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ヤマト、VN構想実現へ第一歩、新物流拠点の厚木GWが稼働

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ヤマトグループは8月11日から、神奈川県愛甲郡に新設した新コンセプトの大型物流ターミナル「厚木ゲートウェイ」(厚木GW)の稼働を開始した。同グループは今年7月、物流の新たな付加価値創造を目指す「バリュー・ネットワーキング」構想(VN構想)を公表。この中で、全国の大都市圏の玄関口となる地域に最新鋭のマテハン機器などを導入するGWのネットワークを活用した「宅急便」の即日配送やローコストの分散在庫など、従来とは一線を画した物流サービスの展開を計画しており、今回の厚木GW稼働はその実現に向けた第一歩になる。「VN構想」では、通販向けの付加価値サービスの提供も予定しており、通販事業者としても、今後の動向が注目されるところだ。



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NW再構築プロジ
ェクト本格稼働へ

 ヤマトグループは現在、2019年の創業100周年に向けた9カ年の長期経営計画を進めており、その一環として、5、6年前から事業基盤となるネットワークの再構築プロジェクトを4つ走らせてきた。

 ひとつ目のプロジェクトはアジアでの「宅急便」ネットワークの展開で、すでに5つの国と地域でネットワークを構築している。ふたつ目は、日本の大都市圏の玄関口への新コンセプトの大型物流ターミナル「ゲートウェイ」の設置。その第1弾となるのが今回竣工した「厚木GW」で、今後GWが幾つかの大都市圏の玄関口に設置されると、その大都市圏間での即日配達が可能となる。

 3つ目は、9月20日に竣工する「羽田クロノゲート」。海外の玄関口、国内の様々な輸送手段が結節する羽田に設置する国内最大級の物流ターミナルで、今後、ヤマトグループの基幹ターミナルとなるものだ。

 4つ目は、昨年11月に稼働を開始した「沖縄国際物流ハブ」。これは、アジアの「宅急便」ネットワーク間を翌日配達でつなぐためのプロジェクトになる。

 この4つのプロジェクトが今年、ほぼ本格稼働に入るタイミングとなったことを受け、ヤマトグループでは、7月に「バリュー・ネットワーキング」構想を公表。現在、 ヤマトグループでは、既存の国内「宅急便」ネットワークとして、約4000の営業店およびベースと呼ばれる約70カ所の物流ターミナルを展開するが、「VN構想」では、大都市圏の玄関口に設置するGWや「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」などの高機能の大型物流ターミナルを融合することで、従来にはない新たな物流の付加価値創造を目指す。

独自機能装備の
厚木GWが稼働

 「VN構想」実現の橋頭堡となる厚木GWは、関東圏の玄関口に当たる神奈川県愛甲郡愛川町に所在。約3万7000平方メートルの敷地に、8階建(総床面積約90万5000平方メートル)の建物を擁する24時間稼働の物流ターミナルで、最新鋭のマテハン機器の導入したのが特徴だ。また、厚木GWは東名高速道路とつながる圏央道の相模愛川インターチェンジ近くに立地。圏央道は、中央自動車道と接続する計画があり、そうなれば、「宅急便」即日配達エリアが関東圏(一部地域を除きすでに実施)だけではなく福島などにも広がるという。

 厚木GWの施設についてみると、1~2階が「宅急便」の荷捌エリア、3~4階部分が冷蔵・冷凍機能を有するクールエリア、5~8階が付加価値機能エリアの構成で、効率化や高サービス品質を実現するための独自の仕掛けを盛り込む。

 主な機器について見ると、まず1階の発着バース部分にトラックから積み出したロールボックスパレットを機械的にソーター投入作業場付近まで送り出す「前詰め搬送機」を設置。ロールボックスパレットに荷物をフルに積載した場合の重量は600キログラム近くになるため、人力での移動が大変だったが、同機器を導入することで作業の省力化を図った。

 また、2階部分には、「クロスベルトソーター」を設置。従来の機器では、ベルトで流れる荷物が仕分け部分にきた際に棒ではじき、別方向のベルトに荷物を載せる仕組みで、棒ではじいた際に荷物を破損させる可能性があった。これに対し「クロスベルトソーター」では、荷物を流すベルトに「セル」と呼ばれる横方向回転のベルトを装備。荷物が仕分け部分にきた際、この「セル」が回転し別方向からの荷物を取り込む仕組みになっている。これは品質を意識した機能と言え、通販で問題となる配送段階での商品破損の抑止にもつながるわけだ。

 また、厚木GWでは、従来、別々に行っていた発着荷物の仕分けを同時にできるのが特徴のひとつだが、これはベルトコンベアを流れる荷物に貼付された送り状のコード6桁を読み取れるスキャナーの導入によるもの。各3桁のベース情報と届け先エリアのコードを一度に読み取って発着荷物を峻別し、同時仕分けができるようにしている。

 このほかに厚木GWで特徴的なのは、2階から8階部分までを螺旋階段状に走る「スパイラルコンベア」の設置。これは通販関連荷物へのチラシ同梱など、上層階の付加価値エリアで作業した荷物を迅速に発送工程に流すためのものだ。
 こうした最新鋭のマテハン機器の導入により厚木GWでは、1当たり時間4万3000個の荷物の取り扱いを実現。これは既存ベースの1・5~2倍に当たるという。

