本紙が調査した2010年度(2010年6月~2011年5月)のテレビ通販主要上位30社の売上高合計は前回調査比6・0%増の4636億円だった。通販専門チャンネル2社やジャパネットたかた、オークローンマーケティングなどの上位勢が堅調に推移したことなどで市場規模拡大は維持した。ただ、テレビ通販をけん引する健食や化粧品の商品・素材のマンネリ化、震災や通販番組の総量規制などの影響で市場環境は悪化傾向にあると見られ、今後の行方が注視されそうだ。

テレビ通販主要30社の2010年度の売上高は別表(※本サイト上では上位10社のみ掲載。11~30位は通販新聞本紙に記載)通り。市場拡大のけん引役である通販専門放送局2社のジュピターショップチャンネル(JSC)とQVCジャパンがともに一定規模に達したことなどで成長率はさすがに鈍化傾向ながらも堅調に推移。また、テレビ局から放送枠を購入して通販番組を放映する、いわゆるテレショッパーもその代表格であるジャパネットたかたやオークローンマーケティングといった上位勢が家電エコポイントの特需や積極的な放送枠取得による売り場拡大で好調だった。ここ数年、圧倒的なメディアパワーを背景に躍進を遂げてきたキー局系通販は踊り場を迎えつつあるが、日テレやグランマルシェなどが堅調に売り上げを伸ばしたようだ。注目すべき事業者の動向と今後の展開について見ていく。

通販専門放送局2社ともに増収
まずは上位勢の状況から。1位のJSCの2011年3月期売上高は前年比2・2%増の1115億300万円と増収で推移した。当期も前年から引き続いて知名度や訴求力の高いブランドとの共同番組を積極的に展開した。前期はセレクトショップを展開する「ユナイテッドアローズ」、靴やカバンの高級ブランドの「ランセル」、米人気ファッションブランドの「マークジェイコブス」などとのコラボ番組を開始している。加えて、ここ数年で力を入れてきた特定のターゲット層に向けたライフスタイル提案型の番組も安定した看板定番番組に育ちつつあり、複数商品の購入や客単価アップを促し増収に貢献したようだ。
2位のQVCジャパンの2010年12月期売上高は前年比9・0%増の884億円。商品担当者の数を増やしつつ、商品ジャンルごとにデータ分析を行い、展開商品を見直した結果、生活雑貨やジュエリーなど売れ行きが落ちていたジャンルも好調に推移、全商品カテゴリーで前年を上回った。加えてBS局での放送を拡大。すでに放送中の「TwellV(トゥエルビ)」(BS12)に加えて、昨年4月から「BS日テレ」で平日午後5時~6時の1時間枠を取得し、放送をスタート。新規顧客開拓にも寄与し売り上げが増えた。
3位のジャパネットたかたもテレビ通販売上高を順調に拡大。直近決算の売上高は前期比17・9%増の1759億円。そのうち、テレビ通販は3割弱の約490億円で前年比23%の増収だった。家電の購入者に付与される「家電エコポイント」の効果で特に薄型テレビの販売が好調に推移するなどで大幅な伸びを記録した。
4位のオークローンマーケティングの2011年3月期売上高は同17%増の539億円(テレビ通販シェアは65%程度と推定)と順調に売上高を伸ばした。引き続き、積極的に通販枠を拡充。運動器具「レッグマジックX」や掃除用具の「スイブルスイーパーG2」などを中心に売上高を伸ばしたようだ。
キー局系通販は踊り場も堅調に
中堅グループをけん引するのはキー局系のテレビ通販。9位の日テレや11位のグランマルシェ、14位のテレビ東京ダイレクトなどは通販特番や深夜枠、系列各局での通販番組などで「売り場」を拡大できたことが奏功し堅調に拡大した。だが、ここ数年の急成長と比較すると明らかに伸び率は鈍化傾向にあり、「踊り場」を迎えつつあるよう。テレビ朝日の通販子会社、ロッピングライフやディノスはヒット商品の枯渇や通販枠の減少で苦戦した。これ以上の放送枠の拡大は期待できない中、各社は次の成長軸を探すべく、系列局との共同通販事業の推進やカタログ・DMへの着手など自社のテレビ媒体以外での「売り場」拡大を模索。また、太陽光発電パネルや風呂のリフォームなど工事設置付きの高額商品(日テレやディノス)の取扱いやキー局系通販では珍しく健康食品(ロッピングライフ)の販売を始めるなど新たな動きも出始めており、今後が注目されそうだ。
新たな親会社がどう舵を取るか
