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「"偽物"は許さない」、通販各社の模倣品対策は? 

 1-1.jpg通販企業を含む小売り事業者にとって頭が痛い問題の1つが"模倣品"だ。苦労して開発したり、多くの広告宣伝費をかけて育て上げた商品の"まがいもの"により、機会損失による売り上げへの影響はもちろんのこと、当該商品とはかけ離れた劣化した"偽物"を売られることによる元商品のイメージや信頼性の毀損による被害も甚大だ。近年では確信犯的な業者だけでなく、罪の意識のないまま手軽にネット販売で偽物を売ってしまう個人事業主も急増しているようで、小売り事業者の被害はさらに深刻化しているようだ。増え続ける模倣品・類似品に対し、その対策に本格的に取り組み始めた企業も出てきた。注目すべき各社の模倣品対策の現状を見ていく。(写真=テレビショッピング研究所が販売する「ジニエブラ」の模倣品)

チームで徹底対応・・・・・・テレビショッピング研究所

 「知的財産を守ること。これは当社の重要なテーマだ。模倣品販売業者には"強い姿勢"で臨んでいく」。テレビ通販などを行うテレビショッピング研究所は増え続ける"偽物"に対し、迅速かつ有効的な対応を取るために、法務課やWEB通販事業部、国際部、社長室、顧問弁護士といった関連各部を跨き、担当者を集めた専門チーム「模造品対策チーム」を発足させた。
 
 同社では日本における独占販売権を取得した海外の売れ筋商品をメーンにテレビ通販展開しているが、どの商品も販売を開始した直後からネットを中心に模造品が出始めるようだ。「(通販媒体の中でも)テレビの宣伝効果は強い。当該商品のインフォマーシャルの放映数を増やすほど、その"効果"に便乗しようと偽物が出てくる。中国などで跋扈する模造品の製造業者から仕入れるなどで当社の場合、1商品に対して、年間100を超える業者が"偽物"を販売されている」(同社)とする。

 "模倣品"にはこれまでも様々な対策を行ってきたが、近年に入り、模倣品が目に余るようになってきたことや「日常業務と並行して行ってきたため、どうしても片手間で行っていることもあって、模倣品業者への対応も後手後手となることもあった」(同)ことなどから、関連部門の担当者で構成される「模造品対策チーム」を立ち上げた。専門チームでそれら対策の流れを迅速化させたい狙いのようだ。

 同社のおける模倣品対策に関するプロセスを見ていこう。大まかな流れは「ネットによるチェック・監視」「疑わしい業者への"手紙"送付」「試買した商品の真偽判定」「警告書送付」「2度目の警告書」「仮処分申請」「提訴し損害賠償請求」だ。これらのプロセスをチーム内の各部署の担当者が担う。

 当該商品に対し、商標権や意匠権、独占販売権など、どのような権利を保有しているかによって対応は変わってくるが、例えば、同社の最近のヒット商品の1つで3年前から独占販売権を保有して販売しているノンワイヤーブラ「ジニエブラ」のケースで見ていく。

 この場合はまずは「ネットでのチェック・監視」から始まる。複数の仮想モールなどで自社商品の「商品名」で商品検索を行い、検索結果の中から、「独占販売権」を侵害している恐れのある"疑わしい商品"をピックアップする。

 この段階ではまだ不正な模倣品を販売しているのか当該商品の並行輸入品を販売しているかは定かではないが、当該業者には「当該商品の正規代理店であり、日本における独占販売権を保有していること」「取扱商品は並行輸入品なのか否か。並行輸入品であれば輸入元や仕入れ先を尋ねる」内容の普通の"手紙"を送付する。

 実はこれまでの経験などから、この段階で並行輸入品ではなく、"模倣品"であることが多いようだ。ただ、"権利を侵害している"など知的財産権に対する意識が低い個人事業主なども多く、手紙で指摘を受け、「それに初めて気が付き、販売をやめるケースも多い」(同社)ようだ。また、実際には模倣品であっても、仕入れ先で並行輸入品と虚偽の説明をしているケースも多く、その場合は当該商品が不正なものではなく、単に並行輸入品だと信じている業者も多いため、手紙による仕入れ先の調査は「"偽物の大元"に関する情報収集も合わせて行っておくことは、後々、根っこを断つ段階になった際に非常に重要」(同)なのだという。

 手紙の送付で当該商品の販売をやめなかったり、無視した業者に対しては、取り扱う商品が模倣品なのか並行輸入品なのかを実際に購入して、製造元であるメーカーに送付してその真偽を判定してもらう段階となる。メーカーに「鑑定書」を出してもらい、これを根拠に"偽物"を販売している業者には弁護士経由で「権利を侵害している」という旨の警告書を送付し回答を求める。それでも無視したり、販売をやめない悪質な業者には最後通告となる再度の警告書の送付の後に、仮処分申請、損害賠償請求を行なうというプロセスを辿るという。

