目標の売上額や獲得顧客数などをガチガチに固めたものではなく、遊び心のある"ゆるい"販促策を展開している通販企業が増えている。そうした販促策に共通するのは、「思わず笑ってしまう」ようなユーモアに溢れた仕掛けや試みだ。これらが即、売り上げに貢献することはあまりないだろうが、斬新な切り口や新しい訴求方法などで妙に消費者の心を擽るものも中にはあり、将来的に効果のある販促策に化ける可能性を秘めた施策もあるようだ。各社が行う「ゆる~い販促策」を見てみる。

事例①ゆるい動画ショッピングで販促
"ユースト"活用でユニークな商品を
通販各社が行う「ゆるい販促」の形は様々。多くの場合、「mixi(ミクシィ)」などのSNSや簡易ブログ「ツイッター」、ライブ動画共有サービス「Ustream(ユーストリーム)」などを用いて、個人ブログのような顧客目線に立った日常生活を絡めた記事の投稿や、思わず笑ってしまうようなテレビショッピング形式の動画配信などを行っている。
販促というよりも、まずは顧客に興味を持ってもらい、利用または閲覧につなげることが目的で、間接的に自社の商品の販促を行っているというものが多いようだ。
そうした仕掛けができるのも、販促に活用するネット上の各種ツールの利用に、さほどコストがかからないことが背景にある。コストがかからなければ、無理に売り上げを追う必要がないために、期待される新しいツールで新しい切り口や訴求方法などを試す実験も兼ねた「ゆるい販促」を行うことが可能となっているわけだ。では主な通販各社が行うゆるい販促の取り組みを見ていく。
まずはニッセンのゆるい販促策から。同社では「男気テレビショッピング」と題したテレビショッピング型の動画配信を今夏から始めた。同社によると狙いは「ユーストリーム」を活用した動画通販のテストのようで現状は、「サークル的なノリでやっているもの」(ニッセン広報企画室)としており、商品を紹介するスタッフの進行や会話、販売している商品を含め、砕けた「ゆるい」内容となっている。
「男気テレビショッピング」は約30分の番組で、ニッセンの社員3人(男性2人、女性1人)が出演する。販売する商品は同社の男性向けカタログ「メンズタイムス」での掲載商品で静止画などで商品の概要を紹介した後に、実際の商品の特徴などを3人の掛け合いで説明。番組内で「メンズタイムス」の専用サイトに誘導し、商品の注文を受け付ける。商品ごとに「男気度」として推奨度合いを示すほか、出演する社員の個人的な希望価格(実際の10倍)を示した上で、ご奉仕価格として通常の価格を提示するなど、遊びをふんだんに盛り込んでいる。
「男気テレビショッピング」はこの7、8月に2回放映しており、この告知には「ツイッター」を活用。これまでに水中でも音楽を聴けるMP3や戦国武将が護身用に身に着けていた「鉄扇(てっせん)」など6商品(1回の放送で3商品)を紹介している。
通販の「ユーストリーム」活用についてはネットプライスやケンコーコムなど一部のネット販売事業者が着手しているが、未だ各社は模索をしている状況だ。ニッセンでもこの取り組みについて、「オペレーションを見るためのテストで、売り上げは全く考えていない」(ニッセン広報企画室)とする。実際のライブ中継では、商品紹介の途中で動画が止まってしまうなど課題は多いが、ネット動画を活用した通販の展開に向けノウハウを蓄積する考えのようだ。
事例②ゆるい情報発信で販促
ツイッター、ブログで"響く"記事投稿
ツイッターやブログを活用して、顧客目線に立った情報発信を行う企業も多い。
オイシックスではツイッターを活用して、6月8日から22日まで同社で販売する生で食べられるとうもろこし、「フルーツコーン」の販促を行った。コーンの生産者が産地からの収穫、出荷の様子などをツイッターで配信。このツイッターをフォローして「つぶやき」をリツイートすると、抽選で、「コーン食べ放題」として産地ツアーへ招待する企画だ。とうもろこしの"コーン"とツイッターの"つぶやき"をかけた「"つぶ"やくと"粒"食べ放題」とゆるいタイトルとすることで「タイムラインで情報が流れてしまうツイッターで、ユーザーに興味を持って頂いた」(同社)という。

この販促策はゆるいタイトルとは裏腹に成功を収めたようで「産地ツアーへ行きたい」「食べたい」などつぶやきが多く見られたほか、生産者を応援するコメントが集まり、販促イベント中に200人以上のフォロワーを獲得したとみられる。今後は「トマト」で同様の試みを行う予定だ。
ディノスではゆるいブログが顧客から思わぬ支持を集めており、結果として商品の販促につながっているようだ。同社では社員が執筆を担当する「スタッフブログ」を公開中。現状、6つのブログがあるが、急激に閲覧数を伸ばしているのが「ディノスママズブログ」だ。今年3月に開設だが、30代前後のママ層から支持され、他のブログを押さえ、8月はPV数では一番だったよう。

