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ヤフー 日本最大モールへ"革命" ── モール出店料・手数料を無料に 

 1-1.jpgヤフーが「無料+自由」を掲げ"ネット販売"で攻勢に打って出た。10月から仮想モール「ヤフーショッピング」で出店料および売上高手数料を無料化。また、出店者の顧客へのメール販促および外部リンクも自由化した。さらに年内をメドに個人出店も解禁する。支払うのが当然だった売上高手数料の無料化は出店者とってインパクトは大きく、競合モールの有力出店者がヤフーに主戦場を移す可能性も高そう。さらに従来まで様々な理由でモール出店しなかった有力有店舗小売業者や大手メーカーの新規出店が予想される。ヤフーが放った強烈な一手は事実上、楽天の1社体制が長らく続いた仮想モールにパラダイムシフトを起こすか。

 1-3.jpg「全部、タダ」──。10月7日に都内で開催した仮想モール出店者向けイベント「Yahoo!JAPANストアカンファレンス2013」の冒頭、ヤフー会長として登壇し、新戦略を発表した孫正義氏のこの言葉に会場の出店者から思わず"拍手"が沸き起こった。

 仮想モールおよびネット競売の戦略を孫会長曰く「これまでのヤフーは間違っていた」とし「eコマース革命を起こす」と大幅に転換。これまで出店者から"地代"を徴収する従来モデルから、無料化し参加者を広く集め、任意の広告主の広告収入で収益を稼ぐモデルに切り替えた。

 具体的には10月の請求分から「ヤフーショッピング」の初期および月額出店料と売上高に応じて、当該額の1・7~6%を徴収していた売上ロイヤルティ(売上高手数料)を完全無料化。さらに「囲い込みをしようといじけた心を持っていた。全部、忘れよう」(孫会長)とし、ヤフーも含め多くの仮想モールが顧客囲い込みのために"禁止"していた外部リンクを解放。同モールの"支店"からリンクし、自社通販サイトに送客することも可能となる。また、厳しい制限が課させることが通例だった顧客への販促メール送信も「皆様(=出店者)のお客様にメールを送ってどこが悪いのか」(同)とし完全自由化した。加えてこれまで法人のみだった出店を年内をメドに個人にも解放する。なお、日本最大のネット競売「ヤフオク!」でも10月請求分から法人の月額出店料金を無料(売上高手数料は従来通り5%のまま)としたり、従来3000点だった出品可能上限数の撤廃。個人出品でも出品システム使用料の無料化や入札金額の上限制限をなくすなどした。

 仮想モールに出店する通販事業者にとって、これまで徴収されることが当たり前だった"地代"、つまり売上高手数料が無料となるインパクトは大きい。出店者の手元に残る利益はその分だけ増えることを意味するため、今後、競合モールの有力出店者がヤフーに主戦場を移す可能性も高い。

 さらに無料化や自由化でこれまでモール出店を躊躇していた事業者の新たな参戦も期待できそうだ。すでにこれまでどの仮想モールにも出店していなかった「ユニクロ」などが新規出店を決めている。また、無料化発表後、1日で通常の数百倍となる約1万件の出店希望の問い合せがあったようで早くも効果が見えはじめている。年内をメドに個人の出店も解放(問い合せは発表後1日で1・6万件)する方針で裾野はさらに広がりそうだ。

 ただ、新戦略はヤフーにとっては諸刃の剣だ。これまで入ってきた売上手数料を破棄することになるわけで、四半期ベースで25~30億円の減収となる傷を負うことになる。それでもこの一手を打ったのは、楽天にこの分野で大きく差をつけられ、近年ではEC市場の成長に反して流通総額は伸び悩み、「このままではフェードアウトしかねない」(宮坂社長)との危機感からだ。この大胆な方針変更で「遅くとも2019年までに国内eコマースの商品数・流通総額でナンバーワンになる」(孫会長)とする。

