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第一三共ヘルスケア 通販化粧品で肌トラブル、販売終了も「通販撤退ない」

 2-1.jpg第一三共ヘルスケアが12月5日、通販で展開する化粧品「ダーマエナジー」の販売を終了した。使用した顧客から腫れや発疹、かぶれなど肌トラブルが起きたとの問い合わせが相次いだため。一方で、原因とされる有効成分「パルミチン酸レチノール」は医薬部外品として広く使われる成分でもある。返品、返金の対応に踏み切った第一三共ヘルスケアの判断は、どのような影響を及ぼすことになるのか。


発生率300分の1は特異な事例か

 「ダーマエナジー」はこれまで製品とトライアルセット計約13万7000個を販売。シリーズのうち、何らかの製品を使用した顧客は約8万5000人になる。

 一方、肌トラブルの問い合わせは昨年7月の発売直後から寄せられ、製品を使った顧客のうち273人が医療機関で受診した。その発生率は300人に1人という割合になる。

 これを多いと捉えるかは各社により判断が分かれるが、第一三共ヘルスケアが異常事態であることを認識したのは、今年10月。9月からトライアルセットを500円の特価で販売するキャンペーンを実施し、顧客数の増加に応じて肌トラブルも急増した。

 キャンペーン以前は、月平均5件ほどだった肌トラブルに対する問い合わせが増え、273人のうち約半数が10~11月の2カ月間に寄せられた相談者によるものだという。
「レチノール」部外品基準で配合

 原因と考えられるのは、配合していたビタミンAの一種「パルミチン酸レチノール」。以前から、肌に塗布することで腫れやかぶれを引き起こすことが知られており、これを高濃度で配合、さらに肌への浸透性を高める乳化技術を使っていたことから肌トラブルが増加した可能性がある。

 ただ、「パルミチン酸レチノール」自体は、医薬部外品としても配合が認められた成分。他社製品にも使用例はある。部外品としては100グラム中に「17~25万IU(※)」の範囲内で配合することが定められており、第一三共ヘルスケアでは「部外品の範囲内で高濃度に配合していた」とする。シリーズ全製品を使った場合もその範囲を超えることはない。とすれば、部外品の基準改定につながりかねない問題だ。

 ただ、この点、厚生労働省では「他の製品でも広く起こっているという症例報告は受けておらず、全体の発生率は多くない。"10人中5人で起こっている"というのであれば問題だが、(カネボウ化粧品の)『ロドデノール』のような新規成分でもなく、製品の特性や品質、使い方、濃度の問題かなどはっきりした上で部外品基準の変更は検討する」としている。



 第一三共ヘルスケアは、レチノールに有害症例があることから製品パッケージに注意表示を行っていたほか、トライアルセット購入者にリーフレットを同梱して注意喚起していた。安全性試験は、2008年、日本化粧品工業連合会がまとめた「化粧品安全性評価に関する指針」に基づき、パッチテストや、RIPT(複数回に渡るパッチテスト)、検査機関に依頼した上で数カ月間に渡る使用を行うホームユーステストを行っていた。

 今回の事態を受けて、シリーズの販売を終了。一方で通販事業は「今のところ撤退はない」としており、当面は美容ドリンク1アイテムのみで継続していくという。
 今回の症例が特異な例であるのか否か、原因究明を待って部外品の基準改定が判断されることになりそうだ。

 (※ビタミンの活性度を表す単位。さまざまな要因で構造が壊れやすいビタミンは、その配合量ではなく、活性の程度が指標になっている)


【「医薬品基準」は安全か】

 自社製品の品質の高さを消費者に分かりやすく伝える表現としてよく使われる「医薬品基準」。化粧品や健康食品の広告でもよくみられる。しかし、この「医薬品基準」には落とし穴があるのではないか。

 「ダーマエナジー」で肌トラブルの原因と考えられる「パルミチン酸レチノール」は他社製品でも使われていた。第一三共ヘルスケアでは「他社でも同様の問い合わせがあるのか、あるのであればどう対応しているのか」と、判断に迷った胸中を語る。だが医薬品基準で判断して公表を決めたという。

 ここで言う医薬品基準は、医薬品の副作用報告制度のこと。同社は、今回の肌トラブルを「『既知』のものであった」と話す。

 「既知」とか「未知」という言葉は、医薬品の副作用でよく使われる表現。「既知」とは、副作用があらかじめ知られ注意表示されるものを指し、「未知」とはそうでないものを指す。医薬品は「既知」であれば30日以内、「未知」であれば15日以内に報告を行う義務がある。第一三共ヘルスケアでも、「既知」の有害事例を把握していたため注意表示を厚くしていた。

 だが、これは「副作用」というものが消費者に広く認識されている医薬品だからこそ通用するのではないか。化粧品は「作用が緩和なもの」と認識され、それほど重大な被害に発展するとの認識なく使う。「既知」であっても使い方を注意喚起すれば良いのではなく、医薬品の概念とのギャップを事業者も理解する必要がある。

 今年11月、厚生労働省は薬事法施行規則の改正を決めた。今後は化粧品も医薬品と同様に重篤な副作用の個別症例の報告が必要になる。普通、重篤な副作用とは入院が必要なレベルなどを指すが、化粧品はさらに広い範囲で症例を把握するため通院を含め「治療に要する期間が30日以上の症例」も報告義務が課される。

 その狙いは、医薬品と化粧品・健食の違いを踏まえたもの。天然由来成分を含め複雑な成分の配合による作用を期待する化粧品や健食は、消費者のこれら製品に対する認識を捉え、医薬品とは異なる注意力が重要になる。

 医薬品基準だから「安心」「高品質」という過信は、消費者だけでなく、異業種から参入する事業者側にもあるかもしれない。「安心・安全」の代名詞として使われる「医薬品基準」だが、今回の例を教訓にその危うさを認識する必要がある。

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