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楽天の「楽天市場」  出店料金 実質値上げへ、税込み課金に統一、メルマガ有料

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楽天は9月8日、仮想モール「楽天市場」の出店料金体系を変更することを明らかにした。9月5日頃に大手出店者へ面談による告知を開始。9月8日には全店舗を対象に、書面とメールで改定を告知した。システム利用料の算出に消費税を含めて計算するよう統一するほか、メールマガジンを一律有料にするなど、値上げ色の濃いものに。楽天では「安心・安全なモールを実現するための改定」と説明するが、店舗からは不満の声が挙がっている。



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 値上げとなる要素は大きく分けて3つ。(1)システム利用料・ポイント付与対象・アフィリエイト成果報酬請求額について、それぞれ消費税を含めた金額で計算する(2)週1回まで無料だったメールマガジン配信を有料化(3)取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料導入となる。

 最も大きな影響が出そうなのは、消費税関連の改定(すべて来年1月1日から)。まず、システム利用料の課金対象を税込みに変更。従来は税別・税込みを選択できる仕組みだったが「税別との併記も含めると、すでに8割の店舗が税込みで表記している」(河野奈保執行役員)ことから税込みに統一。店舗によって課金対象額が異なる状況を解消するのが目的だ。同様に、楽天スーパーポイントの付与対象を税込みに統一。さらには、楽天スーパーアフィリエイト成果報酬も消費税を加算して請求する。

 これまで税別表示をしていた店舗にとってはかなり負担が重い改定となる。スポーツ用品関連の出店者は「消費税はユーザーから一時的に預かっているだけなのに、なぜそれに対して課金されたり、ポイントを付けたりしなければならないのか。百歩ゆずって、課金については楽天にもメリットがあるのだろうし、"小売店いじめ"として納得はしないが理解はできる。ただ、ポイントは過剰サービスではないか。逆に消費税分にもポイントを付けている店舗に是正を求めるべきだ」と不満を漏らす。また、家具関連の出店者は「楽天市場内でも、売り上げの大きい店舗ほど税別表示にしている印象がある。(消費税に課金するのは)モール全体の流通総額を増やすための策ではないか」と推測する。

 2つ目はメールマガジン配信の有料化(来年4月1日から)だ。これまでは週1回まで無料の「R―Mail」と、有料で配信制限のない「R―Mail エクスプレス」の2プランがあった(表(1)参照)が、これを統一。料金は基本利用料なしで、1件あたり0・75円となる。河野執行役員は「メールの効果が下がっている中、メルマガの質を高めることに焦点を当てた」と説明する。詳細なセグメントや、売り上げへの効果測定が可能になることで、1通あたりのメール効果が上がるのでは、というわけだ。

 とはいえ、これまで無料でメルマガを配信していた店舗にとっては「セグメント配信で変わってくる可能性はあるが、値段に見合った効果があるかどうかは分からない」(家電関連の出店者A)というのが偽らざる心境だろう。また、無料版の配信制限は、2011年の東日本大震災後に設けられたもので、この時にも出店者から不満の声が出ていた。メルマガそのものの効果が落ちているとはいえ、販促の柱としている出店者は多いだけに、完全有料化には反発する声も大きそうだ。

 また、「エクスプレス」の通常版は、基本利用料が月額10万円、配信料は1件あたり0・3円だったため、従来の利用者にとっても値上げとなる可能性が高い。毎日メルマガを配信しているという、スポーツ用品関連の出店者は「基本料を差し引いても経費はほぼ倍になる。配信回数を2~3割減らすことも考えている」と話す。一方で、「(有料化で)個々の店舗がメルマガを慎重に打つようになり、どの会社も1to1マーケティングに力を入れざるを得ない。ただ、これまで一斉配信していた店舗はノウハウがなく厳しいのでは」(衣料品関連の出店者)といった声もある。

