景況感については「インテリアなどのライフグッズ関係を中心に震災後の復興需要による回復の兆しも見えるが、欧州の財政金融市場の動向やイラン情勢の悪化などに起因する受注下振れリスクもあり、予断を許さない状況が続いている」(セシール)や「マーケットは右肩下がりで縮小していくという大きな流れを念頭に置きながら、経営戦略を立てていく必要がある」(スクロール)、「悲観的にみているわけではないが、これまで同様にずっと右肩上がりでいくわけではないだろう」(世界文化社)、「消費者側の先行きの不透明感があるのでは。年明けの販売状況は昨年と大きなズレはないが、これがずっと続くのかと言えば、何とも言えないところ」(QVCジャパン)など厳しい見方も多い。
ただし、その一方で「今の欧米諸国の経済状況を見ると、日本経済は意外にそう悪くない。業界を上げて消費を活性化していかなければいけない」(ファンケル)、「復興需要の本格化などで内需は拡大する」(ディノス)、「1年をトータルすれば2011年よりは良いのではないか」(ベルーナ)といった声のほか、「昨年は、震災後の消費者ニーズに素早く対応できた。また、百貨店の創業180周年に合わせた企画物も好評だった。とくに歳暮は良かった」(高島屋)、「(年明けの1月に発刊した)春号の立ち上がりも悪くなく、今年は期待できるのでは」(カタログハウス)、「年明けで初めて放映した通販番組の反応がよく足元は好調」(テレビ東京ダイレクト)、「年末年始はおせちやかになどを中心に売れ行きはよかった」(日本テレビ放送網)など足元の業績から、市況の回復の兆しを見出す企業も多かった。
今年の通販市場の見通しは?
2012年の通販市場の先行きについて、各社はどう見ているのか。
千趣会はこの年末年始商戦も、おせちなどが好調で、今年の通販市場については、ネット販売の拡大などもあり、「まだ伸びる。少なくとも急速に落ち込むということなはない」とする。ケンコーコムも国内個人消費が横ばい、物価のデフレ傾向はあるものの、受注状況に特に大きな変化はないとし「BtoCの国内ECがこの数年、毎年2桁の伸びを見せていることなどから、今後も成長の余地が大いにある」と見る。
このほか、JFRオンラインでは新規参入もあって競争が激化することは間違いないとしながらも「今年も通販業界には追い風が続くだろう。ただ、勝ち負けは、より明確になってくる」とする。
また、「景況感に大きな変化は感じられず、今年も通販市場は順調に推移する」(トウ・キユーピー)、「通販市場は毎年拡大しており、他社の動きもあわせるとまだしばらくは順調に伸びていくのでは。ネット売上の比重がより増していく」(ベルーナ)、「通販はより身近な購入ルートとして消費者に浸透してきている。そういう意味では小売全体が伸びなくとも通販は伸びる余地というのはまだまだ大きい」(QVCジャパン)などの声もあった。
ただ、「原材料や縫製、紙代などのコスト上昇要因があり、利益確保はこれまで以上に難しくなり、これまで順調に拡大してきたネット販売市場も、飽和状態となり、競争が激化する」(セシール)という見方もあった。
各社の注力ポイントや課題は?
幕を明けた2012年。各社は今年、どういった部分に注力していくのか。各社の今年の戦略や課題について聞いた。
千趣会はスマートフォンについて指先でデジタルの書籍やカタログのページをめくるなど、感覚的な操作が消費者の間に浸透し、「今後、紙とネットという分け方はなくなる」と予測。その上で、「スマートフォンならではの商品の見せ方などが重要になる」と見ており、今年はさらに取り組みを強化する。
スクロールでは「M&Aを積極的に取り組み、成長を目指す。また、情報システムの再構築や物流SCM改革などの事業インフラを完成させる。加えて、東京本店機能の拡充を図り、事業戦略の中枢部隊とするため、年内に東京200名、浜松200名体制にする」と積極的な攻めの姿勢を打ち出している。
セシールでは近年、「3Dブラ」などインナー商材の露出を強化しているが、今年も引き続き原点である「インナー商材の販促を重点的に進めていく」考えで、自社の強みを伸ばしていく戦略だ。
このほか、「化粧品のリブランディングに続き、今夏をメドに健康食品事業の再構築も進めていく。個別の顧客にあった健食の提供の仕組みなど、販売チャネルや売り方、サービスのあり方を練り直していく」(ファンケル)、「広告出稿の拡充などネットの取り組みの強化や、好調な介護食の拡販に取り組む」(トウ・キユーピー)、「中国での事業展開では、現地法人を設け、日系の健康食品流通企業としてナンバーワンを目指す」(ケンコーコム)、「事業拡大にネット販売の拡大は不可欠で、3月には第2の再編を実施する」(JFRオンライン)などの声があった。
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通販関連業界の展開は? "復興需要"に期待
本企画では主に通販業界の展望や課題をみてきたが、では、通販と密接な関係にあるコールセンター業界やメーリングサービス業界はそれぞれの市場についてどのようにみているのだろうか。
まず、コールセンター業界の2012年の市場の見通しについて。
「現在は低成長にあると思う。前半は冷え込むだろう。ただ、後半からは法人の設備投資などの効果で伸びてくるのではないか」、「今までは成長期で、これからは成熟期。これからは価格と品質の二つの面で競争が激しくなるだろう。特に通販などは、品質がさらに重要視されると思う」、「楽観はできない。市場は飽和状態にあるし、今は経費削減の一環として内製化が進んでいるから。特に昨年は縮小・停止する案件が多かった」など、「楽観視はできない」との見方が多かった。
また、コールセンターの今後のトレンドや課題について聞いたところ、「被災地にセンターを開設する、というトレンドは出てくるのでは」、「スピードがより求められる。変化に対応できるスピード感を持っている企業が勝ち抜いていくだろう」、「例えばスマートフォン関連とか介護福祉とか、そういうニーズはいろいろ出てくるのではないか」、「震災以降、テレマも含めていろいろな形のダイレクトコミュニケーションが活発化していると思う」などの意見が挙がった。
次に、メーリングサービス業界の今年の見通しについて。
「おそらく厳しい一年になるだろう。ただ、震災の復興需要などもあるはずなので思ったよりは減少はしないのではないか」、「回復基調にあるとは思う。継続して頑張るしかない」、「業種によって伸びの違いはあると思うが、昨年よりも底上げはされると期待している」などの声が聞かれた。
今年のメーリングのトレンドについては、「震災の復興関連の需要はあると思う」、「震災によりモノを伝えることの意味が変わってきている。メーリング業界もそうしたトレンドが一部では追い風になっているのではないか」、など震災の「復興特需」に期待する声が目立った。
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