21位以下のグループでの注目したいのは22位のCJプライムショッピング。前身の老舗テレビ通販企業のプライムが資金繰りの悪化などで金探鉱会社のジパングと合併したもののすぐに「プライムショッピング」として独立。さらに今年1月に韓国の有力企業グループ、CJグループ傘下のテレビ通販企業、CJオーショッピングを親会社に迎え、商号を変更し、現在の体制に落ち着いている。まだ、目立った動きは見せていないが、親会社であるCJグループがどう舵取りを行っていくのか注目されそうだ。
29位のデジタルダイレクトも注目される。親会社が一昨年、三菱商事から流通大手のイオンに変わり、さらに今年からはイオン本体で通販事業などを管轄するデジタルビジネス事業の責任者が自らトップに就任し、陣頭指揮をとるなどで事業拡大に本腰を入れており、復活が期待できそうだ。
【表の見方】
今年度のテレビ通販市場調査は2010年6月~2011年5月までに決算期を迎えたテレビ通販実施企業主要上位30社のテレビ通販売上高を掲載した。テレビ通販をメーンとする通販企業であっても極力、テレビ経由の通販売上高を掲載した。表中の「占有率」は総通販売上高に占めるテレビ通販売上高のシェアとなる。表中の「◎」は以下の条件がある。(○内の数字はランキングの順位)
(1)ジュピターショップチャンネルは催事販売、ネット販売を含む総売上高。
(2)QVCジャパンはネット販売などを含む総売上高
(3)ジャパネットたかたは紙媒体、ラジオ、ネット通販を除いた地上波、衛星波のテレビ通販売上高
(4)オークローンマーケティングはネット販売や卸販売を除くテレビ通販売上高の推定値
(6)テレビショッピング研究所は卸販売なども含む総売上高
(9)日本テレビ放送網はネット販売を含む通販事業部門の売上高
(10)サントリーウエルネスは純テレビ通販(インフォマーシャルからの電話受注分)売上高の推定値
◇
TV通販市場の今とこれから
商材・素材が一巡、マンネリ化で厳しい今夏に
2010年度は堅調に推移したテレビ通販市場。今後の市場はどうなっていくのだろうか。テレショッパーの動向を中心にテレビ通販の今とこれからを考察していきたい。
「調子が悪い」「芳しくない」。実は今年度に入ってから、売り上げが思ったように伸びていかないとの声が複数のテレビ通販企業から聞かれ始めている。特に夏。つまり、7、8月は目に見えて売り上げが落ちているようだ。
その原因は震災発生後の事業者および消費者の自粛の反動で5、6月と消費が戻ったため、「逆にその反動で7、8月が落ちているのでは?」と見る声もあるが、恐らく根本的な問題と思われるのは「商材・素材のマンネリ化」だ。これにより、消費者が今のテレビ通販に反応しなくなってきているからだとみられる。
考えてみるとこの2年間、テレビ通販で展開される商材に大きな変化は見られない。近年のテレビ通販の中心は健康食品と化粧品だが、健食で言えば、「グルコサミン」と「コンドロイチン」。化粧品で言えば「ヒアルロン酸」と「コラーゲン」をどの企業もメーンに打ち出している。
これらの商品はおよそ2年前から登場し、訴求点を変えつつ、インフォマーシャル映像を3回、4回と作り直しながら、あの手この手で訴求。それぞれの商材は去年をピークに盛り上がりを見せ、各社とも一定の売り上げを上げ、結果としてテレビ通販市場も活況となったわけだ。
しかし、訴求点の練り直しも、もはや行き着くところまで来て一巡しており、「グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、コラーゲンといった商材・素材は成熟期を超え、すでに衰退期に入っている」と見る通販企業も多い。
これらの商材に加えて、震災や増税の懸念など心理的な消費マインドの冷え込み。放送法改正に伴うテレビ局、特にBS局での通販番組の自主的な総量制限、止まらない通販枠代の値上がりなどから、多くのテレビ通販実施企業でインフォマーシャルの量を抑えざるを得ない状況となっているようで、実際にこの夏のインフォマーシャルの量は例年よりも少ない状況となっているようだ。
テレビ通販市場が持ち直すには、新たな商材や新たなプレイヤーの参戦が必要だが、商材は6月にNHKの番組で老化の原因を抑える可能性のある遺伝子の働きを高める効果があるらしいと紹介された健食、レスベラトロールが期待されていたが「各社とも思ったほどは展開せず期待はずれ」(某広告代理店)としており、グルコサミンのような各社の売り上げを押し上げる商材というほどまでにはいかないだろう、との声もある。
