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リクルートライフスタイル 「ポンパレ」初年度の〝泣き笑い〟

011.jpg 3月で開設1年を迎えたリクルートライフスタイルの「ポンパレモール」。"リクルート会員"という既存のモールにはない膨大な顧客リストに対して、ポイント施策を軸としたアプローチで展開。先行する大手の寡占状態となっていた仮想モール市場において、果たしてどれだけの成果を上げることができたのか。初年度の取り組みと課題について、運営責任者や出店者の声とともにその内容を振り返ってみる。

集客のカギはグループ間連携

012.jpg 「やりがいや成果を実感値で得ている」。ポンパレモール運営責任者の牛田圭一執行役員ECビジネス推進室長は開設からの一年間を振り返り、こう評した。

 ファッション、食品、雑貨などを扱う総合仮想モールとして昨年3月15日に約500店舗でスタート。「じゃらん」や「ホットペッパー」といったリクルートの各種サービスで貯めたポイントの、日常使いでの"手軽な償還先"という位置付けではあったものの、国内の巨大資本が本格運営する仮想モールとあって既存モールに閉塞感を持っていた出店者などからは大きな期待が寄せられていた。

 冒頭の牛田執行役員の言葉の根拠となったのが、特に直近の半年間で見せた成長力。流通総額は毎月の平均成長率が前年対比130%、1日のユニークユーザー数は多い時にはPCとスマートフォンの合計で30万人を突破。売り上げでもコンスタントに月商1千万円を記録する店舗も出ているという。

 また、数字以外に得た評価として大きかったのが「売り場」として販売だけに専念できる環境を整えていたこと。同モールは出店者に広告出稿を求めないシステムであることから、各店舗の宣伝のかけ方によって猫の目でランキングが変わるような他のモールとは違い、売れた商品が正当に評価される仕組みになっているという。

 そのため、出店者をフォローする同社の担当社員も出店者と会う際は"広告営業"にならずに、売り方や商品展開など戦略だけに集中して話し合うことができているようで「他のECコンサルタントの大半が店舗を『他人事』として捉える中、リクルートは『自分事』として向き合って無責任なことはしなかった」(衣料品・雑貨出店者)という評価も得ていた。

売上げに対する厳しい声も認識

 開始1年間で一定の成果をあげることができたポンパレモールだが、元々の期待値の高さを考えるとこれが十分に満足できる結果だったとは言えないだろう。特にモールの流通総額自体は右肩上がりで伸びているものの、各店舗ベースで見ると出店者の多くが売り上げに不満を感じていることも事実だ。これについては同社でも「『売れるようになった』という意見は全体の中でもまだ少なく、『まだまだ売れていない』という厳しいコメントの方が多い」(牛田執行役員)と、現状を認識している。

 同社では売り上げが伸び悩む店舗がある理由として、開始当初の2~3カ月間にモール全体での品ぞろえが弱かったことを挙げている。「想定以上に課題は大きかった。ちゃんとコンバージョンしてもらうだけの商品数がなかったためコンバージョンレートが悪かった」(同)と説明。最も注目されるサイトオープン時に消費者に植え付けた「品ぞろえの少なさ」というイメージはかなりのマイナスで、その後の客足に大きな影響を及ぼしたことは想像に難くない。

 そのため、昨年夏頃からは商品のアップロードがしやすいようにFTP(ファイル転送プロトコル)の開放やAPIを開発するなどテコ入れ策を次々と実施。結果的に取扱商品数はその時期から急伸し、開設当初の150万品から2月上旬時点では900万品まで拡大。3月末には1000万品を達成する見込みで、来期は2000万品もうかがえる状況にまで改善している。

 「品ぞろえ」という一番の課題が解決されたかに見える一方、出店者側の見解はどうか。一部では売り上げが伸び悩む背景には別の理由があることを指摘する声も出ている。「出店している我々でも何が強みなのかよく分からない」(化粧品出店者)という意見では、「アマゾンの『物流』」「ヤフーの『ポータルサイト』」のようにネット販売の世界において「リクルート」からすぐに連想できるような特別な武器がまだ見えないことを指摘する声も。最大の強みでもある「リクルートポイント」についても「果たしてみんなが使っているものなのか?当社の周りではあまり聞いたことがないし、ピンと来ない」(同)とし、消費者への周知が十分に図れていないとの見方を示す。

 また、他のモールがすでに浸透し切っている状況で消費者の購買行動を移し変えること自体の難しさを懸念する意見もある。複数モールで展開する出店者からは「ポイントを勘案すればポンパレで買った方が一番お得になるが、それが意外と重視されていない。結局は買い慣れているモールに行ってしまう」(インテリア出店者)という声も。さらに一定の売り上げを形成している好評企画の「最低価格チャレンジ宣言」や各種の「ポイント還元キャンペーン」についても「『最安値』や『ポイント』に付随する企画は他のモールでもやっている」(同)と分析。"割安感"の訴求に振れ過ぎると既存モールとの差別化ができなくなるという意見も聞かれた。

