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ロハコ、勝負の2年目で成果  年商121億円と前年比5倍に

 1-1.jpgアスクルがヤフーと組んで展開する日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」が売上高を順調に伸ばしている。実質初年度となる2013年5月期は大きく目標値を下回ったものの、2年目となる直近決算では品ぞろえの拡充や集客強化などを徹底したことなどで期初計画の100億円を上回り、前期比5倍超の121億円で着地。この勢いのまま、3年目も規模拡大に注力、倍増の年商220億円を目指す。勝負の2年目で一定の成果を出し、順調と言える「ロハコ」だが不安要素も垣間見える。今後はいかに――。

国内EC史上で最速の成長力

 「国内EC史上最速で120億円を達成した。この勢いを維持したまま、自信を持って今後も進んで行きたい」。アスクルの個人向け通販事業を統括するBtoCカンパニーの吉岡晃COOは2014年5月期で事業開始から2年目を迎えた日用品通販サイト「ロハコ」の売り上げと今後の意気込みについてこう語る。

 ヤフーと業務資本提携を結び、一昨年秋に「アスクルの物流・商品調達力」と「ヤフーの集客力」を組み合わせた新たなメガサイトとして鳴り物入りでスタートを切った「ロハコ」。初年度で年商180億円および黒字化という目標を掲げて挑んだものの、PCサイトの立ち上がりの遅れや品ぞろえの弱さ、集客策が後手に回ったことなどで結果は売上高21億円、営業損益は13億円の赤字で着地、掲げていた目標には大幅な未達となった。

 「机上の数字だった」「やはり今からでは遅すぎたか」。一強のアマゾンに対抗し得る国内勢によるメガサイトという大きな期待とはうらはらの初年度の結果を前に、一部のアナリストのほか、業界内外からも「ロハコ」への失望感が広がっており、2年目はまさに「勝負の年」と目されていた。

 そして勝負となる2年目。以前のような「机上の計画値」ではなく、現実的な数字として期初に計画した目標の年商100億円をクリアし、売上高は前期比5・8倍の121億円(営業損失は29億円)で着地した。

 昨年7月に開設した埼玉の大型物流センター「アスクルロジパーク首都圏」の本稼働に伴い、基本となる日用雑貨の在庫拡充のほか、キッチン用品や健食といった買い回りを促す取扱商品数の拡大や昨年8月のサイトの大幅なリニューアルに伴い、導入した"無印良品"や"DEAN&DELUCA"など有力店舗の商品を扱う「ロハコモール」などの新設やアウトレットセールやシークレットセールなどの価格訴求を全面に打ち出した施策の実施。また、データ分析による効果的な「値付け」や「グロースハックチーム」と呼ばれる専門部署の設置によるSEO対策の強化およびヤフーと連携したポータルサイトや検索結果、各種キャンペーンからの積極的な集客策、メーカーの連携した商品開発強化などのほか、3月の消費税前の駆け込み需要も追い風となり、累計顧客数は100万人の大台を突破。リピーターも着実に増やし、増収に至ったようだ。


足元の失速は一時的?

 今期も前期までの勢いそのままに売上高は前期比8割増の220億円(営業損失は30億円)を掲げるなど鼻息も荒い。収益面よりも規模の拡大を優先し、広告宣伝費を投下して顧客獲得を強化する戦略だ。順調な成長を見せる「ロハコ」だが、不安要素もある。足元の失速と収益性だ。

 直近の「ロハコ」の月次売上高を見るとこれまで順調に前月を上回って推移してきた数字が5月および6月は下回っている。主因は消費増税の影響であり、一時的なものかもしれない。実際、顧客数や受注数、コンバージョンレートなど重要な指標となる数字は3月以降も伸び続けており、地力は着実についてきているわけで「足元の数字に関しては全く問題ないと思っている」(岩田社長)とする。
 しかし、それでも不安点を挙げるとすれば客単価の落ち込みだ。消費増税以降、家電が以前ほど売れなくなったため、客単価が下落傾向にあるようだ。家電は単価が高いために、これらの落ち込みをカバーして客単価を元に戻すことは容易なことではないはずだ。どう客単価を戻していくかがまずは課題となるはずだ。

 これに対し「家電は単価は高いが"価格"を見て購入することが多く、定着率は基本のコモデティ商材と比べると悪いそこに変に目を向け過ぎることなく、コモデティのベースをきちんと作っていきたい」とした上で「買い回りの増やすことでカバーできる」(吉岡COO)と自信を見せる。実は前期中、「ロハコ」の品ぞろえの拡充を進め、常時在庫商品を7万SKUまで増やしたが、品ぞろえを優先した結果、一部の雑貨や家電、インテリア商材など「売れない商品」が多く混在し、それにより物流生産性が悪化したことから、それら滞留在庫についてセールを行い、在庫点数を1万SKU分削減する措置をとっている。このスペースを活用して基本の日用品の品ぞろえを拡充するとともに、今期は特にニーズが高いという食品や先ごろ、8月中旬までに酒販店を買収し大手メーカーのビールなどほぼすべての銘柄を販売できるようになる酒、「トクホ」や安定的な売れ行きを見せる健食、メーカーの在庫処分先として定着しているアウトレット商品(仕入れ品)。また販売を開始したばかりの第一類医薬品を含む薬、有力ブランドが参画する「ロハコモール」の商品など「お客様に本当に求められる"ロハコ"ならではの魅力を高められる商品を選んで拡充していく」(吉岡COO)ことで買い回りを促し、購入点数のアップで客単価の底上げを図っていくという。


