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ケンコーコム  構造改革に着手、商品・物流で取り組み推進

 1-1.jpgケンコーコムは今期(2013年12月期※決算期変更に伴う9カ月の変則決算)、抜本的な構造改革に取り組む。収益性の改善を主眼としたもので、商品面で利益率の高い一般用医薬品や健康食品の強化を図ると同時に、楽天グループと連携し物流コストの削減策を推進。ケンコーコムは売り上げを堅調に伸ばしているものの、主要商材である食品や飲料、日用雑貨での価格・サービス競争激化から購入単価が下落。これが長年苦しむ収益性悪化の要因となっていた。商品および物流の両面から対応策を講じることで、低購入単価でも利益の出せる体制作りを目指す。


増収メドを受け構造改革に着手

 まず、ケンコーコムの前期業績(連結)を見ると、売上高は前期比4・3%増の179億200万円、営業損益は1億3200万円の損失(前期は5億1900万円の損失)。主力のリテール事業(売上高は同6・6%増の156億8800万円)での取扱商品数の拡大などで増収を維持し、損失幅も縮小はしているが、期連続の赤字と損益面での苦戦が目立つ。

 この主な要因は、食品や飲料、日用雑貨などをメーンとするリテール事業での価格・サービス競争の激化に伴い、購入単価の下落傾向が続いていること。前期の購入単価も3624円と3・6%減少しており、これを出荷件数の増加(前期は10・6%増の432万件)でカバーした形だ。

 この傾向は以前から続いているもので、同社としても、購入単価の下落に対し出荷件数の増加に合わせて発生する物流や決済関連のコストの削減は、収益性の改善を考える上で大きな課題となっていたが、これまでは健康関連商品ネット販売のリーディングカンパニーの地位を維持するため売り上げを追わなければならない面があり、抜本的な収益改善策に取り組みきれない状況だった。

 これに対し今期は、今年1月に再開した一般用医薬品の売り上げが通期ベースでプラスオンされるなど増収の見込みが立っていることを受け、収益改善に向けた構造改革に乗り出した形だ。


商品構成見直し利益率の改善へ

 ケンコーコムの今期施策のテーマは、「継続的な売り上げの成長」「低出荷単価(購入単価)でも利益が出せる体制作り」「アジアマーケットへのビジネス展開」の3点になる。このうちポイントになるのは、「低出荷単価でも利益が出せる体制作り」、すなわち収益基盤の改善。その方向性は、大きく2つに分けられる。商品戦略の見直しと物流体制の再構築だ。

 まず、商品戦略の部分では、これまで進めてきた取扱商品数の拡大ペースを一旦落とし、現状の取扱商品数(約20万点)を維持した中で商品構成の見直しを推進。利益貢献度の低い低単価商品を絞り込み、ある程度の単価があり利益率の高い商材へのシフトを進めるもので、具体的には健康食品や医薬品の強化を進める形になる。

 もともとケンコーコムでは、健康食品などの健康関連商品を主軸にネット販売を展開。その後、取扱商品数と売上高に相関関係が見られたことを受け、取り扱うカテゴリーおよび商品数を拡充してきた。だが、20万点を超える規模になると、利益貢献度の低い商品も出てきてしまい、中には、「100円、200円の商品だと、ピッキングするだけで数十円のコストが発生し、マイナスになっている商品もある」(後藤玄利代表)という。

 今回の取り組みでは、こうした商品を排し、利益率の改善を推進。同時に、健康食品や医薬品など本来のコアである商品の拡充を通じ、再度、自社の特徴や強みを追求し、独自性を打ち出していくものになる。

 一方、商品戦略の取り組みでカギを握るのは、やはり一般用医薬品。今年1月の最高裁判決を受け、新規顧客向けの第1類および第2類医薬品のネット販売を再開して以降、日商が販売再開前のおよそ5倍のペースで推移するなど、第1類医薬品および第2類医薬品がけん引役となり、順調な推移を辿っている。

 このため、同社としても医薬品に対する期待は大きいわけだが、懸念されるのは厚生労働省が設置した「一般用医薬品のインターネット販売等のルールに関する検討会」で検討されている医薬品ネット販売のルールの方向性。後藤代表も日本オンラインドラッグ協会の理事長として参画し、全ての一般用医薬品がネットで安全に販売できると主張しているが、薬業団体などネット販売慎重派委員は副作用リスクの高い第1類医薬品や指定第2類医薬品は対面でなければ販売できないとの見方をする。仮に、ネット販売で扱える医薬品に制限が加わるルールができれば、ケンコーコムの戦略に影響を及ぼすことになる。


楽天と連携し物流費を削減

 一方、物流コストの削減では、楽天グループと連携した取り組みを推進。この一環として、すでに楽天物流が提供するフルフィルメントサービス「楽天スーパーロジスティクス」の導入を決めている。

 ケンコーコムは現在、福岡物流センター(福岡県飯塚市)と市川センター(千葉県市川市)の2拠点体制で物流業務を展開している。このうち福岡物流センターは、取扱全商品に対応する自社運営のメーン物流拠点。一方の市川センターは、楽天物流が保有する物流拠点内に所在し、売れ筋商品を中心に在庫。顧客分布がおよそ5割を占める関東地区での物流対応を強化するためのデポと言えるものだが、福岡物流センターから関東地区に商品を発送した場合、商品到着までのリードタイムや配送コストなどの面で課題があった。

