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通販各社のテレビCM、その狙いと効果は――斬新さ、ユニークさで成果

ヒラキさい.jpg通販企業各社のテレビCMが増加している。通販企業のテレビCM自体は珍しいものではないが、直近のCMを見ると過去にテレビCMを放映したことのない通販実施企業のCMが散見されるなど、「通販企業のCM」はこれまでと若干、異なるトレンドを見せているようだ。CMの内容もユニークかつ斬新なものが多く、それぞれ企業やサービス、商品の知名度アップや売り上げ増加に少なからず効果をもたらしているようだ。直近で放映した通販各社のテレビCMの中から、注目すべきCMについて狙いや内容、その効果について見ていく。(画像はヒラキのCM)
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 最近の通販実施各社のテレビCM(右表参照)を見てみると、各社によって目的や狙いは様々だが、これまでテレビCMの放映実績のないところのCMが目立つ。"テレビ離れ"といわれる昨今だが、やはりテレビのPR力はいまだ高い。消費増税などの影響などもあり、既存の新規開拓策では一定数の新客を開拓できなかったり、新たなチャネルでこれまでは獲得しえない層にリーチしたいという企業のニーズが顕在化していることも「CM初チャレンジ企業」が増えている要因の1つにあるようだ。そして各社は既存のCMに埋もれぬよう、また、視聴者の目を引き付けられるユニークかつ斬新な内容のCMを作り出している。

ネットで好きな靴を好きなだけ

1-3-2.jpg 靴の企画・販売事業などを手がけるヒラキもCM初チャレンジ企業の1社だ。同社でも消費増税の影響で既存顧客の節約傾向が強まる中、新規顧客獲得の目玉施策として初のテレビCMの放映を開始したという。「従来から活用していたチラシなど紙媒体による手法だけでは顧客に伝える効率が落ちてきた」(向畑社長)とし、主要ターゲットである若い育児世代に響きやすいテレビCMで、通販サイト単体を告知。CMでは「ネットで好きな靴を好きなだけ」というアナウンスの中で、ネット限定商品として販売しているキッズ用の「180円スニーカー(税込価格194円)」などの売れ筋商品を紹介。最後は「靴の通販サイト ヒラキ」の文字を表示して通販サイトの検索を促す内容となっている。

 まず10月4日~19日までの2週間に静岡県と福岡県で試験的に実施。期間中のサイト訪問者数は静岡県が前年同期比288%、福岡県が同373%と全国平均の同122%を大きく上回り、新規顧客獲得数でも静岡県が同409%、福岡が同418%となるなど大きな成果を挙げた。その後、11月8日~24日にも本拠地である関西地区限定で全170回程度のCMを放映。実店舗利用者も含めて通販サイトを利用したことがない層への認知度向上を図った。

 同社ではこれまでも新聞折込チラシで通販をPRしたことはあったが、カタログ請求の窓口案内などその告知内容は限られていた。しかし、今年春から新聞広告でも通販サイト限定のキャンペーン案内を始めるなど、現在は販促宣伝を通販に特化した内容にシフトしている。「ウェブ広告はそこまで効果が見込めないのでまだ行っていない。もちろんテレビCMについても紙と合わせた相乗効果だと考えている。初めてだからこれだけの成果になったが、今後拡大するかは費用対効果を見極めて検討したい」(向畑社長)としている。

映像美と関西弁でギャップ生む

1-4-2.jpg 婦人服通販のドゥクラッセも初のテレビCMを11月10日から3週間、関西エリア限定でカタログ掲載商品のテレビCMを放映した。新規顧客の獲得は新聞広告が中心だったが、新聞ではリーチできない層への認知向上につなげる。CMは「軽そうやな~編」と「ぬくそうやわ~編」の2種類で、どちらも尺は15秒。秋冬シーズン一押しの「イタリアン・エアーウールPLUSコート」に身を包んだ女性が雪景色の中で跳ねたり、コートに身を縮める映像がスローモーションで流れる中、「軽そうやな~」「ぬくそうやわ~」と関西弁のナレーションが入るというギャップが印象的なCMの出だし。別のナレーターが「冬暮らっせ、着暮らっせ、ドゥクラッセ」と続けるが、最後のカタログ請求画面では再び関西弁で、フリーダイヤルの後の番号「178―788」の表記に合わせて「イナハナハハ」と歌うように軽快な口調で締めくくる。フリーダイヤルの下に記した検索窓にも「イナハナハハ」を表示。あえて社名(ブランド名)や商品名にしないことで、テレビCMからのウェブ流入を見極める工夫も行っている。

