Home > 特集企画 > 【健食・第三者認証の是非は】 日健栄協、制度巡り消費者庁と対立

【健食・第三者認証の是非は】 日健栄協、制度巡り消費者庁と対立

 1-2.jpg健康食品の新たな機能性表示制度は、企業の自己責任で表示を行うことが決まっている。一方、業界の中核団体である日本健康・栄養食品協会(以下、協会)は、第三者認証機関による機能性評価制度を掲げ、業界始まって以来の悲願を前に行政と足並みが揃っていない。消費者庁が新制度の検討時期を前倒し進めようとする中、本来、業界の総意をまとめて対応すべき団体に一刻の猶予も残されてはいない。協会が今考えるべきは第三者認証制度の構想なのか。その是非を問う。


1-1.jpg機能性三者認証「任意」でも検討

 「第三者認証でどうかと。問題はどこがやるか。公益的な団体とか、健食に十分な知見があるなど一定のハードルを設けてやらせる仕組みを作ってはどうかと思う。規制改革会議委員から"これを認めたら協会はやる気がありますか"と問われだので"ぜひやりたい"と言った。業界一丸とならないとできないし、この機会を逃すと機能性表示に風穴を開けるチャンスも来ない」。今年7月、協会が主催するセミナーで下田理事長は、こう第三者認証への意気込みを語った。

 だが、10月には消費者庁の担当官が、第三者認証への「国の関与」を否定。協会はメディア懇談会で「一担当官の見解」と応じ、国の関与がなくとも「任意」で行う可能性を示唆した。その後、本紙の問い合わせにも「任意」での実施を「選択肢の一つ」としている。協会会長の山東昭子議員や、鴨下一郎議員など厚労族議員との意見交換も行い、政治的アプローチで巻き返しを図ろうとする動きもある。


「認証ビジネス」降って湧いた僥倖


 一連の協会による独走は、閣議決定以後も続き、少なからず企業を混乱させた。なぜ、第三者認証にこだわるのか。そこには財務基盤が弱体化していることも影響しているだろう。

 協会ではこれまで品質規格を定める「JHFA(ジャファ)」、「GMP」、「安全性自主点検第三者認証」など、認証ビジネスを拡大してきた。

 だが、いずれも消費者認知は進まず、「運営が厳しい」(業界団体A関係者)とは複数の関係者が指摘するところ。そこに降って湧いた新制度は、まさに僥倖と言える。7月のセミナーでは1成分200万円で評価を請け負うとしていた。


1-3.jpg評価の責任多大なリスク

 だが、思惑と異なり協会に対する業界からの風当たりは強い。

 「たとえ『任意』でも相手は会費をもらっている会員。その時点で消費者団体からすれば利益相反と言われる。やるのは勝手だが自画自賛に過ぎず、手心が加わる懸念がある」(業界団体B関係者)という声もある。

 複数の関係者がまず指摘するのは、「責任論」。「消費者庁から科学的根拠の要件が出れば本来、評価は自社でできる。となれば協会に依頼するのは企業のリスクヘッジが目的。表示を自分で判断できない企業の担当者の受け皿となるため『第三者認証』という言葉が出たら賛同する。だが仮に消費者から訴えられた時に協会は責任を取れるのか」(B関係者)。

 協会がすでに手掛ける安全性認証では責任回避のロジックがある。「安全性認証も実際はガイドラインを使い『企業がステップに沿って確認したこと』を認証しているのであって、評価に責任を持たない。機能性評価も同じ認証では話にならない。評価の責任は非常に重く、現時点で評価が確定できない成分も含めそう簡単に結論が出せるか」(業界団体C関係者)。協会は多大なリスクを抱え、表示に責任を持てるだろうか。


機能性ない成分存在根拠失う


 機能の評価法も課題は多い。「世界的に安全性評価の考え方はそう変わりはないが、機能性はさまざま。例えば免疫機能でも10から20の評価法がある。試験対象も日本は健常者にこだわるが、海外では病人で良いという判断もあってフレキシブル」(業界団体D関係者)であるためだ。

 海外では「エフサ(欧州食品安全機関)」が、第三者認証を手がけた例がある。欧州内外から寄せられた4万件の試験データの重複を除き4000件に集約。このうちビタミン等を中心に2000件前後をまず評価したが、効能を認めたのは約200件。数字だけ見れば多いようにも感じるが、大半はビタミンで、成分数ではさらに数が少ない。「機能が認められないとなった時、その成分は健食として市場にある根拠を失う」(C関係者)。

 業界団体関係者の中には、「玉石混交の健食業界では消費者の信頼を得るために何らかのチェック機関が必要。企業ごとでは判断がばらつき、やりたい放題の会社がでる。医薬品のように評価を受けた素材の規格集をつくれば良い」といった声もある。だが、これは第三者認証がスタンダードになることが条件になる。多くの企業の協力が得られなければ難しい。また「任意で、人選など審査の仕組みをしっかりすれば問題ない」といった声もある。だが、協会が第三者認証機関足り得る資質にはすでにケチもついている。


安全性認証、一部団体に便宜?

