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ライオン  通販売上高100億円を突破、成長基調を維持

 1-2.jpgライオンの前期(2013年12月期)の通販売上高は、2桁近い増収率となる見通しだ。12年12月期の通販売上高は98億円(推計)。そのため、前期は110億円程度で着地するとみられる。依然として成長基調にあるものの、年率60%前後の成長を果たしてきた急拡大から一服感が出ている。健康食品通販に後発組として参入しながらウェブマーケティングに活路を見出してきたライオンは今後、いかにして成長を目指すのか。

1-1.jpg新規の効率悪化定期獲得重視へ

 「今年はノウハウを蓄積する1年だった」。前期の広告運用やフェイスブック(FB)のEC活用を、通販事業部の浜田勝俊副主席部員はこう振り返る。

 ライオンにとって、前期は試行錯誤を続けた1年だったのではないか。ウェブ広告、新聞広告ともに競争激化に加えて薬事法規制の強化で効率が徐々に悪化したという。

 従来、新聞の新規獲得は主力の「ラクトフェリン」を半額のオファー訴求で展開してきたが、昨年はこれまでウェブのみで展開してきた「ラクトフェリン」の無料訴求や、アップセル商品の「ラクトフェリン+ラブレ」を新聞広告で展開するなど、新規獲得のテスト検証を続けた。媒体選定もトライアルの新規獲得の精度を高め、定期CPOを重視する体制にシフトした。

 多くの健食通販事業者が競争激化で成長維持が難しくなる中、第2の柱と期待するトクホ飲料「トマト酢生活」が2桁近い売り上げを確保するなど好要因もあった。ただ、メーカー通販の中でその動向が注目される企業としてはもの足りない数字かもしれない。安定拡大期に差し掛かる中、ライオンはどこに成長力を求めるのか。


日用品クロスセルで客単価向上


 ライオンはこの1年、自社、外部のデータの管理・分析を強化するDMP(データマネジメントプラットフォーム)の構築に力を入れてきた。人材の配置に限界がある中で効率的に効果検証を続けていくため、セグメント分析などを専門に行うマーケティングシステムも導入。休眠顧客の掘り起しやクロスセルなどハウスリストへのアプローチを強化することで、新規獲得に依存しない体制の構築を図ってきた。

 クロスセルでは、メーカーの強みを活かした展開にも着手。店頭で展開するハミガキや歯ブラシ、洗剤など日用品を通販顧客向けに訴求した。

 健食通販の顧客は7割が女性であり、日常的に日用品を購入する層でもあるため親和性が高い。ライオンは、オーラルケア、ビューティケア、リビングケア、ファブリックケアなどさまざまな事業を展開しており、他のメーカー通販と比較しても生活に密着した製品を多く持つことが強みでもある。差別性の高いサービスを提供することで、客単価の割合も2桁近く向上、このことが前期の通販売上高を押し上げる要因の一つになった。


ターゲティング広告運用強化へ

 一方、効率が悪化する新規獲得では、顧客や見込み客のセグメント分析を強化し、ターゲティング広告の精度を高めつつ効率の改善を図っていく。

 一つは、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)広告の活用の強化。サイト訪問した顧客に広告表示する従来のリターゲティング広告ではなく、ウェブの広告媒体側が持つユーザー情報を基に、健食の購入意欲の高い顧客を選び、入札方式で広告を表示するものだ。出稿料は割高になるが個々のユーザーの属性を分析して出稿するため広告に無駄がなく、効率の改善を図ることができる。

 ただ、運用には、性別や年齢、関心事など、どのような属性のユーザーを対象に応札するか、費用対効果を踏まえた入札金額の設定、表示するバナー広告の設定などのノウハウが必要。昨年から出稿を始めたが、今年はより広告運用を発展させ、媒体側データと自社の顧客データを連携。サイト訪問した顧客がDSP広告を扱う媒体を訪問した際は入札金額を高く設定するなど、ノウハウを蓄積していく。

 もう一つ、カスタムオーディエンス(事前に収集した顧客情報とフェイスブック情報を連携させて、効率的な広告配信を行うこと)を活用したフェイスブック(FB)広告の運用も強化していく。