 ウェブ上では、「イナハナハハ」の検索に対応したランディングページを用意。「そんな、夢みたいなコート、あるの。」というコピーとCMの画像を最上部に配置し、スクロールすることで当該商品の「軽さ」や「暖かさ」などの特徴を伝えるほか、1分の商品説明動画も配信している。同社では、「初めて『ドゥクラッセ』を知った人にも記憶に残るCMを目指した」としている。

ワンダーコアのCMに大反響

vlcsnap-2014-10-15-14h15m51s210.png オークローンマーケティングも今年に入り、テレビCMを強化している。テレビ通販大手として知られる同社の場合、「インフォマーシャル」は日常的に放映しているが、いわゆるCMはこれまで本格的には取り組んでこなかったものの、「インフォマーシャルをご覧になっていない顧客層へのターゲット拡大を狙う」(同社)ためにWEBや小売店舗、イベントなど統合的なオムニチャネル戦略の展開を今年は強化。その一環としてテレビCMの放映に着手した。CMでは視聴者の「検索」行動を促し、通販サイトや小売店への送客を図った。

 同社では俳優の梅宮辰夫さんを起用した「マジックブレット」のCMなど商品ごとにユニークなCMを複数、放映しているが中でもユニークなのが、5月から10月まで全国放映したフィットネス器具「ワンダーコア」のCMだ。

 俳優の宇梶剛士さんを起用して、倒れるだけで腹筋を鍛えることができるという「ワンダーコア」のコンセプトと商品名に割り切った訴求に加え、「倒れるだけで腹筋、ワンダーコア♪」という耳から離れないサウンドロゴが特徴的なCMで放映開始当初から大きな反響を呼び、大手仮想モール「楽天市場」の総合ランキングで8月から10月までに1位を4回獲得。また、CM好感度「流通・販売」のジャンルで1位(CMデータバンク調べ)となった。また、ウェブとの連動施策により、「ユーチューブ」でのCM再生回数は500万回を超えた。

 CM効果もあり、「ワンダーコア」の今年6~9月の当初見込みに対する販売数実績は200%となり、販売開始からの累計出荷台数は100万台を突破するなど一定の効果を上げているようだ。今後もネットや店舗など複数のチャネルでの売上拡大を目指すオムニチャネル戦略推進のため、顧客の反応を見ながら、テレビCMの放映を継続していきたい考えだ。

ダーマの売上げに明らかな効果

1-5.jpg ディノス・セシールでは10月8~22日まで、50代女性向けに展開する衣料品通販カタログ「ダーマ・コレクション」のテレビCMを放映した。テレビCM自体はこれまでも頻繁に放映しているが、カタログブランド単独の本格的な地上波でのCM放映は今回が初めて。9月下旬発刊の「ダーマ・コレクション2014冬号」で掲載するトレンチコートを着用したモデルの熊沢千絵さんが、冬号の特集企画の舞台となったハンガリー・ブタペストの街を颯爽と歩く内容で東京と福岡、北海道で放映した。ブランド構築と新規獲得を目的に行ったCM放映だったが「放映エリアでのダーマシリーズ全体の売り上げは前年と比べても明らかに効果があった」(同社)としており、一定の効果があった模様だ。

店頭客数が2倍に増加

1-6.png ハーバー研究所は10月17日から、2010年秋以来、4年ぶりにテレビCMの放送を再開させた。消費増税以降、消費が停滞する傾向があることから、ブランディングと新規客の獲得につなげたい考えのようだ。CMは主力の美容オイル「スクワラン」を訴求する内容で、従来からイメージキャラクターを務める女優の萬田久子さんを起用。CMに出演する女性同士でボトルを手渡しし、商品への思いをコメントしながら、オリジナルCMソングに合わせて生き生きと踊る内容で、美と健康を応援するブランドメッセージを発信することで認知度の向上を目指す。

 CM放送後、通販と店販で新規客獲得が好調に推移。通販では前年を上回る新規客獲得につながったほか、店頭の来店客数は約2倍に増加に貢献したという。

健食の安全性をピーアール

1-9.jpg 健康食品通販を行うインシップも8月から関東エリアで企業姿勢をピーアールするCMの展開を始めている。商品に関する情報を隠さず開示していることを訴求するもの。健食の安全性に関する消費者の関心が高まる中、これに応えることが狙い。

 インシップではこれまで健食の安全性について、独自の基準で対応してきた。商品情報は「5W1H」(どこで=主原料採取地、誰が=原料メーカー、なぜ=会社存在の意義、いつ=製造年月日、何を=主原料、どのように=製法・提供方法)という独自の手法で開示。商品開発も「自分の子供の口に入れてもよいか」を安全基準の一つにする。

