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ドゥクラッセ 初の赤字に危機感、真価問われる1年に

012.jpg 婦人服通販のDoCLASSE(ドゥクラッセ)が転機を迎えている。前期(2014年7月)連結業績は売上高が4%増にとどまったのに加え、利益面では創業以来初の赤字となったこともあり、次の成長ステージに向けた事業の再構築に着手。マーケット規模の大きい実店舗ビジネスを軸とした商品政策や生産サイクルの確立などに取り組み、来期は再び店舗の出店を加速。通販ブランドから"ファッションブランド"へと舵を切る考えだ。

通販ブランドから脱皮へ

011.jpg 主力ブランドの「ドゥクラッセ」は、体型の変化が出やすい40~50代女性を主要ターゲットに、トレンドをとり入れながらも着心地が良くてワンサイズ細く見える服、顔色が華やかに見えるカラーやデザインを重視した服作りが強みで、07年の創業当時は当該層の開拓に力を注ぐ通販企業も少なく、ニッチ市場で高成長を続けてきた。

 しかし、近年はアパレル市場全体で40~50代をターゲットの中心に据える動きが強まっているほか、競合する通販企業の出現に"不意打ち"を食らった格好で、前期は約140億円の売り上げ計画に対し20億円程度届かなかった。

 というのも、同社はこれまで新聞広告を中心に新規顧客を開拓してきたが、13年秋頃から似たような新聞広告を掲載する競合ブランドが登場。他ブランドと気づかずに同社のコールセンターに注文の電話が入るほどだったという。しかも、「ドゥクラッセ」よりかなり安い価格で商品を打ち出してきたことで、同社も価格を下げざるを得ず、新規獲得効率が悪くなったこともあって、売り上げは想定通りに伸びなかった。

 一方で、ドゥクラッセは18年7月期に売上高300億円という大きな目標を掲げており、規模拡大を見越して本社オフィスとコールセンターを移転したほか、物流センターも静岡から京都(京田辺市)に移転・拡張するなどインフラ面への投資を実施していたが、売り上げ計画の未達も響いて前期は3億1000万円の営業赤字となったようだ。

通販チャネルが売上の7割以上

 同社は11年9月に「ドゥクラッセ」で日比谷シャンテ(東京都千代田区)に実店舗を出店して以降、店舗展開には積極的で、今年3月中旬時点で「ドゥクラッセ」は17店舗、子会社で製造・販売する婦人靴ブランド「フィットフィット」はすでに29店舗を構えるが、前期における実店舗の売り上げシェアは全体の25%程度にとどまっており、紙媒体が約50%、(カタログの受注機能含む)ウェブが約25%と、通販チャネルのシェアがまだ高いのが実情だ。

 主力の通販カタログは前期、発行頻度は変えず、消費増税をにらんで前倒しで発行したり、誌面サイズの異なるカタログを試すなど変化をつけたが、結果的には増税前の駆け込み需要よりも4月以降の落ち込みが大きく施策は不発に終わった。

 新客開拓を担う新聞広告については、従来から広告を見て実店舗に来店する消費者が相当数いるものの、前期は広告効果が鈍ったことでリアル店舗への送客機能も弱まったとする。

 同社によると、ブランド認知度は約30%(通販サイトは約15%)のようで、消費者に知ってもらうことで事業拡大の余地は大きいと見ており、前期はブランド認知と顧客開拓で新しい販売チャネルの開発にも乗り出している。

 例えば、昨年4月に婦人靴で通販専門放送の「QVC」を通じたテレビ通販にチャレンジしたほか、婦人服では11月に関西地区限定でテレビCMを放映した。後者では、映像美と関西弁のナレーションを組み合わせた印象に残るCMを制作したこともあり、テレビで紹介した秋冬シーズン一押しのコートはヒット商品となり、実店舗への送客にもつながるなど、関西エリアでの売り上げ増に貢献した。

効率的な新聞広告やカタログ配布を

013.jpg 今期(15年7月)の連結業績は売上高130億円強と黒字化を計画。主戦場である通販顧客の開拓で効果的なコストのかけ方を追求する。従来、新聞広告は掲載する商品とクリエイティブが良ければ結果が出ていたが、競合が増える中、訴求ポイントを含めたクリエイティブのさらなる研究が不可欠になっている。

