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【主要各社の秋商戦の状況】 落ち込んだ消費回復せず苦戦か

WS000009.JPG 「各社の秋商戦はやや苦戦か」──。
 有力通販実施企業各社に今年の秋商戦の状況について聞いたところ、増税後に落ち込んだ消費が回復しきっていないことなどから、多くの企業では前年同期比で苦戦しているようだ。今年は比較的残暑の影響が少なく、特に8月末に秋商戦をスタートする企業にとっては有利な状況だったものの、思うように売り上げは伸びていないようだ。一方で、大手仮想モール運営各社では、大型セールの実施やハロウィン需要の取り込みなどが奏功し、流通額は伸びているもよう。今秋商戦における好調・不調な商材ジャンル、売れ筋商品などを通じて各社の状況についてみていく。



【秋商戦の動向】
横ばい、伸び悩みが多数


 主な通販各社の秋商戦は、おおむね横ばい、もしくはやや苦戦しているようだ。

 千趣会では、7月後半から秋商戦の商品展開を開始。8月初旬から中旬にかけて気温が高かったことなどから、立ち上がりは前年よりもやや鈍かったという。秋商戦は、7、8月の立ち上がりがやや振るわなかったが、11月に販促を集中し、前年並みの売り上げを見込んでいる。

 ディノス・セシールは、ディノス事業が7月18日から、セシール事業は7月1日から秋商戦を開始。新規媒体の「ダーマ・プレミアム」とテレビ通販が好調に推移しているディノス事業はやや良いものの、セシール事業は横ばいという。

 ベルーナでは、例年通り8月下旬から秋物商品の販売を開始。客単価は上昇基調にあるが、若年層媒体の縮小で売り上げは若干のマイナス基調に。ただ、ミセス系媒体は堅調に推移。秋の立ち上がりは気候の影響もあり堅調に推移したが、中盤から失速。しかし、足元は回復基調にあるという。

 F1層向けアパレルカタログ「ラプティ」を休止したスクロール。シニア向けカタログ「ブリアージュ」に注力する形となったアパレル部門は9月中旬より、雑貨部門は9月末よりネット販売を開始した。シニア向けの新規顧客獲得が順調に推移したアパレル部門は前年同月よりも良いものの、単価が下落した雑貨部門はやや悪い状況だ。

 フェリシモは、8月上旬より9月上旬にかけて秋冬カタログの配布を開始。客数は減っているが、単価が上がっていることから、売り上げは「今のところ横ばい」(フェリシモ)とする。

 三越伊勢丹通信販売は、8月18日に初秋号を発刊。寝具や家具・家電は客単価の変動はなかったが、販売数量が大幅に減少したことなどから、「前年同期に比べるとやや悪い」(三越伊勢丹通信販売)という。全体が苦戦する中で家庭生活雑貨は健闘。「増税以降はやっとここまで回復した感がある」(同)。

 高島屋は8月下旬から秋商戦をスタートしたものの、主力の婦人アパレルが不振で厳しい推移となっている。

 日本生活協同組合連合会(日生協)では、例年通り8月初めから秋商戦の商品展開を始めた。これまでの状況としては、「前年の秋商戦と比べていい」(日生協)という。好調要因について日生協では、カタログの商品掲載面積をやや増やすとともに効率化を図るなど、売り場の見直しが奏功しているほか、「気候影響が昨年、一昨年に比べて明らかに追い風になっている」(同)としており、アウター衣料が好調に推移している。

 JALUXは、9月初旬より秋物の販売を開始。昨年は9月中旬のダイレクトメール発行たったが、9月初旬に発行時期を変更した。昨年実績のあったアパレル、バッグの売れ行きがいま一歩だった影響で、前年同期よりも伸び悩んでいる。