"収益性"に不安要素も

 また、「ロハコ」の収益性も気になるところだ。確かに売上高は順調に伸ばしているが、利益面を見てみると前期の営業損益は29億円の赤字だ。今期も30億円の営業赤字を見込んでいる。無論、これは市場シェアの獲得を優先するために広告宣伝費や価格訴求を含む販促費を先行投資として投下したためであり、「来期以降は収益化を図っていく」(同)という。

 とはいうものの、日用雑貨ECはライバル視する「アマゾン」を始め、日用品EC専業のケンコーコムや爽快ドラッグ。もちろん、ドラッグストアやGMSなどが手がける通販サイトも乱立しており、競合も多い。先行投資フェーズが終わったとしても、競合他社との対抗上、価格訴求を安易に緩めるわけにはいかない。実際に先日、販売を開始した第一類医薬品では「ロハコ」は一部の売れ筋について他社には出せないような値付けをして勝負をかけたが、他の有力サイトは即時に「ロハコ」の価格設定に合わせてきている。他商材も同様と言え、来期から「収益性を重視する」といってもやすやすと利益率が回復する保証はない。

 将来の収益性の不安に対して岩田社長は「確かにコモデティだけでは価格訴求になり、利益はでない」と認める。それゆえ、日用雑貨だけでなく、前述した医薬品や健食・化粧品など「高単価で小サイズの物流費の削減につながる商材」や有名ブランドの店舗などで販売されている価格と同じ値段で販売でき、粗利は平均で30%とれる「『ロハコモール』の商品」の品ぞろえ強化や拡販策を行っていくことで粗利改善を図っていくという。


有力メーカーを巻き込む

 そして収益面で重要なポイントとなりそうなのが、「ロハコ」が現在、進めている有力大手メーカーを巻き込んだタイアップ戦略だ。要は「ロハコ」をメーカーに新商品のテストの場などとして開放。サンプルを配り、レビューという形で実際の反響などを短期間かつ低コストで把握し、さらに新商品の育成のために、新規顧客の開拓までできるというもの。「新商品の売り出しを既存の流通で実現するにはこれまで膨大なコストがかかり、結果が分かるまでに時間がかかることが普通だったが『ロハコ』ではお客様の動向がデータで分かり、低コストですばやく実現できる」(岩田社長)という。

 こうしたマーケティングの場としての側面をメーカーにアピールするため、昨年から「Webマーケティングコンソーシアム」という会合を開催し、「我々とメーカーがどのような協業関係を築けるのかを実際の事例を踏まえながらお話させて頂いた」(同)など水面下で様々な試みを展開。

 すでに日清食品やユニ・チャーム、住友スリーエム、キッコーマンなどと新商品のサンプリングなど具体的な取り組みを進めてきた。直近ではユニリーバジャパンのケアケアブランド「CLEAR」のプロモーションを「ロハコ」が行い、トライヤルセットの販売やサンプルの配布などを行い、サンプル配布者の12%が実際に本商品を購入するに至るなど成功を収めており、メーカーからの引き合いも増えている。

 こうしたことから6月末からメーカーの商品育成を支援する施策として「1DAYサンプルプログラム」と題した試みを開始した。これまで個別に実施してきたメーカーとの企画をベースにサンプル配布からレビュー獲得、新規顧客獲得までの汎用型なプログラムを作り、様々なメーカーが簡単に「ロハコ」で商品育成ができる仕組みだ。

 加えて、ここで得た当該商品の購入者属性をベースにヤフーなど外部サイトで広告を出稿して、「ロハコ」内の当該商品ページにランディングさせ、見込み客を獲得する試みも7月から開始した。

 メーカーにマーケティングの場として「ロハコ」を提供して巻き込むことで、他社との商品面の差別化のほか、サンプル費用や広告費用をメーカーのプロモーションコストで賄え、アスクル側はコストを使うことなく、集客ができることになるわけだ。多くのメーカーにとって「ロハコ」が"使えるサイト"となれば、こうした目論みが現実味を帯び、劇的に「ロハコ」の収益構造を変えることにもなりそうだ。

 「勝負の2年目」で一定の成果を出し、今後の収益面で重要な布石を打つことになる「正念場の3年目」を迎える「ロハコ」。今期も動向が注視されそうだ。

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