 「(模倣品対策は)イタチごっこできりがないが、販売機会の損失や商品・ブランドの信頼性の毀損など被害は非常に大きい。放置できない問題」(同社)として裁判となり、時間や費用がかかったとしても「やり逃げは許さず、できる限りのことはして、強い姿勢で臨んでいく」(同)としており、今後も模倣品がでにくいよう独占販売権はもちろん、商標権や意匠権など権利関係の管理や登録を今まで以上に進めていくとともに「模造品対策チーム」を中心に対策も強化していく。

本腰の対策で1/10に・・・・・・オークローンマーケティング


 「模倣品や類似品を限りなくゼロに近づけていくことが使命。悪質な業者はどこまでも追い詰めていく」。オークローンマーケティングではすでに5年ほど前から模倣品や類似品への本格的な対策に乗り出し、実効を上げている。同社によれば、対策を本格化させる前は特定の仮想モールや通販サイトにおける同社商品の類似品・模倣品の発生率は20%程度に達していたが現状ではおよそ2%まで下がっているという。

 同社では法務部内に設置している模倣品・類似品の専門対策チーム、通称「ACT(アクト=Anti Counterfeit Task force)」を軸に徹底した模倣品対策を行っている。「知的財産法、民法、不正競争防止法などの知識を備えつつ、一線を越えてしまうと"営業妨害"となる可能性も出てくるため、そうした法的な知識と経験を備えたスペシャリスト」(河村佳朗ビジネスサポート本部長)からなるアクトの構成メンバーが一定の権限を委譲され、ネット上の常時監視や必要に応じて問題業者への通告などのほか、悪質業者には弁護士を通じた法手続きなどを行っているという。

 「アクト」誕生のきっかけとなったのは、同社が手がけ、累計150万セット以上を販売するに至った大ヒット商品のエクササイズDVD「ビリーズブートキャンプ」における大量の模倣品だった。

 同社によると、調査の結果、「模倣品ビリー」の販売数量は「正規品ビリー」の倍以上となっていたようで「仮にきちんと対策を行っていれば正規品の販売数はもっと増えたはず。それ以上に質の悪い模倣品を知らずに購入されたお客様に申し訳なかった」(河村本部長)として、プロジェクトチームを発足し、本格的な模倣品・類似品の対策を開始し、5年ほど前に「アクト」を発足させた。「ノウハウがあるのであまり詳細は言えない」(アクトの島崎美南氏)とするが、前述した通り、専門的な知識を持ったメンバーによる日々のネットパトロールや問題業者への通知など地道な作業の成果もあり、かなりの効果をあげているようだ。「通告した段階で詫びを入れたり、問題商品の販売をやめる業者も少なからずいるが、だからと言って、悪質な場合にはそのままにせず、『どこまでも追う』。お客様に迷惑をかけないためにも模倣品をゼロにしたい」(島崎氏)としており、知的財産権の侵害行為に関しては、警察・関税の刑事事件化要請に協力したり、必要に応じて悪質な模倣品販売者を民事提訴提起するなど容赦のない対応をとっている。

 同社ではこれらの自社での対策に加えて「根本を叩こう」と様々な対策を進めている。その1つが「税関と連携した水際での模倣品の摘発」だ。同社がこの5年間、本気で模倣品の対策を進めてきたことにより、通販企業としては珍しいが、国際的な知的財産権の普及・啓発団体で、コピー商品販売者に関する情報の受付や告発を行っている「ユニオン・デ・ファブリカン(UDF)」に加入。UDFに加入している世界的なブランド各社でも実施しているように、同社でも全国の税関と連携して、同社が知的財産権を持つ商品の模倣品を水際で食い止めているようだ。

 例えば、同社が販売中のエクササイズDVD「TRFイージー・ドゥ・ダンササイズ」の模倣品は昨年1年間で約4万枚が税関で差し止められたという。同社によると、多くの模倣品や類似品は主に中国にいる組織が製造しているケースが多く、水際で食い止めることが大きな実効を上げることになるという。「それでも氷山の一角で、まだECサイトでは模倣品と思しきDVDが出回っている状況。さらに対策を強化していく」(島崎氏)という。

 加えて、同社のヒル社長が昨年9月まで理事長を務めた通販関連事業者の国際的な団体「ERA」の複数の会員社と共同で「中国の模倣品業者の根絶」に関する活動も進めているという。
 前述の通り、模倣品の多くは中国で製造されることが多いようだが、業者の実態などが掴めておらず、有効な対策が打てないことから「まずは数千社あると言われる模倣品製造に関わる業者の実態把握したい」(同)とし、現状は中国の弁護士や興信所を使いながら調べて、「どこをどう潰していけば効果的かなどを検討している」(同)という。