子育てに奮戦するディノスの「社員ママ」が子育て情報や悩み、おすすめ商品などを紹介する内容で3~4人の現役ママが交代で執筆している。子供との日常のひとコマが記事の中心で「子供の写真」も満載で思わずクスッと笑えるような内容として顧客から共感されているようだ。また、記事中で紹介する商品も、社員ママが実際に子育て中の悩みを解決できた商品をすすめている。
反響の高かった記事を挙げると「子供が小さい時は、髪を引っ張られたり(これがけっこう痛い!)するのでまとめ髪にすることが多かったのですが・・・(中略)同じ結わえるだけでも、これを使えば、『あら?簡単なのにステキに見えるまとめ髪』が出来上っちゃいますよ」として「シュシュクリップ2個セット」(4900円)を記事の中で紹介している。ほかにもオムツの収納に関する話題など高い反応があった記事も多く、結果として紹介する商品に販促につながっているようだ。今後も「ママ予備軍&産休明けのママ」などの戦力を投入し、更新頻度を上げつつ、ゆるくも人気の高い「ママズブログ」を強化していく。
事例③ゆるいアプリで販促
mixiで「パンツカレンダー」
イマージュが実施している、SNSサイト「mixi(ミクシィ)」を活用したゆるい販促企画は、「今日はいているパンツの色や柄を公開する」というmixiアプリ「パンツカレンダー」だ。
カヤックとコラボしたもので、カレンダーにその日身に付けているパンツを登録することができるほか、マイミクに公開する機能も搭載した。

登録したパンツのキャラクターからコメントがもらえるなどの遊び心もあり、継続して活用してもらうことを意図した仕組みとなっている。
イマージュ事業本部販売促進課の小宮明子氏は「ニッチなサービスではあるが、利用者は800人近くまで増えている」と話す。イマージュのメールマガジンでの宣伝や広告なども一切行っておらず、さらには男性のマイミクがいるユーザーは使いづらいアプリ。マイミク間のくちコミのみでじわりと利用者が広がっているようだ。
ブランド認知度の向上を狙ったサービスだが、イマージュが企画したアプリであることを打ち出しているわけではない。ただ、「利用者は当社が関係していることを認識しているのでは」(小宮氏)。アプリページの下部には、レコメンド商品としてイマージュの下着画像が表示されており、クリックすれば同社の通販サイトへ移動する。また、「株式会社イマージュ」としてもパンツカレンダーを公開しており、同アプリの人気ユーザーランキングに入っているため、利用者は「イマージュとコラボしたアプリなのでは」と分かるわけだ。秋冬カタログ発行日の8月20日にはレコメンド商品の下着も秋冬ものに衣替え。利用者が増えれば通販サイトへの流入効果にも期待が持てそうだ。
各社の「ゆるい販促」には新しい切り口や斬新な訴求方法が垣間見れる。今後、なくてはならない販促策に育つ可能性もありそうだ。各社の試みに期待したい。
"ユースト"活用でユニークな商品を
通販各社が行う「ゆるい販促」の形は様々。多くの場合、「mixi(ミクシィ)」などのSNSや簡易ブログ「ツイッター」、ライブ動画共有サービス「Ustream(ユーストリーム)」などを用いて、個人ブログのような顧客目線に立った日常生活を絡めた記事の投稿や、思わず笑ってしまうようなテレビショッピング形式の動画配信などを行っている。
販促というよりも、まずは顧客に興味を持ってもらい、利用または閲覧につなげることが目的で、間接的に自社の商品の販促を行っているというものが多いようだ。
そうした仕掛けができるのも、販促に活用するネット上の各種ツールの利用に、さほどコストがかからないことが背景にある。コストがかからなければ、無理に売り上げを追う必要がないために、期待される新しいツールで新しい切り口や訴求方法などを試す実験も兼ねた「ゆるい販促」を行うことが可能となっているわけだ。では主な通販各社が行うゆるい販促の取り組みを見ていく。
まずはニッセンのゆるい販促策から。同社では「男気テレビショッピング」と題したテレビショッピング型の動画配信を今夏から始めた。同社によると狙いは「ユーストリーム」を活用した動画通販のテストのようで現状は、「サークル的なノリでやっているもの」(ニッセン広報企画室)としており、商品を紹介するスタッフの進行や会話、販売している商品を含め、砕けた「ゆるい」内容となっている。
「男気テレビショッピング」は約30分の番組で、ニッセンの社員3人(男性2人、女性1人)が出演する。販売する商品は同社の男性向けカタログ「メンズタイムス」での掲載商品で静止画などで商品の概要を紹介した後に、実際の商品の特徴などを3人の掛け合いで説明。番組内で「メンズタイムス」の専用サイトに誘導し、商品の注文を受け付ける。商品ごとに「男気度」として推奨度合いを示すほか、出演する社員の個人的な希望価格(実際の10倍)を示した上で、ご奉仕価格として通常の価格を提示するなど、遊びをふんだんに盛り込んでいる。
「男気テレビショッピング」はこの7、8月に2回放映しており、この告知には「ツイッター」を活用。これまでに水中でも音楽を聴けるMP3や戦国武将が護身用に身に着けていた「鉄扇(てっせん)」など6商品(1回の放送で3商品)を紹介している。
