ブロガーで仕掛ける
有店舗アパレルが通販チャネルの開発を強化している。とくに、消費者とのコンタクトポイントとして重視しているのが直営の通販サイトだが、せっかくサイトを開設しても思うように売り上げが伸びないケースは少なくない。
その要因のひとつが「ゾゾ」など、彼らよりもネットビジネスに長けたファッションECモールの存在だ。圧倒的な品ぞろえや人気ブランドを買い回りできる強みを生かして、アパレルの直営サイトが立ち上がってからも顧客を離さない。
「どんなに頑張っても、商品のバリエーションや物流面、ポイントの汎用性などでゾゾさんには太刀打ちできない」(大手アパレル)とする企業も多く、いかに自社サイトに特色を出して顧客に喜んでもらえるかは、喫緊の問題のようだ。
立ちはだかる大手モールに対し、一風変わったブロガーの囲い込み策で、自社通販サイトへの集客に成功しているのがフランドルだ。
同社は昨年から、自社通販サイトの会員限定で「フランドルガールズ会」を開催している。リアル店舗やイベント会場で行う商品展示会に会員を招待。店頭に並ぶ前のファッションアイテムを試着してもらい、率直な感想を各自のブログにアップしてもらう取り組みだ。
毎回、ネット会員向けのメルマガと通販サイト上だけで募集しているが、平均して100人程度が応募してくるという。
フランドルがこうした取り組みを始めたのは、有名人のブログなどを使った商品紹介などがすでに当たり前となり、いわゆる「広告媒体」としての効果が薄れてきたことが背景にある。
そこで、同社では服に興味があり、露出願望のある消費者をプロ化せずに、無償で参加してもらえる仕組みを作った。
彼女たちにとって、ブログやツイッターは自己表現の手段だ。ただ、普段の生活を送っているだけでは、毎日、ブログを更新するだけのネタにありつけないため、同社の通販サイトが非日常的な体験や、彼女たちの興味があることをサポートすることで、自然に露出が増え、さらにガールズ会の様子を通販サイトにアップすれば、メンバーに入りたい女性が増えると考えた。
今年はさらに、ブロガーの活用法としては一歩進んだ取り組みを展開している。
従来の展示会での商品モニターだけでなく、ブロガーの興味を引くモノ・コトにも視野を広げ、関連する講習会やイベントを開くことで、発信力の高いブロガーの囲い込みに成功している。
具体的には、異業種との取り組みを強化している。まず、同社が目をつけたのがブロガーの表現ツールであるカメラだ。ブロガーは一般的な女性に比べ、質の高いカメラを持ちたいという欲求があるものの、一眼レフなどの高額商品はなかなか手が出せないし、使い方も難しい。
そこで、カメラメーカーのオリンパスとタイアップし、フランドルガールズを集めて新商品の一眼レフカメラの基礎を教える講習会を開いた。
3月上旬、フランドルのショールームには20人の同社ブロガーが集まり、オリンパスがひとり1台のカメラと講師を派遣して講習会を開催。彼女たちはプロのカメラマンから背景のぼかし方などを学び、後日、ぼかしのテクニックを用いた写真と一緒に講習会の様子をブログに書いた。
これまで、一眼レフカメラを使うのは40~50代が中心で、若年層の開拓はメーカーにとっても課題
だったため、利害が一致して、カメラや講師の派遣をオリンパスが請け負ったという。
「F1層を囲い込みたい企業と、当社が抱えるブロガーとをマッチングすることで、互いに良い効果が生まれている」(江口敏之メディアコマース営業部長)とする。
5月下旬の第2回講習会は、都内のショールームを飛び出し、貸し切りバスで山梨のワイナリーで開催。ぶどう園やワイン工場を見学した後、ワインの試飲会と撮影会を行った。
今後、ワインメーカーとは「フランドルガールズ」のラベルが貼られたオリジナルワインを作り、女子会などにワインボトルを持ち込むことで"くちコミ"による集客にもつなげるという。
フランドルでは、発信力の高いメンバーを囲い込んだことで、フランドルガールズのコミュニティーは加速度的に増えており、現在は180人以上が参加。通販サイトの集客面でも大きな成果が出ているという。
他社ブランドも販売
一方、自社ブランド以外の商品も取り扱い、ライフスタイル提案型の通販サイトに舵を切ったのがサンエー・インターナショナルだ。
同社では、昨年9月末から自社通販サイト「セレクソニック」内にオーガニックコスメやジュエリー、デザイン家電など自社アイテム以外の商材30ブランドを仕入れ販売する「セレクソニックスーパーストア」を開設して話題を集めた。
