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"ゲーム活用"流行の兆し、通販各社のゲーミフィケーション戦略

1-1.jpgゲームで使われている要素をゲーム以外の分野で活用する"ゲーミフィケーション"という手法が通販業界で注目を集め始めている。実施各社はリピート率やコンバージョンの向上などを目的に、「すごろく」や「ビンゴ」などシンプルなゲームを通販サイトに導入。それぞれ一定の成果を出しており、中には想定以上の効果を挙げている事例もあるようだ。まだ国内での認知度はそれほど高くはないが、今後、成功事例が増えてその有効性が認められれば、通販市場での活用が進む可能性はある。はたして通販での"ゲーミフィケーション"活用とは。ゲーミフィケーション活用の最前線を追った。(本紙姉妹誌「月刊ネット販売」9月号に詳細



■ゲームでサービス浸透

 ドクターシーラボでは、「すごろく」と「ビンゴ」の2つのゲームを通販サイトに取り入れ成果を出している。

 同社はすごろくゲーム「肌ポリー」を2011年11月に導入。当時、「お気に入り」からの来訪数が減少していたため、ユーザーに来て貰えやすいコンテンツの導入を着想。手軽に楽しんでもらえることを重視し「すごろく」の導入を決めた。

 「肌ポリー」は1日に1回サイコロを振り、出た目の数だけキャラクターを進めて1週間以内にゴールを目指す仕組み。止まったマス目でイベントが発生する仕掛けで、アイテムが貰えることもあればマス目が戻されることもある。貰ったアイテムはゲーム内で使用可能。早くゴールした順にランキングが決定する。ランキングで貰えるポイントが異なり、例えば1位でゴールした場合はサイトで使える「シーポイント」を2000ポイント貰える仕組みだ。

 同ゲームには毎週、1万人前後のユーザーが参加。累計では5~6万人が参加するなど、「想定の5倍ぐらい」(ドクターシーラボ)がゲームに興じている。ロイヤリティーの高い顧客が多いが、ゲームを始めてから来訪頻度が高まったライトユーザーも多いという。

 「肌ポリー」経由で商品を購入したユーザーの流通総額は月間1億円まで拡大。ゲーム目的で毎日サイトを訪れることで新商品の情報に触れるなどの効果もあるようだ。

 同社では「肌ポリー」の成功をみて新たにビンゴゲーム「げるんちゃん探偵のクエストビンゴ」(画像(1))も開始。ビンゴカードのマス目にはシーラボの商品やサービスに関するイラストが書かれており、クリックするとヒントが読める。ヒントを元にサイト内に隠されている「足跡」を探し、カードのマス目を揃えていく仕組みだ。マス目は1列揃えると100シーポイントが貰え、3列揃えると1枚目のカードはクリアとなる。 

 ビンゴゲームは自社サービスの認知度向上のほか、ユーザー行動の分析にも貢献。「穴がどこで止まっているか」を把握できるため、ユーザーが普段どこにコンタクトしているかなどが分析しやすいという。今後はよりゲーム性を強めていく予定だ。

■クーポンで新規開拓

 ネットプライスではスマートフォン向けゲームアプリを活用して新規顧客獲得に取り組んでいる。テクノードが提供するスマホ向けアプリ「うろおぼ絵17」のユーザーにクーポンを提供して通販サイト「ネットプライス」に集客するという仕掛け。専門部署を作るなどスマホ対応を強化しているネットプライスの戦略に沿ったもので、コストを抑えながら、ゲームユーザーという従来の顧客とは異なる層の取り込みを期待する。

 「うろおぼ絵17」(画像(2))は「ひこうき」や「ぞう」など指定された絵を17秒間で描くゲーム。黒や赤など5色の中から好きな色を使い、指でスマホ画面をなぞって描く。描いた絵はフェイスブックやツイッターに投稿することが可能。アプリの7月時点のダウンロード数はiPhoneで約32万、アンドロイドで約20万という。

 同社は7月上旬から、「うろおぼ絵17」を提供するテクノードと連携し、ユーザーに「ネットプライス」で使えるクーポンの提供を開始した。絵を描き終わるとクーポンキャンペーンの紹介が画面上に表示される仕組みだ。

 描いた絵をフェイスブックなどに投稿したユーザーには「ネットプライス」の全商品に使用できる300円相当クーポンをプレゼント。ユーザーがSNSに絵を投稿することで、くちコミを促して新たなユーザーを呼び込み、結果的にクーポンを手に入れるユーザーも増やせるとみている。