 ライオンでは昨年、FBのIDやパスワードで通販サイトにログインできる「ソーシャルログイン」を導入。FBを使う顧客がサイトで商品購入する際のストレスを解消し、FBへの広告出稿も始めた。今後は、FBユーザーのセグメント分析を強化して、効率的な広告出稿を行っていく。

 DSP広告、FBへの広告出稿はともに新規獲得が好調に推移する。しかし、まだDSP広告を提供する媒体は少なく、FB広告の出稿量も少ないため新規獲得全体に及ぼすインパクトは小さい。ただ、ウェブの獲得効率が悪化する中、広告市場では今後、DSP広告が増加するとみる。

 FB広告もカスタムオーディエンスを活用するには、自社のFBファンを増やし、母数を拡大する必要がある。現在、FBのファン数は1万8000人超。今後は既存客を含め「ソーシャルログイン」に登録する顧客を増やすキャンペーンを実施していくことで、比率を高めていく。

 一方、マス広告では、昨年12月からラクトフェリンの機能性など素材情報の提供に特化した新CMのテストを始めた。CMでは商品情報は出さずにラクトフェリンの機能性を訴求してウェブに誘導。同じタイミングでレスポンス広告も連動して出稿し、ウェブの検索数やコンバージョン率の変化を検証していく。


ヘアケア通販CM展開を開始

 さらに、今後、通販事業の成長力として期待するのが昨年6月にスタートした育毛剤をはじめとするヘアケア通販だ。昨年から育毛剤の半額訴求を折込チラシで展開。早い段階で成功事例を見出し、新聞広告につなげたことで初年度の数値目標を達成した。まだ数億円規模とみられるが、今後は、インフォマーシャル(120秒)を複数用意してCS・BS局で展開していく。

 新CMには、「はなまるマーケット」の生CMに出演するフリーアナウンサーの佐藤遙子さんを起用。薬事法上の機能性訴求に限界があるため研究員を登場させ、商品開発に行きつくまでのアプローチを紹介することで訴求していく。



【ウェブマーケの先駆者を目指す】

 健康食品通販で後発組であるライオンでは、通販事業を始めた当初から「戦うフィールドをどこかに作らなければ先行する各社に勝てない」(浜田勝俊副主席部員)と、多くの健食通販が未開拓だったウェブマーケティングに注力してきた。新しい広告媒体やサービスを、その評価が定まらないうちからいち早く検証し、ウェブマーケティングの先駆者たらんとしてきたことが今の成長につながっている。

 「ソーシャルログイン」の導入や、フェイスブックのEC活用もその一つと言える。

 最近では、オンラインショップで人工知能を持つキャラクターが顧客の問い合わせに自動応答する「バーチャルエージェント」においてもその成果が現れつつある。

 ライオンでは2012年末にすでにこの機能を導入。研究員をモチーフにしたキャラクター「テルコさん」がサイトを訪問した顧客の問い合わせに対応するサービスを整備した。電話相談にかかるコストの圧縮と、疑問解決によるコンバージョン率の向上を図るためだ。

 昨年は、毎月、運用改善会議を実施。想定質問と回答シナリオの追加により、今では解決率が90%を越えるまでになっている。通販サイトの問い合わせフォームでも「バーチャルエージェント」機能を紹介。「薬と併用して良いか」「効率的に飲む方法を知りたい」などの質問に対するシナリオを整備し、顧客がメール送信する前に、まず自己解決を促すことで問い合わせ率の改善を図っている。

 現在、通販サイトを訪問する顧客は月間約200万人。このうち「バーチャルエージェント」に対する問い合わせ件数は2000~3000件で推移している。1日100件前後と考えると、そのインパクトは大きい。「バーチャルエージェント」を実装後、問い合わせ率(サイトの問い合わせフォームからの質問送信者数÷サイト訪問者数)は約50%削減された。

 今後は、新規獲得の面でも、「バーチャルエージェント」の貢献度を高める取り組みを模索。質問に対する回答シナリオで商品購入を勧めるなど、販売員としても活用し、効果検証を行っていく。

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