 今後も模倣品・類似品の対策をさらに強化していく考え。同社では今年から知的財産権を持つ自社商品のOEM展開を進めていく考えで「OEM商品の元となるオリジナル商品の権利が侵害されないようにより権利をししっかりと管理していく」(同)ことに加え、東南アジアを中心に海外進出を進めていることから「日本国内と同様に、海外事業においても、自社の知的財産を守る試みを実施していく」(河村本部長)としている。

企業連合で摘発要請・・・・・・ファンケルなど

 「魅力ある製品を生み出すため研究者は時間と労力をかけて新たな技術を生み出している。特許制度を積極的に活用して一つひとつ権利化することを心掛けている」。独自価値の提供を目指すメーカーにとって、権利侵害の問題はより深刻だ。ファンケルでは模倣品対策と知財管理の専任部署を設置。権利侵害に攻めと守りで対応する。

 模倣品が特に多いのが中国。ファンケルもブランドの人気が高まり始めた07年から対策に乗り出している。

 中国では、日本貿易振興機構が主催し日系企業が参加する知的財産権問題研究グループ(上海IPG)に所属。企業連合でタオバオや摘発当局に模倣品対策を要請する。

 独自に現地の調査会社を通じた情報収集も展開。月1回、タオバオやアリババに模倣品や著作権侵害にあたるサイトの削除を依頼する。それでも年間の削除件数は約1万5000件で推移。刑事摘発につなげたケースも過去2件ある。罰則が軽いこともあっていたちごっこの状況が続くが、厳格な姿勢で臨むことで模造品の氾濫を抑えている。

 一方、他社と差別化を図るため、独自技術の権利化も進める。化粧品は01年に全成分表示制度が導入され、内容成分が分かるようになったことで権利侵害への意識が高まった。ただ、例えば「増粘剤」などある特定の用途を目的に配合する成分であっても、企業によりその表現はさまざま。一見して見分けがつきにくいのが化粧品特有の問題でもある。そのため公開や審査請求中、登録された特許を含め、年間計約6000件に上る特許を全てチェックする。

 マイルドクレンジングオイルや洗顔パウダーなど主力製品では複数の特許取得で特許網を構築。製剤技術や有効成分、容器関連など約250件の特許を保有する。

 通販企業に雑貨等の商品を供給する素数では、一般的にアイデア雑貨商材はネット上で偽物被害を受けやすいため、特に主力商品で商標登録と意匠登録を行う。「何も権利を持っていないと偽物が出た時に(流通を)止められない」(同社)とし、過去には登録していたことで税関に連絡、海外からの偽物商品の輸入を水際で食い止めた例がある。

 定期的なネットパトロールも実施。自社のブランド名を騙ったり、定価よりも極端に売価を下げて販売するサイトを重点的にチェックして偽物を見つけ、内容証明の送付や警告を行う場合もある。さらに卸先の正規通販サイトにも協力を要請、自社公式サイトとの相互リンクを貼るなど連携を強化する。また、商品のイメージキャラクターとして契約した芸能人や自社社員の写真などを公式サイトや紙媒体に活用。商品画像だけではなく、意識的に人物の顔を各種PR媒体に出すことで盗用防止を図る。「芸能事務所が肖像権に厳しいイメージがあるのは一般にも浸透している。(悪質業者も)無断で使うことはかなりのリスクがあるとして手控えるだろう」(同社)とする。

 海外でのブランド侵害を防ぐためのサービスを提供する会社もある。

 ブライツコンサルティングでは、商標や意匠・ドメインについて、侵害がないかどうかチェックする機能を搭載したクラウド型の管理サービス 「ブランテクト」を提供している。例えばタオバオやアリババといった海外の仮想モールを監視する場合、該当するショップからデータをブランテクトに取り込み、模倣品かどうかの判定をする。その上で偽物だった場合はタオバオやアリババの管理者に対して、掲載削除依頼の代行もする。

 模倣品の対象として狙われやすいのはキャラクターグッズなど、単価が安く技術もあまり必要ない商品。また、化粧品も比較的多いという。

 同社が提供するブランテクトでは、指定したサイトについて、定期的に画像(画面を日付と時刻入りでキャプチャーしたもの)やドメイン情報などを記録することができる。同社の寺地裕樹営業部部長は「例えばタオバオに通報して模倣品ページを削除してもらうだけでは、どのような侵害があったのかという履歴が分からなくなってしまう」と話す。記録を残すことで証拠性を高めるのはもちろんのこと、データの蓄積により侵害があるかどうかの判定がやりやすくなるし、担当者が変わった場合の引き継ぎなどもしやすくなる、というわけだ。

 寺地営業部長は海外における模倣品対策について、「多数ある場合、全てを削除させるには手間がかかるが、大手に止めさせれば『取り締まりに力を入れている』という意思表示になる。こうした戦略的な取り組みも必要だろう」と話す。


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