 いずれの意見も共通するのはリクルートならではの独自色ある施策を今以上に打ち出すことを望むもので、消費者に対して"ポンパレモールで買う理由"をしっかりと意識付けさせることを求めている様子が伺えた。

「SUMO」とのテレビCM開始

013.jpg そういった声に応えるかのように、同社が現在強化しているのがポンパレモールと各種リクルートサービスのグループ間での連携だ。2月5日に始まった「リクルートポイントキャンペーン」では、不動産・住宅サイトの「SUMO(スーモ)」で予約して契約・エントリーした利用者を対象に、期間中に1万ポイント(1万円分)を付与する企画を実施。2月15日には同企画で得たポイントを使って、家具類など新生活に関連した商品が同モールでまとめて購入できることを紹介したテレビCMも開始するなど、ポイントとモール双方の知名度を上げることに努めている。

 また、スマートフォンユーザー向けの施策として、3月末には同モールのスマホ版を開設予定。元々「ホットペッパービューティー」などのサービスはスマホからの流入が多く、リクルート会員とスマホユーザーの親和性が高いことから将来的に各種スマホアプリとの連携も視野に入れているという。同社が展開する位置情報アプリなどと合わせて、店舗とネットの双方に集客を促すようなO2O目線での連携施策を図ることも検討課題としていくようだ。



 同社が望むと望まざるにかかわらず、今後も出店者や消費者からは他の大手仮想モールとの競合として見られることは避けられないだろう。その上、2年目ともなれば売り場の進化を期待する出店者からの「独自性」を求める声もより一層強くなっていくはずだ。
 そういった意味では1年目で蓄積された各種の利用者データの活用方法が今後の大きな鍵になることは間違いない。同社が誇るデータマイニング専門チームと合わせて、営業や開発などまさにグループ内の横連携でどれだけ多くの固定ファンを創出する施策を打ち出していけるのか、今後の仕掛けに注目したい。

運営責任者の牛田圭一執行役員、直近半年間の成長で自信

014.jpg――1年間を振り返っての手応えは。

 「流通総額では直近半年間で毎月の平均成長率が前月対比で130%となり、2月もそのくらいを見込んでいる。1日のユニークユーザー数は多い時でPCとスマートフォンの合計で約30万人と当初の想定を大きく超えた」


――出店者からの反応は。

 「開設当初の頃は顧客も出店者も含め『商品のラインアップが足りない』『売り上げが足りない』という厳しい声をもらっていた。今でもそういった意見はあるが、商品数についてはかなり増やすことができたと思う。また、昨年5月にクレジットカードの『リクルートカード』を始めた後は『合わせて使うと他のモールより安い』という声もありプラスのコメントは増えている」


――この半年間の成長を支えた要因とは。

 「出店者が望む開発が一部追いついてきたということはある。例えば商品のアップロードをしやすいようにFTP(ファイル転送プロトコル)を開放したり、APIを開発したりしたのがちょうど半年前。このタイミングで取扱商品数が大きく伸びている」

――現在の商品規模は。

 「取扱商品数は150万点強くらいで始まり、今年2月には900万点を超えた。3月末には1000万点を超えることがほぼ見えている。来期については2000万点ぐらいまでいくだろう」

――売れ筋や顧客層について。

 「食品、水、酒、日用品、ファッションなどが好調だ。1年間運営して日ベースでトレンドが出ることが分かったので今後は何をいつ露出して売り上げを最大化していくかができる。例えばみかんなどはいつから売れるか、季節イベントでは何が売れるのかなどはっきりと分析できている。

 顧客は30~40代の女性が一番多いが、男女比はほぼ半々でネットユーザーの分布に相関してバランスがいい」

――「リクルートカード」導入の効果とは。

 「例えばポイント付与では年会費無料で1・2%、年会費ありが2%など、他にはないレベルの付与率を設定している。ポンパレモールそのもののポイント付与率3%と合わせると5%ぐらいなので、貯まっていく実感は相当あるだろう」

――強みであるポイント付与率の認知は進んでいるか。

 「テレビCMやキャンペーンなどは積極的に行っている。モール内でもトップページや購入導線の中で絶対に出すようにしているので、一度利用した人は必ず見ている。カード利用者の数は着実に増加しており、1人当たりのカード利用額も想定以上。リピート率も他の顧客と比較すると非常に高いと聞く」

――そのほかに、改良していった内容や出店者から評価を得たことは。

 「出店者からの要望で11月にはレビュー機能を付けた。また、一定の評価を受けているものでは『最低価格チャレンジ宣言』や『ポンパレモールフェスティバル』といった特集がある。割引の目玉商品を設ける大型セール企画は11月末~12月にかけて実施したが流入数が通常の5倍以上になるなど好評で、3月末にも開設1周年記念の企画を予定している」


――セール企画に関して、昨年は他のモールで色々と問題が取り沙汰されたこともあった。

 「当社の場合、例えば目玉商品の値段の付け方が『通常よりもどれだけ割り引いているか』ということではなく、『他のモールよりも安い最低価格です』という見せ方。もし顧客から『他よりも高い』という指摘があればその差額分をポイントで還元する仕組みなので、間違いが起こりようのない内容」