ただ、新たなプレイヤーについては、物販とは少し異なるが会員制のスポーツジムなどがインフォマーシャルの手法を使って、テレビで「無料体験受付」を促すなどの会員獲得に活用している新しいケースが見られ始めている。こうした「会員獲得系」のインフォマーシャルが今後、増える可能性があり、これらもテレビ通販と捉えると市場規模は拡大する可能性がまだまだありそうだ。
通販専門放送局2社ともに増収
まずは上位勢の状況から。1位のJSCの2011年3月期売上高は前年比2・2%増の1115億300万円と増収で推移した。当期も前年から引き続いて知名度や訴求力の高いブランドとの共同番組を積極的に展開した。前期はセレクトショップを展開する「ユナイテッドアローズ」、靴やカバンの高級ブランドの「ランセル」、米人気ファッションブランドの「マークジェイコブス」などとのコラボ番組を開始している。加えて、ここ数年で力を入れてきた特定のターゲット層に向けたライフスタイル提案型の番組も安定した看板定番番組に育ちつつあり、複数商品の購入や客単価アップを促し増収に貢献したようだ。
2位のQVCジャパンの2010年12月期売上高は前年比9・0%増の884億円。商品担当者の数を増やしつつ、商品ジャンルごとにデータ分析を行い、展開商品を見直した結果、生活雑貨やジュエリーなど売れ行きが落ちていたジャンルも好調に推移、全商品カテゴリーで前年を上回った。加えてBS局での放送を拡大。すでに放送中の「TwellV(トゥエルビ)」(BS12)に加えて、昨年4月から「BS日テレ」で平日午後5時~6時の1時間枠を取得し、放送をスタート。新規顧客開拓にも寄与し売り上げが増えた。
3位のジャパネットたかたもテレビ通販売上高を順調に拡大。直近決算の売上高は前期比17・9%増の1759億円。そのうち、テレビ通販は3割弱の約490億円で前年比23%の増収だった。家電の購入者に付与される「家電エコポイント」の効果で特に薄型テレビの販売が好調に推移するなどで大幅な伸びを記録した。
4位のオークローンマーケティングの2011年3月期売上高は同17%増の539億円(テレビ通販シェアは65%程度と推定)と順調に売上高を伸ばした。引き続き、積極的に通販枠を拡充。運動器具「レッグマジックX」や掃除用具の「スイブルスイーパーG2」などを中心に売上高を伸ばしたようだ。
キー局系通販は踊り場も堅調に
中堅グループをけん引するのはキー局系のテレビ通販。9位の日テレや11位のグランマルシェ、14位のテレビ東京ダイレクトなどは通販特番や深夜枠、系列各局での通販番組などで「売り場」を拡大できたことが奏功し堅調に拡大した。だが、ここ数年の急成長と比較すると明らかに伸び率は鈍化傾向にあり、「踊り場」を迎えつつあるよう。テレビ朝日の通販子会社、ロッピングライフやディノスはヒット商品の枯渇や通販枠の減少で苦戦した。これ以上の放送枠の拡大は期待できない中、各社は次の成長軸を探すべく、系列局との共同通販事業の推進やカタログ・DMへの着手など自社のテレビ媒体以外での「売り場」拡大を模索。また、太陽光発電パネルや風呂のリフォームなど工事設置付きの高額商品(日テレやディノス)の取扱いやキー局系通販では珍しく健康食品(ロッピングライフ)の販売を始めるなど新たな動きも出始めており、今後が注目されそうだ。
新たな親会社がどう舵を取るか
21位以下のグループでの注目したいのは22位のCJプライムショッピング。前身の老舗テレビ通販企業のプライムが資金繰りの悪化などで金探鉱会社のジパングと合併したもののすぐに「プライムショッピング」として独立。さらに今年1月に韓国の有力企業グループ、CJグループ傘下のテレビ通販企業、CJオーショッピングを親会社に迎え、商号を変更し、現在の体制に落ち着いている。まだ、目立った動きは見せていないが、親会社であるCJグループがどう舵取りを行っていくのか注目されそうだ。
29位のデジタルダイレクトも注目される。親会社が一昨年、三菱商事から流通大手のイオンに変わり、さらに今年からはイオン本体で通販事業などを管轄するデジタルビジネス事業の責任者が自らトップに就任し、陣頭指揮をとるなどで事業拡大に本腰を入れており、復活が期待できそうだ。
