Home > 特集企画 > 【乳児・子供・妊婦向け商材】 様々な打ち手で少子化に挑む

【乳児・子供・妊婦向け商材】 様々な打ち手で少子化に挑む

 1-1.jpg少子化の進展で厳しい市場環境となっていくことが予想されるマタニティおよびベビー、キッズの商品分野。同カテゴリー商材を扱う通販事業者にとっても今後の事業展開を考える上で重要な課題だが、実際の購入者となる母親層との接点作りや母親層の声を反映した商品開発、マタニティ・ベビー専業事業者の買収による提案力の強化、孫への出費を惜しまない祖父母層を巻き込んだ販促策の展開など、通販事業者の間ですでに様々な施策も展開されている。マタニティおよびベビー、キッズ関連商品を扱う通販各社の取り組みを概観する。

1-2.jpg接点作りや親子3世代提案を推進

 マタニティ・ベビー関連の積極的な取り組みを見せるのは千趣会。同社は総合通販の中でも、いち早くマタニティ・ベビーカテゴリーへの対応を開始。現在では、同商材が新規顧客の入り口商材となっており、様々な施策を展開する。
 
 まず、新規顧客開拓では、今年4月から全国約450の提携産婦人科で、生後間もない赤ちゃんの食事や排せつ、睡眠などの状況を記録し健康管理に役立てる「みんなの育児日記」の無料配布を開始した。
 
 同社では、ベビー・マタニティ商品利用顧客との接点となる産婦人科に独自のルートを持っており、以前から提携産婦人科で出産した母親の退院時に通販カタログと赤ちゃんの肌着の無料配布を実施。だが、肌着の場合、一過的な利用にとどまり顧客との関係性がなかなか続きにくいことが課題だったという。
 
 これに対し、「みんなの育児日記」は、顧客との継続的な関係作りに主眼を置き、"時間を超えて親子の絆をつなぐパスポート"をコンセプトに、子育て支援サイト「ベビータウン」と共同で開発。0~5カ月用の「前期版」と生後6~11カ月用の「後期版」を用意し、「前期版」の利用者が赤ちゃんの成長に合わせて「後期版」を請求するという形で複数の接点を創出。「ベルメゾンネット」の「みんなの育児日記」特設ページから育児関連商品ページへの誘導などで通販との連携を図る考えだ。
 
 一方、切り口を変えた取り組みとして挙げられるのは、昨年7月に開設した祖父母世代顧客の孫向けのプレゼント利用を狙った通販サイト「まごスマイル」と言える。
 
 同サイトは、出産準備や産後の育児、誕生日などの経済的な支援を行う50代以上の祖父母世代の女性、子ども(孫)を通じて親子3世代のコミュニケーション作りを図りたい母親(娘)の利用を想定したもので、孫の成長に応じて必要になる衣類や孫の帰省時に備えて自宅に置く布団や椅子玩具、ギフト需要に対応した商品などを販売。
 
 また、親子3代のコミュニケ―ション作りを重視したのも特徴で、母親が子どもに与えたい商品を祖父母に知らせる"おねだり"機能を付加するほか、祖父母と孫の写真投稿コーナーの設置や親子3世代の旅行提案などで需要の喚起を図る。
 
 千趣会の取り組みは独自性が高いと言えるが、これも長年ベビー・マタニティ商材を展開してきた同社ならではのものだろう。


1-3.jpg世界のユニークなベビー服など紹介

 一方、新たにベビー関連商品の取り扱いを強化する動きもあり、アマゾンジャパンでは6月10日、自社サイト内に世界のベビー服をそろえた専門コーナー「世界のベビー服ストア」を開設した。

 同コーナーでは、「BANZ(バンズ)」や「Ruffle Butts(ラッフルバッツ)」「Little Giraffe(リトルジラフ)」など世界各国50以上のベビーブランドから2000点以上のベビー服を販売。

 ユニークなデザインの子ども服のほか、カラフルな水着やラッシュガード、0才から使用できるニーパッド、UVカット仕様のサングラスなどを扱っており、商品カテゴリーや価格帯のほか、子どもの年齢、国別の推奨ブランド、カラーなどで商品を検索できるようにしている。日本ではなかなか見られない商品の展開と選びやすさなどで利用の拡大につなげる考えのようだ。


子ども衣料強化に動く衣料品モール

 一方、衣料品通販モールではキッズ衣料も含めた子ども服を取り扱うケースが増えている。中心顧客層が年を重ね、30~40代の会員が増えてきていることから、自分の服と一緒に子ども用の服も"あわせ買い"してもらうことで顧客満足度を高めるとともに、客単価アップにつなげる狙いのようだ。

 スタートトゥデイは、100%子会社のクラウンジュエルが今年3月3日、「ゾゾタウン」内のブランド古着専門ショップ「ゾゾユーズド」で子供服の古着販売と買い取りを始めている。

 従来から、「ゾゾタウン」では新品のキッズ衣料を扱っていたこともあり、12年11月の「ゾゾユーズド」開設当初から大人物の古着と一緒に子供服の古着の買い取り依頼もあったようで、こうした要望に応えた。

 子ども服の古着市場は大人物と比べてもさらに小さいと見られることから、クラウンジュエルでは当該市場の創出にも力を入れる。

 1-4.jpgマガシークは4月11日、主力の通販サイトにキッズ衣料を扱うコーナー「マガシークキッズ」を新設した。「マガシーク」内でも勢いのあるセレクトショップや百貨店ブランドから展開を開始。順次、取り扱い点数を拡大してリーズナブルなアイテムから高価格のブランドまで幅広く展開する方針だ。

