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YFCの栗栖利蔵社長インタビュー  web系決済の利便性を追求

 8-1.jpgヤマトフィナンシャル(YFC)はネット販売に対応したweb系決済の強化に取り組んでいる。この一環として6月20日から、ネット販売向け決済サービス「クロネコwebコレクト」で展開するクレジットカード決済のオプション機能「リピーター向け決済機能」と「予約販売機能」の提供を始めた。YFCではすでに多彩な決済メニューを提供しているが、ネット販売で主流となるカード決済の機能強化を通じ顧客の利便性向上を図り、通販事業者の販売を支援。さらにヤマトグループの信頼感を基盤にした安全な決済環境を提供する。カード決済機能強化の背景や拡大と多様化が進むネット販売への対応に向けた取り組みなどについて、栗栖利蔵社長に話を聞いた。

(聞き手は本紙編集次長・後藤浩)


拡大するweb決済、カードの機能に課題

──ネット販売をけん引役に通販市場の拡大が続いていますが、御社の決済サービス利用状況はどのようになっているのでしょうか。

 「通販市場全体が高い伸び率となっているため、当社の決済件数も順調に増えています。通販事業者様のお話をうかがっても、市場全体を俯瞰しても、ネット通販の伸び方は違います。特に伸びているのが、クレジットカードやネットコンビニ(携帯電話や店頭情報端末を使ったコンビニ決済)などのweb系の決済ですね。当社でもネット系サービスを提供していますが、決済手段により2桁の伸びを示しているものもあります。代引を上回る伸びとなっており、シェアを拡大している状況です」

──ネット販売の拡大で、代引きのニーズが縮小していると。

 「いえ、代引きのニーズには根強いものがあります。例えば、通販を始めたばかりの事業者様の場合、代金回収に不安があり、買い手側のお客様も購入した商品がきちんと届くのかという不安があります。そこで、商品の受け渡しと同時に代金を支払う代引きのニーズがあるわけです。つまり、通販事業の立ち上げから軌道に乗せるまでの過程で代引きが有効な決済手段になっているということですね」
 
──事業の拡大とともに決済のニーズも変わってくるのでしょうか。
 
 「お客様の増加とともに決済に関する要望が多様化します。通販事業者様もそれに対応する必要がありますので、当社でも、現金や電子マネーによる代引きに加え、ネットコンビニ、クレジットカード決済などの決済メニューをご提供しています。また、事業が軌道に乗った通販事業者様の場合、次の成長ステップとしてネットに販路を広げられるケースが多いため、web系決済に対するニーズも高まってきます。当社でもweb系決済に対応した『クロネコwebコレクト』を用意しているのですが、カード決済の部分については、やや物足りないものになっていました」
 
──カード決済で物足りなかったものとは。
 
 「2回目以降の商品購入時のカード番号の入力省略、ネットでの予約販売の決済などの機能ですね。いずれも他社の決済サービスですでに装備されているものです。当社のカード決済は、商品購入のたびにカード番号を入力して頂く仕組みで、お客様は同じ通販サイトで商品を購入するたびにクレジットカードを手元に置いてカード番号を入力しなければなりませんでした。これはお客様からすると非常に面倒なことです。また、おせちなどを数カ月前から予約販売をしたいという通販事業者様のご要望に対しても、当社でカード情報をお預かりする期間が1カ月のため対応が難しく、カード決済の部分だけ他社のサービスを使われるケースもありました」
 
──ネット販売の主要な決済手段であることを考えると問題だったと。
 
 「特に当社の場合、『宅急便』と連携した商品設計が強みなのですが、カードによる事前決済の場合は代引きと違い、決済後の商品配送にどの宅配便を使うかは通販事業様やお客様の選択になります。質を求めれば『宅急便』を使って頂けると思いますが、違うものを求めるお客様もいらっしゃいます。また、通販事業者様がネット販売に販路を拡大される場合、あるいは売り上げ規模の拡大に伴うシステム刷新の際に、他の決済サービス事業者に切り替えられるケースも出始めていました。当社としては、通販事業者様と一緒に成長していくことを重視しているのですが、成長過程でのweb系決済のニーズに十分お応えできていなかったわけです。こうした課題を解消するために投入したのが、今回『クロネコwebコレクト』で提供するクレジットカード決済のオプション機能『リピーター客向け決済機能』と『予約販売機能』になります」


カード情報を預ける際の安心感を重視

──リピーター対応と予約販売でオプション機能を投入された理由と重視された点は。
 
 「お客様(エンドユーザー)に、いち早く利便性を享受していただきたいという思いからです。いずれも目新しい機能ではありませんが、特に重視したのはカード情報をお預け頂く際の安心感ですね。オプションの新機能の投入に当たっては、自社でシステムを構築することも検討しましたが、セキュリティやメンテナンスなども勘案し、グループ会社のヤマトシステム開発(YSD)と連携することにしました。今回のオプション機能はYSDが持っていた商品を活用したもので、システム的にもセキュリティ基準の『PCI DSS』に準拠していますから、通販事業者様も安心して利用して頂けると思います。お客様の間でも"クロネコヤマト"への信頼感があると思いますので、当社で用意する『クロネコwebコレクト』の決済サイトから、安心してカード情報を預けて頂けるでしょう」
 
──顧客のカード情報を外部事業者に預けることについて、通販事業者はどのように考えているのでしょう。
 
 「通販事業者様がお客様のカード情報を預かる場合、漏えいなどのリスクが大きいですし、自社で『PCI DSS』などのセキュリティ基準をクリアするは非常に大変です。そのため、信頼できる決済サービス事業者にカード情報を預けてサービスを提供したいと思われている通販事業者様が多いですね」
 
