長引く不景気に加えて、このところの異常な猛暑などの影響もあり、消費者の購買意欲は低下傾向にあるようだ。そんな中、通販実施企業各社は消費意欲を喚起しようと、ユニークかつ目新しい手法で自社商品のアピールや通販サイトへの集客など"あの手この手"の施策を展開している。テレビドラマと連携した商品の露出や訴求、人気キャラクターを起用したアピール策など、効果的と思われる各社の取り組みの内容と狙いについて見てみる。
テレビドラマ連携で新客開拓
【イマージュ、B4F】
消費喚起策として効果的と見られるのが最近、老舗通販のイマージュや会員制ブランド格安サイトを運営するB4F(ビーフォーエフ)が始めたテレビドラマと連携した商品の露出アップによる新規顧客獲得および拡販策だ。
イマージュはテレビ東京系で金曜深夜に放送中のテレビドラマ「モテキ」とコラボレーションしたCMの放送を8月下旬から始めている。ドラマの視聴者である20~30代女性層を獲得したい狙いだ。ドラマでは土井亜紀役として出演する女優の野波麻帆さんをCMに起用。「モテキ」のCM枠に、「土井亜紀がイマージュのアイテムを購入し、休日に着用している」というイメージで野波さん自身がコーディネートした同社のファッションアイテムを着用し、「ツイード風カットソーカーディガン」などを紹介した。CMはすでに8月20日と27日に同じCMを放送、第2弾のCMも9月3日に放送され、同じ内容が10日にも放送される予定だ。
CMによるアピールだけでなく、CMに連動する特設サイトを新設。商品紹介のほか、CM映像の閲覧や野波さんがコーディネートしたCMとは別のアイテムを紹介してドラマ視聴者の購入喚起を図っている。
なお、ドラマとは別に、書店での販促も展開。「モテキ」の特設コーナーで「モテキ」の原作コミックと一緒に同社の秋冬カタログを並べるなどの試みも並行して、テレビドラマと連携したCM視聴促進やカタログの消化率アップにつなげているようだ。
B4Fもテレビドラマと連携した取り組みを始めている。9月3日から、静岡と広島のテレビ局で放映される短編のテレビドラマに制作協力する形で同社が運営する通販サイト「ブランズ・フォー・フレンズ」が協賛。番組内で当該サイトを利用して届いたファッションアイテムを登場人物が着用するほか、番組の最後に30秒程度のインフォマーシャルを打ち、「会員制の期間限定セールを実施している」ことなど同サイトの特徴などを紹介することで、新規顧客の獲得につなげる狙いだ。
短編ドラマのタイトルは「150秒の素敵な物語"不思議な同居人"」。4話完結のストーリーで、モデルなどで活躍する田丸麻紀さんが主演を務めている。
内容は田丸さん扮するOLと、男性の幽霊との不思議な同居生活を描いたもので、失恋から立ち直りたいOLに、幽霊がネットで購入したプレゼントを贈り続けるというもの。そのサイトとしてブランド品などを扱う「ブランズ・フォー・フレンズ」が登場する。実際に、同サイトで取り引きのあるブランド側の協力も得て、田丸さんは番組内でさまざまなファッションアイテムを着こなすという。
番組を放映するのは、静岡第一テレビと広島テレビ放送の2局。地域特性などを考慮して、両局とのタイアップが実現したとしている。静岡では9月3日の金曜日午後10時54分~11時まで、広島では9月7日の火曜日午前0時29分~32分まで、4週連続で放映する予定だ。
B4Fでは、30代女性をメーンターゲットに商品政策を組んでおり、主演の田丸さんは実際の顧客層と重なる部分も多く、新規会員の獲得に成果が出れば、キー局などでの展開も検討するという。
機能性衣料の宣伝に"ムック"
【セシール】
知名度の高い国民的な人気キャラクターを起用して非常にユニークな商品の宣伝活動を進めているのはセシールだ。(8面に関連記事)
今秋冬シーズンの発熱・保温機能性衣料「スマートヒート」の展開および拡販にあたって、グループのフジテレビの子供向け人気番組「ひらけポンッキッキ」のキャラクター「ムック」を"宣伝部長"に起用することを決めた。
