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【正念場のドクターシーラボ】 上場以来、初の減収に

 1-1.jpgこれまで破竹の勢いで業績を伸ばし続けてきた中堅化粧品のドクターシーラボがここに来て正念場を迎えている。前期(2013年7月)の売上高は03年の上場以来初めてとなる減収で着地、利益も2桁減益と苦戦を強いられている。ドクターシーラボに何が起こったのか。また、同社に今後、復活の芽はあるのか。ドクターシーラボの現状と今後は?


景表法違反で優良顧客流出

 「景表法違反による措置命令を受けた影響でロイヤル顧客が減った」「主力商品に競合する他社商品と差別化できなかった」。

 同社の2013年7月期決算は売上高が前年比13・0%減の339億9000万円、経常利益は同13・2%減の78億1000万円と減収減益で着地した。競合他社が伸び悩む中、快調に業績を伸ばしていた数年前の同社では考えられない業績だ。減収は実に約10年前の株式公開以来、初めてとなる。

 前期の苦戦の主因について、同社では大きく2点の原因があったと説明する。1つ目は景品表示法違反に伴う措置命令を受けたことだ。同社では昨夏、販売していた美顔器の広告内容が景表法違反にあたるとして、消費者庁から措置命令を受けた。この影響で広告宣伝を一定期間、自粛したという影響もあるが、業績に大きな悪影響を及ぼしたのはむしろ、その後、少し経ってからだった。

 「消費庁の件(景表法違反で措置命令を受けた事実)を昨年11月に、会員向けの会報誌でお詫び文を入れて、お客様にお伝えしてから、これまで『優良顧客』と見なしていたお客様の流出が始まった。優良顧客という顧客基盤のベースが小さくなった状況で1年間、ビジネスを行わざるを得ず、大きく業績に影響した」と財務担当の小杉裕之取締役は説明する。

 無論、同社が景表法違反で措置命令を受けた美顔器は、その広告内容こそ違反に問われるような行き過ぎた側面もあったが、違反は表示に関することであり、商品自体には何ら問題はない。また、同社や関係筋の話を聞く限り、顧客を騙そうなどという思惑はなかったはずだ。それでも措置命令が下れば、企業全体のイメージ低下は避けられない。まして競合が多く、ブランドスイッチしやすい化粧品というカテゴリーではこの失態は致命傷になりかねない。

 実際、同社も収益の基盤であった優良顧客を多く失った模様。当期は年間を通じて、月次売上高が各月とも前年実績を下回ったが、特に6、7月の月商が大きく前年同月を下回っている。その原因も「例年であれば、第4四半期(5~7月)は(様々な化粧品の詰め合わせとなっている高単価の)『福袋』などの販売で、優良顧客の購入回数が上がっていくが、当期はその数自体が減っているため、例年通りにはいかなかった」と事業全体を管轄する神戸聡取締役は話す。


競合商品と差別化できす


 この景表法違反の影響に加えて、同社を苦しめたのが主力商品である同社の化粧ゲル「アクアコラーゲンゲル」に類似した他社の競合商品との差別化だという。同シリーズの「アクアコラーゲンゲルスーパーモイスチャーEX」を今年2月に大幅刷新し、大規模な広告宣伝を行うなど拡販策を展開したが、前年実績を約5%下回る売上高と伸び悩み、「エンリッチリフト」や「美白」などを含めたアクアコラーゲンゲルシリーズ全体の売上高も同15・4%減と苦戦した。

 「当社が『アクアコラーゲンゲル』を発売した15年前当時は皆無だったが、今では『オールインワンタイプ』の競合商品が他社から多く投入されている。"時短"や"簡単"といった競合商品の訴求ポイントで当社商品も同じく括られてしまい、当社商品ならではの特徴や他社商品との違いをうまく訴求できす、差別化ができなかった」と石原智美社長はこう振り返る。

 主力商品が他社商品と差別化できないことは、やはり致命的だと言え、先の「スーパーモイスチャー」の刷新効果が限定的に終わり、伸び悩んだ原因もここに尽きるわけだ。また、当期は通販の年間の新規顧客獲得数が85万件となり、前年比では35万人減となった。もちろん、先の景表法違反による広告宣伝の自粛なども原因だろうが、やはりこの主因は商品自体のマンネリ化にある。さらに前期の販路別売上高を見ると、同23・9%減と最大の落ち込みとなった「卸売販売」の苦戦も、結局は差別化できない主力商品、それ自体が大きな要因であり「ドラックストアやバラエティストアにせっかく新規で口座を開設できても、競合商品が他社から多く投入されている中、棚の確保などもままならず、回転率が低下した」(小杉取締役)とする。