9月から通販4社
がサービスを利用

 一方、5~8階部分の付加価値エリアでは、通販事業者やメーカーなどの荷主企業に対し、同一届け先の商品や部品などを同梱して発送するクロスマージやカスタマイズアッセンブル、品質確認などの付加価値サービスを提供。通販向けでは「スピード通販」として、独自ピッキングシステム「FRAPS(フラップス)」を活用した受注商品の出荷、サンプル商品やチラシなどの同梱サービスの展開を計画する。

 「FRAPS」は、流動型ラックを活用したピッキング手法で、通販事業者側がその日に受注した商品をまとめて出せば、ヤマト側で顧客ごとの仕分けや発送を行うもの。通販事業者側の出荷作業が軽減できるほか、中小事業者でも大手並みの商品配送サービスを実現できるという。

 荷主企業への付加価値サービスの提供は9月から始める予定だが、すでに化粧品および健康食品通販、百貨店など通販関連4社のほか、1社の利用が決まっている状況。百貨店系の通販事業者では、厚木GWの機能を活用し、リアル店舗の在庫を通販向けに活用することを構想するなど、新たな展開手法を模索する動きもあるようだ。
 現状、厚木GWは、従来、厚木ベースが扱っていた荷物や機能の移管を進めている段階で、全ての機能が本格的に稼働するのはこれから。今後、様々な機能が動き出すにつれ、通販事業者の間で厚木GWに対する注目度が高まっていきそうだ。

GWの展開拡大で
通販対応も多様化

 今回の厚木GWは「VN構想」を支える新コンセプト大型物流ターミナルの第1号となるものだが、これに続き9月には東京・羽田に国内最大級の大型物流ターミナルとなる「羽田クロノゲート」を稼働。2015年には中部地区、16年には関西地区に厚木GWと同等の機能を有するGWの設置を計画する。

 「VN構想」では、GWを基盤とした広域エリアでの「宅急便」即日配達が注目されており、ヤマトグループでも、すでに東名阪で「宅急便」即日配達を行う意向を示している。

 現在、「宅急便」の全国各地のベース間幹線輸送は、トラック積載効率の兼ね合いから集められた荷物を夕方まで保管し、1日1回、夜の便で発送する仕組みになっている。このため「宅急便」は、翌日配達が基本の形となっているが、「VN構想」では、GWに複数のベースから荷物が順次入るようにすることで、トラックの積載効率や荷物の滞留の問題を解消。これにより、1日複数回のGW間幹線輸送を実現し、より広域なエリアでの即日配達を実現する。

 この部分については、来年から、厚木GWと中部および関西の既存物流ターミナルを使い東名阪での「宅急便」即日配達のテスト展開を計画。実際のオペレーションなどを検証し、中部、関西のGW稼働による本格展開に備える考えのようだ。

 また、厚木および中部、関西でのGW稼働により、通販事業者向けの新たなサービス展開も可能になる。そのひとつが「分散在庫型スピード通販」だ。これは、各GWに最小限の商品在庫を置き、場合、顧客の居住地に最も近いGWから受注商品を発送するというもので、最短4時間で顧客に商品を届けることを計画する。

 厚木GWの稼働で大きな一歩を踏み出したヤマトグループの「VN構想」。GWについては、将来的に国内で10カ所程度が設置されるようだが、この新たなネットワークが通販の物流・商品配送の概念を変える可能性もありそうだ。


厚木GW竣工式に500人参集
アマゾンロジのハヤシダ社長が挨拶

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新コンセプトの大型物流ターミナル「ゲートウェイ」(GW)を置く大都市圏間の「宅急便」即日配達、GW網を活用したローコストの分散在庫など、従来にはない通販向けの提案を盛り込むヤマトグループの「バリュー・ネットワーキング」構想。通販・ネット販売事業者など関係者の間でも同構想への関心は高く、8月6日に開催された厚木GWの竣工式には関係者約500人が参集した。

 冒頭、あいさつに立ったヤマトホールディングスの木川眞社長㊧は、2019年の創業100周年に向けた9カ年の長期経営計画「ダントツ計画」に絡み、アジアでの「宅急便」ネットワークの展開や日本の大都市圏の玄関口への「ゲートウェイ」設置など、5、6年前から進めてきたネットワーク再構築の4プロジェクトが「今年に入り、ほぼ本格稼働に入るタイミングになったことから、7月に『バリュー・ネットワーキング』構想を公表した」と説明。4プロジェクトで進化を遂げつつあるネットワークに既存ネットワークを融合させることで、従来にはない物流の付加価値を生み出し、顧客に享受してもらいたいとした。

 また、新しいネットワークを日本再生のカギとなるモノ作りを復活させる時にインフラとして活用してもらいたいとし、「今後も様々な領域で付加価値を生み出していきたい」と語った。

 竣工式には、通販・ネット販売関係者も多数出席。来賓として、アマゾンジャパン・ロジスティクスのジフェ・ハヤシダ社長があいさつした。

 ハヤシダ社長は、ネットワークという概念が電力関係から通信(情報)、モノへと広がっていることに言及。従来の物理的なモノのネットワークに物足らなさがあるのに対し、「(ヤマトグループの)『バリュー・ネットワーキング』は非常にロジカル」とした。

 また、東日本大震災の際、被災者に何かを送り届けたいと考えて作った「ウィッシュリスト」についても、「情報のアイディアとしてアマゾンが作り上げたものだが、実際の物理的なネットワークの部分を実行してくれたのがヤマトさんだった」と説明。その背景にはヒューマンネットワークがあるとし、情報ネットワークと物理的ネットワーク、それを支えるヒューマンネットワークが一体化・三次元化することの重要性を強調。最後に「ヤマトグループにコングラチュレーション!ブラボー!」と締め括った。

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