【現在の景況感】
「良くない」が大勢占める


 4月の消費増税から半年あまりが経過したが、通販各社は現在の景況感をどう捉えているのだろうか。
 アンケートでは厳しく捉えている企業が多く、「(駆け込み需要の反動などの)影響は薄れてきているが、完全に回復していない」との見方が大勢を占めた。また、増税後の消費行動の変化を指摘する声もあった。
 千趣会は「上期よりは影響が少なくなってきているものの、いまだ回復しきれていないと思われる」とする。直近の冬商戦については、前年並みで推移しているという。
 ディノス・セシールでは「個人消費は弱い動きがみられるものの、駆け込み需要の反動は薄れつつあり、緩やかな回復傾向にある」とみている。冬商戦に関しては「まだ判断できる状況にはない」(ディノス・セシール)。
 増税よりも気候の影響を重くみるのはベルーナ。「消費税の影響よりも気候の影響によるブレの方が大きい」(ベルーナ)。冬商戦については、パイロット版は好調に推移している。
 スクロールは「高価格帯商品へのお客様の反応が芳しくないことから、良くなっている印象はない」とする。冬商戦については、秋と同じく、アパレルは前期よりも良く、雑貨はやや悪いという状況が続いている。
 フェリシモでは、「情報技術の発達で、誰でもが商品の売買ができるようになった。そうした状況の中で商品を売っていく必要ある」とした上で、「景況に関わらず、物欲そのものが低減しているように思う」とみており、景気云々というよりも、消費者の選択肢が広がる中で、自社商品がアピールしていく難しさが根底にあるとする。
 三越伊勢丹通信販売では、「通販は店舗に比べ回復が遅い、特にシニア層は厳しい」とする。シニア層については、増税後は以前より価値と価格にシビアになったとみる。
 同社では、4月以降一時的に顧客が減少したことも加えて、秋商戦の売り上げは前年並みとみているが、冬商戦については「11月からが本番」(三越伊勢丹通信販売)としながらも、10月中旬からの冷え込みがプラスに作用しているという。
 日生協では現在の景況感について、消費税増税の影響で「徐々にボディブローのように悪化していると感じる」と指摘。増税直後はまだ消費に勢いが残っていたが、増税の影響が実感され始めた6月頃から悪くなってきている感触があるとしている。
 すでに冬商戦も始まっているが、「立ち上がり悪くない」(日生協)としており、今秋冬商戦は、このまま"やや良い"感触で着地すると予測。売り上げについては、前年比107%程度を見込む。
 JALUXでは、昨年好調だった高価格帯の商品や趣味し好の強いアパレル・バッグの売れ行きが低調。その反面、定番ブランドのシューズ、アパレルは比較的堅調に推移しているという。
 そのため同社では「お客様の商品を選ぶ目が厳しくなってきており、その時々に本当に必要なものを購入しているように思われる。消費税増税により、お客様の購買行動に変化が見られてきたのでは」と指摘する。


1-2.jpg【今秋のヒット商品】
SNSで話題の商品も


 千趣会で好調な動きを見せているのが機能ブラやあったかアウター、綿混発熱インナーの「ホットコット」、冷え対策の工夫を盛り込んだパジャマなど。アウターや「ホットコット」に代表される"あったか商品群"は基幹ファッションカタログの巻頭および巻末で特集を組むほか、ネットでもトップページで訴求しており、好調な要因は独自性や新規性が評価されていることと分析。このほかにベビーアウターでも主力の「GITA」で値ごろ感のある品ぞろえとしたことが奏功し、順調に推移している。

 また、ファブリックや家具、家の中で冬場を快適に過ごすための"あたたかアイテム"にも動きが見られるが、特に好調なのが敷物とクッションを一体化させた「ダブルコーナークッションセット」「コーナークッションセット」。昨年の展開で、こたつと一緒に使うとこたつから抜け出せなくなる"ダメ人間ホイホイ"としてSNSで話題となったもので、今年はふわふわタイプを投入するなど商品力を強化し、引き続き売れているという。同じく"あったかアイテム"の「うたたねクッション」もSNSで"マジ寝クッション"として話題となっており、計画の倍以上の売れ行きだ。

