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スクロール  F1層向け衣料から撤退、基幹カタログ「ラプティ」休刊

 1-1.jpgスクロールは9月をもって、基幹の衣料品カタログ「ラプティ」を休刊した。1987年に創刊した同カタログは、F1層を主力顧客とする同社にとっては「顔」といえる存在だったが、わずか15年で売り上げは10分の1にまで落ち込んでいた。これにより、同社はF1層向けの衣料品通販から、事実上撤退することになる。今後の個人向け通販では、12年に開始したシニア向け衣料品事業や、「豆腐の盛田屋」などの単品通販に注力していく。

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 「弓折れ矢尽きたということだ」。
 
 堀田守社長は、ラプティ休刊に至った現在の心境をこう表現する。つまり「手は尽くしたが、これ以上はどうすることもできない状況だった」というわけだ。
 
 スクロールではここ数年、ラプティの改革を進めてきた。2010年には、F1層にターゲットを絞った「SPA(製造小売業)通販」の構築を目指し、カタログの企画から販売までの期間を、従来の約半分となる5カ月に短縮。商品企画のスタートが他の小売りよりも早いのは、カタログ通販の特殊性であり弱点ともなっているが、開発期間を短くすることで、トレンド性の高い商品を短期間で投入できるようにした。さらには、売れ筋商品を発行から短期間で見極め、売れ行きの悪い商品は早めに処分価格とすることで、発注した商品を早期に在庫ゼロにする体制とした。
 
 「効率が良くなったことで収益性が改善し、成果が挙がったかのように見えた」(堀田社長)。しかしそれもつかの間、スマートフォンの急速な普及など、市場が大きく変化する中で、「状況が厳しさを増した」(同)。
 
 根本にある問題は、価格競争の厳しいネットにおける同社ブランドの「訴求力不足」だ。同社では、カタログの部数を削減して販促費を減らし、ネット販売への置き換えを進めてきた。カタログ配布に関する費用を減らすことで収益改善を目指してきたわけだが、ネット経由の受注比率こそ伸びていたものの、実際には同社のカタログを見て、注文はネットでするという消費者が多数を占めていた。ネットでの新規獲得ができず、ラプティの売り上げそのものは大きく減少していった。
 
 11年9月には、ネット販売限定の新ブランドとして「KOAST.(コースト)」を立ちあげたものの、1年後の12年8月にはサイトを閉じている。イベントへの出演やテレビ番組でのPRなどを行ったものの、消費者にブランドは浸透せず、サイトへの来訪者・売り上げともに伸び悩んだ。堀田社長は「富士山の頂上で店を開いたようなもの」と振り返る。

 かねてより、ネット販売を効率良くポイントが攻められる「空中戦」、カタログ通販を物量で攻めることができる「地上戦」と評してきた堀田社長。ネットでのブランド確立に失敗した同社は、「総合通販会社はカタログありきでブランドを確立しており、カタログを支えるのがネットという認識に立つ必要がある」(堀田社長)として、12年5月にラプティを刷新。衣料品ブランドのチーフデザイナーを手掛けた経験のあるディレクターを起用。販促費も投入し、消費者に訴求力の高いブランドの確立を目指した。

 しかし、こうした取り組みも大きな成果を挙げることはできなかった。売り上げも近年は20億円を割り込んでおり、13年度の同事業の受注金額は16億円弱で、1998年度の約157億円と比較すると、ほぼ10分の1にまで落ち込んだ。利益面でも、ここ数年は赤字に。カタログの発行部数は98年度の年間970万部に対し、13年度は同350万部であることを考えると、販売効率が大幅に悪化し、固定費が重くのしかかっていることが分かる。


シニア向けは好調

 こうした中で同社は、ラプティ休刊を決めた。堀田社長はその理由について「商品企画どうこうではなく、これ以上続けても問題は解決しない。ネット世代に向けてカタログを配り、ネットで注文を受けるというビジネスを維持するのは無理だと判断した」と話す。ラプティは、同社通販事業のシンボルともいえるだけに、存続を図るため「可能性がある限り改革を進めてきた」(同)というが、ついに打つ手がなくなったわけだ。

 9月29日をもってカタログを休刊するとともに、オフィシャルサイトを終了。今後はメーンの通販サイトとなる「スクロールショップ」内にラプティのページを設ける形とした。カタログについては、子育て世代の女性をターゲットとした生協向けのものを発刊し、「ラプティ」のブランドを引き継ぐ。これに伴い、ラプティの担当ユニットは生協事業部に移籍。商材は子育て世代を意識したものに変更、スクロールショップ内のラプティページで販売する商品についても同様とする。

 これまでのラプティの顧客について、今後の接点はネットのみとなるが、新ラプティは子育て世代が対象となるため、顧客層はあまり重ならないことが予想される。既存顧客に対し、スクロールの持つ別のブランドの商品を販売していくことはないのか。

 堀田社長は「ラプティの顧客は必然性があって商品を購入しているのであり、スクロールという会社の顧客ではないので、家具のカタログを送ったとしても、採算が取れるような売り上げにはならないだろう」と否定する。消費者の好みが多様化し、それに応える商品や売り場が多くある中で、これまで通販会社が得意としてきた「保有する顧客リストに向けてさまざまな商材を提案する」というやり方は成り立たなくなっている、というわけだ。

