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人材確保、カギは〝支援力〟

011.jpg 有能な人材をいかに集めるか。自社ビジネスを成功に導く優秀な社員の確保は通販事業者のみならず、企業にとって永遠のテーマだ。そのための施策の1つとなるのは、有能な社員が辞めにくく、外部から優秀な人材が集まってくるような「働きやすい環境作り」だろう。大胆な勤務形態やユニークな休暇制度、出産・育児に関する支援制度など各社は様々な施策を講じ、社員にとって働きやすい環境を整えているようだ。通販各社の注目すべき施策について見ていく。

オークローンマーケティング「月120時間勤務の検討へ」

プライベートの充実を
  
 「自分や家族のために"時間"を使うことができた。とても"よい制度"だと思う」。

 ショッピングブランド、ショップジャパンを展開するオークローンマーケティング(OLM)は、新しい勤務形態として、今年に入り、時短勤務のテストを行った。その結果を踏まえて、"1日6時間"の勤務形態導入を視野に入れた検討を行っているようだ。従来まで従業員の1日の勤務時間は8時間という一般的なものだったが、「仕事だけでなくプライベートも充実させて欲しい。社員のモチベーションアップはひいては会社としての成長につながる」(ヒューマンリソースディヴィジョン・吉川光秀部長)という考えから、同勤務制度を導入することを検討しているようだ。

 「1日6時間勤務」はスタートトゥデイなどがすでに実施しているが、OLMで検討している勤務形態は、より踏み込んだものとしたい意向で、日単位でなく月単位で労働時間をとらえ、月間で120時間程度という幅を持たせる勤務体系とするもの。

 つまり、必ずしも毎日6時間、勤務する必要はなく、「ある日は3時間勤務」で「ある日は9時間勤務」などとし"帳尻を合わせる"ことが可能となる。実際にできるかどうかは別の話であるが、「週の前半にがんばって働けば毎週金~日と3連休を取ることもできるかも知れない」(吉川部長)と話す。

 ちなみに、現在、検討している内容では、勤務時間を短縮しても、現行の1日8時間勤務の状態から減額することはないようだ。

 実は同社では今年2月の1カ月間、新たな勤務形態の可能性を探ろうと、午前9時から午後3時までの6時間での勤務テストを一部のシフト勤務者を除く全社員を対象にして実施。「社員にはいきなりの通知で慌ただしく実施することになったが、多くの社員が何とか工夫して仕事を行うことで6時間勤務制度を利用でき、その後のアンケートでも『病院に行くことができた』『古い友人に会うことができた』『習い事に行けた』など8割以上の社員からは好評で"勤務形態を変えて欲しい"という声を得た」(同)ことや、2月のテスト導入時も業務効率が低下することはなく、むしろ、残業が減るなど効率は高まったことなどから、導入に踏み切る検討を始めたという。

フレックスタイムと合わせ技で

 「検討していくにあたっては他社と同じでは"オークローンらしさ"がない。6時間の時短勤務以外に"フレックスタイム制度"を求める声も出てきたので、合わせ技として『月間120時間勤務』を視野に入れて検討した」(同)とする。検討していく上で"コア時間"の設定方法など細かな制度設計を模索しているようだ。

 新たなフレックスタイム制度の導入後は、同制度による働き方を阻害しないよう個人に仕事量が極端に偏らないような人材配置や部門内での業務の平準化、責任者への教育などを行いつつ、業務の生産性なども注視しながら、効果的なやり方を精査していく。また、今後はこれらを一歩進めて、在宅勤務制度導入の可能性も模索するという。

キャリアコース制度も開始へ 

 このほか、OLMでは「よりよい社員の働き方」として、転勤をなくして勤務地をあらかじめ定めたところに保障する「ローカル社員」と、そうではない「グローバル社員」に分けるキャリアコース制度を5月から導入するなど、多様な働き方を求める要望に応えた取り組みを開始する。

 これまで同社が実施してきた法定基準より期間を延長している育児サポート制度(産休・育休・育児時短勤務・深夜時間外業務制限)や、子供の学校行事や親・配偶者に看護、介護、不妊治療など家族に関わる出来事について有給で年間5日間、休暇を取得できる「ファミリーサポート制度」など以外にも新しい福利厚生の施策を検討しているようで、今後も優秀な人材の流出防止・確保を進めていく考えだ。

JIMOS「育休明け後の現場復帰を支援」


「"育休明けのブランク"をいかに埋めるか」――。化粧品通販のJIMOSでは今秋から、育児休暇取得者をスムーズに"現場復帰"させるための試みを開始する。

 同社の従業員273人のうち、7割弱が女性。かつ平均年齢は32歳で出産や育児を行う社員が多い。「出産や育児などを機に退職せざるを得ない方も多かった。売り上げ倍増を目標に掲げる当社としては何とか優秀な社員に出産後も会社に残ってもらい、キャリアを積んでもらい、業務に貢献頂きたい」(コーポレート本部・津藤裕美人事部長)ということから、同社では3年前から特に出産・育児を支援する福利厚生施策の充実に力を入れてきた。

