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【消費増税後の現状は?】 各社、"駆け込み"の反動強く

 1-1.jpg 「"駆け込み"の反動を受けてマイナスも想定内の落ち込み幅に」。本紙が主要通販実施企業を対象に実施した聞き取り調査によると、4月1日に実施された消費増税後の業績は苦戦を強いられているようだ。3月は駆け込み需要で大幅に売り上げを伸ばしたところも多かったが、一転、4月以降は概ねどの企業も前年実績を下回って推移している。とは言え、「マイナスは想定範囲」とする企業も多く、悲観論は少ないようだ。各社の現状と今後の見通しについて見ていく。

 通販実施企業各社の増税後の状況はどうなっているのだろうか。主な事業者の増税前後の状況について見ていく。

大手専業の状況は?

 まず大手専業各社の状況だが、千趣会では3月度単月では対前年同月比24・9%増と高伸。1~3月累計でも前年同期比8%増となった。高単価の家具・インテリアや靴、アクセサリーなどのファッショングッズなど全般的に高単価商品の動きが良かったという。
 
 一方で増税後の反動減の傾向も見られ、4月度の売り上げ実績は前年同月比5・4%減とマイナス。5月も中旬頃まではマイナス基調で推移していたという。だが、気温が上昇した下旬からは回復傾向が見られ、特に消費増税後の反動減が全般的に大きい衣料品は、「夏物の出足が良くなってきている」。また、増税後の反動減を見越して行ったクーポンやポイントプレゼントによる需要喚起、早期のバーゲンなどの施策も下支えをしているようだ。
 
 ディノス・セシールも増税前の1~3月は「予想を上回る消費増税の駆け込み需要で好調」だったという。特に引越しシーズンと重なり、配送サービス強化を打ち出したテレビCM効果などにより、ディノス事業の家具・収納カテゴリーは「記録的な売り上げとなった」という。
 
 4月以降は前年を下回って推移している模様。ただ、テレビ通販など駆け込み需要の影響があまりなかった一部のカテゴリーついては反動は見られず、影響があったカテゴリーも5月に入り徐々に回復しているようで「消費税の反動減を見込んだ予算はクリアした」としており、想定範囲の落ち込み幅だった模様だ。4月以降の施策としてはディノス事業では、例年6~7月に実施する割引クーポン発行を前年より対象者を増やして実施予定。セシール事業では5月17日から1カ月間、テレビCMの放映を行い、後半から「50人のうち1人に当たる全額ポイントバックキャンペーン」を告知し需要喚起を図る考えのようだ。
 
 ベルーナは3月までは各事業で計画を上回る売り上げとなり、総合通販事業ではインテリアを中心に、専門通販事業ではまとめ買いや定期購入商品がけん引したようだ。
 
 増税後の4月は1~2週目は落ち込んだが、4月後半から徐々に回復傾向にあり、「春物の回復は鈍いが、4月以降に発行した夏物はほぼ計画通りに推移している」としている。今後は新商品の開発、投入を進めていくという。
 
 スクロールは3月はインテリア全般が好調で特にベッドのような高単価商材の売れ行きがよく全体で前年比2割増程度で推移したが、4月度は前年同月比約3割減となり、5月度も同様のトレンドで推移しているようだ。駆け込み需要の反動もあるようだが、「昨年はセール販売で大きく成長したが、本年度はセールは未実施」という原因もあるようだ。いずれにせよ、「想定内の数値であり、市場のトレンド並み」と見ているようだ。今後は「無理に値下げや販促費の投下は行わない」としており、販促費の適正なコントロールに注力。その後は状況を見ながら販促施策を再開していくとしている。
 
 カタログハウスでも1~3月は前年実績を大きく上回ったとする。増税後は例年、4月上旬に発行しているカタログを2週間程度遅らせ、増税直後の発刊を避けるなどの施策を行ったものの、4月は前年を大きく下回り、5月に入っても前年を下回っているという。「駆け込みの反動ももちろんあるが、増税プラス物価上昇による購買欲の冷え込みが大きな要因だと思う」と分析している。
 