この春のサイトリニューアル時には、同カテゴリーで扱うブランドを倍の60に増やして、衣料品以外の提案力も強めている。
「スーパーストア」は、各カテゴリーの商材を扱うメーカーからの問い合わせが多いようだが、サンエーでは「当社のブランドが好きな消費者に使ってもらいたいアイテムを丁寧に販売していく売り場」(安藤慎一郎EC戦略事業部長)としており、「セレクソニック」の世界観を重視した商品政策を組む考えだ。
ライフスタイル提案型を推進する施策としては、4月下旬からサイト内に人気スタイリストを起用した新しいコンテンツをスタート。亀恭子さんや入江未悠さんなどが「雨の日の通勤」や「女子会ファッション」といったシーン・スタイル別のコーディネートを、複数のサンエーブランドと「スーパーストア」で扱うアクセサリーなどを組み合わせて提案する売り方を試している。
同コンテンツでは、毎週、違うスタイリストを起用し、コーデテーマも変えることで消費者の興味を引き、ブランドをまたいだ買い回りにもつなげる。
また、サンエーでは2009年2月に創刊したファッション情報誌「SWAK(スワック)」とのクロスメディア展開を強化し、「スーパーストア」の商品についても通販サイトと誌面を連動させて一押し商品をクローズアップ。とくに、取扱品目が充実しているオーガニックコスメについては、ウェブ上で伝えきれない情報を誌面で補うなど、自社ブランドと差をつけることなく提案して「スーパーストア」への誘引を強化している。
独自コンテンツで勝負
自社通販サイトならではのサービスとして消費者が楽しめるコンテンツを強化し、サイトへの再訪問やブランドのファン化につなげる有店舗アパレルもある。
ユナイテッドアローズは今年3月、自社通販サイトで取り扱う7ブランド、7000品番を超えるファッションアイテムの画像を使って自分なりのコーディネートが楽しめる着せ替えコンテンツ「UAスタイルシェア」を導入した。
ウェブ上のモデルにアイテム画像をドラッグ&ドロップするだけで選択した商品を次々とモデルが着用するツールで、モデルの顔や髪型、背景シーンを切り替えることでカジュアル感やフォーマルスタイルなどもウェブ上でイメージしやすくした。
同社は現状、ネットを介した売り上げの多くを「ゾゾ」に依存しているが、5年以内に自社サイトの販売比率を30~40%に高めたい考えで、直営サイトでは付加価値の高いコンテンツを強化する方針だ。
5月下旬には、「UAスタイルシェア」のコミュニティーサイトをオープン。着せ替えツールで作成したコーデをサイト上に公開できるだけでなく、別のユーザーが作ったコーデ作品を「グッド」ボタンで評価したり、「コメント」ボタンで意見を投稿するなど、ユーザー同士でコミュニケーションがとれることにより「ファッションの楽しみ方がさらに広がる」(木村竜哉グリーンレーベルリラクシング本部販売統括部長)とする。
コミュニティーサイトはフェイスブックやツイッター、ミクシィの各種ソーシャルメディアとも連動。同社では新たなマーケットへの情報拡散と新規客層の開拓に期待している。
今後、アイテム別やシーン別のコーデコンテストなどユーザー参加型のウェブイベントを定期的に開催して、着せ替えツールの利用とコミュニティーの活発化につなげるという。
一方、バロックジャパンリミテッドは5月末、自社通販サイト「シェルターウェブストア」で最新アイテムを紹介するオリジナルの動画コンテンツ「シェルターTV」の配信を始めた。
店舗やムック本も展開する同社のクロスメディア戦略を生かした動画コンテンツで、MCはムック本のコーデ監修やPRの担当者が務め、モデルには店頭スタッフが登場して一押しアイテムを紹介する。
普段から接客に慣れた同社のスタッフが中心となることで、番組がスムーズに進行するようにした。
メーンのアイテム紹介では、「夏のデート服」や「スタイルアップ」などをテーマに、同社の人気ブランドをミックスさせた4~5スタイルを紹介。コーデのポイント解説に加え、着回しテクニックも教える。
また、新作アイテムの紹介だけでなく、ムック本の撮影シーンや、新規店舗のオープニングセレモニーをレポートするなど、飽きのこない番組構成もあって動画コンテンツへのアクセスは多く、番組内で紹介した商品はアイテムによって差があるものの、売れ行きは良かったという。
現在はセール期に入っているため、夏物衣料の動画配信は2回で区切りをつけたが、今秋冬シーズンに向けて再開する計画だ。