 また、インナーカタログ「マーブル&マーシュ」もラプティ同様に休刊し、オフィシャルサイトを閉鎖。こちらもスクロールショップ」内にマーブル&マーシュのページを設け、インナーなどを販売するが、ブランドを引き継いだ生協向けのカタログは発刊しない。

 今後、同社が発行する個人向け通販のカタログは、家具・雑貨の「生活雑貨」と50代以上のミセス層をターゲットとした衣料品カタログ「ブリアージュ」の2誌となる。

 1-2.jpgF1層向けの衣料品通販からは事実上撤退することになるが、今後、特に期待するのはブリアージュ。「F1層にカタログを送っても見向きもされないが、シニア層はこれまで培ってきた、従来型通販のノウハウが通用する」(同)。受注は電話やファクスが中心で、ネット受注の比率は20%に満たない。そのため、同社のコールセンターを活かした販促なども期待できるわけだ。

 13年度のブリアージュ売上高は10億円で、アクティブ顧客は約10万人。今期の売上高は20億円を見込んでおり、昨年度のラプティ売上高を上回る計算だ。


単品の成長カギ


 総合通販企業はこれまで、衣料品や家具などで「値ごろ感」を打ち出すことで店舗への優位性を保ってきたが、SPA(製造小売業)の発展はこうした優位性を完全に失わせた。同社は今回のカタログ休刊で、看板事業から事実上撤退することになったが、これは総合通販が消費者から「選ばれる」のが難しくなったことを如実に示している。

 今後については、シニア向け事業とともに、化粧品・健康食品通販の強化を打ち出している。ただ、単品通販については投入した販促費ほど伸びていないとみられ、同社が目標としている「連結売上高1000億円」達成への道のりは遠くなっているのが実情だ。通販支援事業やAXESなどのネット専業子会社は好調だが、競争の激しい単品通販でどこまで存在感を示せるか。正念場といえる。




【堀田守社長に休刊の真相を聞く】
「弓折れ矢尽きた」──ネット世代にカタログ、成り立たず

 スクロールの堀田守社長に、ラプティ休刊に至る経緯と、今後の個人向け通販事業などについて聞いた。


──休刊に至るまでの経緯は。
 
 「ラプティはムトウ時代から今に至るまで、通販事業のシンボル。普通のブランドなら、とうの昔にやめているが、それだけ皆が思い入れを持つブランドだった。さまざまな改革を実施してきたものの、最終的には、ネット世代に向けてカタログを発行し、ネットで注文を受けるというビジネスモデルは成り立たないという結論に達した。言うなれば『弓折れ矢尽きた』ということだ
 
──手は尽くしたが業績は回復しなかった。
 
 「ラプティがターゲットとするF1層は、言うなれば囲い込みのできない世代。そこに対して、カタログ発行という重い投資を行い、ネットという過当競争の場で刈り取るというやり方は難しく、壁は乗り越えられなかった。カタログを出さないと集客できないし、受注につながらないのに、実際の受注媒体はインターネットというやり方は、ビジネスモデルとしては矛盾があるように思う。例えばシニア向けのブリアージュであれば、基本的にはカタログで完結するわけだ
 
──対してブリアージュは好調だ。
 
 「今期の売上高は20億円を見込んでおり、昨年度のラプティ売上高を上回りそうだ。アクティブ顧客も17~18万人となりそう。立ち上がりから2年目ということを考えれば、非常に順調といえるだろう
 
──今後、シニア向け事業は100億円規模まで拡大を見込むのか。
 
 「まだ分からないが、1つのカタログでそこまで成長するのは難しい状況だと思う。ブリアージュは限定された商品やカタログを展開しており、今後家具や化粧品などを追加していく可能性もあるが、今の延長線上では50億円くらいが限界ではないか
 
──集客は紙媒体の広告がメーンなのか。
 
 「新聞広告からの流入が非常に大きい。従来型のカタログビジネスが展開できている。われわれが得意としてきた通販の世界が、シニア向けには残っている
 
 「今後の通販事業は、顧客層や取扱商材にあった媒体やツールを選んで展開していく。シニア層であればカタログが中心だし、F1層に対してはカタログを配ってもビジネスが成立しないので配布しない
 
──化粧品・健康食品の単品通販事業にも力を入れている。
 
 「化粧品の『豆腐の盛田屋』については、売り上げ自体は伸びているが、販促費をかなり投入している。単品通販については販促や商品の良さだけではなく、"偶発性"が求められると思っている。何かのきっかけでコンテンツが当たったときには、爆発的な伸びを見せる。例えて言うなら太平洋で魚釣りをしているようなもので、健康食品の北海道アンソロポロジーも含めてまだ"当たり"がない状況だ
 
──ネット専業子会社、化粧品のイノベートやブランド品販売のAXESの現状は。
 
 「イノベートはやや頭打ちだが、AXESは非常に好調だ。今期の売上高は50億円近くを見込んでいる。品揃えや仕入れ力の強化をベースに、価格訴求などの販促がうまくいっている

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