 ヒラキは3月の売上高が前年同月比44%増。特に校内履きなどスクール関連商品のまとめ買いが増加した。4月は3月の駆け込み需要の伸びの範囲内ではあるものの受注の反動減があり、前年を下回る状況。5月も減少幅は縮小しているが引き続き同様の流れで推移している。
 
 4月以降の施策として、5月は夏物新商品を拡充した夏カタログを既存顧客へ配布。また、販促品である680円レディースサンダルを掲載した新聞広告の全国展開や、スーパー・100円均一ショップを中心とした店頭へのカタログ設置などの施策により新規顧客の獲得を進めている。
 
 高島屋では、増税前の3月はとくに下旬の駆け込み需要が大きく、目標値を2ケタ上回った。4月は衣料品を中心に反動が大きく、目標を下回ったが、3~4月の累計では目標値を上回った。5月は4月同様の厳しい状況で推移している。
 
 増税前の駆け込み需要と増税後の反動が一定のバランスを保っているリビング、食料品に対し、不要不急の商材がメーンのファッションカテゴリーがとくに買い控えのマイナス影響を強く受けているようだ。
 
 4月以降の取り組みとしては、通販カタログでは精緻なセグメントに基づいたDM発信やアウトバウンドコールの実施など潜在需要顧客に対するピンポイントでの販促策を積極的に行っている。
 一方のネット販売事業では、増税後の影響を受けにくいギフトマーケットでの商品提案強化と、きめ細かい販促施策を展開しているという。
 
 JALUXは2月中旬に消費増税前駆け込み需要を見越して臨時発刊したカタログ「JAL World shopping Club春号」が奏功し、3月の受注は堅調に推移した。
 
 増税後については4月発行の初夏号カタログで消費増税後の影響を見込みページ増(売場面積増)を図ったため4月度は前年並の売り上げを確保できた。5月以降の受注状況についても消費増税後の需要低迷の影響は5%程度と見ている。商品別に見ると増税後は女性向けでブランドとのコラボ腕時計をはじめ定番ブランドのシューズなどが好調。一方でレデーィスアパレルの動きが全体的に鈍く「価格、素材、デザインは今までの売れ筋商品を踏襲しているため落込み理由については不明だが、特に被服は3月増税前の先買いが起こったような印象」とした。
 
 今後についてはカタログの発行部数やページ増に加え、ネット販売でお中元商品の早期受注でボーナスマイルを付与する企画などを実施し、中元商戦における早期刈り取りを実施する。
 
 全日空商事の3月までの状況は家電、スーツケースなどが消費増税を意識した購入として売り上げを伸ばした。また、並行して行っていたB747退役企画の関連商品も好調で前年比約20%増となった。4月以降の増税による影響は他社並みと推測しており、加えて「内部システムの切り替えによって営業停止や一時期プロモーションを控えていたため、前年を下回る結果となった」とした。なお、動きが良かった商品としてはワイン、食品、家電(ポイント購入)があり、反対にレディースファッション(贅沢高額品)は鈍かった。4月以降は同社の強みであるポイント・マイルからの購入を強く促していく考え。
 
 総合通販A社(※社名非公表)の3月の売上高は、販促効果も後押しして前年同月から大幅なプラスとなった。その反動で4月は例年と比べて非常に悪く、5月も厳しい状況が続いており、とくにファッション、リビング系が苦戦している。
 
 4月以降、業績維持を図るため、媒体配布数をコントロールしているほか、顧客に経済的インセンティブを与えることで購買意欲を刺激する試みを行っている。今後についは具体的な見通しが立たない状態で、緩やかに回復すると考えているものの、8月くらいまでは影響が残ると見ている。


テレビ通販各社は?


