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購入を促す付加価値サービスとは? 顧客の〝買う気〟後押し

011.jpgのサムネール画像 もの余りの時代、単なる価格訴求に頼った販売手法ではなく、いかに消費者を"買う気"にさせるかは小売り業態としての腕のみせどころだろう。昨今では、不用になったアイテムを引き取るなど収納スペースの問題を解消して次の消費を喚起したり、有店舗企業と連携してサイズ感やアフターケアといった消費者が通販チャネルに感じる不安を払しょくすることで購買につなげたりする企業が増えているようだ。資本力のあるメーカーや小売りが相次いで新規参入する大競争時代の通販業界において、大手カタログ通販やネット販売専業などが実施している「購入を促す付加価値サービス」の現状について見ていく。

保管・引取で消費を喚起

 千趣会では、顧客に対する付加価値サービスとしてクリーニングに着目。2011年1月から衣料品で展開をスタートし、12年1月に布団、同年4月からブーツのクリーニングサービスを始めるなど対象カテゴリーを拡充している。

 いずれも宅配便を活用した通販型のサービスで最長6カ月、8カ月の長期保管をセットしているのが特徴。クリーニング自体の品質はもとより、オフシーズンの衣料品などを預け、自宅の保管スペースを確保したいという顧客から支持されているようだ。

 クリーニングサービスの直近の利用状況は、今年1月からこれまでの注文件数が約3500件。前年同期比では、衣料品が50%増、ブーツが10%減といったところだが、これから受注が伸びる可能性もあるようだ。

 また、サービス利用者は、「ベルメゾン」の主要顧客に当たる30~40代がボリュームゾーン。さらに50~60代の利用もあり、自宅の保管スペース確保で利用するケースが圧倒的に多いという。保管以外の部分でも、自宅で受け渡しができ、洗濯物を大量にお店に持ち込む手間がないことなどから、小さな子供がいる顧客に重宝されているもようで、「クリーニングの品質も好評」(広報)だという。

 これまでの展開では、まずサービスの認知度アップに力点を置き、カタログ表2対向スペースに告知ページを設けてクリーニングサービスを訴求するほか、ファッション系商品の購入顧客に対するメルマガ発行などを行っており、衣類のクリーニングでは、服の種類を問わず枚数で注文を受けることや、コート、ダウンなどの重衣料でも割増料金がない点、フードやベルトなどの付属品も1着に含めるなどの使い勝手の良さを訴求。あわせて往復の運賃も含んだ料金のお得感を打ち出すようにしているという。

 このほかに、サービスの利用促進策として期間限定で全クリーニング商品を5%オフとする企画なども行っている。

 一方で、過去のサービス利用顧客に1000円分のクーポンを発行するなど、商品購入策も展開しているが、同社では、各クリーニングサービスについて、現状、顧客への浸透を図る段階と位置づけており、次の商品購入に向けたツールになるかは、まだこれからと見ているようだ。

 千趣会では今後、クリーニングサービスについて顧客に好評だった機能の強化を進めるとともに、ラグや革製品、チャイルドシートなど、サービスの対象カテゴリーを広げていく考え。サービス内容の強化・拡充と並行して顧客の間でクリーニングサービスが定着すれば、購入後の手入れや管理なども含めた商品提案で、購入促進を図るという流れができることも考えられそうだ。

012.jpgのサムネール画像 一方で、ディノスが3年半前から実施している不用家具を無料で引き取る「大物商品無料引取りサービス」が顧客の利用も増え、家具やインテリア商品の売り上げへの貢献度も高まっているようだ。

 同サービスはベッドやソファなどの大型商品の購入客(※3万9800円以上の購入者でカタログなどに「大物配送」および「特大物配送」のマークが付いた商品が対象)に、購入商品の配達時に購入商品と同種の品を同数、無料で配送員が引き取るサービス。例えばディノスで「新しいソファ」を購入した顧客からは「古いソファ」を1つ引き取るもの。引取品はディノスで購入したものだけなく、どこで購入したものでもよいという。不用家具の引き取りサービスは実店舗を構える家具店では一般的なサービスだが、全国規模でビジネスを行う通販企業での実施は珍しい。

 同サービスは09年10月から東京でソファとベッドのみに限定してスタート。徐々に対象エリアや対象商品を広げ、昨年11月には東北や四国など11県を追加した。これにより、沖縄や島しょ部を除き、ほぼ全国での実施となった。

 ディノスによると家具・インテリア商品の購入者で同サービスを利用する顧客は増えているようで、2012年度までの累計で3万8000個以上(出庫ベース)の利用実績があるという。対象エリアの拡大とともに利用率はさらに高まってきており、昨秋の全国展開開始と、これに伴い今年2月に東名阪のテレビ局で放映した同サービスを告知するテレビCMの効果で「大物商品無料引取りサービス」対象商品の購入者における同サービスの直近の利用率は約28%と非常に高い利用率となっているという。