 ディノス・セシールのディノス事業では、高価格帯ファッションが堅調、寝具も持ち直しの傾向にあるという。60代女性をターゲットとして創刊した衣料品カタログ「ダーマ・プレミアム」がけん引。60代を意識した軽い素材やゆったりめの縫製とした着心地の良いものやグレーなど顔映りの良い色あいの衣料品を選び、掲載したカタログだ。一方、セシール事業は今年秋商戦から投入した新商品を中心に、ブラジャーが好調。楽な着け心地、バストがきれいに見える機能、快適機能を兼ね揃えた新商品が売れているという。

 ヒット商品としては、ディノス事業では、ダーマ・プレミアムに掲載した「SAGAシルバーフォックス使い キルトダウンコート」が、セシール事業では「セシレーヌ」に掲載した「フルサイズブラ」があげられる。

 1-3.jpgベルーナでは、ミセスアパレル・服飾雑貨は堅調に推移したものの、若年層アパレル・インテリアは、媒体の縮小もありやや苦戦した。前者については、取り組みとして構成比を上げている中~高単価商材の動きが堅調だった。一方、若年層に関しては、媒体縮小による品揃えの減少により、ネットが苦戦した。 

 ヒット商品は「京華こだわり総牛革かばん」と「ポカポカすっきり!あったか裏ファーパンツ」。京華こだわり総牛革かばんは、上品でソフトな風合いの皮革の「姫路レザー」を使っている。あったか裏ファーパンツは、毛布を履くような感覚の温かい肌触りだけではなく、全方向ストレッチ素材を使用しており、動きやすさも兼ね備えている。

 1-4.jpgスクロールは、羽織物やソファ、カーテン、キッズ商材が好調な一方、スカートやベッド、こたつ関連商材が不調。理由は「現在分析中」(スクロール)という。シニア向けカタログ「ブリアージュ」では、「ペプラムシルエットシャツ」が好調だ。

 フェリシモでは、ネコによる引っかき傷を隠すばんそうこう「にゃんそうこう」や、ブラジャー上辺にネコ耳、ショーツには取り外しできるしっぽを付けた「にゃんこのショーツ&ブラ」などがヒット。オリジナル度が高く、他社と差別化できているのがヒットの要因だ。商品がネットニュースで取り上げられ、SNS等で話題になり、テレビの情報番組で紹介され、それがまたネットで取り上げられ、という良い循環が生まれているという。

 三越伊勢丹通信販売は、紳士用品・婦人用品・服飾雑貨等ファッション関連は回復傾向だが、引続き宝飾品や寝具・家具・家電苦戦、食品は横ばい。ただし、アパレルの回復傾向は「カタログ発刊と同時に気温が一時的に下がったことが要因と思われるので、今後楽観はできない」(三越伊勢丹通信販売)とする。

 9月に発刊した「定番物語」に掲載した、税込30万7800円の「ラタンベッド」が1カ月で50台受注を達成。家具全般は苦戦している中で、テレビCMとカタログを連動させ商品の価値・本物の良さを伝えることができたことが要因とみている。

 日生協では、全般的には目立って売れている商品はないが、こだわり・良品系の雑貨にも動きが見られるという。一方で、寝具関連は、価格訴求型の商品が売れていないこと、新商品が少ないことなどから低調だとする。

 JALUXは、レディースシューズ、レディーストラベルファッションは好調だったものの、レディースアパレル、メンズアパレル、レディースバッグは苦戦。リピーターがついていると思われる定番のブランドを中心に、レディースシューズ、ファッションは堅調に推移。しかし、発行日を前倒しした影響もしくは、天候のためか、今まで好評を得ていたオリジナルのコート、ジャケットなど晩秋から冬ものの動きが鈍い状況だ。