 例えば、上限3万円までの保育園補助金の支給やベビーシッターの補助金(※現在、検討中)。また、子供の病気の看病などに充てることができる年間7日間の有給看護休暇などだ。こうした試みが評価され、特に女性社員の新規採用が増えており、離職率も減っているという。さらに昨年6月には厚生労働省福岡労働局から「次世代育成支援対策推進法」に基づく「子育てサポート企業」に認定され、そのことを示す公的なマーク「くるみん」を取得するなどJIMOSの試みについて、外部からの評価も受けているようだ。

 こうした出産・育児支援を中心としたサポート施策もあり、女性が出産後に復職することは当たり前となっているが、一方で問題も出てきているようだ。主産休暇・育児休暇からの現場復帰だ。

 産休・育休の平均取得日数は9カ月間。保育施設が見つからないなどの事情があるなど長い場合は1年半程度となることもあるようだ(※最大3年の取得が可能)。「長期休業明けのブランクが社員はもちろん、受け入れる側の部署にとっても不安要素となっていた」(津藤部長)という。

 そうした不安要素を払拭すべく、10月をメドに育休中の社員を対象に講習会やセミナーを行う。「復職後の心構えや知っておくべき情報の共有などのセミナーを行う予定」(同)。一方で、受け入れる側の部署に対しても、当該部署の管理職らに復職者に対しての仕事の割り振り方やバックアップの方法などについて教育・指導する予定。「産休育休の取得は世の中的にももはや当たり前になりつつあるが、実は育児休業明けの現場復帰で挫折してしまう方も多い。我々は育休明けにスムーズに復職できる体制を築き、本当の意味で出産育児を行う社員を支援したい」(同)としている。なお、同社では「子育てしながら働ける環境作り」の一環として来期をメドに在宅制度の開始なども進めているようだ。

ファンケルなど「出産・育児の情報提供」

 出産や育児など人生における重要な局面を迎えながら働く女性が活躍できる職場環境の整備で進んだ取り組みをする企業もある。ここ最近、店舗スタッフのベースアップや、女性役員の積極的な登用を行っているファンケルは、全従業員の約6割を女性社員が占める。

 特徴的なのは06年に導入した「よいこ手当」。契約社員を含む全従業員のうち、18歳以下の子供を持つ社員に月1万円を支給する制度を始めており、現在、約2割の社員が支給を受ける。

 独自に出産・育児に関する従業員向けの情報サイト「よいこネット」も構築。出産準備を進める社員や子供を持つ親向けに「産休中や育児休業中のお役立ち情報」「新米パパ向け情報ページ」「保育園情報」などのコンテンツを設け、先輩社員からのアドバイスや便利な情報を提供している。

 一般的な育児休業や産休、時短勤務制度に加え、配偶者の出産休暇制度(最長5日、有給)や子供の介護休暇(1人につき8日)もある。ここ数年、育児休業を使う社員の復職率は100%。配偶者の転勤など自己都合以外、復職を希望する全社員が職場復帰を果たしている。

 同じく、化粧品通販を展開するランクアップも9割以上の社員を女性が占める女性中心の職場。昼休憩なしの「スーパー時短(8時30分~14時30分勤務)」や子供の看護のために「病時シッターの法人契約」(本人負担は2000円のみ)は、子育て支援制度のほんの一部。ほかに就業時間内にピラティス教室を開催したり、月額5000円までスポーツクラブの利用料を会社が負担する制度、無農薬野菜の無料支給などを行って女性を健康面からも支援する。

 育児をがんばりたくても子供が気がかり。仕事を頑張りたくても時間は限られ、周りには迷惑がられる。家に帰れば掃除もできず、すべてが中途半端になってしまうのが中小企業で働く女性の多くにみられる実態。多くは職場環境の整備が遅れるが、ランクアップは働く女性の支援に向けた取り組みが認められ、昨年には東京都から「育児・介護休業制度充実企業」に認定されている。



 フェリシモでは、社員教育と長期休暇を合わせた試みとして、同社が毎月開催している公開講座「神戸学校」への参加からの1カ月間休暇が取れる「長期特別休暇制度」を設けている。

 制度は、神戸学校が始まった1997年から実施。社員は1回の参加で3・5時間分積み立てられ、126時間分貯まると、有給休暇などをプラスして最長30日間の長期休暇が取得できる。毎回参加すれば最短3年間で達成できる。

 神戸学校は、従来から開催されていた月に一度の社内勉強会を、阪神淡路大震災をきっかけに刷新し、外部にも開放したという経緯がある。社内勉強会時代も参加と長期休暇制度がセットになっていた。

 土曜日の午後に開催するため参加は任意だが、長期休暇の資格を得る社員は毎月出るという。自己啓発を促すための公開講座だが、社員にとっては、休暇制度の存在は神戸学校に出席するためのモチベーションの一つになっているようだ。







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