通販の「ユーストリーム」活用についてはネットプライスやケンコーコムなど一部のネット販売事業者が着手しているが、未だ各社は模索をしている状況だ。ニッセンでもこの取り組みについて、「オペレーションを見るためのテストで、売り上げは全く考えていない」(ニッセン広報企画室)とする。実際のライブ中継では、商品紹介の途中で動画が止まってしまうなど課題は多いが、ネット動画を活用した通販の展開に向けノウハウを蓄積する考えのようだ。
事例②ゆるい情報発信で販促
ツイッター、ブログで"響く"記事投稿
ツイッターやブログを活用して、顧客目線に立った情報発信を行う企業も多い。
オイシックスではツイッターを活用して、6月8日から22日まで同社で販売する生で食べられるとうもろこし、「フルーツコーン」の販促を行った。コーンの生産者が産地からの収穫、出荷の様子などをツイッターで配信。このツイッターをフォローして「つぶやき」をリツイートすると、抽選で、「コーン食べ放題」として産地ツアーへ招待する企画だ。とうもろこしの"コーン"とツイッターの"つぶやき"をかけた「"つぶ"やくと"粒"食べ放題」とゆるいタイトルとすることで「タイムラインで情報が流れてしまうツイッターで、ユーザーに興味を持って頂いた」(同社)という。
この販促策はゆるいタイトルとは裏腹に成功を収めたようで「産地ツアーへ行きたい」「食べたい」などつぶやきが多く見られたほか、生産者を応援するコメントが集まり、販促イベント中に200人以上のフォロワーを獲得したとみられる。今後は「トマト」で同様の試みを行う予定だ。
ディノスではゆるいブログが顧客から思わぬ支持を集めており、結果として商品の販促につながっているようだ。同社では社員が執筆を担当する「スタッフブログ」を公開中。現状、6つのブログがあるが、急激に閲覧数を伸ばしているのが「ディノスママズブログ」だ。今年3月に開設だが、30代前後のママ層から支持され、他のブログを押さえ、8月はPV数では一番だったよう。
子育てに奮戦するディノスの「社員ママ」が子育て情報や悩み、おすすめ商品などを紹介する内容で3~4人の現役ママが交代で執筆している。子供との日常のひとコマが記事の中心で「子供の写真」も満載で思わずクスッと笑えるような内容として顧客から共感されているようだ。また、記事中で紹介する商品も、社員ママが実際に子育て中の悩みを解決できた商品をすすめている。
反響の高かった記事を挙げると「子供が小さい時は、髪を引っ張られたり(これがけっこう痛い!)するのでまとめ髪にすることが多かったのですが・・・(中略)同じ結わえるだけでも、これを使えば、『あら?簡単なのにステキに見えるまとめ髪』が出来上っちゃいますよ」として「シュシュクリップ2個セット」(4900円)を記事の中で紹介している。ほかにもオムツの収納に関する話題など高い反応があった記事も多く、結果として紹介する商品に販促につながっているようだ。今後も「ママ予備軍&産休明けのママ」などの戦力を投入し、更新頻度を上げつつ、ゆるくも人気の高い「ママズブログ」を強化していく。
事例③ゆるいアプリで販促
mixiで「パンツカレンダー」
イマージュが実施している、SNSサイト「mixi(ミクシィ)」を活用したゆるい販促企画は、「今日はいているパンツの色や柄を公開する」というmixiアプリ「パンツカレンダー」だ。
カヤックとコラボしたもので、カレンダーにその日身に付けているパンツを登録することができるほか、マイミクに公開する機能も搭載した。
登録したパンツのキャラクターからコメントがもらえるなどの遊び心もあり、継続して活用してもらうことを意図した仕組みとなっている。
イマージュ事業本部販売促進課の小宮明子氏は「ニッチなサービスではあるが、利用者は800人近くまで増えている」と話す。イマージュのメールマガジンでの宣伝や広告なども一切行っておらず、さらには男性のマイミクがいるユーザーは使いづらいアプリ。マイミク間のくちコミのみでじわりと利用者が広がっているようだ。
ブランド認知度の向上を狙ったサービスだが、イマージュが企画したアプリであることを打ち出しているわけではない。ただ、「利用者は当社が関係していることを認識しているのでは」(小宮氏)。アプリページの下部には、レコメンド商品としてイマージュの下着画像が表示されており、クリックすれば同社の通販サイトへ移動する。また、「株式会社イマージュ」としてもパンツカレンダーを公開しており、同アプリの人気ユーザーランキングに入っているため、利用者は「イマージュとコラボしたアプリなのでは」と分かるわけだ。秋冬カタログ発行日の8月20日にはレコメンド商品の下着も秋冬ものに衣替え。利用者が増えれば通販サイトへの流入効果にも期待が持てそうだ。
各社の「ゆるい販促」には新しい切り口や斬新な訴求方法が垣間見れる。今後、なくてはならない販促策に育つ可能性もありそうだ。各社の試みに期待したい。
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