同社では、動画コンテンツのクオリティーを高めることで、ゆくゆくはテレビ通販番組の内製化につなげたい狙いもあり、「いろいろな切り口で動画コンテンツを試して、『シェルター』ならではの見せ方を完成させたい」(深澤哲人上席執行役員シェルター事業本部長)とする。
その要因のひとつが「ゾゾ」など、彼らよりもネットビジネスに長けたファッションECモールの存在だ。圧倒的な品ぞろえや人気ブランドを買い回りできる強みを生かして、アパレルの直営サイトが立ち上がってからも顧客を離さない。
「どんなに頑張っても、商品のバリエーションや物流面、ポイントの汎用性などでゾゾさんには太刀打ちできない」(大手アパレル)とする企業も多く、いかに自社サイトに特色を出して顧客に喜んでもらえるかは、喫緊の問題のようだ。
立ちはだかる大手モールに対し、一風変わったブロガーの囲い込み策で、自社通販サイトへの集客に成功しているのがフランドルだ。
同社は昨年から、自社通販サイトの会員限定で「フランドルガールズ会」を開催している。リアル店舗やイベント会場で行う商品展示会に会員を招待。店頭に並ぶ前のファッションアイテムを試着してもらい、率直な感想を各自のブログにアップしてもらう取り組みだ。
毎回、ネット会員向けのメルマガと通販サイト上だけで募集しているが、平均して100人程度が応募してくるという。
フランドルがこうした取り組みを始めたのは、有名人のブログなどを使った商品紹介などがすでに当たり前となり、いわゆる「広告媒体」としての効果が薄れてきたことが背景にある。
そこで、同社では服に興味があり、露出願望のある消費者をプロ化せずに、無償で参加してもらえる仕組みを作った。
彼女たちにとって、ブログやツイッターは自己表現の手段だ。ただ、普段の生活を送っているだけでは、毎日、ブログを更新するだけのネタにありつけないため、同社の通販サイトが非日常的な体験や、彼女たちの興味があることをサポートすることで、自然に露出が増え、さらにガールズ会の様子を通販サイトにアップすれば、メンバーに入りたい女性が増えると考えた。
今年はさらに、ブロガーの活用法としては一歩進んだ取り組みを展開している。
従来の展示会での商品モニターだけでなく、ブロガーの興味を引くモノ・コトにも視野を広げ、関連する講習会やイベントを開くことで、発信力の高いブロガーの囲い込みに成功している。
具体的には、異業種との取り組みを強化している。まず、同社が目をつけたのがブロガーの表現ツールであるカメラだ。ブロガーは一般的な女性に比べ、質の高いカメラを持ちたいという欲求があるものの、一眼レフなどの高額商品はなかなか手が出せないし、使い方も難しい。
そこで、カメラメーカーのオリンパスとタイアップし、フランドルガールズを集めて新商品の一眼レフカメラの基礎を教える講習会を開いた。
3月上旬、フランドルのショールームには20人の同社ブロガーが集まり、オリンパスがひとり1台のカメラと講師を派遣して講習会を開催。彼女たちはプロのカメラマンから背景のぼかし方などを学び、後日、ぼかしのテクニックを用いた写真と一緒に講習会の様子をブログに書いた。
これまで、一眼レフカメラを使うのは40~50代が中心で、若年層の開拓はメーカーにとっても課題
だったため、利害が一致して、カメラや講師の派遣をオリンパスが請け負ったという。
「F1層を囲い込みたい企業と、当社が抱えるブロガーとをマッチングすることで、互いに良い効果が生まれている」(江口敏之メディアコマース営業部長)とする。
5月下旬の第2回講習会は、都内のショールームを飛び出し、貸し切りバスで山梨のワイナリーで開催。ぶどう園やワイン工場を見学した後、ワインの試飲会と撮影会を行った。
今後、ワインメーカーとは「フランドルガールズ」のラベルが貼られたオリジナルワインを作り、女子会などにワインボトルを持ち込むことで"くちコミ"による集客にもつなげるという。
フランドルでは、発信力の高いメンバーを囲い込んだことで、フランドルガールズのコミュニティーは加速度的に増えており、現在は180人以上が参加。通販サイトの集客面でも大きな成果が出ているという。
他社ブランドも販売
同社では、昨年9月末から自社通販サイト「セレクソニック」内にオーガニックコスメやジュエリー、デザイン家電など自社アイテム以外の商材30ブランドを仕入れ販売する「セレクソニックスーパーストア」を開設して話題を集めた。