――出店者へのフォロー体制については。

 「専任のフォロー部隊があって売り方や商品数の増やし方も含めて高い頻度でアドバイスしている。我々は広告の営業をしないのが他のモールと決定的に違うことで、販売戦略についてしっかり話すことができる」

――アドバイスの具体的な内容は。

 「個別事例ではないが『最低価格チャレンジ宣言』の企画が売り上げを瞬発的につくることに寄与しているので、伸び悩んでいる出店者に対してはそこへの参画を促すこともある。そこで売れるとランキングにも載ってしばらく売れ続けるという好循環が始まり、リピーターづくりもできるようになる。一つの勝ちパターンとして確立してきている」


品ぞろえの弱さが出足の反省点

――手応えを感じた施策があった一方で、反省すべき課題とは。

 「開設当初の3~4カ月間の商品数が少なかったことは想定以上に課題として大きかった。顧客にちゃんとコンバージョンしてもらうだけの商品数がなかったため、コンバージョンレートが悪かったということはあった」

――流通総額や店舗ごとの売り上げに関しての課題は。

 「流通総額については元々想定していないこと。あとは出店者の望む金額に達しているかいないかということでは、当然足りていないという意見を真摯に受け止めなければいけない。今後もきちんと1件当たりの売り上げをつくっていくことから逃げないでずっとやり続けていきたい」


――昨年は「ヤフーショッピング」が無料化を表明し大きな話題となったが、率直な感想は。

 「前提として他社のモールと自分達を比較して見ていない。基本的にリクルートポイントの使い先としてどう拡充させるかと出店者の動向を注視しているので、あまり他社の動きに一喜一憂はしない。

 確かにヤフーさんが無料化を宣言した時、(ポンパレモールでも)出店者がざわついていたことはあった。当社の担当が行くと(ヤフーショッピング内で)競合が増えることの心配や広告費のかけ方などの話題に終始して、ポンパレモールの話をするまでに時間がかかったこともある。しかし、その状況も間もなく元に戻ったので当社への影響はないという結論に至っている」

――ポンパレモールの出店者数に影響はなかったか。

 「出店者数が滞るといった現象は起きていない。今年2月の時点で出店者数は受注(契約)ベースで900店を超えている。ヤフーさんの無料化発表後も、変わらず毎月100店舗弱のペースで安定して出店数が伸びている」

――一部店舗からポンパレモールでも無料化の提案があるという話も聞くが。

 「方針として無料化に行くことは絶対にない。報道などを見てどの話がどう誤解を受けたのかという思いもあるが、今後無料化にする予定もない。どこの会社でもそうだが、個別の営業活動の中で少し割り引いたりするのはあること。もしかしたら営業マンによっては各々の裁量の中で参画当初の月額固定費の無料期間などを長くしたり短くしたりする会話があったのかもしれないが、それを誤解している人がいるのではないだろうか」

――今年の仮想モール市場をどう見ているか。

 「一番大きいのは4月以降の消費増税の影響をどう戻せるかということ。あとは安心・安全が求められていることは間違いないだろう。もう少し長期の視点で言うとO2Oとの接続という話がでてくると思う」

――O2Oの具体的な中身とは。

 「今では位置情報などを使ったアプリサービスなど店舗送客なのかEC送客なのかその(使用目的の)境目が見えなくなってきたものがどんどん出ている。今のところポンパレと連携しているものはないが、当社で言う(位置情報サービスアプリの)『レコチェック』や(ファッション関連アプリの)『ショプリエ』などと今後つながっていく可能性もあるだろう」

「スーモ」と連携のキャンペーンも

――これからの運営面で優先していくことや予定している取り組みなど。

 「(リクルートグループでの)横の連携を更に強化して集客を図っていくということがある。(住宅・不動産購入をサポートする情報サイトの)『SUMO(スーモ)』と連携した取り組みとして、2月5日~4月24日の契約・エントリー者を対象にリクルートポイントを1万円分付与するキャンペーンを行っている。

 それと付随して、2月15日にはカーテンやベッドといった引っ越し関連の家具商品類がポイントを使ってポンパレモール内でお得に買えるという内容のテレビCM(及びYOUTUBE動画)も公開した」


――そのほかに購入につながるような連携施策は。

 「3月にはポンパレモール内で売っている商品を冊子にまとめて、全国にある「スーモ」のカウンターに置く予定だ。冊子では関連需要が見込める商品をピックアップして掲載し、ポンパレでの購入を促す内容で訴求していく」

――商品政策については。

 「取扱商品を拡充していくことに変わりはない。現在は日用品などが強いが、冷蔵庫といった大型の白物家電が足りてないイメージがあるのでここを強化したい。大型家電は価格も高くポイント付与のメリットも大きいので、ここが充実して売り上げがついてくると平均購入単価が上がるだろう。ただしどこかのジャンルだけを特化するということではなく、万遍なく補完して増やしていきたい」



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