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ドクターシーラボ、復調の兆し  消費増税前の駆け込みで

 1-1.jpg他社の業績が伸び悩む中、破竹の勢いで業績を伸ばし続け、ついに2年前には年商400億円目前まで迫ったが一転、前々期(2013年7月)は美顔器の不当表示問題などに起因してその勢いは急ブレーキ。同社の売り上げを支える通販の優良顧客の離脱などにより、株式公開以来、初の減収と苦境に立たされることになった。正念場となった前期(2014年7月)の状況はどうなったのか。また、今後のドクターシーラボの行方とは。(画像は昨年のリニューアルで大きく売り上げを伸ばした「アクアコラーゲンゲルエンリッチリフトEX」=同社HPより)

1-2.jpg不満に残るも増収は達成 

 「不満は残るが何とか増収を確保できた」。財務担当役員の小杉裕之取締役は前期の業績についてこう話す。同社の前期業績は売上高が前年比5・7%増の359億1600万円(販路別売上高は「通販」が同4・7%増の236億9300万円、「卸」が同14・0%増の73億9800万円、「対面販売」が同1・6%減の39億5400万円、「海外事業その他」が同2・5%増の8億7000万円)、営業利益は同1・0%減の75億1000万円、経常利益は同3・1%減の75億6900万円、当期純利益は同4・2%減の45億8800万円と増収減益で推移した。

 確かに当初の業績予想に比べて売上高、営業利益ともに8・8億円の未達であり、特に利益面では増益目標だったにも関らず、減益となった。小杉取締役の言うように"不満"の残る結果だったものの、業績悪化にとりあえず歯止めをかけられたことには胸をなでおろしているのではないか。

 同社は2013年7月期に03年の上場以来初の減収で着地した。主力商品の化粧ゲル「アクアコラーゲンゲル」に類似した他社の競合商品との差別化に苦しんだこと。そして、最大の要因は理由は一昨年夏に販売していた美顔器の広告内容が景表法違反にあたるとして、消費者庁から措置命令を受けたこと。これに伴い、同社の売り上げを支えてきた「優良顧客」が離脱し、顧客基盤のベースが小さくなったことで全体の購入回数が低下したことだ。

 優良顧客の離脱は競合品が多く、ブランドスイッチしやすい化粧品の通販企業にとって大きなダメージと言える。売り上げを下支えしてくれる顧客基盤を失えば、業績悪化に直結し致命傷になりかねないからだ。


3月から風向き変わる

 実際、ドクターシーラボも目減りした顧客基盤を取り戻そうと前期には主力商品「アクアコラーゲンゲルエンリッチリフトEX」の刷新や多額の費用を投入して年末年始に拡販を強化した「福袋」などの様々なキャンペーンを実施して状況の改善を進めたものの、そう簡単にはいかず、上期までは主力の通販の売上高は前年を下回って推移していた。

 風向きが変わったのは今年3月の消費増税前の駆け込み需要だ。「上期までは厳しい状況だったが、消費増税前の駆け込み需要をきっかけに"優良顧客"の数がかなり増えて売り上げは上昇基調に転じた」(小杉取締役)とする。

 同社ではこの機に乗じて、一気に顧客基盤の再構築を図るため、消費増税前の駆け込み需要を想定したセット販売を強化。この結果、主力のゲルはもちろん、洗顔やプラセンタなどの単品まとめ買いや毛穴ケア、たるみケアセットなどが動き、また、1万円以上の購入者にシェイプアップローラーをプレゼントするなどの販促施策が効果を発揮し、大幅な受注増加が見られ3月の月次売上高は約40億円と前年同月比6割増弱と急拡大した。

 ここで獲得した顧客に次回購入を促そうと、第4四半期(5~7月)に、結果としては2014年7月期の減益の一因ともなったほどの多額の広告宣伝費を一気に投入、「10歳若返る!総額1億円10000名様プレゼント」と題したプレゼントキャンペーンなどを展開して定着化を図った。

 このほか、化粧水「VC100ポアホワイトローション」の拡販策の積極展開による休眠顧客の掘り起こしや、新たな美顔器「エステアッップフォー」の拡販、売上額はまだ20億円程度だがインフォマーシャルを軸に急激に売り上げを伸ばすダイエット食品「美禅食」による新規顧客獲得なども奏功して一定数の顧客を再度、獲得することができたようだ。


1-3.jpg2年前の業績水準に戻す 

 今期(2015年7月)は「今、一番、獲得効率がよい」(小杉取締役)という「無料サンプル請求」を訴求するテレビCMよりも、費用対効果に優れるインフォマーシャルを広告宣伝策の中心施策としつつ好調な「美禅食」を軸に、化粧品や白髪染めなど様々な商品でさらに新規顧客の獲得を図っていく一方で、新規顧客および前期までに獲得できた優良顧客を9月に刷新した定期的に商品を配送する「定期トクトク便」に誘導、定期便の利用客数を増やし、購入回数を高めて安定的な売り上げ拡大の基盤を作っていきたい考え。また、導入美容液「アクアインダーム」やファンデーション群の刷新などで売上拡大を図っていく。

 この結果、今期業績は売上高が前年比9・4%増の393億円(このうち「通販」は同10・6%増の262億円、「卸」は同1・4%増の75億円、「対面販売」は同3・7%増の41億円、「海外事業その他」は同72・2%増の15億円)、営業利益は同13・2%増の85億円と2年前の業績水準まで引き戻し、これまでの成長軌道に戻したい考えだ。