この春のサイトリニューアル時には、同カテゴリーで扱うブランドを倍の60に増やして、衣料品以外の提案力も強めている。
「スーパーストア」は、各カテゴリーの商材を扱うメーカーからの問い合わせが多いようだが、サンエーでは「当社のブランドが好きな消費者に使ってもらいたいアイテムを丁寧に販売していく売り場」(安藤慎一郎EC戦略事業部長)としており、「セレクソニック」の世界観を重視した商品政策を組む考えだ。
ライフスタイル提案型を推進する施策としては、4月下旬からサイト内に人気スタイリストを起用した新しいコンテンツをスタート。亀恭子さんや入江未悠さんなどが「雨の日の通勤」や「女子会ファッション」といったシーン・スタイル別のコーディネートを、複数のサンエーブランドと「スーパーストア」で扱うアクセサリーなどを組み合わせて提案する売り方を試している。
同コンテンツでは、毎週、違うスタイリストを起用し、コーデテーマも変えることで消費者の興味を引き、ブランドをまたいだ買い回りにもつなげる。
また、サンエーでは2009年2月に創刊したファッション情報誌「SWAK(スワック)」とのクロスメディア展開を強化し、「スーパーストア」の商品についても通販サイトと誌面を連動させて一押し商品をクローズアップ。とくに、取扱品目が充実しているオーガニックコスメについては、ウェブ上で伝えきれない情報を誌面で補うなど、自社ブランドと差をつけることなく提案して「スーパーストア」への誘引を強化している。
独自コンテンツで勝負
ユナイテッドアローズは今年3月、自社通販サイトで取り扱う7ブランド、7000品番を超えるファッションアイテムの画像を使って自分なりのコーディネートが楽しめる着せ替えコンテンツ「UAスタイルシェア」を導入した。
同社は現状、ネットを介した売り上げの多くを「ゾゾ」に依存しているが、5年以内に自社サイトの販売比率を30~40%に高めたい考えで、直営サイトでは付加価値の高いコンテンツを強化する方針だ。
5月下旬には、「UAスタイルシェア」のコミュニティーサイトをオープン。着せ替えツールで作成したコーデをサイト上に公開できるだけでなく、別のユーザーが作ったコーデ作品を「グッド」ボタンで評価したり、「コメント」ボタンで意見を投稿するなど、ユーザー同士でコミュニケーションがとれることにより「ファッションの楽しみ方がさらに広がる」(木村竜哉グリーンレーベルリラクシング本部販売統括部長)とする。
コミュニティーサイトはフェイスブックやツイッター、ミクシィの各種ソーシャルメディアとも連動。同社では新たなマーケットへの情報拡散と新規客層の開拓に期待している。
今後、アイテム別やシーン別のコーデコンテストなどユーザー参加型のウェブイベントを定期的に開催して、着せ替えツールの利用とコミュニティーの活発化につなげるという。
一方、バロックジャパンリミテッドは5月末、自社通販サイト「シェルターウェブストア」で最新アイテムを紹介するオリジナルの動画コンテンツ「シェルターTV」の配信を始めた。
店舗やムック本も展開する同社のクロスメディア戦略を生かした動画コンテンツで、MCはムック本のコーデ監修やPRの担当者が務め、モデルには店頭スタッフが登場して一押しアイテムを紹介する。
普段から接客に慣れた同社のスタッフが中心となることで、番組がスムーズに進行するようにした。
メーンのアイテム紹介では、「夏のデート服」や「スタイルアップ」などをテーマに、同社の人気ブランドをミックスさせた4~5スタイルを紹介。コーデのポイント解説に加え、着回しテクニックも教える。
また、新作アイテムの紹介だけでなく、ムック本の撮影シーンや、新規店舗のオープニングセレモニーをレポートするなど、飽きのこない番組構成もあって動画コンテンツへのアクセスは多く、番組内で紹介した商品はアイテムによって差があるものの、売れ行きは良かったという。
現在はセール期に入っているため、夏物衣料の動画配信は2回で区切りをつけたが、今秋冬シーズンに向けて再開する計画だ。
同社では、動画コンテンツのクオリティーを高めることで、ゆくゆくはテレビ通販番組の内製化につなげたい狙いもあり、「いろいろな切り口で動画コンテンツを試して、『シェルター』ならではの見せ方を完成させたい」(深澤哲人上席執行役員シェルター事業本部長)とする。
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