 3つ目は、新たに発生するシステム利用料(今年11月1日から)。これは、「取引の安全性・利便性向上」を名目としたもので、売上高の0・1%を徴収する形だ。

 具体的には、ユーザーへの補償制度「楽天あんしんショッピングサービス」を拡充。補償範囲を「商品未着」のみから「遅延」「破損」「表示と異なる商品が届いた」「返金されない」ケースも含める。ユーザーと店舗の間でトラブルが解消できなかったものが補償の対象で、楽天が支払った補償金額は、原則として店舗に請求する。

 また、商品ページには発送予定日を表示することを義務付けるほか、購入履歴のページには、商品の配送状況が確認できるサービスボタンを設ける(両方とも来年1月13日から)。さらに、11月13日からは、銀行振込決済について、振込先を楽天が用意する楽天銀行の口座に統一。これは詐欺などの防止を目的としたもので、一度楽天を経由した後に各店舗の口座に振り込まれる形だ。これに伴い、ゆうちょ振替は利用できなくなるため、出店者からは「利用者からクレームが来るのではないか」(家具関連の出店者)との声も出ている。

 店舗によって値上げになる場合と値下げになる場合があるのが、モバイル経由のシステム利用料改定だ(表(2)参照)。基本料金の安い「がんばれ!プラン」は大きな値上げとなるが、「メガショッププラン」「スタンダードプラン」の利用店舗はモバイル経由の売上高によって変わってくる。

 これまでは月間売上高100万円以上の場合、システム利用料が3%だったが、新しい料金体系では、100万円以上でも2・5%~3・5%の間で利用料率が細分化される。ただし、3%以下となるケースは、月間200万円までの場合は、平均買い物かご単価が5万円以上、500万円超~1000万円までは同1万5000円超~2万5000円、3000万円以上は同7000円まで(いずれも利用料率は2・9%、最初のケース以外は、かご単価が上がるとさらに下がる)となっており、売り上げの大きい店舗以外は、値上げとなる公算が高い。

 一方、値下げとなるのがオプションサービスの料金改定だ。9000店が利用する「配送先関連データCSVダウンロード」(基本料700円、1件あたり7円)、1400店が利用する「送り状ダウンロード」(1件あたり5円)、1200店が利用するサーバースペース「楽天GOLD」(100メガまで無料、以降100メガごとに5000円で最大1ギガ)、500店が利用する「受注WEB API」(初期費用10万円、1件あたり7円)をそれぞれ無料とする。楽天では「オペレーション軽減につながる機能。使っていただくことで、接客に時間をかけてほしい」(河野執行役員)とする。ただ、楽天市場に詳しい関係者は「楽天GOLD以外の3つは受注関連で、どれか1つを選ぶのが普通。値上げ分と比較した場合、金額的には大きなメリットにならないのでは」と話す。

「税込み」影響大

 家電関連の出店者Bは「税込みでの課金などはかなり影響があると思う。メルマガも本当に必要な時だけしか使えなくなる。メリットもあるという説明だったが、増える負担と比べたら少ししかない」と話す。家具関連の出店者も「消費税分の課金だけで月15万円は上がる。モバイルについても、月1千万円以上の売上高はあるが、月4~5万円は上がる計算だ」とため息をつく。

 一方で、楽天内でも売上高が大きいアパレル関連の出店者は「スマホ経由の売り上げ比率が大きく、実質値下げになるのでは」とする。とはいえ、楽天市場に詳しい業界関係者は「大半の店舗が値上げになるのではないか」と推測する。

 「安心・安全」を名目としたシステム利用料についても、「悪質な店舗を排除するのに、真面目に商売している店舗から徴収するのは納得がいかない。そもそも出店審査に問題があるのでは」(スポーツ用品関連の出店者)という不満の声も。

 実質値上げを契機に、出店料が無料となったヤフー!ショッピングなどに注力する可能性はないのか。「ヤフーに力を入れたいところだが、もう少し売れてくれないと困る」(家電関連の出店者C)など、「現段階では楽天の集客力には頼らざるを得ない」との見方が支配的だった。

 「出店者は弱い立場なので、何があっても対応できるようにする必要があると痛感した」(家電関連出店者D)。値上げとなる各出店者は「楽天市場に頼りすぎない」体制を築く必要がありそうだ。