 実数は明らかにしていないが同サービスは「間違いなく売り上げ面では大きく貢献している」(同社)とした上で、その理由について「お客様にとって不便であったお使いの品物を粗大ゴミに出す場合の費用と手間をこのサービスを利用することによって買い替えしやすくなったのではないか。また、競合他社に先駆けてサービス展開したことも大きかったと思う」(同)としている。

 今後は対象商品の拡充やサービス未実施エリアでの展開などを進めていく考えのようだ。

店舗連携などで不安を解消

013.jpgのサムネール画像 顧客の"安心感"を追及したサービスを展開しているのは眼鏡の通販サイト「Oh My Glasses(オーマイグラスィズ)」を運営するオーマイグラスだ。ネット専業の同社は眼鏡店を運営する企業と手を組むことで、顧客が近くの店舗でアフターサポートを受けることができる体制を整えている。

 現在、丸井や愛眼、メガネスーパーなど合計7社と業務提携を行っており、提携店舗数は1087店にのぼる。提携先の店舗では「オーマイグラスィズ」で商品を購入した顧客に対してフレームの調整やクリーニング、視力のチェックなどのサービスを提供。修理やレンズ交換以外は基本的に無料となっている。

 同社COOの六人部生馬氏は提携店舗の存在について「ネットで眼鏡を買う際の心理的なハードルを下げるという意味合いが強い」と説明する。

 例えば、眼鏡が壊れた際や度数が変わった時などに商品を持ち込める場所がないと顧客は不安になり、結果的に購入をためらってしまう。店頭でのアフターサポートを用意することで「近くのお店に行けば解決できるというのが安心感につながっているのでは」と六人部氏。実際、提携先が500、600店と増えるに従って、顧客が自分の住んでいる地域の近くに提携店舗があるかを問い合わせるケースが少しずつ増えているという。

 こうした顧客に"安心感"を与える施策が奏功。同社の売り上げは月商ベースで毎月20~30%程度増加しており、5月はテレビの露出なども影響して前月比で2倍の伸びとなった。

 この取り組みは提携先の店舗側にもメリットがある。オーマイグラスでは店舗への送客に関しては手数料を徴収していないため、店舗にとっても集客コストがかからない。また、「オーマイグラスィズ」では遠近両用や度付きのサングラスなど特殊なレンズは扱っていないため、顧客がフレームだけを購入してレンズは提携店舗で購入するということも想定され、その場合は店舗側に売り上げが立つ。現在、眼鏡店から協業を持ちかけるケースも増えてきている。

 同社では今後もアフターサポートを提供する店舗網の拡大を検討しており、現時点で手薄な東北や北海道エリアなどを強化していく方針だ。

014.jpgのサムネール画像 コメ兵は、自社通販サイトで注文した商品を最寄りの店舗に取り寄せるサービスで顧客の安心感を高め、なおかつ客単価の大幅アップにつなげている。

 同社では、通販サイトを販売チャネルとしてだけでなく、来店促進の手段や店頭での接客ツールとして積極的に活用しているのが特徴だ。

 店頭取り寄せサービスについては、利用者数が年々増えており、前々期(2012年3月)は年間約6000人だったのに対し、前期は1万人が利用したという。

 客単価も、ネットでそのまま購入する顧客が10万円前後なのに対し、同サービスの利用者は商品を手にとって確かめられる安心感に加え、店頭販売員の「接客力」も合わさって単価は倍になるという。

 また、品ぞろえは店舗ごとに異なるため、販売員は店頭に在庫がなくてもタブレット端末を利用して他店にある商品を取り寄せる方法で顧客ニーズに対応。全店共通のバックヤード(通販サイト)を活用することで、小型店でも売り上げを伸ばすことができるという。

 端末を使ってショーケース越しにサイトを閲覧してもらうため、顧客にも商品選択の幅が広がるメリットもある。

 最近では、通販の拡大が出店戦略にも影響。ほとんど在庫を持たずに取り寄せ対応を重視するなど、身軽な店舗を開設するケースも増えているようだ。

 同社ではウェブ広告はもちろん、店頭でも取り寄せサービスの告知を強化して利用者の拡大を図るほか、今年5月には店頭のポイントカードをウェブと統合し、より相互送客できる仕組みも整備している。

 ペットショップのコジマは、今年2月から通販サイトでチャットを使った顧客相談の対応窓口を設置している。

 チャット機能は同社の店舗でペットを成約したプレミア会員(約2万人)を対象とした無料サービスで、利用にあたっては通販サイトの会員登録が必要。サイト上のカレンダーではあらかじめ開催日程を告知し、ペットの知識を持った店長経験者が相談に乗る。

 これまでのところペットの食事や体調管理といった相談が中心だが、サイト内で販売している商品への質問などジャンルを問わず受け付けている。「利便性向上が目的だが、サイト滞在時間や利用者の拡大には影響があるかもしれない」(同社)と分析する。

 当初は週に1回(2時間)で受け付けていたが、4月からは2回に拡大。今後はプレミア会員以外にも利用を広げていくほか、対応役にトリマー(ペットの美容師)資格保有者、ペットの躾トレーナー、獣医師など同社グループ内の人材を幅広く活用し、より専門性の高い相談にも対応していく予定だ。


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