 そのため、いきなり全国紙に広告出稿するのではなく、地域を絞って何パターンかテストしたり、ウェブを使って消費者の好みの色味を事前に調べた上で前面に出すカラーを決めたりすることで、より効果の高い新聞広告を全国展開でき、結果的に従来の6~7割の費用で同水準の新規客を獲得できているという。

 主力のカタログについては、会員数が120万人に拡大していることから、ムダのない配布方法を模索。すでに配布先を絞り込んでいるが、売り上げに影響は出ていないようで、今期はコストの最小化を図りながら、同時に売り上げアップを狙う。

生産サイクルやMDは店を軸に

 また、通販チャネルに合わせた商品政策や生産サイクルが実店舗の運営にはハマらず、ニーズの読み違えや機会ロスが生じていることを受け、マーケットの大きい実店舗を軸にしたオペレーションに切り替える。

 そもそも、カタログや新聞広告といった紙媒体とは異なり、ウェブや実店舗では顧客の来店時に在庫が必要なビジネスで、ウェブと店頭を強化する上では商品の納期を前倒しする必要がある。倉庫に在庫を確保し、店頭に陳列することで、はじめて売り上げにつながるというわけだ。

 これまでは、主力である紙媒体に合わせて商品の生産サイクルを最適化してきたが、これからは店頭やウェブを意識した最適化が不可欠で、在庫をしっかりと積み上げて商売を行うオペレーションに変えてきているという。

 MD面についても、従来はカタログで売りやすい膨大な品ぞろえやカラーバリエーションを展開し、その中から店舗用に商品を選んでいたが、今後は、実店舗の世界観を作るためのMDを優先し、そこからカタログに必要な商品を選ぶとともに、色バリエーションや必要なアイテムを追加していく。

 11年に店舗展開を始めた当初、店頭はカタログ顧客が実際の商品を確かめる"更衣室"の役割が大きかったが、店舗ビジネスとして自立し、稼ぐための生産サイクル、商品構成を確立することが新たな成長フェーズには不可欠という。

 現在、店舗を軸とした新しいオペレーション、仕組みを構築中で、店舗の出店ペースは落としているが、オペレーションの確立後は再度、出店ペースを拡大していく考えで、16年7月末には「ドゥクラッセ」が6店舗増の23店舗、「フィットフィット」が11店舗増の40店舗を計画する。

 また、同社では18年7月期には前期の倍以上となる売上高300億円を目指すことにしており、そのタイミングでは通販チャネルと実店舗の売り上げが半々くらいになり、その後、店舗が通販チャネルを上回るイメージという。

 一方、同社は外部の会社社長やデザイナーなどで構成される「9人委員会」という"ご意見番"からカタログ誌面や商品に対して率直な意見をもらうことで、妥協のないカタログ制作を追求してきたが、今夏くらいをメドに同委員会のメンバーを刷新することも視野にあるようだ。メンバーの活躍の場が広がっていることもあり、心機一転、40代後半から50代前半の女性を新たに起用。商品を着てもらったり、厳しい意見を求めるという従来からの役割に加え、「新生9人委員会」が活躍できるステージを同社が提供することで、間接的に「ドゥクラッセ」ブランドの認知度アップにつなげる。



 ドゥクラッセが狙う40~50代の層は、創業当時こそニッチ市場で、かつ衣料品のカタログ通販に新規参入する企業も少なく、消費者にとっても新鮮だったに違いない。しかし、バブルを知る世代をターゲットにしたブランドがリアル店舗や通販市場で増えることは容易に想像できたはずで、ひとり勝ちだった新聞広告でのライバル出現に対応が遅れたことは否めない。実店舗を軸にしたオペレーションへの転換はコア事業である紙媒体にとっては"賭け"でもあり、実店舗ではさらに目の肥えた消費者を相手にした戦いが待ち受けている。年商が100億円を超え、会社の動かし方にも変化が求められてくる頃だろう。初の赤字を経験した同社の真価が問われている。

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