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主要通販各社の2015年新卒採用  採用戦線は「売り手市場」に

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本紙が調査した「主要通販各社の新卒採用状況」によると、今春の新卒採用者数は昨年同様に各社でバラツキがあり、若年層社員の底上げを積極的に図る企業がある一方で、意識的に採用枠を絞り込んでいるケースも見られた。また、優秀な人材を獲得するに当たって他業種も含めた競合との争奪戦が激化していると指摘する声は多く、今春の新卒採用戦線は「売り手市場」を感じた企業が多数を占める結果となった。

本紙が主要な通販実施企業を対象に調査を行ない、有効回答を得られた各社の今春の新卒採用状況は別表の通り。採用人数の前年比較については「増加」と「減少」がほぼ半数ずつの割合となった。

 「増加」したと回答した企業の内、目を引いたのがQVCジャパンの前年比10人増の15人で、「(新卒採用を開始した13年の)新卒社員が実際に働き始めたことで社内で"新卒社員"が認知され、14年より15年採用の募集部門が増加した」と説明。スクロールでは「人材基盤の補強」を理由に同4人増の17人。また、ゴルフダイジェスト・オンラインでは「若手の戦力強化、規模拡大のため」として同4人増の9人に拡大。Hameeでも「昨年はエンジニアのみの採用だったが、今年は募集部署を増やした」とし、同4人増の9人となった。

 一方、前年よりも採用数を抑えた企業については、ディノス・セシールが「人数ではなく"質"を重視した採用を例年実施しており、結果として減った形」とし同3人減の15人。ジャパネットたかたも同12人減の41人となり「選考基準を変えることなく進めた結果、求める人材像に合致する学生が昨年より少なかった」と説明。さらに、ケンコーコムでも同11人減の2人となり「10名程度の採用を予定していたが確保できなかった」とした。最も減少幅の大きかったスタートトゥデイは「会社の人員計画に沿った採用を行ったため」として同18人減の22人となり、半数近い規模まで採用数を絞り込んでいる。

 次に採用活動の期間やコスト、その選考過程などについて各社の方針を見てみる。ほぼすべての企業が前年の12月から採用活動を開始しており、おおむね翌年の5月前後までの約半年間を1つの目安として設定している。その告知・募集の窓口としては、自社のホームページの活用が最も多く、次いで合同企業説明会(大学での開催、学内セミナーなども含む)への参加や大手就活サイトの利用が中心。その一方でフェイスブックやツイッターをはじめとするSNSや人材紹介サービスを活用する事例も目立つようになった。

 採用活動にかかったトータルの費用としては、1000万円以下の企業が多く、前年との比較で大きな増減があった企業は限られていた。中には採用方法を大手就活サイトから人材紹介に切り替えることでコストを抑える企業もあった。

 なお、エントリー数については、例年通り限られた募集枠に大量の申し込みが殺到している状況だが、前年との比較では「減少」と答えた企業の割合が「増加」よりも高くなった。最も多かったベルーナが約2万人で、そのほかにもオルビスが1万7913人、ファンケルが約1万人という規模だった。

選考途中で先輩社員との懇談も

 エントリー後の選考過程に関しては各企業とも書類選考・筆記試験・面接というスキームに大きな差はなかった。しかし、その過程において学生に独自の課題や条件などを課すことで様々な角度からその個性を測ろうとする企業もある。千趣会では説明会と適正検査(ネット上)の後に、1次面接⇒2次面接・筆記⇒3次面接⇒4次面接⇒採用という流れがあるが、その中で自由な服装やアイデアテスト・自分史作成などを実施。ディノス・セシールは書類選考と筆記、面接(3~4回)を行い、途中に先輩社員との懇談(対話)機会を設けている。フェリシモでは書類選考⇒グループディスカッション・筆記・プレゼン⇒グループワーク・筆記・面接↓面接・筆記の順で実施し、その中で「自分カタログ」の制作も課している。ジュピターショップチャンネルは書類・筆記の後に、1次面接⇒2次面接⇒適正テスト⇒3次面接⇒内々定という順で行い、2次面接の際に同社のビジネスに関わるレポートを提出させてそれを元に面接を実施している。「レポート作成のために情報を集め考えることが、学生にとっては当社ビジネスへの理解を深める機会となっている」という。そのほかにも、ルクサではグループワークの中で企画の疑似体験を実施。「ECというあまり学生が知らない業界なので理解を深めるとともに、若くして自分独自の企画が世の中に出るやりがいを疑似体験してもらうため」と説明。Hameeでは人によって1人の面談に2時間以上かけることもあるという。各社とも限られた期間の中で学生の本質を引き出すために創意工夫を図っている。

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優秀な人材確保、年々困難に

今春の新卒採用戦線について通販企業の受け止め方はどうか。アンケート結果は、「売り手市場(学生側有利)だった」とする意見が圧倒的で、全体の8割近くを占めた。一方で、「どちらでもない」、「買い手市場(企業側有利)だった」との認識は少数にとどまっている。景気回復とともに様々な業種で新卒採用枠が拡大していることもあり、優秀な人材の確保が以前より困難になっている状況が伺えた。

 「売り手市場」と回答した企業の主な意見を見てみると、「競合先の採用人数枠が増え、複数の内定を獲得する学生も増えたため」(千趣会)、「景気回復で学生数が変わらないにも関わらず、他企業で新卒募集数が増加傾向。採用したいような優秀な学生は他でも内定をもらっていて人事の現場の実感としては売り手市場」(QVCジャパン)、「特に製造業の業績が上向き、理系学生が奪い合いになった」(ファンケル)、「エンジニアやデザイナー採用においては技術力の高い学生は引く手あまた。『技術力』というポイントを見る企業は年々多くなって来ているように思える」(Hamee)などがあった。一方で「買い手市場」との回答では「多くの優秀な学生に応募してもらえたので買い手市場だったと思う」(オークローンマーケティング)との意見があった。

 また、求める学生を獲得できる要因となった自社のアピールポイントとしては、「成長市場の通販業界で自社に幅広いフィールドがあること。若手時代から裁量権を持って仕事に取り組めること」(ディノス・セシール)、「アパレルや雑貨に関するモノづくりに携われる点。入社後の早期ステップUPの実例が提示できた点(昇格例や子会社取締役への登用など)」(スクロール)、「社内に小売りと放送、コールセンターやEコマースなど多様な部門で専門性の異なるスタッフが一緒に仕事に取り組むため、吸収できることが多い」(QVCジャパン)、「ベンチャー企業で共に会社を作っていくこと、事業やビジョンの共感、ブランド数を共に増やしたいなどベンチャーならではの体験が出来るところかと思う」(ロコンド)などの回答が見られた。

 採用者に求める資質については「対人資質(特にコミュニケーションスキル)、自分で考えて行動できる人材。なかなか推し量れないが地頭の良さも重要」(スクロール)、「事業創造熱と経営者視点」(フェリシモ)、「チャレンジ、スピード、クリエイトの3点につながるポテンシャルを一連の選考を通じて判断する。また、会社の今後の展開を踏まえ国際感覚や語学力などに強みを持つ人材」(ジュピターショップチャンネル)、「新たな価値を生み出せる人。考動する力、協働する力、継続する力を発揮できる人」(オルビス)、「eコマースの最前線で前例のないことにチャレンジするには、自ら高い目標を達成しようという志を持ち、目標達成のために周囲を説得し巻き込み、目標達成に向け諦めず最後まで走り切れる人が必要」(アスクル)という回答があり、強い主体性を持つ人材を求めていることが伺えた。



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