顧客接点増やし今期業績回復へ

 景表法違反で優良顧客から信用を失い、競合商品と差別化できない主力商品を抱えたドクターシーラボ。果たして今後、かつてのような勢いを取り戻すことはできるのだろうか。

 同社によると、今期(2014年7月)の業績予想は売上高が前年比8・3%増の368億円(通販が同8・2%増の245億円、卸が同4・8%増の68億円、対面販売が同9・5%増の44億円、海外事業その他が同29・5%増の11億円)、営業利益は同10・7%増の84億円、経常利益は同7・6%増の84億円、当期純利益は同6・5%増の51億円を見込んでいる。この見込みのベースは好調を維持していた前々期の成長率となっている。つまり、今期から再びこれまでの成長軌道に戻すという宣言となる。

 では具体的にはどのような戦略を採っていくというのだろうか。大まかに言えば、既存顧客に軸足を移した優良顧客の育成強化と既存商品の刷新や訴求方法を含めたテコ入れ策だ。


厚木にコールセンター新設


 優良顧客の育成策については、「商品を買う、売るだけの関係性、絆は細くてもろいことが分かった。そうではなくできるだけお客様に寄り添い、"体験"を共有することが重要」(石原社長)として通販や対面、卸など全販路で顧客との接点を増やしていくというもの。新規顧客獲得も継続するが、獲得効率が悪化傾向にあることから、年間の獲得人数は例年のような120、130万人という数ではなく、前期並みの80万人程度に抑え、その分を既存顧客の購入回数アップや客単価アップのための施策に充当していきたい考えのようだ。

 具体的な詳細は明らかにしていないが、1つは教育体制の強化だという。同社によると今年8月に組織改正を行い、「教育部門」を拡充した。コールセンターのオペレーターや店舗の美容部員の接客力や商品の知識などを含めて、教育を強化しているのだという。これにより、「アクアコラーゲンゲル」を中心にしつつ、ゲル使用前に肌を整えるウォッシングやクレンジング類、角質を落とすピーリング・ブースター類。ゲル使用後に使う紫外線カットなどのUVケア商品などのスペシャルケア商品類を「ゲルに合わせて適切に使用することで肌本来の美しさを取り戻す」という今期以降、推し進める「ドクターシーラボスキンケアメソッド」の提案を徹底させ、客単価の底上げにつなげていきたい狙いのようだ。

 これに加えて、10月中旬には神奈川・厚木に新たなコールセンターを新設し、稼働を始める(7面に関連記事)。同拠点では同社では初となるCTI(コンピュータと電話機能などを連携させるシステム)を導入し、電話応対業務の高度化を図っており、「例えば顧客に馴染みのあるオペレーターにつながるような仕組み」(神戸取締役)とすることで、特定顧客に合わせた適切な商品提案や顧客との緊密な信頼関係の構築を狙う。また、新拠点には「ドクターシーラボスキンケアメソッド」の提案など接客のロールプレイングなどができる疑似店舗なども併設しており、教育の拠点としても機能させる考えだ。

 顧客接点という部分では店舗ごとに小規模な顧客同士の「交流会」を頻繁に実施したり、かつては実施しており、現在は行っていないホテルなどに優良顧客を集めた規模の大きな会なども今期からは復活させる考えだ。


サロンで顧客と関係作り


 また、顧客接点の拠点として、サロン展開も今期から開始する(4面に関連記事)。簡単な施術を行いつつ、同社商品の説明を行い、理解を深めてリピート顧客化していきたい考えだ。サロンでは百貨店用ブランド「ジェノマー」でサロン専用の高級ラインの化粧品シリーズの販売を予定するなどサロンでの物販も強化していく考えのようだ。また、サロンに招待することで通販の休眠顧客の掘り起こしや卸先のバイヤーなどを招待するなど営業面でも活用したい狙いもあるようだ。