【表の見方】
今年度のテレビ通販市場調査は2010年6月~2011年5月までに決算期を迎えたテレビ通販実施企業主要上位30社のテレビ通販売上高を掲載した。テレビ通販をメーンとする通販企業であっても極力、テレビ経由の通販売上高を掲載した。表中の「占有率」は総通販売上高に占めるテレビ通販売上高のシェアとなる。表中の「◎」は以下の条件がある。(○内の数字はランキングの順位)
(1)ジュピターショップチャンネルは催事販売、ネット販売を含む総売上高。
(2)QVCジャパンはネット販売などを含む総売上高
(3)ジャパネットたかたは紙媒体、ラジオ、ネット通販を除いた地上波、衛星波のテレビ通販売上高
(4)オークローンマーケティングはネット販売や卸販売を除くテレビ通販売上高の推定値
(6)テレビショッピング研究所は卸販売なども含む総売上高
(9)日本テレビ放送網はネット販売を含む通販事業部門の売上高
(10)サントリーウエルネスは純テレビ通販(インフォマーシャルからの電話受注分)売上高の推定値
◇
TV通販市場の今とこれから
商材・素材が一巡、マンネリ化で厳しい今夏に
2010年度は堅調に推移したテレビ通販市場。今後の市場はどうなっていくのだろうか。テレショッパーの動向を中心にテレビ通販の今とこれからを考察していきたい。
「調子が悪い」「芳しくない」。実は今年度に入ってから、売り上げが思ったように伸びていかないとの声が複数のテレビ通販企業から聞かれ始めている。特に夏。つまり、7、8月は目に見えて売り上げが落ちているようだ。
その原因は震災発生後の事業者および消費者の自粛の反動で5、6月と消費が戻ったため、「逆にその反動で7、8月が落ちているのでは?」と見る声もあるが、恐らく根本的な問題と思われるのは「商材・素材のマンネリ化」だ。これにより、消費者が今のテレビ通販に反応しなくなってきているからだとみられる。
考えてみるとこの2年間、テレビ通販で展開される商材に大きな変化は見られない。近年のテレビ通販の中心は健康食品と化粧品だが、健食で言えば、「グルコサミン」と「コンドロイチン」。化粧品で言えば「ヒアルロン酸」と「コラーゲン」をどの企業もメーンに打ち出している。
これらの商品はおよそ2年前から登場し、訴求点を変えつつ、インフォマーシャル映像を3回、4回と作り直しながら、あの手この手で訴求。それぞれの商材は去年をピークに盛り上がりを見せ、各社とも一定の売り上げを上げ、結果としてテレビ通販市場も活況となったわけだ。
しかし、訴求点の練り直しも、もはや行き着くところまで来て一巡しており、「グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、コラーゲンといった商材・素材は成熟期を超え、すでに衰退期に入っている」と見る通販企業も多い。
これらの商材に加えて、震災や増税の懸念など心理的な消費マインドの冷え込み。放送法改正に伴うテレビ局、特にBS局での通販番組の自主的な総量制限、止まらない通販枠代の値上がりなどから、多くのテレビ通販実施企業でインフォマーシャルの量を抑えざるを得ない状況となっているようで、実際にこの夏のインフォマーシャルの量は例年よりも少ない状況となっているようだ。
テレビ通販市場が持ち直すには、新たな商材や新たなプレイヤーの参戦が必要だが、商材は6月にNHKの番組で老化の原因を抑える可能性のある遺伝子の働きを高める効果があるらしいと紹介された健食、レスベラトロールが期待されていたが「各社とも思ったほどは展開せず期待はずれ」(某広告代理店)としており、グルコサミンのような各社の売り上げを押し上げる商材というほどまでにはいかないだろう、との声もある。
ただ、新たなプレイヤーについては、物販とは少し異なるが会員制のスポーツジムなどがインフォマーシャルの手法を使って、テレビで「無料体験受付」を促すなどの会員獲得に活用している新しいケースが見られ始めている。こうした「会員獲得系」のインフォマーシャルが今後、増える可能性があり、これらもテレビ通販と捉えると市場規模は拡大する可能性がまだまだありそうだ。
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