「スマートヒート」は今シーズンからキッズ用の商品も新たに投入し、家族で着用できるようになったが、幅広い年齢層に知られているムックを宣伝部長に起用することで、「スマートヒート」というブランドの認知度向上と売り上げの拡大につなげる狙いがあるようだ。
セシールがマスコミを集め、9月1日に開催した宣伝部長任命式で、上田CEOは、雪男の子供というムックのキャラクター設定に触れた上で、「寒さに強いムック氏が皆さんを温める」というイメージで、商品を訴求する考えを示した。また、ムック自身のコメントとして「私は少し目が出ていますが、もっと目が飛び出るくらいがんばります」と挨拶。任命式は終始和やかな雰囲気で、イベントとしては上出来だったようだ。
セシールの上田CEOは以前、フジ・メディア・ホールディングスグループ入りで期待する点に関し、同グループが保有するコンテンツを挙げていた。今回の「スマートヒート」宣伝部長へのムックの起用は、販促面でのコンテンツ活用事例と言えるが、関係者によると今回の試みは「フジ側との思惑が一致した」ものだという。「ひらけポンキッキ」のキャラクターと言えば、ガチャピンとムックだが、人気の部分ではガチャピンの方が上というのが現状だという。このためフジ側としては、ムックの露出度を高め人気を出したいという狙いから、グループ企業のセシールが展開する「スマートヒート」の宣伝部長にムックを起用することに合意したという背景もあったようだ。
ムックを使った今後の具体的な施策としては、ムックの画像などを用いたキャンペーンサイトの立ち上げやムックが商業施設などを訪れ、「スマートヒート」の良さを訴える「ハグキャンペーン」の展開、ムックを起用したカタログの展開など予定している。
このうちメーンの施策となるのは、キャンペーンサイトでムックの画像を使って商品を分かりやすく説明するほか、ミニブログ「ツイッター」で「スマートヒート」に関する情報を発信する。このほかにムックが参加するイベントの様子などを掲載するという。
人気キャラクターを起用したセシールのユニークな試みとその販促効果は気になるところだが、フジ・メディア・ホールディングスグループの一員となったセシールの戦略商品「スマートヒート」をどこまで拡販できるか、「ムック宣伝部長」の手腕も注目されそうだ。
チャットでネットカウンセリング
【資生堂(イプサ)】
店頭での接客ノウハウを通販に活用して通販サイト上できめ細い接客を展開、購買意欲を喚起しようとしている企業もある。百貨店の化粧品市場を主戦場とする資生堂子会社のイプサだ。
同社では「チャット」による化粧品のカウンセリングの充実を図っている。店頭の接客を重視した販売体制を敷く企業にとって、いかにして店頭に近い接客をネット上で実現するかは、一つのポイントになる。電話やメールによる問い合わせの受付体制、オンラインカウンセリングなど手法はさまざまだが、イプサでは電話を敷居が高いと感じる顧客や、メールがめんどうと感じる顧客に対し、即時性の高い「チャット」の機能を活かして顧客の囲い込みを図っているようだ。
イプサがサイトリニューアルを行ったのは今年8月。その際、併せて「チャット」機能を追加した。対応は、百貨店における接客経験が豊富な美容部員が担当。顧客から寄せられる肌トラブルの悩みや商品に関する問い合わせに対応している。
チャットへのアクセスは、時間帯にもよるが1時間に2~3件程度。その効果だが「リニューアルの効果も考えられる」(同社)としており、検証はまだこれからのようだが、すでに客単価が上昇するなどの傾向がみられるようだ。
同社では2016年をメドにネット経由の売上高を20%まで引き上げていく計画。今後、通販専用商品の開発やネット限定のポイントプログラムの実施など新たな施策も検討していくようだ。
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