エンリッチリフトを刷新

 また今期は既存商品のテコ入れ策として、「アクアコラーゲンゲルエンリッチリフトEX」を11月1日にリニューアルする予定。同商品は同社主力商品の「アクアコラーゲンゲル」シリーズの中でも最大の売り上げを誇る「主力中の主力商品」となる。前期に刷新して効果が限定的となった「スーパーモイスチャー」の二の舞にならないかとの懸念もあるが、「スーパーモイスチャーは保湿力アップを"売り"にしたが、保湿力は使用されている方は実感できるが、訴求するのは難しい。一方、エンリッチリフトは年齢を重ねると目立ってくる"たるみ"のケアのためのもので"たるみ"はビジュアルで分かりやすい訴求が可能で、商品の特徴を分かってもらえると考えている」(神戸氏)とする。

 当該商品のリニューアルに合わせて、今期からはコアターゲット層をこれまでの40歳から45歳と5歳引き上げる考えで、主力商品の拡販を、ターゲット層の引き上げに合わせたプロモーションで強化し、前期は前年比で約2割減の67億6400万円にとどまった「エンリッチリフトEX」の売上高を今期は80億円程度まで拡大させたい考えだ。同商品に加えて、「ドクターシーラボスキンケアメソッド」の提案で関連商品の拡販を強化したい考えだ。

 このほか、前期も同2割増と好調だった健康食品についても今期はさらに拡販。売り上げ好調なダイエット食品の「美禅食」などの「食品系」の健食購入者に、プラセンタサプリなどリピート購入率の高い「美容健康サプリ」に誘導し、健康食品売上高を今期は前年比で約2割増の30億円まで拡大させる。また、これまで独力にこだわったが故に成長のスピードが遅かった海外展開も、現地のパートナーと組んで展開する方針に改め、売上高を拡大させる計画。

 今期から始まる3カ年の中期計画では3年後の2016年7月期に売上高を460億円まで拡大させたい考えとしている。まずは今期の施策の成否が試金石となりそうで、同社の今後の事業展開が注視されそうだ。



1-2.jpg【シーラボの現状と今後は?】

ターゲットを45歳に引き上げへ



 前期は苦戦を強いられたドクターシーラボ。前期の苦戦のポイントや今後の戦略や展開などについて同社の神戸聡取締役(=写真)に聞いた。

──前期の苦戦は消費者庁からの措置命令が大きかった。
 
 「離れてしまったお客様が『措置命令によって離れた』とは明確には分からないが、11月からロイヤル顧客の数が減っていたことを考えれば、どうしてもその相関関係は高いと言わざるを得ないだろう。優良顧客の皆様には高単価商品なども多く購入頂いていたため、売り上げが伸びなかったこともあり、苦戦した」
 
──新規顧客獲得も苦戦した。
 
 「単純に例年と同じ素材を流しても、CPRが悪化した。この原因については競合商品のためなど色々な要因があるかと思う。ここについては商品もそうだが訴求方法についても見直していく必要があると思う」
 
──今期からターゲットを45歳に引き上げるとのことだが、狙いは。
 
 「今の段階で45歳くらいまで上げる動きをしていかないと少子高齢化に対応できないからだ。ただ、実際に平均年齢を5歳引き上げるというのは、かなりのことなので今年から取り組んでいくが、実際にそうなるのは少し時間はかかると思う。そのためのプロモーション方法を変えたり、新聞広告やインフォマーシャルも増やす予定だ」
 
──今期から接客など「教育」を強化していくとのことだが狙いは。
 
 「教育を強化するため、8月に組織改正した。これまでは通販、店販すべてのチャネルで1つのトレーニングを行ってきたが、これからは各販路の強みを生かした形でそれぞれトレーニングをしていくことにした。設備的にも10月中旬には神奈川県厚木に新設するコンタクトセンターに模擬店舗を作るなどトレーニング施設も強化することで質も上がると思う」
 
──今期からは「アクアコラーゲンゲル」を軸にクレンジングといった商品も拡販を本格化する。かつて同様に関連商品を販売して、売り上げを伸ばそうとして「アクアコラーゲンゲル」の強みがぼけて、再び商品を絞ったことがあった。
 
 「その時はスペシャルケア(ゲルの後に使う化粧品類)をバッと増やした。今回はゲルの効果を最大限に上げるための、クレンジングや洗顔、ピーリング、UVケアなどベーシックなところにフォーカスしているため、その時の考え方とは大きく異なる。ベーシックなところでお客様の肌がきちんと整った状態で、その後にスペシャルケアをクロスセルしていくという考え方だ。問題ないと考えている」


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