3年後に売上高600億円へ
売上高約600億円、会員数1000万人。これはアスクルが描く個人向け通販事業における「3年後の姿」だ。直近決算(2010年5月期)における同社の個人向け通販事業の年商は約22億円、会員数は約25万人。数字だけ見ると、夢物語に近いと言わざるを得ないが、アスクルの個人向け通販事業を一手に担う専門子会社、アスマルの木村美代子社長はその高い目標の達成に自信を覗かせる。木村社長の自信の根拠。それはアスクルの個人向け通販への"本気さ"だ。
アスクルは実は98年から、実に10年以上も前から通販サイトを開設して、個人向け通販事業に取り組んできた。ただし、あくまで本業である法人向けのオフィス用品通販の延長線上にあり、「会社で買っているアスクルの商品を家でも買いたい」という顧客事業所の社員などに「法人向け通販の商品を個人にも売る」だけの片手間の事業に他ならなかった。
同じ通販でも法人と個人では戦略は大きく異なるはずだ。無論、アスクルでもそれは分かってはいたが、踏み込んだ施策を個人向け通販に講じることはなかった。
理由は本業の法人向けオフィス用品通販が順調に伸びていたこと。これに加えて、個人向け通販ノウハウの欠如。最も大きいのは法人向け通販を前提としたアスクルの体制で、個人向け通販に必要な「商品」や「物流体制」を整えようとすると、多大なコストと手間が発生することになるからだ。このため、アスクルの個人向け通販は中途半端な状態で留め置かれてきた。
この個人向け通販事業が今年から大きく変更されることになった。アスクルでは一定の規模に達し、天井を迎えつつある本業の中小事業所向けオフィス通販事業にかわり、これからの成長をけん引する事業として、近年、大企業向けの間接材の一括購買システム「ソロエル」、中国進出を中心とした「海外展開」に加え、「個人向け通販」を挙げている。これを受けて、個人向け通販事業の基本戦略を昨年から今年かけて大きく見直し、アスクルが総力を挙げて、個人向け通販事業の拡大を推し進め始めたわけだ。
通販ノウハウと物流体制を構築
では、見直した個人向け通販戦略は具体的に従来のものとどう違うのか。それは前述したように、必要と分かっていながらも踏み込めなかった「欠如していた個人向け通販ノウハウの獲得」「個人向け商品の販売開始に伴う物流体制の構築」だ。
まず、これまでアスクル本体で行ってきた個人向け通販事業を、昨年11月に新設した専門子会社、アスマルに担わせたこと。欠如していた個人向け通販ノウハウを埋めるべく、共同購入「ギャザリング」によるネット販売で知られるネットプライスを「検討していた複数のネット販売実施企業の中から」(木村社長)パートナーとして選定。ネットプライスはアスマルへ資本参加して同社から個人向け通販拡大に必要な集客策や人材などを提供。日替わりで特価品を販売する「1dayプライス」、ツイッターやコミュニティ機能を使ったくちコミの誘発策などをネットプライスのノウハウが生かされた新通販サイト「アスマル」を今年9月1日に本格オープンさせた。
また、これまでの個人向け通販サイトでは販売してこなかった化粧品やサプリメント、ペット用品、嗜好性の高い食品や飲料などいわゆる「個人向け商品」の販売を始めたこと。
こうした商材は個人向け通販事業には必須だと言え、取扱開始は当たり前のように映るが、アスクルがこうした商材を取り扱うには「高い壁」があった。
これまでの個人向け通販では物流拠点は本業の法人向け通販で使用している物流センターを活用してきた。アスクルは多くのメーカーと直接取引があり、販売したいと思えば、どのような商品でも仕入れられるが、例えば個人向けでは需要がありそうな「化粧品」を販売したくても物流センターに在庫できる商品数は限りがある。そのため、法人向け通販で売り上げの大きい商品が優先され、個人向けの商品はなかなか販売できない状況にあった。
こうした状況を打破すべく、個人向け通販用に物流体制を組み直した。都内にある法人向け通販の物流センター「アスクルDCMセンター」の5階部分に「アスマル用」の物流拠点を設置した。法人向け通販でも販売している商品は階下の在庫から取り寄せつつ、個人向け商品は専用スペースに在庫できる体制とした。
また、商品によっては受発注形式でメーカーから商品を一旦、センターに入れて、すぐに発送する非在庫型も組み合わせて、様々な商品を取り扱える体制を整えた。また、平日に購入した商品を土日にまとめて配送する「まとめ配送」など個人向け通販では重宝されそうな配送サービスもできるようにした。
「アスマル」の出足は順調
「本当に順調。"回遊時間"や"書き込み"も予想以上。コスメやサプリ、食品などの動きが特に良い」。9月1日にグランドオープンからの「アスマル」の出足についてアスマルの木村社長はこう話す。「30代の働く女性」と明確にターゲットを絞り、これまで取り扱わなかった化粧品などの商材を軸に順調なスタートを切ったようだ。
「アスマル」は今後、サイトで収集した顧客の声などを分析して、本業で付き合いが密なメーカーと協力した商品開発やアスマルでの独占販売商品など商品面での差別化を進める考え。
また、詳細は明らかにしていないが10月にも「ネット利用に親和性の高い会員を持つ企業と連携した告知・集客策を連続して展開する」(木村社長)などで個人向け通販事業の垂直立ち上げを図る。まずは、初年度売上高約60億円、会員数100万人を目指す考えだ。