 同社のアンケート調査では、子どもがいる顧客の60%以上がネットショッピングを利用していることから、キッズ衣料のコーナーを設けることで既存顧客への提案力を高め、買いまわりを促す。

 また、同社は8月に大阪市内で開催されるキッズファッションショーに協賛し、特別ステージを展開。指定の期間内に「マガシーク」でキッズ衣料を購入した消費者を対象に、当該ステージに出演するキッズモデルのオーディションを実施する計画で、既存顧客とその子どもに特別な体験を提供することでファン化につなげるほか、「マガシーク」の認知拡大を図る。

1-5.jpg また、キッズ向けの商品開発では、ディノス・セシールがセシール事業で展開する「通学着プロジェクト」が順調なようだ。小学生の子どもを持つ母親層の声をもとに、通学や学校生活で求められる機能を付加した商品シリーズで、これまでにヒット商品を生み出している。

 「通学着プロジェクト」は、2011年に投入したもので、これまでに着脱可能なフードの採用や教室の椅子にかけた際の着丈に配慮したパーカージャケットや季節や気温に応じて丈が変えられるカーゴパンツなどを展開している。

 小学生だった既存顧客の子どもが成長しキッズを卒業する一方、小学生の子供を持つ新規顧客の獲得が難しくなり、苦戦が続いていたキッズ衣料の中で、予算を上回る売れ行きを示すなど、同シリーズはけん引役となっているようだ。

 最近のヒット商品は、母親層顧客の「ボトムのひざだけがすぐ破れる」という声をもとに開発した「ひざ強化パンツ」。ひざ部分にあて布をし、二重仕立てにしたもので、模様入りのあて布とすることにより、破れてもおしゃれなイメージにしたことなどが奏功、好調な売れ行きだという。同社ではこれを受け、今後のカタログ展開で「ひざ強化パンツ」を「通学着プロジェクト」から卒業させ、単品で商品を訴求することも検討しているという。

 少子化の進展に伴いキッズ衣料の展開は難しさを増しているが、子どもにはしっかりとしたものを着せたいという母親層の考え方に変わりはない。「通学着プロジェクト」は、この母親層のニーズに応えることで順調な推移をたどっていると言えるだろう。


専業買収で商品・顧客基盤など拡充

 マタニティやベビー商品をメーンとする事業者を買収し、商品力や提案力の強化、顧客基盤を活用した展開に取り組むところもある。

 ベルーナでは今年1月、昨年9月に民事再生を申請したレモールのベビー事業とギフト事業を承継した新設会社「ベストサンクス」の全株式を取得し、子会社化した。取得価額は16億5000万円。対象となる事業の2013年3月期業績は、売上高が109億2300万円、営業損失が8億8400万円だった。

 中高年女性向け衣料品が主力事業となる同社がベビー関連事業を手掛けるのは初となる。ベビーカタログ「メイプルランド」とマタニティーカタログ「モンテール」を発行する。

 同社ではベストサンクス取得の狙いについて、事業領域拡大と、同社グループの他事業への横展開という2点を挙げている。安野清社長は「ギフト事業を活性化させるためには、ベビー関連事業も平行して手掛ける必要がある」と説明。さらには「来期以降は収益に結びつけるために、危機感を持って取り組みたい」と話す。

 ベストサンクスの2015年3月期売上高は34億2000万円、営業損失は1億9000万円を見込んでいる。

 また、千趣会では、JALUXが保有していた主婦の友ダイレクトの株式を取得し今年4月に同社を子会社化。主婦の友ダイレクトが持つ幼児のいる母親層の顧客基盤を活かした取り組みとして、主婦の友ダイレクトが行う雑誌通販での商品展開や顧客の相互連携、出産祝いなどギフト事業でのシナジー効果を追求していく考えだ。

 このほかにも住友商事のグループ企業で日用品のネット販売を行う爽快ドラッグでは、今年4月にベビーカーなどを扱う通販サイト「NetBabyWorld」を運営するあかちゃんハウス一二三を100%子会社化し、ベビー関連商品の対応強化を図っている。

 爽快ドラッグでは水や日用雑貨などを中心に約14万点の商品を販売。特にこのところ、ミルクやオムツなどベビー用消耗品の売り上げ構成比が伸びているという。

 一方のあかちゃんハウス一二三ベビーカーやベビーベッドなど約4000点の商品を販売。爽快ドラッグで扱うベビー関連の消耗品、さらに母親層向けの化粧品などとの親和性が高いわけだ。

 爽快ドラッグではこの点に着目し、あかちゃんハウス一二三を買収。それぞれの通販サイトの運営を維持しつつ、品ぞろえの補完や相互送客などを行いながら、出産・育児世代女性の取り込みなどのシナジー効果を追求していく考え。また、ロングテールの品ぞろえで広く浅く売り上げを取る形だった爽快ドラッグとしては、「ひとつの商品で深く売り上げを取る」(小森紀昭社長)あかちゃんハウス一二三との販売手法の活用にも期待しているようだ。



 少子化の影響で厳しい商環境が見込まれるマタニティ・ベビーおよびキッズ分野。一方で、経済的に余裕があり、孫への支出を惜しまない祖父母層が団塊世代に当たることなどを考えると、子ども1人当たりの支出額は増加するはず。通販各社が展開するマタニティ、ベビー、キッズでの取り組みは、その需要をいち早く取り込むためのもと言え、子どもの成長に応じた商品の展開や訴求で顧客との継続的な関係性を構築していきたい考えのようだ。


Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/2564
Listed below are links to weblogs that reference
【乳児・子供・妊婦向け商材】 様々な打ち手で少子化に挑む from 通販新聞

Home > 特集企画 > 【乳児・子供・妊婦向け商材】 様々な打ち手で少子化に挑む

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