 「楽天スーパーロジスティクス」は、全国の大都市部に物流拠点「フルフィルメントセンター」を設け、「楽天市場」のテナント向けにローコストかつハイスピードの物流サービスを提供するもので、ケンコーコムでは、「楽天スーパーロジスティクス」の導入に合わせて出荷件数全体の6割を占める福岡物流センターの機能を、楽天物流が首都圏で展開するフルフィルメントセンターに移管するとともに、楽天物流に物流業務を委託する。

 現状、「楽天スーパーロジスティクス」の導入や移転物流拠点の稼働時期、コスト削減効果などの詳細は不明だが、関東で約5割、さらに東日本で顧客分布が全体の3分の2を占める点から、首都圏への主要物流拠点の移転によるコスト削減効果は大きいとみられ、ケンコーコムの後藤代表も「(コストが)確実に下がることは見えている」とする。

 また、福岡物流センターについては、改修を行った上で楽天側に貸与し、「楽天スーパーロジスティクス」のフルフィルメントセンターのひとつとして活用する計画。ケンコーコムとしては資産の有効活用、楽天物流側も現在設置を進めている首都圏および関西に加え、九州でもフィルメントセンター網ができるわけだ。

 ネット販売事業者の間で当日配送や送料無料の動きが広がる中、ケンコーコムとしては、物量の関係などから、単独で広域の当日配送体制を構築することが難しかったが、フルフィルメントセンター網の拡充による「当日配送エリアの拡大も期待できる」(同)とする。

 事業基盤となる商品および物流の両面で構造改革に乗り出したケンコーコム。一連の取り組みを通じ、長年の課題だった収益の改善を実現できるか、今後の動向が注目されるところだ。



追い上げるライバル──爽快ドラッグ、売り上げで肉迫


 健康関連商品ネット販売の分野でトップに君臨するケンコーコム。だが、昨今ではGMSなど有力小売企業がネット販売に力を入れるほか、ネット系でもアスクルとヤフーの「ロハコ」など、同社のメーン商材である食品や飲料、日用雑貨を扱う通販サイトが増加し、それとともに競争が激化している。こうした新興勢力については、まだケンコーコムの地位を脅かすまでの存在にはなっていないが、一方で、同社を猛追しているのが住友商事の子会社で、類似した商品のネット販売を手掛ける爽快ドラッグだ。

 2013年3月期の売上高をみると、ケンコーコムの国内リテール事業売上高が前期比6・6%増の156億8800万円(連結ベースは同4・3%増の179億200万円)だったのに対し、爽快ドラッグの前期売上高は約25%増の155億円と、ほぼ同水準にまで追い上げている。

 ドロップシップ的な取引の扱い方の違いなど考慮しなければならない点もあるが、伸長率をみれば両社の勢いの違いは明らかだろう。特に爽快ドラッグが前期、物流センターの機能強化に伴い、販促を抑えていた時期があることを考えると、実質的には、よりケンコーコムに肉薄していると言えそうだ。

 また、損益面でも、この数年ケンコーコムが苦戦を強いられているのに対し、爽快ドラッグは、12年3月期に累損を一掃。前期は減益だったものの、黒字を維持するなど明暗を分ける形になっている。

 ケンコーコム側でも、以前から爽快ドラッグの成長を意識していたようで、過去の決算説明会の席でも後藤代表がそれをうかがわせる発言をしているが、昨今の勢いの差を考えると、近い将来、売上高で爽快ドラッグがケンコーコムを追い越す可能性も考えられる。

 では、この勢いの違いはどこにあるのか。要因はいくつか考えられるが、ひとつはケンコーコムが爽快ドラッグを警戒し過ぎた観がある。一時期、引き下げ合戦の様相を呈した送料が無料となる購入金額の設定もその一例だが、さらに食品や飲料、日用雑貨など爽快ドラッグに強みがある分野で真っ向から対抗しようとした形跡が見られる。端的な例は水だろう。

 爽快ドラッグは、水に強みを持ち、これをマグネット商材に顧客を獲得してきた。これに対しケンコーコムでも、米国の子会社を通じた水の直輸入体制を構築しているが、もともと水は利益率の低い商材。プラスワンの商品購入につなげる仕掛けが必要で、この部分で苦戦したとも考えられる。

 また、爽快ドラッグの場合、住友商事という後ろ盾があり、グループに食品スーパーやドラッグストアなどのリアル店舗、食品メーカーなどに原材料を供給しているセクションがあり、取引先の開拓や商品調達でアドバンテージを持つのは確か。この点はケンコーコムの後藤代表が以前から指摘している点だが、さらにリアル店舗の実情を踏まえた価格設定や品ぞろえ、クロスセルの手法など、食品や飲料、日用雑貨の取り扱いに関するノウハウも蓄積されていると見られる。

 無論、ケンコーコムとしても、ロングテールの考え方に基づき品ぞろえの拡充を進める上で食品や飲料、日用雑貨の取り込みは不可欠。だが、原点となる、"健康"のキーワードからやや離れたライバルの得意分野で対抗しようとし過ぎた観は否めない。

 楽天という後ろ盾を得て、一般用医薬品や健康食品など利益率の高い商材の強化や物流改革に乗り出す方針を打ち出したケンコーコム。特に商品面では健康関連商品ネット販売のナンバーワンを目指すという原点に回帰し強みを追求していこうとするものだが、実際の取り組みでは当該商品の拡充と並行して、付随した情報発信機能やコミュニティなどの資産を活用し独自性を打ち出していけるかも重要なポイントになっていきそうだ。

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