売上高約600億円、会員数1000万人。これはアスクルが描く個人向け通販事業における「3年後の姿」だ。直近決算(2010年5月期)における同社の個人向け通販事業の年商は約22億円、会員数は約25万人。数字だけ見ると、夢物語に近いと言わざるを得ないが、アスクルの個人向け通販事業を一手に担う専門子会社、アスマルの木村美代子社長はその高い目標の達成に自信を覗かせる。木村社長の自信の根拠。それはアスクルの個人向け通販への"本気さ"だ。
アスクルは実は98年から、実に10年以上も前から通販サイトを開設して、個人向け通販事業に取り組んできた。ただし、あくまで本業である法人向けのオフィス用品通販の延長線上にあり、「会社で買っているアスクルの商品を家でも買いたい」という顧客事業所の社員などに「法人向け通販の商品を個人にも売る」だけの片手間の事業に他ならなかった。
同じ通販でも法人と個人では戦略は大きく異なるはずだ。無論、アスクルでもそれは分かってはいたが、踏み込んだ施策を個人向け通販に講じることはなかった。
理由は本業の法人向けオフィス用品通販が順調に伸びていたこと。これに加えて、個人向け通販ノウハウの欠如。最も大きいのは法人向け通販を前提としたアスクルの体制で、個人向け通販に必要な「商品」や「物流体制」を整えようとすると、多大なコストと手間が発生することになるからだ。このため、アスクルの個人向け通販は中途半端な状態で留め置かれてきた。
この個人向け通販事業が今年から大きく変更されることになった。アスクルでは一定の規模に達し、天井を迎えつつある本業の中小事業所向けオフィス通販事業にかわり、これからの成長をけん引する事業として、近年、大企業向けの間接材の一括購買システム「ソロエル」、中国進出を中心とした「海外展開」に加え、「個人向け通販」を挙げている。これを受けて、個人向け通販事業の基本戦略を昨年から今年かけて大きく見直し、アスクルが総力を挙げて、個人向け通販事業の拡大を推し進め始めたわけだ。
通販ノウハウと物流体制を構築
では、見直した個人向け通販戦略は具体的に従来のものとどう違うのか。それは前述したように、必要と分かっていながらも踏み込めなかった「欠如していた個人向け通販ノウハウの獲得」「個人向け商品の販売開始に伴う物流体制の構築」だ。
まず、これまでアスクル本体で行ってきた個人向け通販事業を、昨年11月に新設した専門子会社、アスマルに担わせたこと。欠如していた個人向け通販ノウハウを埋めるべく、共同購入「ギャザリング」によるネット販売で知られるネットプライスを「検討していた複数のネット販売実施企業の中から」(木村社長)パートナーとして選定。ネットプライスはアスマルへ資本参加して同社から個人向け通販拡大に必要な集客策や人材などを提供。日替わりで特価品を販売する「1dayプライス」、ツイッターやコミュニティ機能を使ったくちコミの誘発策などをネットプライスのノウハウが生かされた新通販サイト「アスマル」を今年9月1日に本格オープンさせた。
また、これまでの個人向け通販サイトでは販売してこなかった化粧品やサプリメント、ペット用品、嗜好性の高い食品や飲料などいわゆる「個人向け商品」の販売を始めたこと。
こうした商材は個人向け通販事業には必須だと言え、取扱開始は当たり前のように映るが、アスクルがこうした商材を取り扱うには「高い壁」があった。
これまでの個人向け通販では物流拠点は本業の法人向け通販で使用している物流センターを活用してきた。アスクルは多くのメーカーと直接取引があり、販売したいと思えば、どのような商品でも仕入れられるが、例えば個人向けでは需要がありそうな「化粧品」を販売したくても物流センターに在庫できる商品数は限りがある。そのため、法人向け通販で売り上げの大きい商品が優先され、個人向けの商品はなかなか販売できない状況にあった。
こうした状況を打破すべく、個人向け通販用に物流体制を組み直した。都内にある法人向け通販の物流センター「アスクルDCMセンター」の5階部分に「アスマル用」の物流拠点を設置した。法人向け通販でも販売している商品は階下の在庫から取り寄せつつ、個人向け商品は専用スペースに在庫できる体制とした。
また、商品によっては受発注形式でメーカーから商品を一旦、センターに入れて、すぐに発送する非在庫型も組み合わせて、様々な商品を取り扱える体制を整えた。また、平日に購入した商品を土日にまとめて配送する「まとめ配送」など個人向け通販では重宝されそうな配送サービスもできるようにした。
「アスマル」の出足は順調
「本当に順調。"回遊時間"や"書き込み"も予想以上。コスメやサプリ、食品などの動きが特に良い」。9月1日にグランドオープンからの「アスマル」の出足についてアスマルの木村社長はこう話す。「30代の働く女性」と明確にターゲットを絞り、これまで取り扱わなかった化粧品などの商材を軸に順調なスタートを切ったようだ。
「アスマル」は今後、サイトで収集した顧客の声などを分析して、本業で付き合いが密なメーカーと協力した商品開発やアスマルでの独占販売商品など商品面での差別化を進める考え。
また、詳細は明らかにしていないが10月にも「ネット利用に親和性の高い会員を持つ企業と連携した告知・集客策を連続して展開する」(木村社長)などで個人向け通販事業の垂直立ち上げを図る。まずは、初年度売上高約60億円、会員数100万人を目指す考えだ。
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