──「リピーター客向け決済機能」と「予約販売機能」に対する通販事業者の反応は。
 
 「『リピーター向け決済機能』は健康食品や化粧品など定期購入型の通販事業者様から評価をして頂いていますし、『予約販売機能』も、今まで他社のカード決済サービスを使わざるを得なかった食品通販事業者様から『今度のおせちの予約販売は、配送も決済もヤマトさんに任せられる』と言って頂いています。リピート購入の促進、商機を逃さない商品の販売につながるツールということで、通販事業者様も喜ばれていると感じます」
 
──今後、新たにオプション機能やサービスを投入される計画は。
 
 「大手通販事業者様向けのサービスとして、組み込み型の決済インターフェースの機能を強化して提供していく計画です。また、金額の変更機能や頒布会のような繰り返しの課金サービスの提供も検討しています。実際の展開は来春頃になると思いますが、"ヤマトが変わってきている"と感じて頂けるよう、間隔を置かずに投入していきたいですね」
 
──他の決済手段の機能強化については。
 
 「ネットコンビニ決済です。今は、払込票など紙ベースの決済がコンビニ決済の主流となっていますが、今後スマートフォンやタブレット端末の普及が進めば、スマートフォンで簡単に決済して欲しいというニーズが高まると考えています。また、通販事業者様もweb系決済では自動的に入金情報が入ってくるため、手作業の入金管理の手間がなくなりイレギュラーな処理をするだけでいい。そのイレギュラーな処理を当社でお手伝いすることもできます」
 
──通販事業者はすることがなくなりますね。
 
 「通販事業者様がお客様に支持される商品の開発や販売に専念できることが理想だと思いますし、ヤマトグループとしても、通販に付帯した業務を"全てヤマトにお任せ下さい"と言えるまでのレベルに持っていきたいという思いがあります。通販事業者様が商品に注力し、当社が利便性の高い決済機能を提供することで、お客様に"このショップで商品を買いたい"と思って頂けるようにしたいですね」


通販の全てを任せられる流れを作る

──消費者のライフスタイルが変化し、今ではネット販売で食品なども購入されています。御社でもweb系決済の利用が伸びていますが、いつ頃からネット販売が定着したとお考えですか。
 
 「ヤマトグループでネット販売向けに商品配送のリードタイムを大幅に短縮したロジスティクスサービス『トゥデイ・ショッピング・サービス(TSS)』の展開を始めた5年前ですね。当時はすでにネット販売の受注ピークが夜11時から深夜1、2時頃と言われ、健康食品や化粧品の通販も広がり始めていました。その中で、他の決済サービス事業者ではweb系のカード決済の仕組み作りを始めていました。当社でも『お届け時電子マネー払い・カード払い』の投入など利便性の向上を図っていましたが、どちらかというと配送の部分に軸足を置いてサービスを考えていたため、ネットのカード決済対応で後れた面があると思います」
 
──ネット販売では、当日配送の動きが広がっています。決済の観点からこの動きをどう捉えているのでしょうか。
 
 「まず、『TSS』を投入してから、商品配送のリードタイムに対する通販事業者様の考え方が変わったという印象があります。実際、『TSS』導入事業者様では商品配送リードタイムの短縮で返品率がぐんと下がり、返品処理などの手間やコストが軽減されました。そこで"やはり早く商品を届けるのはいいこと"と認識されるようになったわけです。その流れが加速し、ネット販売を中心に当日配送の動きが広がっているのだと思います。配送リードタイムの短縮でさらにネットで商品が購入されれば、カード決済の利用も増えますので、当社としてもこの流れは大きいですね」
 
──ヤマトグループでは、次世代ネットワーク構想の一環として、今夏に神奈川(厚木)、今秋に東京(羽田)とで大型物流拠点が稼働します。東名阪での「宅急便」当日配送も計画されていますが、決済も含めどのような通販対応を考えられているのでしょう。
 
 「今、当社が取り組んでいるweb系決済機能の強化は、ヤマトグループが計画する『バリュー・ネットワーキング』構想とも合致するものです。今後の展開では、大型物流拠点のゲートウェイで様々な通販企業様の商品をお預かりし、スピーディーかつローコストで質の高い物流サービスを提供する計画です。これに決済などヤマトグループが持つ各機能が連携すれば、お客様や通販事業者様に支持されるサービスができるはずです。それによって、"ヤマトなら通販の全てを任せられる"という流れを作れればと思います」
 
──通販に関連した独自のサービスを考えた場合、個人会員組織「クロネコメンバーズ」の活用がカギになりそうです。決済で何か連携することもあるのでしょうか。
 
 「『クロネコメンバーズ』の活用はヤマトグループとしても大きなテーマです。現在の会員数は900万人を超え、荷物を送る時や受け取る時の不便を解消するサービスを提供していますが、今後は会員の方にもっと喜んで頂けるような付加価値サービスを提供していきたいと考えています」
 
──ネット販売は利用が拡大し、日々進化しています。決済サービスもさらに多様な対応が求められそうですね。
 
 「スマートフォンやタブレット端末など新しいデバイスが出てきていますし、また、販売方法でも通販事業者様が用意した何種類かの商品からお客様が購入する商品を選び、残りの商品を返品してから決済が始まるというモデルも出始めています。こうした進化に対応するためにも、さらに決済機能を強化していかなければなりません。そのベースになるのは、どのようにすればお客様に喜ばれるのかということです。ヤマトグループ全体が同じ考え方で取り組みを進めていくことで、他にはない通販向けのワンストップサービスが提供できると考えています」

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