 らでぃっしゅぼーやでは、「みんなの健康を考えた野菜たち」(税込200円)がヒット。9月30日に行われた、NTTドコモの新商品発表会で紹介されたことや、銀座松屋・ころくやにて取扱いを開始したこと、アマゾンでも同社専用ページを開設し、取り扱いを開始したことが売れている要因とみている。


1-5.jpg【仮想モールの状況】
増税の影響少なく好調、「ハロウィン」需要取り込む


 各仮想モールでは9、10月にイベントやセールなどを実施。10月31日のハロウィンに向けた取り組みなども奏功しているようだ。

 楽天の「楽天市場」では、9月に実施した「お買い物マラソン」が好調に推移。グルメ商材を取り上げた「秋の収穫祭」という新企画と連動したことにより、新規ユーザーやライトユーザー層の購買が伸長した。

 商品別では、ハロウィンイベントの国内での定着により、9月から10月中旬にかけて、例年以上にハロウィン用コスチュームの需要が高まったという。女性や子供向け商品の種類が豊富なことから「コスチューム=ネットが便利、と定着しているのでは」(楽天)とする。

 また、iPhone6シリーズ発売以降、iPhoneケースの販売が好調で、9月から10月中旬は前年同期比80%増で推移。その他、レイコップやダイソンといった、コードレス式、ハンディタイプの掃除機のニーズが高いという。

 最近のヒット商品として挙げられるのが、自宅で簡単にできるトレーニングや美容ケア商品。オークローンマーケティングの腹筋器具「ワンダーコア」、MTGが販売する顔の筋トレ器具「PAQ」が売れている。

 ヤフーの「ヤフー!ショッピング」の秋商戦は、前年同期比で伸びている。同社では「昨年の同時期は『eコマース革命』発表前後であったため、今年はその効果が現れてきた」と分析。出店店舗の負担費用を減らしたことで、店舗からユーザーへのポイント還元が進んでいるという。また、10月前半のホークス優勝キャンペーンも好調だった。

 好調カテゴリーは、家電、DIY、レジャー、スポーツなど。不調カテゴリーは、化粧品、家具などで、後者は前年比増となっているものの伸びが小さく、増税の影響を引きずっているようだ。

 直近の景況感については「増税の影響は薄れてきており、年末商戦は大きな期待を持っている」(ヤフー)とする。

 DeNAの「DeNAショッピング」の秋商戦の流通額は、前年同期と比較して伸びた。大型セールイベントを9月末に実施。ファッション店舗と家電店舗で型番商品が伸びて全体をけん引したことや、ファッション領域、グルメ領域で、季節需要を取り込んだことが成長の主な要因だ。

 ファッションにおいては、ヒザ下丈のスカートでコーディネートを作るトレンドが強く、スカートなどボトムス系が好調だったが、丈が長めのブーツは不調だった。また、モール内会場などコンテンツのリッチ化と早くからの訴求が奏功し、ハロウィン需要を取り込むことに成功。商材別では人気ゲーム「妖怪ウォッチ」関連商品が大ヒットしている。

 景況感については「4、5月は一定の影響があったが、現在は特に影響はない」(DeNA)とする。

 リクルートライフスタイルの「ポンパレモール」は9月から10月にかけて、前年同期比で4~6倍の成長を達成。モール自体が拡大しているほか、新規ユーザーのみならず、リピーターの動きも活発化している。

 9月末に「秋のポンパレモールフェスティバル」を実施。季節のイベント関連グッズ、ファッション、食品、が売れた。同社では「企画に参画することで大きく売り上げを伸ばし、さらに積極的になるという良い循環に入る店舗が増えている」と分析する。

 商品別では、ハロウィンやパーティードレスなど、季節イベントに関連する商品が大きく伸びており、特集ページや集客対策を早くから実施してきたことが奏功したようだ。

 景況感について同社では、「消費者の財布の紐が固くなることで、逆によりお得に買おうというニーズが強まった」とみており、「中でもポイント還元率の高いポンパレモールが注目されているのでは」とする。






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