 2010年に始めた安全性認証制度では、当初、高額な認証費用を請求しつつ、「業界内のある団体には便宜を図って安価な費用で請け負い、その団体は会員集めに利用していた。利害損得で動いたが結果的に明らかになり、費用を安くせざるを得なくなった」(D関係者)という。こうした証言は複数の関係者から得られたが、確かに当初20~30万円だった原材料の申請費用が、今では約6万8000円になっている。

 第三者認証機関(=日健栄協)を指定する「健康食品認証制度協議会」の運営にも不透明感が残る。本来、協会を指導・監督すべき立場にある協議会の事務局はなぜか協会内。協議会メンバー10人の人選にも関与して運営をリードする。

 メンバーは業界枠5人、学識経験者3人、消費者団体と弁護士が各1人の構成。しかし、業界枠は協会をはじめ業界8団体の主要団体が持ち、消費者団体枠は新聞社の人間、「立ち上げ当時、指導・監督する立場の協議会で業界が5票持つのはおかしいという意見も出たが立ち消えた。票が割れたら委員長に決定権限を持たせることで決まった」(C関係者)。だが、委員長である学識経験者も協会の推薦だという。



 「みんな気づいているのは(協会の認証ビジネスは)天下りのポジションを維持するため。習性でポストを次に渡す使命感があり、財務状況が悪くなると後任が困るからキープしなければならない。それが見え隠れするから業界のことはどうでも良いと考えていると感じる」(D関係者)。

 「消費者庁でこれから検討すべき課題は多い。行政が企業責任と言っている以上、評価制度うんぬんは後。新制度がスムーズに導入されるための支援が先だと思う。米国制度の課題をアドバイスするなど業界にいるからこその提言を行うべき。それが消費者の混乱を避けることになる。一番怖いのは混乱を招いて制度自体が流れてしまうこと。まして政治家を動かして担当省庁に変な事やったら普通良い思いはしない」(B関係者)。

 協会は11月末の時点で消費者庁との意見交換を「特別行っていない」とし、今後も「検討会などで求められれば行う」と、消極的な姿勢を取っている。第三者認証制度をめざす協会は、業界内部から噴出するこれらの言葉をどう受け取るだろうか。


【日健栄協・信頼拡幅の道は?】
同床異夢の業界団体

 日本健康・栄養食品協会(日健栄協)のほか、外資系や原料メーカー、食品、製薬など異なる背景を持つ健食業界の8団体が業界総意をまとめるべく「健康食品産業協議会」(旧・産業振興検討会)を2008年末に立ち上げて以来、まもなく5年が経つ。だが、業界団体の間には相変わらず不協和音が生じている。

 日健栄協を除く7団体のスタンスは、米国型、第三者認証型それぞれの賛成派に分かれ、中には「基本的に反対だが、そうも言ってられない日本的な部分もあり、百歩譲って『任意』の認証が合意事項」とする団体など、意見は分かれる。

 意見の相違は仕方がないが、総意の形成に向けた努力も感じられない。

 協議会とは別に、8月には業界6団体で構成する定期連絡会が開かれた。

 連絡会は特に議題を持たず、団体間のコミュニケーションを深めるのが目的。8月にはこの席で協議会を支援する旨を表明する文書の作成が提案された。「やはり意見は違っても応援しなければ、という単純な話がきっかけだったが、ある団体が"仲間内で支援する文書を出すことに意味がないため賛成できない"と言った。拒否する理由が理解できないが、連絡会のルールとして全員一致でないと連絡会の名前は出せない。5団体でも良いが、そうすると仲が悪いと思われてしまうため出来なかった。その後、9月の連絡会を前にその団体からメールで"退会します"と、連絡がきた」(6団体関係者)という。

 とにかく仲が悪く、結果として第三者認証は日健栄協の意向を強く受けた協議会が強引に総意を取り付けた、という話も聞く。



 こうした業界団体の状況に辟易する関係者は少なくない。

 ある関係者は「新制度を軌道に乗せることを目的とする企業で新しい団体を作り、そこが行政と問題解決していくのでも良い。もう日健栄協は役割を終えたとすら思える」と、辛辣な意見を口にする。別の関係者は「期待するのは日本通信販売協会(JADMA)。広告の自主規制、健食の登録制も行い、この団体が自ら自浄作用を働かせようとしている意味では最も消費者庁の考えに近い。8団体は過去の経緯からしても、会員を見ても一緒になることは有り得ない。その意味でも中立性が高い」と話す。



 本来、業界団体が果たすべき役割は、企業の声を拾い、真摯に受け止め行政に意見具申していくことだろう。新制度への関心が高まる中、ただ、「(消費者庁との意見交換を)特別行っていない」などと行政の動向を見守ることはあり得ない。自らの利害損得を捨て去り、業界と消費者双方の利益のために動くことが、日健栄協が信頼回復するために残された道と言える。

 一方で、米国制度を参考にこれから導入される新制度では、事業者側の覚悟も必要だ。

 健食の機能性表示が非現実的だった時代、多くの企業が米国制度に憧れた。だが、いざ国がやるとなったら"嫌だ"というのでは、国から"どんな業界なんだ"と思われても仕方がない。国のお墨付きを求める日本の風土や、米国制度が本当に日本になじむかという問題はある。ただ、それを期待していては、日本企業はいつまでも国際化することができないだろう。


Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/2347
Listed below are links to weblogs that reference
【健食・第三者認証の是非は】 日健栄協、制度巡り消費者庁と対立 from 通販新聞

Home > 特集企画 > 【健食・第三者認証の是非は】 日健栄協、制度巡り消費者庁と対立

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