 テレビ通販はどうか。ジャパネットたかたは1~3月まではエアコン、冷蔵庫、デジモノを含む家電全般が好調で「予想以上の売り上げを上げた」ようだ。増税後の4月は高額商品で増税の反動があり、「さすがに前年よりも落ち込んだ」とするが、「提案によっては少子高齢化、健康、教育に通ずる商品、中でもウォーキングシューズや比較的低価格の商品が継続的に動いている」としており、5月からは回復傾向にあるようだ。

 QVCジャパンでは1~3月までは貴金属や日用雑貨、美容系商品などが好調に推移した。4月以降の業績については現状明らかにしていないが、「高額品を意図的に3月にシフトしたため、相対的に商品単価は下がっている」としている。

 また、テレビ通販B社(※社名非公表)でも3月までは前年比でプラスで推移。高額品も含めて好調だったことに加えて、例年3月に実施している大規模な特集企画を今年は期間を延長したことなどもあったようだ。4月以降は「顧客の購入頻度はそれほど落ちていないが、全体的に商品の単価が下がっている」とし「前年比ややマイナス」とするが、「4月よりも5月の方がマイナス幅が縮まっている」とし改善基調にあるようだ。今後は人気商品を特別価格で販売する大型のイベントやキャンペーンなどを実施予定としており、5月27~29日に昨年までのイベントを強化して実施する。「多少、価格が下落しても、顧客の購入頻度を下げないことを重視している」としており、あわせて、年間を通じて認知度向上、新規顧客の獲得にも注力するとしている。


健食・化粧品、食品通販は?

 化粧品・健食通販の状況はどうか。ファンケルでは3月に想定以上の駆け込み需要があり、月次売上高は、計画比を20%以上上回った。前期決算で売上高にして18億円、営業利益で10億円の影響があったと試算。売れ筋は、化粧品ではマイルドクレンジングオイルや洗顔パウダー、スキンケア商品群などの定番商品。健康食品では、割引価格で購入できる90日分の徳用タイプや、3袋セット(1カ月分×3)の販売など。

 増税に伴う反動に備え、通常、会報誌の発送に合わせて3月20日から行うキャンペーンは、会報誌の発送時期を遅らせ、4月1日から開始した。また、4月から使える500円の割引クーポンを配布。リニューアルしたベースメークの投入時期も増税後の4月1日に合わせた。また、4月から大手ドラッグストアにおいて化粧品の主力商品の展開を開始。ローソンでも展開するアイテム数を増やすなど流通戦略を強化している。

 こうした施策で化粧品は、4月以降もマイルドクレンジングオイルや洗顔パウダー、ベースメーク類が好調に推移。海外売上高を含む4月の月次売上高は前年同期比0・4%増、国内売上高に限っても前年同期比、計画比を共に上回るという。5月にはマイルドクレンジングオイルのテレビCMを始めるなどプロモーション強化で増税による反動の影響を抑える。

 一方、健康食品は、増税の反動を受け、4月の月次売上高は、前年同期比29・5%減となった。昨年は4月にカロリミットのキャンペーンを実施、5月にHTCコラーゲンのテレビCMを展開していたが、今年は目立ったプロモーションを実施しなかったことが影響している。

 健食通販C社(※社名非公表)は増税前の駆け込み需要から3月の月次売上高が前年同期比28%増と伸長した。売れ筋は、「グルコサミン」関連の健食。一方、増税後も4月が同8・9%増、5月が同5%増と増収は維持している。ただ、昨年は10%程度の増収率を維持してきたため、悪化しているとの評価。一方、さまざまな点で経営指標に回復基調もみられるという。最近では、悪化していた定期顧客に関する経営数値に下げ止まりの傾向がうかがえ、今後も"人肌感"のあるDMの強化など顧客との関係性強化で定期顧客数の維持を図り、増税の反動を避けるとする。

