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クール宅配便の温度管理問題、大手3社の調査結果

一部新聞報道を端緒よした冷凍・冷蔵の宅配便の温度管理問題について、調査を行っていた宅配便大手のヤマト運輸および佐川急便、日本郵便(JP)が調査結果や善後策を公表した。それによると、仕分け作業や配達のルール不徹底、保冷機器・設備の不備など問題のあった拠点数は、それぞれ数百カ所規模。原因については各社で異なる部分もあるが、共通しているのは現場の管理体制に問題があったという認識だ。各社では、各拠点に必要な資材・設備を補充し歳暮の繁忙期に当たる12月に備えるとともに、現場の指導管理体制の強化に取り組む考えだ。
 ヤマト運輸では、全国3924の営業店および70の主管支店を対象に臨店調査やヒアリングなどを実施。その結果、「クール宅急便」の仕分けルールが徹底できていない営業拠点が全体の6・4%に当たる253店あり、中元シーズンに当たる7月の繁忙期に1度でもルールが守れなかったことがある営業店が1269店(全体の32・3%)に達していたことが判明。配達の部分でも、届けるルールが守られていないケースが10月の1日平均で約3万9100ある配達コースのうち13・0%に達していたことが分かった。

 仕分けルールが守られていなかった理由としては、ルールの周知不徹底、配達順路を考えながら積み込んだため作業に時間が掛かった、荷物に付された伝票の凍結で引き抜きに手間取ったなど。配達ルールでは荷物が多く車載保冷スペースに入りきらなかった、配達先が近かったためコールドボックスを使用しなかったなどだ。

 また、佐川急便では、上期中に発生した「飛脚クール便」の賠償事例3674件を中心に調査を実施。このうち温度上昇に関係した賠償が891件について、288拠点でルールが徹底されていないことを確認した。

 内容としては、荷物の管理温度帯の誤りや保管不備、集配時の保冷バッグ未使用など、運用の不徹底・人為的ミスによるものが603件で全体の68%。同サービスの温度管理に不適当な荷物の取り扱いなど顧客への案内不足によるものも101件(11%)あった。

 日本郵便「チルドゆうパック」を扱う全4835局(集配郵便局3580、窓口受付局1225)について立ち入り検査を行い、650局で荷物の取り扱い方法や保冷機材などに不備があったことが判明した。概要としては、実査で荷物の取り扱い不備や保冷・点検機材の不足を確認したのが464局、過去の対応で不備があったのが254局(一部重複あり)。特に目立つのは保冷機材・設備の不足や故障で、JPによると必要な資材は、区分局から資材補充を受ける仕組みだが、うまく運用ができていなかったとしている。
 一方、一連の問題に関する対応策についてみると、ヤマト運輸では、現場任せとなっていたルールの教育・運用体制や品質維持のための仕組みの不備などに課題があると分析。対応策として、11月1日付で社長直轄の「クール宅急便品質管理対策推進室」を設置するとともに、各主管支店に品質管理に特化した担当者として「品質指導長」、各拠点にも指導役となる作業リーダーを配置し、仕分け・配達ルールの徹底を進める考えだ。

 また、設備面でも各拠点で予め「クール宅急便」の到着荷物量が分かるシステムやテレビカメラによるモニタリングシステムの導入などを計画するほか、運用面では、大口の法人荷主を対象に「クール宅急便」の1日取り扱い可能量の範囲で荷物を受け付ける「総量管理制度」の導入を検討する。これは、その日に扱えなかった荷物は別の日に配送するなどの対応を想定したもので、通販など荷主企業の声も踏まえながら来年7月の導入を目指す考えだ。

 また、佐川急便では、社員教育の強化や各拠点での継続的な自主点検の実施、「飛脚クール便」の責任者の役割の確認などでルールの徹底を推進。冷蔵と冷凍荷物の取り違え防止策として表示シールのデザインを刷新するほか、12時間保冷対応の新型保冷ボックスの約1万個導入など必要な機材・設備を増強する。

 JPでも、各局グループ単位で保冷荷物の取り扱いに関する研修の実施や局単位での月1回の自主点検、支社による繁忙期前の立ち入り点検を行うとしており、保冷機材についても、すでに蓄冷剤10万個、集配用の保冷ボックス7000個、輸送用の保冷機材3000個を新たに導入しているという。
 各社の対応策は現場の指導管理に重点を置いたものだが、中でも徹底度合いが高いと言えるのは、組織の見直しや新システムの導入などを織り込むヤマト運輸。特に、サービス品質維持のため、1日の荷物の引き受けを制限する「総量管理制度」は思い切った施策だが、12月の繁忙期対応でも、新規荷主のスポット大量荷物の取り扱いを断る可能性を示唆する。

 また、佐川急便とJPが社としての指導管理体制に不備があったことは認めつつも、顧客の信頼回復に向けた取り組みを最優先とし、社内処分を行わない考えであるのに対し、ヤマト運輸では、山内社長をはじめとする役員15人を3~6カ月の減俸とするなど経営責任を明確にしており、今回の問題をより真摯に受け止めているようだ。

 一方、今回の調査では、車載保冷スペースに入りきらないオーバーサイズの荷物の取り扱い不備や当該サービスの温度管理に適さないアイスクリームが解けてしまうなどのケースがあったことから、各社では、荷主企業にもサービス利用ルールの順守を求めていく考え。食品などで冷蔵・冷凍の宅配便を利用する通販事業者もサービス利用ルールを確認し、商品発送の仕方を再検討する必要がありそうだ。

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