 今回の「無料+自由化」は出店者にとってもメリットである一方、ライバルが増え、価格競争など競争の激化を生むことになる。また、「無料化に目が行きがちだが、使いにくいシステムの改善や販促ツールの充実こそが重要でこれがどうなるかの方が気になる」「出店料無料は店舗側の問題。消費者にとって使いやすいモールになれるかが売上拡大には必須」とヤフーの放ったこの一手を出店者は歓迎しつつも、その行方を注意深く見守っているところも多い。同社の今後の手腕が注視されそうだ。



孫正義会長・eコマース革命を宣言】
地主でなく出店者が主役

 10月7日開催のモール出店者向けカンファレンス冒頭に登場し、ヤフー会長として「無料化」を宣言した孫正義氏。発言要旨は次の通り。

◆      ◆      ◆

  人類は古来より「土地」を持ち強力な権力を持つ有力者に「地代」を払ってきた。今日、eコマースの場でも(仮想モールでは)売上ロイヤリティ、出店料、決 済手数料などなどという形で地代が発生している。ネットは自由でオープンな環境であるはずなのにeコマースだけは不自由だ。ヤフーの経営陣で徹底的に話し 合った結果、「これまでヤフーは間違っていた」と素直に認め見直そうと。ここで「eコマース革命」を提案したい。「摩擦係数ゼロの世界」だ。
 
 そ のための施策、その1が「無料」だ。モールの出店料、売上ロイヤルティが全部タダ。ポイント10倍とか、ちまちま変えるのではなく、思い切って分かりやす く、無料にした。「ヤフオク!」も毎月の出店料、出店時に手数料、買い手の入札、全部無料(※売上ロイヤルティは5%のまま)だと。
 
 施 策その2は「自由」。現状、ネット上のeコマースの場(仮想モール)には、顧客へのメール送信や自社サイトへの送客などに様々な制限がある。これが全部、 自由(無料)だと。皆様(出店者)のお客様にメールを送って何が悪いのか。皆様のWEBサイトに自由に送客してどこが悪いのか。ヤフーもこれまでは間違っ ていた。様々な囲い込みをしようと、小さないじけた心を持っていた。そういうものは全部忘れようと。
 
 ヤフーにとって最大のパートナー は「売り手」の皆様であり、最大のお客様はインターネット上のお客様だ。インターネット上で安心して自由に商品が選べ、もっとeコマースが広がれば、何か いいことがきっとあるに違いない。皆様がもっと成功するためヤフーは側面から支援する。皆様が必要だという場合には、物流、決済、ポイント、アフィリエイ トなどで応援する。もっとネット、eコマースが日本で爆発的に普及するために、我々は「無料・自由」にすることで摩擦係数をゼロにすることを決意し、その 結果として、日本最大の「eコマースの場」を皆さんと作りたい。それは10年後、20年後ではなく、「201X年」以内。遅くとも2019年までに。そう 言うからには決意と腹積りもある。今日、10月7日を「eコマース革命の日」にしたい。革命とは主役の交代を意味している。主役の交代と言っても「ヤフー 対競合他社」ではなく、「売り手ファースト」。場を提供する地主が主役ではなく、実際にそこでお客様にモノを提供する皆様が主役になるということだ。同志 である皆様と一緒にこのeコマース革命を実現させ、一緒に新しい夜明けを迎えたい。



1-2.jpg【キーマンに聞く】
ヤフーショッピングの今後

『一旦、しゃがんでも大きくジャンプする』

 仮想モールの出店料、売上手数料の無料化という大胆な戦略を打ち出したヤフー。狙いなどについて同社の宮坂学社長(写真・右)とモール事業を管轄する執行役員の小澤隆生ショッピングカンパニー長(写真・中)に聞いた。(10月7日開催の記者発表会での本紙記者を含む報道陣との一問一答から一部を抜粋)