 食材通販の状況は、らでぃっしゅぼーやの3月度売上高は、買いだめ需要が高まり、食品・エコグッズの売上高は前年を上回った。好調だったものは貯蔵ができるアイテムで、ドリンクや米、調味料、化粧品、日用品などが伸長した。4月度は駆け込み需要の反動を受けて、買いだめの傾向が見られたドリンクや米、調味料、化粧品、日用品などが苦戦した。このため、反動対策として、賞味期限が短い乳製品やパンなどの日配品のセールを実施。加えて、6月までポイント還元セールを行い購買意欲の喚起につなげている。

 大地を守る会の3月期売上高は宅配が116億円で微減となった一方で、ネット販売は前期比12%増で推移。全体で前期比2%増の134億円だった。3月中は、米や調味料、飲料、乾物などの買いだめ需要が見られた。4月度の売上高は3月の買いだめ需要の反動を受けて前年同月を下回った。また、生活用品の高額アイテムが伸び悩んだ。一方で、「徳用」や「切り落とし」系商品のほか、規格外の「もったいナイ魚」などは好調に推移。3月4月の合計売上高を比較すると前年同期を上回った。5月以降は増税後の影響は薄れてきているという。今後、調味料などは買いだめ商品の消費のタイミングに合わせて販促を予定。季節感のある販促企画を強化することで売り上げを確保していく考え。


ネット販売はいかに?

 ネット通販専業はどうか。ケンコーコムでは3月中旬まで、ほぼ例年通りの販売動向だったが、後半2週間で消費税増税前の駆け込み需要により受注が急増。日用品や健康関連商品ネット販売のリテール事業の3月度売上高は前年同月比229・8%増の19億5300万円となり、単月で過去最高を更新した。増税を前に消耗品のまとめ買いなども多かったようだ。

 一方、増税後の4月度のリテール事業売上高は、13億5400万円。前月比で30・7%減と反動減の傾向が顕著に表れた。前年同月比では、2・0%増と前年をクリアするなど順調のようにも見えるが、これは今年1月に親会社の楽天から事業運営を継承した「楽天24」を含んだ数値であるため。リテール事業だけで見ると数%のダウンとなり、同社としても「少し悪い」という見方だ。

 また、増税後の反動減対策の部分でも、いくつか取り組みを行っているようだが、同社が重視しているのは今期の重点施策となる「楽天24」事業の拡大。現在、その準備作業を進めており、第3四半期には、従来からのリテール事業と楽天24事業の在庫およびオペレーションの統合を予定。リテール事業の売れ筋商品のほぼ全てを「楽天24」でも扱えるようにすることで売り上げの増加につなげる考えだ。

 ゴルフダイジェスト・オンラインの1~3月の合計売上高は前年同期比15%増で、月次では1月が前年同月比3%減、2月が同1%減、3月が同48%増だった。外部要因として2月は降雪の影響、3月は増税前の駆け込み受注などがあったと見ている。4月の売上高は同6・1%減で売上構成比率の高いゴルフクラブの売上低下が足を引っ張った。5月以降は徐々に回復基調となり、月末時点で増税後の影響はほぼ無くなった。要因としてはゴルフシーズンがスタートしたことによる全体底上げの兆候があり、特にウェア系の販売が堅調だった。


業績回復の見通しは?

 駆け込み需要の反動はいつまで続くのか。各社の見方では概ね夏までと見るところが多い。「4~6月は前年度を下回る固めの計画としているが、7~9月あたりからは前年度を超えてくる事業カテゴリーも出てくると思われる」(ディノス・セシール)、「増税に伴う反動は6月末まで続く見通し」(ファンケル)との声が多かった。一方で「日本は人口減少・高齢化に直面しており、小売業は現状でも完全にオーバーストアである。『駆け込み』は世間のムードによる一時的需要増で、今後回復を期待することは無理であると考えるべき」(カタログハウス)との声もあった。

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