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楽天の二重価格問題で業界関係者に聞く――「スーパーセール」縮小も? 価格表示基準は二分化へ

rakuten.JPG 昨年11月の「楽天日本一」セールにおいて、不当な二重価格表示を行った疑いのある店舗があったことが発覚したのをきっかけに巻き起こった「二重価格騒動」。楽天では抜本的な対策を打ち出しており、これまで「根拠のない比較対照価格」を用いていた店舗も二重価格表示そのものをやめている。騒動後に実施されたセールの売れ行きはどうだったのか。そして、二重価格撤廃は売り上げに影響を及ぼすのか。本紙では、楽天市場に詳しい業界関係者に、匿名を条件として話を聞いた。

 ――二重価格騒動を受けて実施された「楽天大感謝祭」ですが、売れ行きはどうでしたか。

 「『日本一セール』と比べると売れなかったのは確かですが、前年同期と比較すると2倍くらい売れているショップが多かったです」
 
 「何しろ日本一セールが売れすぎましたからね。月商1000万円の店舗がセールの3日間で1000万円売ってしまったくらいですから。そこから間もない時期のセールなので、『売れなかった』という印象を持ったショップもあるかもしれませんが、私の知っている店舗の多くは前年同期を大きく上回っています」
 
 ――CMで「安さ」を訴求できなかったことやイメージダウンの影響はなかったわけですか。
 
 「セールにおける『77%オフ』や『半額以下』などの宣伝文句に関しては、楽天市場のヘビーユーザー多くは『そんなわけないよな』と思っていたんじゃないですかね。『ポイント最大82倍』などについても同じです。結婚式場を予約したり、ネット回線やクレジットカードを契約したり、そんなに都合良く楽天関連のサービスを利用するなんてことは普通ありませんから。なので、そこまで大きな問題とは思っていなかったというのが本当のところではないでしょうか」
 
 ――ユーザーは「二重価格」の存在を把握した上で買い物をしていた。
 
 「ユーザーは賢くなっています。『楽天市場内の広告効果が落ちている』という話も聞きますが、要は広告を見てもすぐには飛びつかず、価格などを他と比較した上で購入している、ということでしょう。『楽天スーパーSALE』などの大型セールの場合も、まずは日用品などを買い回ってポイントを増やし、その上でお買い得なセール品を見極めるというユーザーが多かったのでは」
 
 「ただ、今回の優勝セールは、普段ネット販売を利用しないような人もかなり流入したわけで、『優勝セールだから何か買わないと』という一種の強迫観念から一見安そうな商品に飛びつく、というケースがかなりあったんじゃないでしょうか。二重価格自体は前々からネット上では騒がれていたわけですが、問題が広がった背景にはこういう理由もあると思います」
 
 ――騒動後すぐのセールですから、楽天側もかなりプレッシャーがあったのでは。
 
 「実は、今回は店舗側に補てんがあったらしいんですよ。要するに値引き分のキャッシュバックです。通常価格8000円の商品を6000円で出すとしたら、売れた分だけ楽天側が差額の2000円を補てんする。あちこちの店舗に声をかけていたらしいんですが、私の知る限りではこんなことは初めてですね」
 
 ――目玉商品を揃えるために楽天が身銭を切ったということですかね。今後の大型セールでも補てんはあるんでしょうか。
 
 「恐らく今回限りではないでしょうか。ああいう騒動の後なので、何としても売り上げを作らないとならない、ということで必死だったんじゃないかと思います」
 
 ――大感謝祭におけるセール品の審査はかなり厳しかったようですね。
 
 「中には、審査にかけた全商品が否認されたショップもあったそうです。今回は『通常価格から5%でもオフにすればOK』と言われていたのですが、メーカー小売希望価格より値引きした商品が登録できませんでしたから。それと、過去に値段を上げ下げした商品も登録しにくくなっていました」
 
 ――というと。
 
 「つまり、以前400円で販売していた商品を現在500円で売っているとしたら、500円から値引きしたのでは駄目で、400円から値引きしないといけないということです。相場が短期間で変わる商品だってあるのに、これは厳しい。スーパーSALE用の商品登録は11月上旬に終わっていたのにセールそのものが白紙となり、中旬になってやり直さないといけないんだから、ショップは大変ですよ」
 
