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楽天・河野執行役員に聞く「二重価格問題」のその後

021.jpg 「不当な二重価格問題」で揺れた楽天。問題を受け、今年1月には「楽天市場品質向上委員会」を設立。不当な二重価格を防止するため、消費者が確認できる元値の根拠資料(エビデンス)掲載を義務付けたほか、全商品で価格表示が適正かどうかをモニタリングするなど、不当表示撲滅を進めている。問題はなぜ起きたのか、そして景品表示法より厳しいルールについて、店舗からの不満にどう応えるのか。同委員会の委員長も務める、河野奈保執行役員に聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)

「健全化」進め支持得る、価格表示ルール適宜変更も

――出店者に対し、不当な二重価格を社員が提案していた件について、なぜこうした事態が起きたのか、総括してほしい。

 「価格の適正化について、ECコンサルタントや店舗に対してあらゆる啓蒙活動は行ってきた。ただ、それが守られているか、というところまで追うのが仮想モールとしての責任。こうした部分まで、楽天市場がユーザーや店舗から求められるステージに達していた、という点に関し、認識できていなかったように思う。また、価格表示のルールについて、事例を踏まえた形で店舗側に伝えられていなかった。このたび、店舗向けに価格表示や割引表示に関するガイドブックを作成したが、消費者庁のルールをかみ砕いて伝えるようにしている。また、会社の拡大ともに社員が増えており、当然研修は行っているものの、その質に関しては改善が必要だった」

 「ただ、『社員が不当表示を指示していた』と報道されたが、『指示』かどうかは分からない部分がある。店舗からの質問にあいまいな回答をしてしまったり、最終的には店舗の判断ということを踏まえた上で提案をした、というケースもあった。『社員18人が指示をして不正が行われた』のではなく、『18人に何らか関与した疑いがある』というのが正確な表現だ」

――店舗の言い分とコンサルの言い分が一致しないこともあったのか。

 「そういうケースもあった。一番多かったのは、店舗から『不当な二重価格を勧められた』という声があり、聞き取りを進めた結果、正当な二重価格の提案だったというものだ」

――本紙の匿名を前提とした店舗への調査では、『セール時に「半額商品は出せない」と言ったら、コンサルから「元の値段を2倍にしましょうよ」と言われた』など、かなり踏み込んだ形での提案があった、との声も多数みられた。こうした例は調査結果には含まれていないのか。

 「店舗からのアンケートには、似たような声があった。ただ、実際に商品価格を上げたログなどは確認できなかった」

――提案があったこと自体が問題なのでは。

 「コンサルからの資料に不当表示の提案があったという話もあり、可能な限り調べてはみたが、不正に結びつく直接的な証拠は見つからなかった。とはいえ、何らかあった可能性は否定できない」

――具体的な証拠も見つからず、店舗の言い分とコンサルの言い分が食い違うこともあるなど、事実を確定するのが難しかった。

 「そうだ。ただ、可能性という部分から18人が提案したと公表した」

――社員が処分されなかったことについて、店舗から不満の声もあった。

 「その理由は、証拠という部分で、『関与した』とは言えるものの、決定的なものは見つからなかったことが一つ。もう一つは、店舗への啓蒙活動や社員への教育が足りていなかったこと。個人への処分ではなく、組織としての対応を選んだ」

――昨年秋の『イーグルス日本一セール』での不当表示問題が大きく取り上げられたが、本紙では以前から問題にしており、ネット上でも「不当な二重価格」に対する指摘は多かった。楽天としてどう捉えていたのか。

 「もちろん問題は承知しており、社内勉強会や店舗への提案資料のチェックなどはしていた。ただ、システム的なチェックはほんの一部で、啓蒙活動に力を入れていた」

――3月以降の「楽天スーパーセール」では、価格表示に関するルールを厳格化している。売り上げへの影響は。

 「もちろん、店舗にもユーザーにも、多少なりとも影響はあったと思う。ただ、これは必要な歩みなのでやむを得ないと思っている。今回のルール厳格化は、売り上げ重視ではなく、ユーザーに安心して買い物をしてもらう環境を優先したもので、楽天にとって大きく価値が変わった瞬間だと思う」

 「また、価格表示以外にも、税関や権利者団体などと連携し、模造品や海賊版撲滅にも力を入れることで、ユーザーからの『安心して買い物ができる場であってほしい』という期待に応えたい」


――コンサルへの教育体制はどう変わったのか。

 「勉強会の徹底と、eラーニングを定期的に行っている。福袋やクーポンを利用した場合など、楽天市場の売り方にあわせた形で、具体的にどんな価格表示に問題があるのかを学んでもらっている。また、社長の三木谷が各支社に出向いて、ミーティングする機会を設けている。その他には、店舗が担当コンサルを評価する仕組みを取り入れた。コンサルの教育につなげるほか、評価の参考にもしたい」

――現在の楽天市場における価格表示のルールは、景品表示法よりも厳しいものとなっており、出店者からは不満の声も挙がっている。

 「『表現の自由がなくなった』などという声が出ているのは承知している。店舗の将来のためには、ユーザーに安心して買い物をしていだくことが一番重要ではないか。ただ、店舗の運用状況を踏まえて、ルールを変えていく。楽天市場が持っている価格データを、書籍やCD・DVDなどの商品の比較対照価格に使えるようにしたり、さらには(メーカー希望小売価格の根拠を提示しにくい)並行輸入品に関しても、比較対照価格表示のルールを整備する予定だ」

――比較対照価格のエビデンス表示については、商品数が多い店舗などから「負担が重い」という声もある。

 「そうした意見があるのは重々承知しているが、理解していただくしかない。厳しいルールを定めたからこそ、ユーザーに引き続き買い物をしてもらえているのではないか。歩みを止めるつもりはなく、健全化に努めたい」

――昨年はイーグルスの優勝セールがあり、流通総額増に大きく貢献したが、今年は優勝が厳しい状況。流通総額に影響を与えそうか。

 「数字だけをみれば厳しい部分はあるだろうが、何より重要なのは『楽天市場が健全化された』ことを消費者の方々に知っていただくこと。優勝セールにはかなわないが、ユーザーに楽しんでもらえるイベントを引き続き開催していく。消耗品などをコンスタントに買うユーザーにとって、大型セールへの期待は大きい。もちろん、単にセールの数を増やせばいいというわけではないが、新しい商品があったり、新しい仕掛けがあったりすれば、マンネリ化することはないはずだ」

――物流施策についてお聞きしたい。「楽天フルフィルメントセンター」を東西2地域に集約するとのことだが、以前は中京圏と東北、九州にも大型拠点を整備するとしていた。現在の体制では「楽天スーパーロジスティクス」を利用する店舗が大きく拡大した際に、請け負いきれないのでは。

 「もちろん、物流を請け負う店舗の数に応じて拡大していくことが必要だ。ただ、まずは現在利用している店舗が満足する水準までサービスを高めるのが最重要課題。求められるサービスレベルは上がっており、今は将来に向けて足元を固める時期ということ。皆さんにサービスを使っていただく、というゴールはまったく変わっていない」

――食品など、冷蔵・冷凍商品への対応は。

 「視野には入れているが、対応時期はまだ決まっていない」

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