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検証・悠香の自主回収⑧ 回収騒動の残した教訓、消費者に向き合う姿勢の重さ

悠香(本社・福岡県大野城市、中山慶一郎社長)の自主回収を巡る騒動についてこれまで、回収という事態を招くに至った経緯、また、騒動拡大を招いた背景について検証を加えてきた。悠香の回収を巡る事態は今年10月、仙台市の女性が提訴に踏み切るなど最終局面を迎えている。それだけではない。一連の騒動が悠香のブランドイメージに与えた影響も計り知れないだろう。今、悠香は何を考え、そしてこの騒動が通販業界に示す教訓とは何か。

手元に悠香から顧客に送られた手書き風の長文の手紙がある。内容から手紙が届けられたのは今年8月頃とみられる。

 12枚に及ぶこの手紙の中で悠香は、「茶のしずく石けん」を開発するに至った契機、開発秘話を詳細に渡り説明。「今後もどうか大切なあなた様の美のパートナーとしてお役に立たせてくださいませ」と結んでいる。が、手紙はそこで終わらない。

 「大切なお知らせがございます。次の便せんをどうぞご覧くださいませ」と続き、手紙をめくると「この度、キャンペーンにつきまして大変多くのご要望をいただいておりましたため、しばらくぶりに実施させていただきます」と始まる。

 キャンペーンの内容は、8月16日~10月31日の期間限定で、「茶のしずく」と「シミ対策化粧水」「シミ対策クリーム」のまとめ買い割引キャンペーンを実施するというもの。回収の最中にあって顧客への感謝をつづる文面から一転、キャンペーンを告知する悠香の思考に理解は及ばない。

 いずれにしろ悠香はこの時すでに事業を再開。最近では悠香を巡る報道の鎮静化を受け、悠香の社内からは「"あと2カ月ほど(9月時点)で広告宣伝を再開してもいいという指示を得た"との話を聞いた」(元社員)との声、また、別の関係者からは今年1月、広告制作部門を分社化して設立したグループ会社のジーナを通じ、健康食品事業の準備を進めているという話も聞こえてくる。

 だが悠香を巡る状況は必ずしも好転していない。悠香は関連会社のジュールアンジュール(本社・福岡市中央区、中山慶一郎社長)を通じて化粧品通販を展開しているが、「関連会社ということもあり、悠香の先行き不透明感から広告出稿が難しい状況にある」(元社員)という。

 さらにここにきて、新たな疑惑も浮上している。一つは、悠香が「茶のしずく」に配合する原料の安全性の懸念について認識した時期だ。

 今年7月、悠香の回収を受けて日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会内に設けられた「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」で、悠香は別表のように処方変更したことを説明している。

 ただ、「プロモイスWG―SP」に変更したのは、厚生労働省より「加水分解コムギ末」の安全性に対する懸念が通知された昨年10月以前。当然、「グルパール19S」が原因との疑いが明らかになる前のことだ(「グルパール19S」が原因として取沙汰されたのは今年5月の回収発表以降)。「社員には"より滑らかな泡立ちを実現させるため"という説明があった」(元社員)というが、処方変更時点ですでに「グルパール19S」に対する懸念を抱いていたとの見方もできなくはない。

 もう一つは、「回収前にキャンペーンで旧製品の売り抜きを図ったのでは」との声が業界関係者から聞こえてきたことだ。

 この点、前出の元社員は明確に否定する。だが一方で「茶のしずく」のまとめ買い制度が変更されたことを説明する。

 「まとめ買いはもともと『5個』と『10個』があり、個数に応じて割引率が高くなる仕組みだった。けれど厚労省から通知が出される前、『5個』売りが廃止され、一方、(明確な数は覚えていないが)短期間に20~30個程度を大量購入することも禁止された」。

 大量購入については「割引価格で買って転売すると利益が出るため無くした」と説明があったというが、5個売りは人気セットにも関わらず一切廃止の説明がなかったという。このため「顧客からすごいクレームがきた」(元社員)。

 クレームを押してまで「5個」売りを廃止した理由は何か。仮に「10個」売りに引き上げることで旧製品を捌こうとしたとすれば、消費者に対する重大な背信行為となる。

 悠香に処方変更やまとめ買い制度の変更理由を質問したが、「現在訴訟係属中につき、貴意に添いかねます」と回答があった。だが、悠香にはこうした疑問への回答、企業の考えを対外的に示す責務があるのではないか。

 今の悠香について、別の元社員は「もう少し(組織体制を整備できる)時間があったらこうはならなかったのではとも感じる。ただ、日本一愛される会社になろうとしていた悠香が今どこにいるのか。この後始末もきちんとできなければ日本一にはなれない」と話す。

 「日本一愛される会社」は単なるスローガンに終わるのか。悠香が単品通販の可能性を業界内外に示したのは言うまでもない。だが、一方で、単品への依存がリスクに対し余りに脆いことも示した。企業が持続的成長を目指す上で、まさに薄氷の上に立たされていることを改めて認識させるものだろう。

 その上で企業に欠かせない品質保証と消費者に向き合う姿勢。今回の回収を巡る悠香の対応は、その重さを教訓として残したのではないだろうか。(おわり)

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