「優良顧客」は真の優良顧客か


 ただ、同社がかつての成長軌道に戻れるかどうかはやはり今期の状況次第と言えそうだ。1つの判断材料が「"優良顧客"の質」だろう。同社の言う「優良顧客」とは文字通りの"優良顧客"ではなく、あくまで定義としての"優良顧客"を指す。「外部に当社の"優良顧客"の定義の詳細は話せないが、『期間』『購入回数』『累計購入金額』の3つの係数で定義している」(小杉部長)としている。つまり、前期に増加したという"優良顧客"とは消費増税前の一定期間にある程度の商品をまとめ買いして一定の購入額に達し、かつ多額の費用を投じたキャンペーンで一定期間内に再度、商品を購入した"駆け込み顧客"がほぼすべて該当していると見られる。

 これらの顧客層は同社の定義上、「優良顧客」には当然、該当するのだろうが、同社製品のファンであり、自発的に商品をリピートする、2年前に多く離脱してしまったとみられる真の意味での優良顧客とは異なる可能性もある。この場合、かつての成長軌道に戻るには時間がかかりそうだ。

 「まだまだ一昨年の美顔器の不当表示が原因で失った以前の優良顧客やシーラボへの信用は回復しておらず、まだ尾を引きずっている」。化粧品通販に詳しいアナリスト筋は同社の状況をこう分析する。真の復活なるか。同社の今期の動きが注目されそうだ。



【石原社長が語る・今期の戦略は?】
"定期便"で購入回数アップへ

 計画値には未達ながら売上高は前年を上回って推移したドクターシーラボ。勝負の今期はどんな戦略を採っていくのか。石原智美社長が語った。(9月12日開催の決算説明会から一部抜粋



 前期は「優良顧客」と呼ぶお客様の層が非常に厚くなってきた。この優良顧客をベースに、通販において、1客あたりの年間購入回数を積極的に増やすための施策を進めていくことで通信販売の売り上げの回復を行っていく。具体的には9月にリニューアルした定期的に商品をお届けする定期配送「定期トクトク便」の利用推進だ。お客様は定期便を活用することで安く購入できるようになるメリットがある。1回あたりの購入単価は下がるが年間の購入回数は増えることになり、最終的に通販の売り上げ増につながっていく。また、前期第4四半期には休眠のお客様の掘り起しが進んだ。これらのお客様も定期配送に誘導してリピート顧客化していきたいと思っている。

 そして今期は認知度をより高めて顧客との接点を増やしていきたい。「認知」という部分ではテレビCM、インフォマーシャル、新聞、WEBを中心に施策を行っていく。この中のボリュームだが、従来まではテレビCMが多かったが、今期はBSやCS、一部の地上波で行うインフォマーシャルを強化していく。前期からインフォマーシャルにシフトしており、その結果、非常に優良なお客様が獲得できているためだ。これまでインフォマーシャルでは「アクアコラーゲンゲル」や「美禅食」、「BBパーフェクトクリーム」など一部の商品しか展開していなかったが、昨年はテスト的に、以前からの商品で生え際に塗る「白髪カバー」をインフォマーシャルで試したみたところ、びっくりするような反響があった。こうした可能性も分かったことから今期はもっとインフォマーシャルに重きを置いていこうと考えている。WEBの施策では動画のコンテンツを強化していく。

 そうして獲得してきたお客様との接点作りとしては、これまでのように電話や来店を待つのではなく、私たちの方から近づき、接点も持たせて頂こうと思っている。例えば「エステアップ4」とういうEMS搭載の美顔器について、全国で体験キャラバンを行っていく。また「お手入れ会」などもやっていく。その中の1つとして「アンチエイジンングセミナー」もやっていく。ドクターに講習会に出席頂き、日ごろ聞けないような肌に対する悩みを相談できるようなセミナーを開催していこうと思っている。直近では10月に東京と大阪で開催する予定だ。

 商品軸では今期の新商品やリニューアル商品を投下していく。特に大きい施策としては導入美容液「アクアインダーム」の大リニューアルを2月に図っていく。当該商品は過去には年間で25億円くらいを販売する商品だったが、ここ数年で徐々に売り上げが下がってきてしまった。ただ、潜在的なお客様は非常に多い製品でこちらを刷新して売り上げを戻していく。そのほか、ゲル「スーパーモイスチャー」なども薬用申請が下りたため、薬用として2、3月に投入していく。また、「BBクリーム」などファンデーションなども昨今、需要が増えてきたため、リニューアルをして同じく2月に販売する。サプリメントも強化し、年齢層の高いお客様向けの商品の「特濃ブルーベリーアサイープラス」や「3倍サポートグルコサミン」などを9月、10月に発売する。私どもは今後、サプリメントの商品を増やしていくが、"メディカルコスメ"という立ち位置である私たちは非常に安いサプリをどんどん出していこうとは思っていない。例えば漢方薬や生薬の作用があるようなメディカル感のあるものを充実させていこうと思っている。そのほか、百貨店向けの化粧品ブランド「ジェノマー」のリニューアルや新商品の投入、10周年を迎える「ラボラボ」ブランドもドラッグストアでの限定セット商品の販売や異業種企業とのサンプリング企画を実施して強化していく。また今期は空港免税店での販売展開や香港でのEコマースサイトによる中国向けの海外展開やシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなど新規地域への事業展開も加速させていく計画だ。

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