月、オルビスがリニューアル発売したニキビケア「クリアシリーズ」は、〝日常使いできるスキンケア〟が売り。保湿力のある「スキンケア」として打ち出すことでターゲットの間口を広げ、1シリーズで25億円(従来比約25%増)の売り上げを目指している。

 対症療法のような使われ方は、継続率も課題になる。こうした市場背景の中、ガシー・レンカー・ジャパンが自ら立ち上げたメディア「ニキペディア」は、どの程度の存在感を発揮できるか注目される。






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