 ――「77%オフ」に関してはパ・リーグ優勝時(昨年9月26日)のセールが最初だったわけですが、この値引率はいつ決まったのですか。
 
 「ショップに詳細を知らせるメールが来たのは9月11日ですね。優勝しそうになってから、なかなか企画内容が決まらなかったようです。この時は9月1日からスーパーSALEをやっていたわけですから、終わってから10日もたたない状況で77%オフの商品をたくさん揃えるなんて無理ですよ。それこそ売れ残り商品でやるしかないし、中には『定価をいじって割引率を演出しよう』なんていう店舗が出てきても不思議じゃないですね」
 
 ――優勝セールや日本一セールでの審査は厳しかったのですか。
 
 「大感謝祭の時に比べたらはるかにゆるかったのは間違いないですね。楽天がいうところの『勝手セール』をやっていた店舗については、セール直前に定価や当店通常価格を上げた店舗にチェックが入ったようですが、これも二重価格が大騒ぎになってからの話ですし。私の知っている店舗でもセール前に『送料込みの価格』を定価に設定し、そこから値引きしたところが楽天から警告を受けたようです」
 
 ――価格変更のログは取っていたわけですね。つまり、やろうと思えば騒動になる前に警告することもできた。
 
 「そういうことですね」
 
 ――楽天のECコンサルタントは、担当ショップの価格表示をチェックしていないのですか。
 
 「彼らの仕事はショップの売り上げをアップすることと、広告を提案すること。実際のところ、そこまでカバーする時間はないと思います」
 
 ――セールに合わせて「定価を上げて高い割引率を演出しましょう」と提案するケースはあるんでしょうか。
 
 「私の知る限りではないですね。楽天側もRMS(店舗管理システム)ログイン画面などを通じて注意喚起はしていたわけですから。ただ、楽天も普段から不当な二重価格が疑われる表示が存在することは知っていたでしょう。確かに表示の責任があるのはショップですが、顧客情報は楽天が握っているわけで、単純に『場所を貸しているだけ』とは言いにくい部分もあるわけです。こうして問題が大きくなる前に、注意だけではなく取り締まりを強化するべきだったでしょうね。顧客に甘えている部分もあったと思います」
 
 ――店舗は安さを演出するために二重価格を使ってきたわけですが、これがやりにくくなると売り上げにも影響が出るのでは。
 
 「ランキングやレビューなどを重視する方向に行くかもしれませんね。また、『1000円ぽっきり』のような商品が増えるかもしれない。ただ、春にも導入されるという、価格チェックのシステムにもよりますが、『当店通常価格は楽天市場での販売価格に限る』となった場合は、実店舗での販売価格なども使えなくなるわけで、景品表示法よりも厳しくなります。そうすると、価格表記も『楽天基準』と『自社サイト基準』の2つができるんじゃないでしょうか。『安さをアピールしやすい自社サイトの方がチャンスかもしれない』という店舗の声もあります。実際、市場の相場が良く分からない商品の場合、基準となる価格を表記しないと、ユーザーだって買いにくいでしょうから」
 
 ――不当表示対策を進めることで、モールの流通総額に影響が出る可能性はありますか。
 
 「確かに安さをアピールしないと売りにくくなっているのは事実ですが、そこまで影響はないんじゃないかと思っています。やはり、ポイントや楽天カードでの囲い込みができているのは大きい。むしろ、ヤフー!ショッピング無料化の方が影響は大きいかもしれません」
 
 ――今後のスーパーSALEでは、これまでのように「半額以下商品」を目玉にするのでしょうか。
 
 「何とも言えませんが、やめるかもしれませんね。ただ、アパレルの処分品など、半額で売れる商品もあるわけですから、『通常の半額以下』の商品だけに絞り、規模を小さくして開催する可能性もあります。そうなると食品などは赤字覚悟でないと難しいでしょうが」
 
 ――昨年は3、6、9月のスーパーSALEだけではなく、優勝セールもあり、合間にはお買い物マラソンも開催されるなど、毎月セールをやっているような状況でした。今年はセールを減らすんでしょうか。
 
 「減らさないと思いますよ。楽天市場はアマゾンに攻め込まれている状況ですからね。楽天の強みは、何といってもポイントによる囲い込みであり、そのために最も適した企画が『ショップ買いまわりによるポイント最大10倍』なんです。ヤフーもTポイントで攻めていますし、ポンパレモールの巻き返しもあるかもしれない。ですから、姿形は変えたとしても、セールの回数を減らすことはないでしょうね」

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