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楽天の河野奈保執行役員に「料金体系改定」の理由を聞く

「安心・安全」は集客につながる、購買行動の変化に対応

――料金体系改定の意図を説明してほしい。

 「ネット販売をより安心・安全なものへと発展させていくための取り組みだ。それを進めないことにはユーザーに楽天市場に来てもらえないし、店舗の売り上げ増にもつながらない。『安心・安全』なモールを目指し、不断の努力を続けていく」

 「改定の趣旨については、外的環境やユーザーの購買行動の変化に対応したものだ。具体的には、モバイルへのシフトが進んでいること、メールへの反応が落ちていることなどに対応している。また、店舗のオペレーションを効率化するため、一部サービスを無料化した。空いた時間を接客に回すことができれば、売り上げ増にもつながるはず。楽天GOLDやCSVなど、今までは有料ということで利用していなかった店舗も多いはずで、システムを使い倒すことでプラスにしてほしい」

――一部店舗には面談で改定を告知しているとのことだが、反応は。

 「店によって差がある。当社が安心・安全に向けた取り組みを強化していることについては、前向きに捉えていただいている。ただ、消費税への課金に関しては、税別表示をしていた店は値上げとなるので、意見をいただいた部分はある。店の設定で課金額が変わる部分を統一したこと、ユーザーへのポイント還元につながるということを説明し、納得していただいているという理解だ」

――メールマガジンの一律有料化についても反発は大きいのでは。

 「昨今のユーザーはソーシャルメディアで家族や友人とやりとりするようになっており、今まで通りの運用ではメールの効果は下がっていく。メルマガがユーザーとのコミュニケーションツールとして有用だからこそ、質を高めるために舵を切った。今後はソーシャルな部分でのコミュニケーションなども考えていく必要がある」

――モバイルの利用料率を変えた理由は。

 「パソコン経由の利用料率はプランごとに差があるのに対し、モバイル経由は同一だった。モバイルはPC向けよりもページ最適化やシステムメンテンナンスなどが必要になるため、プラスアルファの料金をいただくことで、投資に活かしたい。PCの料率に0・5%乗せた形になっている。がんばれは値上げが大きくなるが、当社は3年ほど前から、メガ・スタンダードの両プランを推進しており、その出店店舗数も伸びている」

―― 「安心・安全」を名目としたシステム利用料について、どの部分に投資するのか。

 「さまざまな部分に使う予定で、売上高の0・1%という額は決して高いものではないと思っている。ただ、いただくからにはきちんと使う。決済システムの強化や、モニタリングやオペレーションの部分など、ユーザー補償サービスを充実させるための資金にしたい」

――ゆうちょ振替がなくなることについて、ユーザーの利便性が落ちるという店舗からの声もあるが。

 「そうした声は把握している。ただ、安全性を担保するために決済手段を絞った。店によってはセンシティブな問題になりうるのは分かっているが、それにより1件でも詐欺などの被害者が出た場合には、楽天市場に影響を及ぼす可能性がある。ごく一部の問題だとしても、それが楽天市場全体のイメージになり、離脱要因になることを肌で感じている。ただ、今後もこうしたご意見をいただくようであれば、ユーザーニーズも踏まえて検討は可能だと思う」

――安心・安全を掲げるなら、3Dセキュアの導入が必要では。

 「検討議題にはあがっているが、まだ方針が決まっていない」

――実質値上げになる店舗が、楽天市場店よりもヤフー店に注力することもあるのでは。

 「出店店舗数や商品数にネガティブなインパクトが出るとは思っていない。ユーザーにもっと来てもらうための施策で、それが店舗の売り上げ増につながるはずだ」

――ヤフー店の価格を楽天店より安くする店が出てくる可能性もある。

 「他社の戦略が変わったことによる売り上げへの影響は出ていないので、今回そうしたシミュレーションはしていない。店舗にとって売れる場ができているからこそ、新たな投資をして新たな戦略を打ち出せるのが楽天の強みだと思う」



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