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千趣会 製造小売型通販へ転換、ネット機軸に構造改革

011.jpg 千趣会は、今期(2014年12月期)を初年度とする5カ年の中期経営計画「Innovate for Smiles 2018」を策定した。これまで同社は、頒布会事業からカタログ通販へと事業領域を拡大し、そのブラッシュアップに取り組んできたが、今回の中計では、さらに事業の主戦場をネット販売と位置づけた構造改革を推進。オリジナル開発商品の展開を強化し製造流通型通販への転換を図るとともに、ネットとカタログ、店舗を組み合わせた独自のオムニチャネル展開により、ネット販売市場で他にはない優位性を確立させる考えだ。同中計最終事業年度の18年度にグループ売上高1870億円を目指す千趣会がどのような施策を打ち出していくのか、概要を見てみる。


ネット前提の改革独自優位性確立へ

012.jpg 千趣会では、2002年以降、4回の中期経営計画を実行している。これまでの中計はいずれも3カ年だったのに対し、今回の中期経営計画は5カ年という従来にない長いスパンだ。

 この背景にあるのは、ネット販売の台頭など、事業環境が急速に変化する中、カタログをメーンとしてきた同社でも抜本的な事業構造の改革が必要となっていること。従来の3カ年計画では、なかなか思い切った打ち手を講じきれなかった経験を踏まえ、5カ年の期間を設定し、抜本的な構造改革に取り組むことにした。

 一方で、事業を取り巻く環境がめまぐるしく変化することを勘案し、実行に当たっては、各施策の完遂期間を整理するとともに2年ごとに各施策の進捗状況を確認。外部環境の変化など加味しながら、必要に応じて見直しを図り中計全体の精度を高める考えで、同社の田邉社長自身、今回の中計に対し「不退転の決意で臨む」と意気込みを見せる。

 今回の中計で取り組む通販事業の構造改革の概要は、まず、従来のカタログ前提の事業構造をネット前提の形に転換を図ること。さらに、その基盤となるオリジナル開発商品の強化・拡充を進め、流通小売型の通販から製造小売型の通販にシフトしていくことになる。

 千趣会自体、すでにネット経由の売り上げ構成比が7割超を占めており、すでに通販事業の主戦場はネット販売。これまでは、カタログを前提とした仕組みの中でネットへの対応を図ってきたが、実態に則したビジネスモデルの再構築に取り組むわけだ。

 一方、ネット販売市場では、アマゾン、楽天などのネット専業に加え、昨今ではセブン&アイ・ホールディングスなど、有力小売事業者も積極的に関与し始め、競合は激化しつつある。その中で生き抜いていくため、"誰に""何を""どのように"提供していくのかを改めて整理し、商品展開、ネットおよびカタログ、店舗の活用、顧客サービスなどに新たな手法を構築。主戦場となるネット販売市場で、ネット販売専業や他の業種・業態にはない独自の優位性の確立を目指す考えだ。

30~50代女性の顧客基盤を拡充

 ネット販売での独自の優位性の確立に向け、今回の中計では、「顧客」「商品」「販売チャネル」「フルフィルメント」の4つの観点で戦略を進めていくことになる。

 まず「顧客戦略」では、ターゲットを30・40・50代女性に設定し、これまで手薄だった客層の開拓に取り組む。

 13年度おける千趣会の女性登録会員の分布をみると、30代後半から40代前半にかけて山があり、40代後半以降を境に下降線を描く形になっていのが特徴。30代後半から40代前半は、もともと同社の主要客層で、特に、得意とする妊娠・出産・育児分野の商品・サービスで顧客が獲得できていることを表している。

 今回の中計でも、引き続き強みを持つマタニティー・ベビー関連商品を軸に主要客層の拡大を図る方針だが、売り上げベースで見た場合、小さな子どもを持つ主婦層の顧客は、あまり高額な商品を買わないというのが課題。このため、30~40代で新たに子どものいない有職女性層をターゲットに設定。当該客層のニーズに対応した商品開発を進め、取り込みを図る。

 また、もう一つの課題は、40代後半以降の落ち込み。この部分では、子どもに手が掛からないようになり、時間的、経済的な余裕のある50代女性に向けた商品・サービスの開発を進め、40代後半以降の落ち込みの解消につなげる。30~40代の子どものいない有職女性と50代女性の取り込みにより、13年度で子会社を含め447万人の年間購入者数を5年後に600万人にまで広げる計画だ。

SPA型開発商品強化し収益力向上

 「顧客戦略」の実現の前提となる「商品戦略」では、女性のニーズに対応したオリジナル開発商品を軸に据えた展開とともに、自社商品ブランドを前面に打ち出した展開を進める。

 これは主戦場となるネット販売での展開を意識したもので、ポイントやサービスを集客ツールとする他のネット販売事業者に対し、独自性のある付加価値型のオリジナル開発商品で差別化を図っていくことを狙う。

 一方でNBの仕入れ商品も有効に活用していく。特に、今回の中計では、30~40代の子どものいない有職女性、50代女性の取り込みを計画するが、新たな客層を開拓するための基盤となる品ぞろえを考えた場合、自社のオリジナル開発商品だけで全てを賄うのは難しいことから、NB商品で品ぞろえの拡充を推進。NB商品の取り扱いで、初見の顧客と自社オリジナル開発商品の接点を作り出すことも視野に入れているようだ。