 食品の加工地ではなく、「採取地」を開示したり、製造年月日の表示は、業界でもあまり見られない取り組み。商品は国内で加工すればすべて「国産」表示となるが、「消費者が本当に知りたいのは、その原料が"どこで採れたか"ということ」(同社)といった考えに基づき開示する。ただ、企業認知度が低いために競合他社との競争に負け、「悔しい思いをすることがあった」(同)という。CMでは、「5W1H」の取り組みなどを訴求。企業や自社のキャラクター「ツボくん」の認知向上を図っていく。8月にテレビ東京で放映を始めたほか、11月にはテレビ朝日(いずれも関東ローカル)でも放映を始めている。商品広告でないため売り上げへの影響は限定的とみる。ただ、CMをきっかけに購入につながる顧客もおり「商品を購入していてよかった」などの声が多く寄せられているとしている。

ネットで獲得できない層へアピール

1-7.jpg モバイル関連事業を手がけるクルーズは10月25日から11月中旬まで、ファストファッション通販サイトの「SHOPLIST.com by CROOZ(ショップリスト)」のPRのため、初のテレビCM(画像)を放映した。CMは15秒と30秒の2種類で全国で放映。モデルの今井華さんと宮城大樹さんの掛け合いで若者の何気ない日常を表現しながら、流行のアイテムを手軽に購入できる様子や同サイトの特長、魅力を伝えた。

 狙いはこれまで主体としていたウェブプロモーションで獲得できなかった層にリーチすること。「新規顧客の獲得もさることながら(CMは)コンバージョン率が当然上がる。通販は商品が届くか届かないかも含めて信用が一番大事なので、CMで一定の安心感を担保できる」(同社)とする。細かい成果は集計中だが、CMの放映期間中は数十万人規模の新規顧客を獲得し、顧客層の幅も広がっているという。

 なお、CMに使用した動画素材はユーチューブでも公開。加えて放映期間中に無料通話アプリの「LINE」に公式アカウントを開設し、セールやキャンペーン情報などを定期的に配信。期間限定で開設記念キャンペーンも行い、本アカウントを「友だち追加」した顧客全員に同サイトで使えるクーポンを付与。CMと合わせてネットでのPRも拡充することで、サイト送客や購入頻度の向上につなげているようだ。

グラムール再.png 招待制フラッシュセールサイトを運営する大手3社も相次いでテレビCMに挑戦している。「グラムールセールス」を運営するGLSジャパンは11月17日から関東エリアでスタート。タレントのYOUさんと俳優の斎藤工さんを起用し、斎藤さんが今年話題になった"壁ドン"をしながら「YOUさん、1日中ずっと考えちゃうんですよ。こんなにハマったの初めてです」と打ち明ける内容とYOUさんが「工くんに内緒で教えてあげる」と"逆壁ドン"をするパターンを放映。最後に「365日、おトクが見つかるショッピングサイト『グラムールセールス』」で締めくくる。B4Fも、通販サイト「ブランズフォーフレンズ」を11月4日に「ミレポルテ」に名称変更したのに伴い、同月17日からテレビCMを開始。CMはアニメーションを使い、「最近の彼女はみんながショップ巡りをしている間に『ミレポルテ』を優雅に楽しんでいる」というナレーションが入る。

1-8.png また、高級ブランドを中心に期間限定、会員限定で販売する事業モデルを日本に持ち込んだギルト・グループも、12月1日から「ギルト」のテレビCMを福岡県の3局(福岡放送、毎日放送、九州朝日放送)で放映。CMは15秒だが、BSとCSの一部チャネルでは30秒バージョンンを流す。内容は米国のCMを日本向けにアレンジしたもので、タクシーに乗った女性が車内で着替え始め、「おしゃれな人には秘密がある。ラグジュアリーブランドをこんなに着回しできるのは、お得な会員価格だから」というナレーションが入る。

cm_img3.jpg このほか、ネット関連企業ではヤフーが11月22日から、運営するネット競売事業「ヤフオク!」のテレビCMの放映を開始。アイドルグループ「でんぱ組.inc」の夢眠ねむさんを起用し、「ヤフオク!」で12月から行うセールの目玉企画である「1円スタート」の告知や豊富な品ぞろえなどを訴求する3タイプのCMを全国の主要都市で12月8日まで放映している。CM放映に合わせてSNS上でCM使用グッズを夢眠ねむさんのサイン入りでプレゼントするなどでPR効果を高めているよう。インパクトのあるCMでネット上の反響も高く、集客面で一定の効果が出ている模様だ。

 テレビCMは短期間で多数のリーチできることが最大の強み。広告費は安くないものの、上手に使えば効果的だ。費用対効果を見ながらも通販各社の活用シーンは今後も増えそうだ。

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