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ヤマト、「宅急便」網を再編  スピードと品質、コスト追求

 6-1.jpgヤマトグループは7月3日、都内で会見を開き、新機軸の3PL機能を提供する「バリュー・ネットワーキング」構想(VN構想)の概要を明らかにした。東京および神奈川で今夏に竣工する大型物流拠点および「沖縄国際物流ハブ」を基盤に「宅急便」ネットワークを再編し、東名阪での当日配送、「宅急便」を展開するアジアの国・地域での翌日配送の実現を目指す。新たに構築するネットワークでは、モノの流れの中での付加価値の提供やトータル在庫圧縮によるローコスト化などの"止めない物流"、事業規模や荷物の取扱数量、出荷場所などを問わず利用できる"クラウド型のネットワーク"をキーワードに設定。通販向けでは、地方の中小事業者に対し、大手並みのスピードと品質を兼ね備えた配送サービスの提供などを目指す。


 現在、「宅急便」の国内ネットワークは、全国約4000の営業店と同約70カ所のベースと呼ばれるターミナルで構成。今回の「VN構想」では、9月に稼働を始める国内最大級の総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」(羽田CG、東京都大田区)と、8月に稼働する大型物流ターミナル「厚木ゲートウェイ」(厚木GW、神奈川県愛甲郡)、「沖縄国際物流ハブ」を既存のベースと連携させる形で国内の「宅急便」ネットワークを再編する。
 
 「羽田CG」は羽田空港の隣接地域に立地する国内外、陸海空の結節点となるもので、原則、恒常的な在庫は行わず、仕分けなど荷物の流れの中で同じ送り先の荷物をまとめるクロスマージや家電製品修理、オンデマンドで作成した印刷物の同梱などの付加価値サービスを提供。
 
 また、「GW」は一大経済圏の玄関口に設置する大型物流ターミナルで、「厚木GW」がその第1号となる。クロスマージなどの機能を持ち、今後、中部(三河地区)および関西にも同様のGWを設け、「羽田CG」も合わせて東名阪での「宅急便」の当日配送を計画する。
 
 現在、地方向けの「宅急便」は、営業拠点で集荷した荷物を当該地域のベースに集めた荷物を夜に他のベースに幹線輸送。トラックの積載効率の問題で1日1便のみのため、基本的に翌日配送(地域によって異なる)となっている。
 
 これに対し「VN構想」では、複数のベースに集められた地方向けの荷物を当該地域のGWに集約することでトラックの積載効率を高め、GW間の多頻度幹線輸送を実施。1便では難しかった「宅急便」の当日配送を実現させる計画だ。
 
 一方、「沖縄国際物流ハブ」では、全日空の貨物専用機で深夜に集められた「宅急便」ネットワークのあるアジア各国向けの荷物を積み替え、翌朝に各国の空港に届く体制を整備。また、年内中にも一貫保冷・国際小口輸送による「国際クール宅急便」の翌日配送を始める計画。クール便の場合、食材の利用が見込まれるが、検疫のハードルが低い香港から始め、順次展開エリアを広げる。
 
 今回の「VM構想」では「宅急便」ネットワークの再編による配送スピードの向上だけではなく、「(倉庫を備えた)ストック型のロジスティクスではなくモノを止めないロジスティクス」(木川社長)とすることで、モノの流れの中での付加価値の付与、原材料在庫から流通段階の製品在庫までモノの滞留をなくし、トータル在庫の圧縮と物流コストの削減につなげることなどを視野に入れる。
 
 もうひとつポイントとなるのは、出荷の場所や形態、事業規模の大小、荷物の取扱量などに関係なく、必要なロジ機能を必要な時に利用できるようにするという"クラウド型のネットワーク"のコンセプト。これについては、「宅急便」の配送で使用する可動式ラックとベース内の自動ピッキング装置と組み合わせた「FRAPS」(フラップス)の仕組みを活用した展開を構想する。
 
 例えば、自前で商品の仕分けや包装・梱包作業を行う地方の中小通販事業者では、顧客からの注文が増えた場合の対応が大変だったが、「フラップス」の仕組みであれば、その日に受注した商品をまとめ最寄りのヤマト営業店に持ち込み・集荷をすれば、当該地域のGWで顧客ごとの商品ピッキング、販促物の同梱などを行うことが可能。「地方の中小通販事業者でも、全国の顧客に向けて大手通販と同等の物流品質のサービスを提供できる」(ヤマト運輸の山内雅喜社長)という。
 
 また、荷物の取扱規模がやや大きい中堅クラスの通販事業者については、「フラップス」の仕組みを使った商品の分散在庫を提案。GWに最少の在庫を持ち、注文が入った商品を顧客に最も近いGWからベースを経由して届ける仕組みで、「我々のネットワークのどこか一カ所にアクセスするだけで、トータル最少の分散在庫を維持しながらスピーディーに商品を届けることができる」(同)とする。
 
 在庫管理の情報を一元化することで、通販事業者が一つの倉庫を運営しているような展開とし、多頻度幹線輸送の機能を使ってGW間の在庫移動が柔軟に行えるようにすることも視野に入れる。
 
 有力なネット販売事業者を中心に商品当日配送の流れが広がる一方、中小通販事業者では物量や投資などの問題から対応が難しく、顧客サービスの格差も見え始めている。ヤマトグループの「VN構想」は、中小通販事業者の活性化に寄与するものと言え、通販市場の全体の底上げにつながる可能性もありそうだ。

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