 また、今回の中計では、オリジナル開発商品(取扱商品全体の約7割)のうち、自社企画で製造小売を行うSPA型商品開発の強化・拡充を推進。オリジナル開発商品としては、協力先に製造を委託するOEM型があるが、より粗利益率の高いSPA開発商品を拡大することで、収益性を高めていく考えだ。

ネットとカタログ、店舗でオムニ推進

 一方、「販売戦略」では、すでに展開しているネットとカタログ、実店舗の各チャネルの役割を明確にし、それを連携させた独自のオムニチャネルで販売していく。

 まず、ネットについては、時間や場所に制約されない特性をもとにポータルのチャネルと位置づけ、52週の販促を行い気温やニーズの変化に対応した商品提案などを推進。シーズン提案中心のカタログの場合、昨今の天候不順に対応しきれない部分もあったが、ネットの特性を活かしたオンタイムの商品提案で、顧客ニーズに迅速に対応。利用シーンの観点から、特にスマートフォンやタブレット端末での取り組みを強化する構えだ。

 また、カタログについては、自社から顧客にアプローチできる利点を生かし、ネット販売の商品購入データを使いながら、既存顧客にプッシュしていくためのツールとして活用。カタログについては、ネット販売専業や流通系のネット販売などではなかなか展開が難しいことから、独自の強みと位置づけ、これまで培ってきたノウハウをもとに、顧客との関係性を構築するツールとして有効に活用していく。

 一方、関西や首都圏で展開する「暮らす服」店舗については、自社商品と全く接点のなかった顧客が最初に商品を手に取ることができる場として活用する方針だ。

 これに伴い、従来のカタログブランド切りの展開から、自社ブランド商品の旗艦店舗に方向性を変えて展開を推進。今後の出店計画は今のところ未定だが、自社商品ブランド訴求の場という方向性の見直しに伴い、店舗フォーマットの刷新も検討していく構えだ。
商品起点にした基幹sys構築

 次に「フルフィルメント戦略」の部分では、まず、取扱商品数(現在20万点超)の拡大を踏まえ、分散されている物流拠点を再編。可児市にある既存の物流拠点と新たに用地を取得して設置する美濃加茂の物流拠点の岐阜県内2カ所に集約し、増加傾向にある同一顧客の複数商品購入への対応を強化するほか、配送のスピードアップ、コストダウンを図る。

 また、ITの部分では、基幹システムの刷新を計画する。現行の基幹システムは、商品の企画・開発業務や販売チャネル業務部分がカタログを前提にして構築されたもので、これを流用する形でネット販売を行ってきたが、"カタログ起点"の考えを改め、"商品起点"のシステムに刷新。

 今回の中計では、商品開発についてカタログ編集後に商品を開発する考え方を改め、ネット販売に対応したブランド視点の商品開発を推進。それを各チャネルで展開していく。これを踏まえ、カタログ固有だった商品の企画・開発業務部分をネット販売と共通化するなど、システム的な支援ができる形に刷新する。基幹システムの刷新は足の長い作業になるが、5年後にはシステム刷新の成果が出ているスケジュール感で取り組みを進める。

 千趣会では一連の取り組みを通じ、13年度で1264億円だった通販事業売上高を中計最終年度の18年度に1585億円にまで拡大させる考え。

 また、今回の取り組みでは、カタログブランドを打ち出す従来の事業展開を商品ブランド軸にシフト。海外事業では、カタログブランドを打ち出した展開で苦戦を強いられたが、ブランドが確立された商品を海外の流通に乗せ、パイロット的な展開をしてから通販に乗り出す手法も構想する。

新規事業、育児を切り口に展開拡大

 一方、今回の中計では通販事業の取り組みと並行して、他事業の強化と女性ニーズ対応した新規事業の創出を推進。業容の拡大とともに収益力の高い企業を目指す。

 まず、通販事業に続く柱として堅調な推移をたどるブライダル事業については、ゲストハウスの領域にまだ伸びしろがあると見ており、年間2店のペースで出店を進める。出店エリアとしては、ニーズが見込まれる東京23区および政令指定都市、県庁所在地およびそれに相当する都市をターゲットに、18年までに26店舗体制を構築。今中計での着地点として売上高を180億円を目指す。

 また、フルフィルメント業務の受託、委託物販、広告などの法人事業では、継続性や収益性の高い受託業務を中心に事業を拡大。ネット販売参入事業者の増加に伴い、物流業務やコールセンターなどの引き合いがきているが、さらにソリューション型の新商品開発などを進め、法人事業全体で60億円とする計画。

 一方、新規事業の部分では、主要顧客である女性のニーズに対応した物販以外のサービス展開を推進。この第1弾となるのが、新会社の「千趣会チャイルド」が今年9月に開設を予定する認可保育所だ。

 新規事業の展開に当たっては、既存事業との親和性と相乗効果が高いことを重視するが、育児関連は既存の通販事業が得意とし、親和性が高い分野。その意味では、新たな事業の柱としての可能性も高い。千趣会としては、今回の認可保育所を足掛かりに育児支援事業の創出も検討していく意向で、5年後に新規事業の売上高を45億円としたい考えだ。

 13年12月期までの3カ年前中期経営計画について、同社の田邉社長「不本意な結果」だったとする。今年度からの5カ年経営計画では、前中計で成果のあった取り組みを反映させながら、ネット時代に対応した構造改革と業容の拡大を推進。5年後のグループ売上高1870億円を目指す。

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