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ファンケル「予防医療」に本腰、遺伝子検査事業に参入、付加価値戦略で「個客」対応強化へ

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ファンケルが予防医療への取り組みを本格化する。通販や直営店を介して遺伝子検査が行える簡易キットを提供する「遺伝子検査事業」に参入。検査結果に基づき、健康指導や健康食品の提供を行っていく。個々の顧客の遺伝子や体質を把握した上で最適な商品、健康サービスを提供することで、単に商品の販売に留まらない「付加価値戦略」に舵を切る。

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事業は、既存の健康食品事業と並び、2本柱として育成を目指すもの。今年4月、持株会社制への移行により設立したファンケルヘルスサイエンスで展開する。

 今の健食市場では、自分にとって本当に必要な成分が分からないまま摂取している消費者も多く、健食のセルフ販売には限界がある。個々の顧客の体質や生活習慣を理解した上で必要な食事や運動などの健康指導、健食を提供するため、人によって異なる固有の遺伝子を把握できる遺伝子検査が有効と判断した。

 遺伝子検査は、50歳以上の中高齢層をターゲットに展開する。池森賢二会長が私費を投じて設立した予防医療の専門クリニック「健康院クリニック」(東京都中央区)の医師の監修の下で実施。検査キットを通販や直営店で提供し、遺伝子検査から生活習慣病の発症リスクを解析、食事や運動など生活習慣の改善のアドバイスを含めたレポートを作成する。

 ファンケルヘルスサイエンスではこれを受けて、個々の顧客の体質にあった生活習慣の改善の提案や、専用の「生活習慣サプリメント」シリーズを提供する。健康指導は、医療機関における専門カリキュラムを修了するなど、独自に育成した健康カウンセラー(10月時点で約200人)が対応。より詳細な指導を求める顧客に対しては「健康院クリニック」を紹介する。今後、提携医療機関も増やし、全国で顧客対応が行えるようにすることも検討する。

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 検査キットは、サインポストが提供するものを使う。サインポストの提供する遺伝子検査は、多くの日本人データに基づいて評価することが特徴。ファンケルではその中から、独自の研究結果を踏まえ、重要度が高く、科学的根拠が十分なもののみを展開していく。

 検査メニューは、「肥満」「インスリン抵抗性(インスリンが働きにくくなった状態)」「体内老化(酸化・糖化)」の3つの基本項目と、生活習慣に関わるリスクを知ることができる6つのメニューからなる。保有する遺伝子や日本人の保有率、遺伝子から想定されるリスクの程度、推奨される栄養成分やライフスタイルが分かる。

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 検査結果に応じて提供する専用の健食は、動脈硬化など血管へのリスクに対応した「PSG」、糖尿病などへの対応を目的にした「還元型ケルセチン」、脳の老化に対応した「フェルラ酸」、認知症への対応を目指した「α―GPコリン」、骨や関節への対応を目的にした「ロイシン」の5種類。価格帯は9180円~2万7000円(税込)。セルフでの購入を前提に、成分の配合量を抑えた従来の健食と異なり、それぞれの顧客への最適な健食の提供を見据え、機能性成分を高配合している。

 また、商品を定期購入する顧客は新たに立ち上げる「グッドエイジング倶楽部」で囲い込み、健康カウンセラーによる継続的なサポートを行うほか、生活習慣病に対応した健食の割引価格での提供、専用の季刊誌の発行、提携医療機関での検査やサービスの優待などを行っていく。

「遺伝子検査」の市場は?

「消費者のニーズはあるが、(売り上げの)数値目標を明らかにできないのも実際やってみなければ分からないというところが本音」。池森賢二会長は、予防医療事業の核となる遺伝子検査についてこう見通しを語る。ファンケルでは、新事業の目指す規模について、「17年度に数十億円規模」と話すに留めるが、実際、どの程度の顧客獲得につながるかは不透明な部分が多い。

 通販事業者を中心に展開される今の遺伝子検査市場は、大きく2つに分かれる。一つは、検査する遺伝子の対象を絞り、安価な価格で検査キットを提供して商品の販売につなげるタイプ。もう一つは、網羅的な検査で疾病に関わるあらゆる将来リスクを予測し、顧客に検査結果と商品を提供するタイプだ。

 前者の取り組みがみられるのは、ディーエイチシー(DHC)やドクターシーラボなど。いずれも「肥満」に関連する遺伝子を検査するキットを提供しているが、DHCは5400円(税込)、ドクターシーラボは8424円(同)と手頃な価格で提供している。検査結果から顧客の肥満体質を4つの型に分類。体質にあった食事や運動、健食をアドバイスするという流れだ。

 一方、森下仁丹が提供する検査キットは6万4800円(同)。前の2社と比べると明らかに高額だが、肥満遺伝子のほか、老化に関わる遺伝子や高血圧リスク、糖尿病リスクにつながる遺伝子など、約50種類の遺伝子を検査できることを特徴にしている。ファンケルの検査キットは、単品メニューで1万4800円(同)、セットメニューで2万9800円、後者の部類に入る。加えて、商品の価格帯も従来の健食と比べて高額になる。「価格破壊」で健食の低価格化を浸透させたファンケルだが、予防医療事業では、付加価値戦略へ大きく舵を切った印象を受ける。

 「予防医療」を捉えた時に、肥満一つで語るのは不十分であり、ファンケルの遺伝子検査は"本物志向"であることをうかがわせる。健食事業でも「体内効率」を重視する姿勢には同じスタンスを感じる。

 ただ、「ダイエット」という"分かりやすさ"や低価格で訴求する企業と比べると、顧客にとって利用のハードルは高くならざるをえない。健食において錠剤の崩壊性や体内効率の重要性の認識が、専門家や業界関係者に留まるのと同様、遺伝子検査の正確な理解の浸透にも時間がかかる。選りすぐった検査メニューや独自の遺伝子解析で差別化を図るが、消費者からの見え方という点では、検査の質を区別できるほど浸透しておらず、埋没する可能性もある。

 ファンケルでも、普及に向けてマス広告による大々的なプロモーションは予定しておらず、消費者向けに「予防医療セミナー」を実施するほか、他社が行う健康関連のセミナーとも連携して着実な浸透を図る。

 ディー・エヌ・エーやヤフーなどネットインフラを活用して検査キットの提供や健康指導を行う企業も出てきたが、ファンケルの強みはこれまで培ったノウハウを活かし、最適な健食の提供まで落とし込んでいる点。医療機関や健食企業単独ではできない新たなモデルを構築し、予防医療の先駆者となれるか注目される。


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