──孫会長はこれまでのヤフーのeコマース戦略は「間違っていた」と言ったが具体的には。
 
宮坂 「先行する優れた企業(楽天)の真似をして競合サービスと〇×で比較するなどして一生懸命に追いつこうしていたことが根本的な間違いだった。後発の会社が一番の会社の真似をしても本家本元に勝てるわけがない。また、我々の強みであるビジネスモデル、無料で皆に参加頂き、膨大な参加者が集まった結果、広告を出稿される方が出て我々が収益を得るという事業をこれまでやってきて、eコマースでもそれをやるべきだったということだ」
 
──「ヤフーショッピング」は今年7月に大幅に出店プランを変更したばかり。「無料化」はいつごろ決まったのか。
 
小澤 「新出店プランを作っていた時はそれで行こうと真剣に思っていたが孫(会長)と話をする中で『もっとドラスティックに変えた方がいいのでは』となり、話し合った結果、無料化に至った」
 
宮坂 「(無料化は)何度かアイデアベースでは出たことはあったが、具体的に可能性として検討したのは去年の冬くらいだ。ただ、瞬間的な減収幅が大きく躊躇していたが、今夏に皆で議論し、eコマースは我々としてもまだまだ諦めるには早い市場であり、一旦しゃがんででも大きくジャンプしようと思い切って無料化に踏み切った」
 
──無料化に伴う減収はどの程度になるか。
 
宮坂 「四半期で2桁億(25~30億円)程度の減収となる」

──無料化の期間は。
 
小澤 「期限を切っていない(恒久的な無料化)」
 
──どこで儲けるか。
 
小澤 「『ヤフーショッピング』『ヤフオク!』ともに広告商品があり、基本はそこの拡大になる。『(広告ビジネスという)本業で儲ける』ということでビジネスモデルの変更というより"原点回帰"に近いと思う」
 
──広告が増えるとサイトの利便性が落ちるのではないか。
 
小澤 「例えば検索サービスではオーガニック検索の結果の中央と横に広告が入っており、広告と通常の検索は同一の画面上で成立し得る。恐らくそのノウハウは日本で最も持っている会社だ。モールでも同じように両立はしっかりできるはず」
 
──「ヤフーショッピング」で個人の出店も可能とするが出店審査は。
 
小澤 「個人の出店審査は現状と同じではなく、『ヤフオク!』に近づいていく。膨大な数の審査となるためだ。併せて出店後のパトロール体制の強化を行い健全な売場の醸成を図っていく」

──競合との差別化は。
 
宮坂 「ビジネスモデルが変わり、出店・出品に関する制限を取り払うため、誰もが参加できるようになることが売り手からすると差別化になる」
 
小澤 「メディアを多く持ち、お客様をたくさん持っているヤフーでしかできないことはたくさんある。例えば『ヤフー知恵袋』という月間20億PVくらいあるサービスとの連携だ。『知恵袋』には大量の商品・サービスに関する質問が入ってくる。『どこそこのカメラどっちがいいか』『どう使えばいいか』などだ。これと『ヤフーショッピング』を結びつける。また、『ヤフー検索』と『ヤフーショッピング』をヤフーでしかできない形で組み合わせるなどだ。無料化で出店数、出品量が増えたが『モノが多いだけで売れない』とならぬようしっかり日本で一番、お客様が来る売場作りをしていきたい」
 
──「ヤフーショッピング」は現状、検索精度など機能面で問題があるようだ。
 
小澤 「料金無料化は3つある施策の1つでもう1つは集客、もう1つは機能改善だ。この機能改善については、7月からエンジニアを5倍に増やし、しっかりとやっていく。これまでヤフーは機能改善にリソースをまったく割いてこなかった。検索はもちろん、販促ツール、スマデパ対応など今まで足りなかった機能をどんどん足していく」
 
──無料化による流通総額などの目標は。
 
小澤 「『201X年までに商品数・流通総額ともにナンバーワンになる』以上の具体的な数字はない。とにかくナンバーワンが目標だ」

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