 ネットプライスによると、キャンペーン開始当初はクーポンを取得したユーザーのうち実際に買い物をしている人は1割程度という。さらに利用率を上げていくため、今後は発行するクーポンの金額を現状の300円から増やして実験的に何パターンか試していくことも検討している。

■定着率アップを実現

 セシールでは、昨年4月から「セシールオンラインショップ」内でゲームコンテンツ「せしまるすごろく」(画像(3))を展開している。買物以外の目的での気軽なサイト来訪やサイトへの定着率アップを主眼としたものだが、誰もが1度は遊んだ親しみやすいゲームといったことも手伝い、サイト来訪機会の創出や定着率向上のほか、実売の面でも成果を出している。

 「せしまるすごろく」は1週間をかけてゴールを目指す。ゴールの着順に応じ、買い物で利用できるポイントを進呈する仕組みで、「セシール・ネット・クラブ」会員に登録すれば参加できる。ルールは1日1回サイコロを振り、出目に応じてマスを進むというシンプルなもの。ゴールまでにはサイコロの出目よりも多く進めるアイテムの付与などのイベントマスも設ける。

 これまでの展開では、ゲーム参加者が徐々に増加しており、現在の1回当たりのゲーム参加者は約2万人。また、「毎週、継続的にゲームに参加する人が多い」(セシール)という。この傾向を見る限り、「せしまるすごろく」は気軽なサイト来訪のきっかけ作りと、定着率アップの両面で機能しているようだ。


ネット販売での可能性は?
ゆめみ 深田浩嗣 代表取締役
"報酬"で行動を分析、「EC系とは相性いい」


ネット販売市場で徐々に盛り上がりつつある"ゲーミフィケーション"。その定義や運用のコツなどを、専用のサービスを手がけているゆめみの深田社長に聞いた。
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◇◇◇
 ゲーミフィケーションの定義とは。

 「利用者を『動機づける』ために、ゲームで使われている要素をゲーム以外の領域に活用すること。よく勘違いされるのだが、娯楽の要素を盛り込んで利用者を楽しませることがゲーミフィケーションだと思われがちだが、そうではない。例えば『勉強しなければいけない』など、楽しくなくても動機づけられるケースもあるわけだ。ポイントは3つあり、目的が明確になっていること、自立性が確保されていること、有能感を感じられること。これら3つが揃っていると人間は動機づけられると心理学的に説明されている。で、こういうことをユーザーが実感できるように、ゲームで使われている要素を使ってゲーム以外の領域で活用しようというのがゲーミフィケーションだ」

 具体的なサービス内容は。

 「まず、サイトの中でどういう行動をさせるとユーザーが盛り上がるのか、考えて実際に試してみる。で、結果を見て、良かったかどうかをジャッジして施策に反映させるわけだ。そういうサイクルを実行できるプラットフォームを提供している。具体的には、我々のサービスにはユーザーにリワード(報酬)を付与できる仕組みが入っていて、どういうことをした人に、どういうリワードを付与できるか、それらを設定できる管理画面がある。達成感や有能感を感じてもらえるメカニズムを持っているわけだ」

 「ユーザーもサイトから反応が返ってくれば嬉しいし、マイページに実績が溜まっていけば愛着が湧く。これをやると『どんなユーザーがどんな行動をしているか』や、『商品を買っているユーザーは典型的にこういう行動をしている』をリワードという形でぜんぶ見ることができる。どの行動をドライブさせればどこで買うようになるかが把握できるので、分析もしやすい。また、お店とユーザーの関係性を強固にすることで、ユーザーのロイヤリティーの度合いを表現してあげられる。例えばプラチナ会員であれば限定の商品を紹介したり、セールに招待したり。さらに『この人はこういうランク』と他のユーザーから見えるので、ユーザー間で評判が立ち、ステータスを感じることができるようになる」

 インセンティブを付与するうえで気をつける点は。

 「ポイントなどの現実的なリワードは必ずしも重要ではない。むしろ金銭的な面に動機を置くと、かえってユーザーの動機を引き出しづらくなる恐れがあるので、あまりお勧めはしていない。仕事が楽しいとか、勉強が楽しいとか、自分の心の中から自然に湧き出てくるモチベーションの方が動機としては強く、長続きすると思う」

 ECに導入する動きも増えている。

 「EC系のお客様からの問い合わせは多く、相性はいいと思っている。ただ、今はようやく導入が始まった段階。導入してすぐに効果が出る場合もあるが、1年ぐらいの期間でプロセスを見て、回していくことが重要だ。導入して終わりではなく、継続することが大事」

 ECにおけるゲーミフィケーションの動きは今後どう進むか。

 「導入は広がっていくと思う。今は事例の量がネックだが、認知度は上がっている」



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